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コラム

企業型DC退職時の手続きとは?6つの選択肢と注意点を社労士が解説

企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入していた従業員が退職するとき、積み立てた資産をどうするかの手続きが必要です。手続きを放置すると「自動移換」となり、管理手数料が引かれ続けるうえに運用もできない不利な状態になります。この記事では、社会保険労務士法人とうかいが、退職時に選べる6つの選択肢と注意点をわかりやすく解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

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結論:退職後6ヶ月以内に手続きが必要です。放置すると「自動移換」で損をします

企業型DCに加入していた従業員が退職・転職する場合、退職後6ヶ月以内に資産の移換先を選択し手続きを完了させる必要があります(確定拠出年金法第54条の4)。

6ヶ月を過ぎると資産が国民年金基金連合会への自動移換となります。自動移換状態では運用ができず、毎月手数料が差し引かれるため、資産が目減りし続けます。

このセクションのポイント

  • 退職後6ヶ月以内に移換手続きが必要
  • 手続きを放置すると自動移換で管理手数料が発生し損をする
  • 6つの選択肢から状況に応じた最適な手続きを選ぶ

企業型DC退職時の6つの選択肢

選択肢① 転職先の企業型DCへ移換する

転職先の会社が企業型DCを実施している場合、現在の資産をそのまま転職先のDCへ持ち運ぶことができます。

  • できる条件: 転職先が企業型DCを実施していること
  • 手続き先: 転職先の会社(人事・総務部門経由)
  • 期限: 退職後6ヶ月以内
  • メリット: 加入期間が通算されるため、将来の受取開始年齢への影響が最小限
  • 注意点: 転職先DCの運営管理機関・運用商品ラインアップが変わる

選択肢② iDeCoへ移換する

転職先に企業型DCがない場合や、フリーランス・自営業として独立する場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)へ移換するのが一般的です。

  • できる条件: 国民年金被保険者(会社員・自営業・専業主婦/夫等)であること
  • 手続き先: 国民年金基金連合会(金融機関を通じて申請)
  • 期限: 退職後6ヶ月以内
  • メリット: 自分で金融機関・運用商品を選べる。掛金を自分で追加拠出することも可能
  • 注意点: 移換手続きに数週間〜1ヶ月程度かかるため、余裕をもって手続きする

選択肢③ 確定給付企業年金(DB)へ移換する

転職先の会社が確定給付企業年金(DB)を実施しており、かつDBの規約で移換を認めている場合に限り、DB制度へ資産を移換することができます。

  • できる条件: 転職先DBの規約に移換受入規定があること
  • メリット: 転職先のDB制度に統一できる
  • 注意点: この選択肢が使えるケースは限定的。事前に転職先の人事部門へ確認が必要

選択肢④ 脱退一時金として受け取る(要件あり)

確定拠出年金の脱退一時金は、非常に限られた条件を満たす場合のみ受け取ることができます。

  • 受取できる主な要件(確定拠出年金法施行令):
  • 60歳未満であること
  • 企業型DCと個人型DCの通算加入期間が1ヶ月以上3年以下、または個人別管理資産額が1.5万円以下
  • iDeCoに加入できない(国民年金第1号被保険者で保険料の全額免除を受けている等)
  • 注意点: ほとんどの会社員には要件を満たさないことが多い。脱退一時金は退職所得として課税される

選択肢⑤ 運用指図者として継続する

退職後に転職・iDeCo加入などをしない期間でも、運用指図者として既存の資産だけを引き続き運用することができます。

  • できる条件: 特になし(どの退職者でも選択可能)
  • メリット: 新たな手続きをせずに運用を続けられる
  • 注意点: 追加の掛金拠出はできない。運用管理機関への手数料は引き続き発生する。iDeCoへの移換を検討中の方の一時的な措置として活用されることが多い

