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コラム

企業型DC導入の流れと費用|中小企業がゼロから始める手順を社労士が解説

「企業型DCを導入したいけれど、何から始めればいいかわからない」「費用はどのくらいかかるのか」という経営者の声は多くあります。この記事では、社会保険労務士法人とうかいが、企業型DC導入のステップ・必要期間・費用感を中小企業の実態に合わせて解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

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1. この記事の要約

  • 企業型DC導入には「制度設計 → 運営管理機関選定 → 規約作成 → 厚生労働大臣承認申請 → 投資教育 → 加入者登録」の6ステップがある
  • 導入までの期間は準備開始から概ね3〜6ヶ月
  • 初期費用:運営管理機関への申込費用(数万〜十数万円程度)+社労士への規約作成費用
  • 毎月の費用:運営管理機関手数料(加入者1人あたり数百円〜)+事業主掛金
  • 社労士に依頼することで規約作成・申請代行・投資教育サポートまで一括対応できる

2. 企業型DC導入前に決めておくべき3つの基本事項

企業型DCとは、確定拠出年金法(平成13年法律第88号)に基づき、事業主が規約を作成し厚生労働大臣の承認を受けて実施する企業年金制度です。導入手続きを始める前に、以下の3点を決めておくと後の設計がスムーズになります。

①導入の目的・位置づけを明確にする

  • 退職金制度として:既存の中退共・退職一時金との関係を整理する
  • 福利厚生・採用力強化として:掛金水準と従業員への訴求ポイントを設計する
  • 法人税節税として:掛金上限と現行の法人税負担をシミュレーションする

②加入対象者を決める

規約で加入対象者を定めます。主な選択肢は以下の通りです。

選択肢内容
全従業員正社員・パート・契約社員を含む全員
正社員のみ雇用形態で区分(労使間で合意が必要)
勤続〇年以上一定の勤続年数を条件として設定
一定年齢以上60歳未満など年齢条件を設定

なお、加入対象者の設定は合理的な理由に基づいた区分でなければならず、特定の従業員を恣意的に除外することはできません。

③掛金水準を決める

掛金上限は確定拠出年金法第19条第3項で定められています。

他の企業年金の状況月額上限
他の企業年金なし55,000円
確定給付企業年金(DB)等あり27,500円

掛金は従業員全員一律でも、役職・勤続年数によって差をつけることも可能です(規約に定める必要あります)。

このセクションのポイント

  • 目的・加入対象者・掛金水準を先に決める
  • 加入対象者の区分は合理的理由が必要
  • 掛金上限は月55,000円(他の企業年金なしの場合)

3. 企業型DC導入の6ステップと期間目安

ステップ1:運営管理機関の選定(1〜2ヶ月)

運営管理機関とは、企業型DCの運用商品の提供・加入者への情報提供を行う金融機関(銀行・証券・信託会社等)のことです(確定拠出年金法第2条第7項)。

主な選定ポイントは以下の通りです。

費用(手数料)

  • 加入者1人あたりの月次管理手数料(数百円〜数千円)
  • 移換・給付手続きの手数料

運用商品ラインアップ

  • 投資信託の種類・本数・コスト(信託報酬)
  • 元本確保型商品の有無

投資教育サービス

  • 法定の投資教育資料の充実度
  • eラーニング・セミナーの提供

システム・サービス品質

  • 加入者が利用するWebシステムの使いやすさ
  • 事業主向けのサポート体制

ステップ2:制度設計・社労士との規約作成(1〜2ヶ月)

規約は確定拠出年金法第3条の要件を満たす必要があります。社労士がいない場合でも規約の雛形が運営管理機関から提供されることが多いですが、社労士が関与することで就業規則・退職金規程との整合性を含めた設計ができます。

規約に定める主な事項:

  • 加入対象者の範囲
  • 掛金の額・拠出方法
  • 運用商品のラインアップ
  • 給付の種類・受取方法

ステップ3:厚生労働大臣への規約承認申請(1〜2ヶ月)

