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コラム

雇用保険料の給与計算|2026年度最新料率・対象賃金・端数処理を解説

雇用保険料の給与計算は、法律で定められたルールに則って正確に行う必要があります。 雇用保険料率は年度ごとに改定される可能性があるため、常に最新の情報を確認することが重要です。
この記事では、2025年度(令和7年度)の最新料率や、間違いやすい計算対象の範囲、具体的な計算方法、端数処理のルールまで、給与計算の実務で必要な知識を網羅的に解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

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給与計算で間違えられない雇用保険料とは?

雇用保険とは、労働者が失業した場合や育児・介護で休業した場合などに、生活の安定と再就職の促進を目的として給付を行う公的な保険制度です。 その財源となるのが、従業員と事業主が共に負担する雇用保険料です。
事業主は、従業員の給与や賞与から雇用保険料を天引きし、事業主負担分とあわせて国に納付する義務を負います。

雇用保険料のことをご存じですか?

【2026年度(令和7年度)】事業種別ごとの最新雇用保険料率

2026年度(令和7年度)の雇用保険料率は、2025年度から据え置きとなりました。 雇用保険料を含む労働保険料の申告・納付手続きを年度更新と呼びますが、その際に適用する料率を正確に把握しておく必要があります。
雇用保険料率は、事業の種類によって3つに区分されており、それぞれ料率が異なります。

一般の事業

2026年度における一般の事業の雇用保険料率は1.55%です。 このうち、従業員が負担する労働者負担率は0.6%、会社が負担する事業主負担率は0.95%となります。 給与計算では、この労働者負担率を用いて、毎月の給与から天引きする金額を算出します。
健康保険料など他の社会保険料と同様に、会社が預かった保険料は事業主負担分とあわせて納付します。

農林水産・清酒製造の事業

2026年度における農林水産・清酒製造の事業の雇用保険料率は1.75%です。 内訳は、労働者負担率が0.7%、事業主負担率が1.05%に設定されています。 これらの事業は、季節的な要因で雇用が不安定になりやすいことから、他の事業種別よりも高い料率が適用されています。
給与計算の際は、自社の事業がどの区分に該当するかを正確に確認することが不可欠です。

建設の事業

2026年度における建設の事業の雇用保険料率は1.85%です。 労働者負担率は0.7%、事業主負担率は1.15%となります。 建設事業は、年度内に工事が完了しない場合や、労働者の出入りが激しいといった特性があるため、最も高い料率が設定されています。
事業所の所在地や業態に関わらず、建設に関わる事業であればこの料率が適用されます。

雇用保険料の正しい計算方法を4ステップで解説

毎月の給与計算で雇用保険料を正確に算出するための方法を、4つのステップに分けて解説します。 この手順に沿って計算を進めることで、計算ミスを防ぎ、法令に準拠した適切な給与処理が可能です。
特に、どの賃金が計算対象に含まれるかを正しく理解することが重要になります。

雇用保険料の計算方法について解説します。

ステップ1:基本の計算式「賃金総額 × 雇用保険料率」を把握する

雇用保険料の計算は「賃金総額×労働者負担の雇用保険料率」という計算式が基本です。 ここでいう「賃金総額」とは、所得税や社会保険料を控除する前の、いわゆる「総支給額」を指します。
基本給だけでなく、残業代や各種手当など、労働の対償として支払われるすべての金銭が含まれる点を押さえておく必要があります。

ステップ2:雇用保険料の計算対象となる賃金を確認する

雇用保険料の計算対象となる賃金には、労働の対価として支払われるすべてのものが含まれます。 具体的には、基本給、残業手当、役職手当、住宅手当、家族手当、賞与などが該当します。 特に注意が必要なのが通勤手当です。
所得税法上は一定額まで非課税ですが、雇用保険の計算においては賃金と見なされ、計算対象に含める必要があります。 この手当の扱いを間違えないようにしましょう。

