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コラム

マネーフォワード給与の年末調整で差額が出る原因と確認手順【担当者向け】

マネーフォワード給与(MF給与)で年末調整を行ったときに「想定より還付額が大きい」「追加徴収が多すぎる」と感じたことはありませんか。差額が出る原因は限られており、確認する順序を知っていれば短時間で解決できます。給与計算・社会保険の専門家である社会保険労務士法人とうかいが、MF給与での年末調整差額の主な原因と確認手順をわかりやすく解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

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結論:差額の原因は5つのどれかに絞られる

MF給与の年末調整で差額が生じる原因は、①扶養情報の未更新、②控除証明書の入力ミス、③途中入社者の前職給与未取込、④住宅ローン控除の入力誤り、⑤月次源泉徴収の累積誤りの5つに集約されます。差額が1人だけなら①〜④、全員に大きな差額が出るなら⑤を先に疑ってください。

年末調整とは、1月〜12月の給与から毎月概算で天引きした源泉徴収税額の合計と、年間の正確な所得税額との差額を精算する手続きです(所得税法第190条)。毎月の源泉徴収は概算のため、過不足が出るのは正常ですが、差額が大きすぎる場合は入力ミスや設定の誤りが疑われます。

このセクションのポイント

  • 差額の原因は5つに絞られる。1人だけ大きい場合と全員に出る場合で疑う原因が異なる
  • 年末調整の差額は「月次源泉徴収累計額 − 年税額」の過不足であり、ゼロにならないこと自体は正常
  • 期限は翌年1月31日(所得税法第190条・第226条)。早期に原因を特定することが重要

差額が出る5つの原因と確認手順

原因①:扶養情報(従業員マスタ)が申告書と一致していない

最も多い原因です。MF給与の従業員マスタの扶養情報が、当年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と一致していないと、控除額がずれます。子どもが16歳になった(扶養控除38万円が加わる)、19歳になった(一般扶養38万円→特定扶養63万円へ増額)、配偶者の年収が変動した(配偶者控除と配偶者特別控除の切り替え)などが典型例です。

確認手順:MF給与「従業員マスタ」→「扶養情報」と、紙の申告書を1件ずつ照合します。

原因②:控除証明書の入力漏れ・金額ミス

生命保険料控除(一般・介護医療・個人年金の3区分)、地震保険料控除、iDeCoの小規模企業共済等掛金控除で入力漏れや金額誤りがあると、控除額が変わり差額につながります。特に生命保険料は新制度・旧制度の区分が複雑なため誤りが起きやすい箇所です。

確認手順:MF給与「年末調整」→対象従業員の「控除申告書入力」画面を開き、控除証明書の金額と1件ずつ照合します。

原因③:途中入社者の前職給与が未入力

年の途中(2月〜11月)に入社した従業員は、前職の給与も合算して年税額を計算することが法令上の義務です(所得税法第190条)。前職の源泉徴収票が回収されていない、またはMF給与に入力されていない場合、年収が過少に計算されます。

確認手順:MF給与「年末調整」→対象従業員の「前職分給与」入力欄に、前職の「支払金額」「社会保険料等の金額」「源泉徴収税額」が入力されているかを確認します。前職源泉徴収票が入手できない場合は年末調整の対象外とし、本人が確定申告で精算します。

原因④:住宅ローン控除の年末残高・入居年の入力ミス

住宅ローン控除は年末残高×0.7%が税額から直接控除されます(2022年1月以降の入居・租税特別措置法第41条)。年末残高の金額誤り、入居年の誤り(控除期間・控除率が入居年によって異なる)、初年度の従業員への誤適用(初年度は確定申告が必要)が主なミスです。

確認手順:MF給与「年末調整」→「住宅借入金等特別控除」入力画面で年末残高・入居年月日・控除額を「住宅借入金等特別控除申告書」と「残高証明書」の2書類と照合します。

原因⑤:月次源泉徴収税額の累積誤り

月々の給与計算から源泉徴収税額が誤っている場合、1年分の誤りが年末調整時に一気に現れます。原因としては、甲欄・乙欄の適用区分の誤り(「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない事業所は乙欄適用・所得税法第185条第1項)、扶養人数変更の反映漏れ、賞与の源泉徴収誤りが挙げられます。