作成した規約を労使合意(または事業主が決定)した上で、厚生労働大臣(地方厚生局経由)へ承認申請を行います(確定拠出年金法第4条)。

申請書類:

  • 企業型年金規約(承認申請書)
  • 労使合意が必要な場合は同意書
  • 事業主の届出書類 等

審査期間の目安:1〜2ヶ月(内容に不備がなければ)

ステップ4:投資教育の実施(運用開始前・継続的に)

確定拠出年金法第22条により、事業主には加入者への投資教育の実施義務があります。運用開始前に少なくとも1回、以降は継続的(年1回以上推奨)に実施します。

投資教育の内容(確定拠出年金法施行規則第24条の規定を参考):

  • 確定拠出年金制度の概要
  • 金融商品の種類・特性・リスク
  • 分散投資の基本的な考え方
  • 運用商品の見直し方

外部の投資教育専門機関・運営管理機関への委託が可能です。

ステップ5:加入者登録・運用開始(1ヶ月以内)

規約承認後、対象従業員の加入者登録を行い、初回の掛金拠出で正式に運用が開始されます。

ステップ6:継続管理(導入後)

導入後も以下の継続業務が発生します。

  • 毎月の掛金拠出
  • 新入社員・退職者の加入者登録・資格喪失手続き
  • 年1回以上の継続投資教育の実施
  • 規約変更が必要な場合の申請(掛金変更・加入対象者変更等)
  • 法改正への対応

このセクションのポイント

  • 導入まで3〜6ヶ月が目安(規約承認に1〜2ヶ月かかる)
  • 運営管理機関選定・規約作成・申請が主な手続き
  • 投資教育は義務であり、導入後も継続が必要

4. 費用の目安:初期費用と継続費用

初期費用

費用項目金額目安備考
運営管理機関への申込・初期設定費用0〜10万円程度機関によって無料の場合も
規約作成費用(社労士依頼)10〜30万円程度事務所によって異なる
労使合意・社内調整コスト人件費として把握担当者の工数
投資教育実施費用(初回)5〜20万円程度外部委託の場合
合計(目安)20〜60万円程度企業規模・依頼範囲による

継続費用(毎月・毎年)

費用項目金額目安備考
運営管理機関手数料(月次)300〜1,000円/人加入者数×単価
事務委託先金融機関への手数料数百円〜/人/月機関によって異なる
事業主掛金設定額×人数損金算入可能
継続投資教育費用(年1回)5〜15万円/回外部委託の場合
社労士顧問費用(法改正対応等)顧問契約による必要に応じて

【試算例:従業員10名、月20,000円/人の掛金設定の場合】

費用月次年次
運営管理機関手数料(500円/人×10名)5,000円60,000円
事業主掛金(20,000円×10名)200,000円2,400,000円
法人税等節税効果(実効税率25%)▲50,000円▲600,000円
実質負担(掛金-節税効果)約155,000円約1,860,000円

掛金の全額が損金算入されるため、実質の会社負担は掛金×(1-実効税率)となります。

このセクションのポイント

  • 初期費用は20〜60万円程度(規模・依頼範囲による)
  • 毎月の継続費用は手数料+掛金(掛金は節税分が実質負担を軽減)
  • 社労士への依頼で規約作成・申請・投資教育まで一括サポート

5. とうかいへの相談事例・よくあるトラブル

相談事例①:「どこから手をつければいいかわからない」製造業(従業員20名)

状況: 税理士から企業型DC導入を勧められたが、具体的な進め方がわからずに1年間放置していた。

対応: とうかいへ相談後、以下の順序で進行。

  1. 現状の退職金規程・中退共との関係を整理
  2. 掛金水準・加入対象者の設計(社員のみ・月20,000円)
  3. 運営管理機関の比較・選定サポート
  4. 規約作成・地方厚生局への申請代行
  5. 従業員向け説明会の実施

相談から導入まで約4ヶ月。法人税節税効果は年間約110万円(実効税率23%)。

相談事例②:「規約の差し戻しで時間がかかってしまった」小売業(従業員8名)