ステップ3:計算対象に含めなくてよい手当や金銭を把握する

一方で、雇用保険料の計算に含めない金銭もあります。 これらは労働の対価とは見なされない、恩恵的な性質のものです。 具体例としては、役員報酬、退職金、結婚祝金や見舞金、出張旅費や宿泊費といった実費弁償的な費用が挙げられます。
これらの非課税の手当や恩恵的な金銭は賃金総額に含めずに計算を行うことが正しい処理です。

ステップ4:1円未満の端数を正しく処理する(50銭未満は切り捨て)

雇用保険料を計算した結果、1円未満の端数が生じた場合の端数処理には、法律で定められた特別なルールがあります。 具体的には、「50銭未満の場合は切り捨て、50銭以上は切り上げ」と定められています。
これは一般的な四捨五入(50銭は切り上げ)とは異なるため、給与計算ソフトの設定などを確認し、誤った処理をしないよう注意が必要です。

雇用保険料は総支給額に料率を掛けて算出します。通勤手当や残業代は含む一方、退職金や祝金は除外します。端数は50銭未満切り捨て、50銭以上切り上げで処理します。

賞与(ボーナス)から天引きする雇用保険料の計算方法

賞与(ボーナス)も、毎月の給与と同様に雇用保険料の計算対象となります。 計算方法は給与の場合と全く同じで、「賞与の総支給額×労働者負担の雇用保険料率」で算出します。 ここで用いる「賞与の総支給額」とは、所得税や社会保険料が控除される前の金額です。
賞与計算の際も、賃金総額に賞与額を当てはめて、忘れずに雇用保険料を天引きしなくてはなりません。

保険料率が改定された際の適用タイミングは「締め日」が基準

雇用保険料率が年度の途中で改定された場合、新しい料率をいつから適用するかは重要なポイントです。 この判断は、給与の「支払日」ではなく「賃金締め日」を基準に行うのが原則です。
例えば、4月1日に料率が改定され、給与の締め日が末日、支払日が翌月15日の会社の場合、3月31日締めの給与(4月15日支払い)には旧料率を、4月30日締めの給与(5月15日支払い)には新料率を適用します。 給与明細に反映させるタイミングを間違えないよう、給与計算システムの更新を計画的に行いましょう。

雇用保険料の給与計算に関するよくある質問

ここでは、雇用保険料の給与計算において、実務担当者が疑問に思いやすい点についてQ&A形式で解説します。

アルバイトやパート従業員も雇用保険の加入対象になりますか?

アルバイトやパートタイマーであっても、要件を満たせば雇用保険の加入対象です。

具体的には「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用見込みがある」場合、原則として加入義務が生じます。 雇用形態にかかわらず、この2つの条件を満たす従業員を雇用した場合は、手続きが必要です。

従業員負担分と会社負担分の保険料率はそれぞれ何パーセントですか?

保険料率は事業の種類によって異なります。

例えば、2026年度の「一般の事業」では、全体の料率1.55%のうち、従業員が負担する労働者負担率は0.6%、会社が負担する事業主負担率は0.95%です。 給与計算では労働者負担率を使い、会社は事業主負担分を加えて国に納付します。

65歳以上の従業員を雇用している場合の雇用保険料はどうなりますか?

65歳以上の従業員も、雇用保険料の納付が必要です。 以前は65歳に達した年度の4月1日以降は保険料が免除されていましたが、法改正により2020年4月1日から免除制度が廃止されました。

したがって、現在は年齢に関わらず、雇用保険の加入要件を満たすすべての従業員から保険料を徴収します。 保険料が0円になることはありません。

まとめ

雇用保険率は据え置きが続いていますが、給与計算においては、常に最新の料率を確認することが基本です。
計算の際には、通勤手当のように間違いやすい手当を含めた賃金総額を正しく把握し、「50銭以下切り捨て」という特殊な端数処理ルールを適用する必要があります。

また、料率が改定された場合は、「締め日」を基準に新料率を適用することも忘れてはならない重要な実務上のポイントです。

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