確認手順:MF給与「給与計算設定」で甲欄・乙欄の設定と源泉徴収税額表の年度設定を確認します。全員に差額が出る場合はこちらを先に確認してください。

このセクションのポイント

  • 扶養情報・控除証明書・前職給与の順に確認すると最短で原因を特定できる
  • 住宅ローン控除は初年度(取得した年)は確定申告が必要。年末調整で誤適用しないよう注意
  • 全員に差額が出る場合は「甲欄・乙欄の設定」または「源泉徴収税額表の年度設定」を確認する

社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス

差額が発覚した場合に今日から実施すべきことを3点お伝えします。

1. 修正は「確定」前に行う:MF給与の年末調整は「確定」ボタンを押す前であれば入力内容を自由に修正できます。確定後に誤りが判明した場合は「訂正源泉徴収票」の発行が必要になります(所得税法施行規則第93条)。確定前に全従業員分の差額を上長または社労士にダブルチェックしてもらうことを強くお勧めします。

2. 発行済み源泉徴収票に誤りが見つかった場合はすぐに訂正票を発行する:従業員が確定申告で使用した後に誤りが判明するケースもあります。訂正源泉徴収票を発行し、従業員・税務署・市区町村への再提出を速やかに行ってください。

3. 法定調書・給与支払報告書の期限は翌年1月31日:年末調整の完了後、法定調書(税務署)と給与支払報告書(市区町村)の提出期限は翌年1月31日です。年末調整の修正対応が長引くと提出期限に間に合わないリスクがあるため、12月中の早期対応が不可欠です。

このセクションのポイント

  • MF給与年末調整は「確定」前なら自由に修正可能。確定前のダブルチェックが最重要
  • 発行済み源泉徴収票に誤りがある場合は訂正票の発行・再提出が義務
  • 法定調書・給与支払報告書の提出期限(翌年1月31日)から逆算して12月中に完了させる

よくある質問(FAQ)

Q. MF給与で全従業員に大きな差額が出た。原因は何が考えられますか?

A. 全員に差額が出る場合は、個人の入力ミスではなく月次の源泉徴収税額自体が誤っている可能性が高いです。MF給与の「給与計算設定」で甲欄・乙欄の設定と源泉徴収税額表の年度設定を確認してください(所得税法第185条)。

Q. 途中入社者の前職源泉徴収票が入手できない場合はどうすればよいですか?

A. 前職の源泉徴収票が入手できない場合は、その従業員を年末調整の対象外とし、本人が確定申告で精算します(所得税法第190条)。会社側で前職分を省略して年末調整を実施することは認められません。

Q. 住宅ローン控除は初年度から年末調整で適用できますか?

A. 住宅取得の初年度は確定申告が必要です(租税特別措置法第41条第27項)。2年目以降から「住宅借入金等特別控除申告書」と「残高証明書」を提出することで年末調整での適用が可能になります。初年度の従業員には確定申告を案内してください。

Q. 年末調整後に差額徴収額が12月給与の手取りを超えてしまいます。どうすればよいですか?

A. 差額徴収額が12月給与の手取りを超える場合は、翌年1月以降の給与から分割して徴収できます(所得税法施行令第319条)。分割徴収を行う場合も、翌年1月31日までに源泉徴収票を発行する義務があります。

Q. iDeCoの控除証明書はMF給与のどこに入力しますか?

A. iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得控除になります(所得税法第75条)。MF給与の「年末調整」→「保険料等控除申告書」の「小規模企業共済等掛金」欄に、国民年金基金連合会から送付される証明書の「掛金合計額」を入力してください。

まとめ

MF給与の年末調整で差額が出た場合は、①扶養情報の照合、②控除証明書の入力確認、③前職給与の取込確認の順で原因を特定することで、多くのケースを短時間で解決できます。差額の原因が特定できない場合や、訂正源泉徴収票の発行・法定調書の提出まで含めてサポートが必要な場合は、社会保険労務士法人とうかいへお気軽にご相談ください。

この記事は2026年5月27日時点の情報をもとに作成しています。法令・制度は改正される場合があるため、最新情報は国税庁・厚生労働省等の公式サイトをご確認ください。 監修・文責:社会保険労務士法人とうかい

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