選択肢⑥ 自動移換(放置した場合)【推奨しない】

退職後6ヶ月以内に手続きをしなかった場合、資産は国民年金基金連合会への自動移換となります。

  • 自動移換のデメリット
  • 毎月の管理手数料(52円/月)が差し引かれ続ける
  • 運用ができない(元本保証型の特定運用商品に固定)
  • 通算加入者期間に算入されないため、将来の受取開始年齢に影響する可能性がある
  • iDeCoや転職先DCへの移換手続きが別途必要になり、手間が増える

→ 選択肢⑥(自動移換)は積極的には選ばないことを強くお勧めします。

このセクションのポイント

  • 転職先にDCがあれば①(転職先DC移換)が最もシンプル
  • 転職先にDCがなければ②(iDeCo移換)が一般的
  • ⑥(自動移換)は管理手数料・運用停止の両デメリットがあるため避けること

選択肢の選び方:状況別おすすめフロー

退職・転職時のDC手続き判断フロー

転職先が企業型DCを実施している?
  ↓YES → ①転職先DCへ移換(最もシンプル)
  ↓NO
次の就職先が決まっている(会社員として)?
  ↓YES → ②iDeCoへ移換し、転職後は転職先DCへ移換も検討
  ↓NO
自営業・フリーランスになる?
  ↓YES → ②iDeCoへ移換(掛金上限:月68,000円)
  ↓NO
当面就職しない(専業主婦/夫含む)?
  ↓YES → ②iDeCoへ移換(掛金上限:月23,000円)
  または ⑤運用指図者として継続(就職後に②へ移換)

社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス

  1. 退職が決まったら早めに手続きを開始する:移換手続きには数週間〜1ヶ月程度かかります。退職後すぐに動くことで、手続き期限(6ヶ月)に余裕をもって対応できます。
  2. 人事担当者は退職時に必ず書面で案内する:従業員が自動移換になると後々手続きが煩雑になります。退職書類の中に「DC移換手続きの案内」を加える仕組みをつくりましょう。
  3. iDeCoへの移換は金融機関選びから始める:iDeCoは金融機関ごとに手数料・運用商品が異なります。移換先として選べる金融機関を比較してから手続きしましょう。

このセクションのポイント

  • 退職後すぐに手続きを開始し、6ヶ月以内に完了する
  • 人事担当者は退職手続きの中に「DC移換案内」を組み込む
  • iDeCoへの移換は金融機関比較から始める

よくある質問(FAQ)

Q1. 退職後の手続きに期限はありますか? はい、退職(企業型DC資格喪失)後6ヶ月以内に移換等の手続きが必要です。6ヶ月を過ぎると自動移換となり、管理手数料がかかり運用もできなくなります(確定拠出年金法第54条の4)。

Q2. 退職後にDC資産をすぐに受け取ることはできますか? 原則できません。企業型DCの資産は60歳(通算加入期間等が10年未満の場合は61〜65歳)まで引き出すことができません。脱退一時金として受け取れる条件は非常に限定的です。

Q3. 転職先にiDeCoへ移換した後、追加で掛金を拠出できますか? はい、iDeCoに移換後は毎月掛金を追加拠出することができます。掛金上限は加入状況によって月12,000〜68,000円です。

Q4. 自動移換になってしまった場合、あとからiDeCoに移換できますか? はい、自動移換後でもiDeCoへの移換手続きは可能です。ただし手続きが煩雑になるため、早めの対応をお勧めします。

Q5. 離職中(無職)でもiDeCoに加入できますか? はい、国民年金第1号被保険者として保険料を支払っていれば加入できます。ただし国民年金保険料の全額免除を受けている期間はiDeCoに加入できません。

まとめ

企業型DC退職時の手続きは、6ヶ月以内に完了させることが大原則です。転職先のDCへの移換、iDeCoへの移換が主な選択肢であり、放置(自動移換)は避けるべきです。従業員が退職する際は人事担当者から必ず移換手続きの案内をしてください。手続きや制度の疑問は社会保険労務士法人とうかいへお気軽にご相談ください。

→ 企業型確定拠出年金 導入コンサルティングのご案内

監修:社会保険労務士法人とうかい https://www.tokai-sr.jp/

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