状況: 運営管理機関から提供された規約の雛形をそのまま使って申請したところ、就業規則との整合性について地方厚生局から確認事項が来た。

対応: とうかいが介入し、就業規則・賃金規程と整合する内容に規約を修正。承認取得まで対応。「最初から社労士に頼めば2〜3ヶ月早く導入できた」との声をいただいた。

よくあるトラブルとその対処法

トラブル①:運営管理機関の選定を急ぎすぎて後から手数料の高さに気づく 複数の運営管理機関の見積もりを取り、手数料・サービス内容を比較してから選びましょう。社労士が比較資料の整理をサポートできます。

トラブル②:規約承認後に掛金を変更しようとしたが規約変更が必要と知らなかった 掛金の変更・加入対象者の変更は規約変更申請が必要です(確定拠出年金法第5条)。変更の前に社労士へ相談することをお勧めします。

トラブル③:投資教育を形式的に実施しただけで従業員の理解が低い 従業員の理解が低いと、運用をデフォルト商品(低リターンの元本確保型)のままにしてしまうケースが多くなります。eラーニング・動画・個別相談窓口の活用で理解を深めましょう。

このセクションのポイント

  • 規約は社労士へ依頼することで就業規則との整合性を担保できる
  • 運営管理機関は複数比較してから選ぶ
  • 投資教育は形式だけでなく実質的な理解を促す工夫が重要

6. 個別相談のご案内|社会保険労務士法人とうかい

社会保険労務士法人とうかいでは、企業型DC導入を検討している企業向けに無料相談を行っています。

  • 現状の退職金制度との整合性チェック(無料)
  • 掛金水準・節税シミュレーション(無料)
  • 規約作成・地方厚生局への申請代行
  • 従業員向け説明会・投資教育サポート

名古屋・東京・多治見に拠点あり。全国対応可能。

→ 無料相談・お問い合わせはこちら

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 企業型DC導入にはどのくらいの期間がかかりますか? 準備開始から実際の拠出開始まで、概ね3〜6ヶ月が目安です。運営管理機関の選定・規約作成・地方厚生局の審査期間が主な要因です。

Q2. 社員が少ない(5名以下)でも導入できますか? はい、従業員数の制限はありません。ただし加入者が少ない場合は加入者1人あたりの管理コストが相対的に高くなるため、費用対効果の確認が重要です。

Q3. 規約の作成を自分で行うことはできますか? 理論上は可能ですが、就業規則・賃金規程との整合性や確定拠出年金法の要件を満たす内容にする必要があります。差し戻しリスクを減らすためにも社労士への依頼をお勧めします。

Q4. 導入後に掛金を変更できますか? はい、できますが規約変更申請(確定拠出年金法第5条)が必要です。掛金の変更は年1〜2回程度を想定しておくと良いでしょう。

Q5. 運営管理機関はいつでも変更できますか? 変更は可能ですが、規約変更手続きと移換手続きが必要で、従業員への説明も必要です。最初の選定時に慎重に選ぶことをお勧めします。

Q6. 中退共と企業型DCは同時に実施できますか? できますが、同時実施の場合は企業型DCの掛金上限が月27,500円に制限されます(他の企業年金制度ありの場合の上限)。現行の中退共の掛金水準と合わせて社労士と確認することをお勧めします。

Q7. 厚生労働大臣の承認が下りるまで何をすればよいですか? 運営管理機関との契約準備・従業員への制度説明資料の作成・投資教育の準備を並行して進めることができます。承認後すぐに運用を開始できるよう準備を整えておきましょう。

まとめ

企業型DCの導入は、「運営管理機関選定 → 規約作成 → 厚生労働大臣承認申請 → 投資教育 → 加入者登録」の流れで進みます。準備から開始まで3〜6ヶ月が目安で、初期費用は20〜60万円程度、毎月の継続費用は手数料+事業主掛金(節税効果分を差し引いた実質負担)です。社労士に依頼することで規約作成・申請・投資教育まで一括対応でき、スムーズな導入が実現します。

→ 企業型確定拠出年金 導入コンサルティングのご案内

監修:社会保険労務士法人とうかい https://www.tokai-sr.jp/

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