「従業員が10人以下の小さな会社でも企業型DCを導入できるの?」という疑問を持つ経営者は多くいます。結論からいうと、人数制限はなく1名からでも導入できます。この記事では、社会保険労務士法人とうかいが、小規模企業における企業型DC導入のメリット・費用・注意点をわかりやすく解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
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結論:従業員数の制限はなく、1名から企業型DCを導入できます
企業型確定拠出年金(企業型DC)には、従業員数の最低基準はありません(確定拠出年金法第4条)。個人事業主が従業員を雇っているケースや、代表取締役1名+従業員数名の小規模法人でも導入できます。
特に10人以下の小規模企業では、選択制DC(従業員が給与の一部をDC掛金として積み立てるかどうかを選べる仕組み)が会社負担を最小限に抑えながら導入できると評価されています。

このセクションのポイント
- 従業員1名からでも企業型DCを導入できる
- 人数制限は法律上ない
- 小規模企業には選択制DCが特に向いている
小規模企業が企業型DCを導入するメリット
①退職金制度がない企業の代替として機能する
従業員10人以下の中小企業では、退職金制度がない企業も多くあります。企業型DCを導入することで、低コストで退職金制度に準じた仕組みを整えることができます。
- 掛金は全額損金算入で法人税節税につながる
- 「毎月〇〇円積み立ててくれる」という形で、採用時の訴求力になる
②採用・定着率の向上
小規模企業は大企業と比べて福利厚生の厚みで劣りがちですが、企業型DCを導入することで「老後資産形成を会社がサポートする」という姿勢を示せます。これは特に20〜40代の採用において効果的なアピールポイントになります。

③選択制DCなら会社の費用負担を最小限に抑えられる
選択制DCでは、従業員が自分の給与の一部をDC掛金として積み立てます。会社が全員に掛金を拠出する通常型と異なり、会社の追加費用は最小限(主に手数料のみ)で済みます。
資金繰りに余裕がない時期でも導入しやすい点が、小規模企業に選択制DCが向いている理由のひとつです。

④iDeCo+(イデコプラス)との比較
10名以下の小規模企業向けの制度として「iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)」もあります。iDeCo+は2018年5月施行の制度で、300人以下(2020年10月改正後)で企業年金を実施していない会社が、従業員のiDeCo掛金に上乗せして会社も拠出できる仕組みです。
| 比較項目 | 企業型DC(選択制DC) | iDeCo+ |
|---|---|---|
| 会社の掛金拠出 | 任意設定 | 従業員のiDeCo掛金以下 |
| 規約作成・申請 | 必要(厚生労働大臣承認) | 不要(届出のみ) |
| 運用商品の自由度 | 会社が選んだ機関の商品 | 従業員が自由に選択 |
| 手続きの複雑さ | やや複雑 | シンプル |
| 節税(会社) | 掛金全額損金算入 | 掛金全額損金算入 |
どちらが向いているかは企業の規模・目的によって異なります。社労士への相談で最適な制度を選べます。
このセクションのポイント
- 退職金代替・採用力向上・費用負担最小化が小規模企業の主なメリット
- 選択制DCは会社の追加費用が最小限
- iDeCo+との比較も検討する価値がある
小規模企業が導入する際の注意点
注意点①:加入者1人あたりのコストが相対的に高くなる
運営管理機関への手数料は「加入者1人あたり○○円/月」という設定が多いため、加入者が少ないと1人あたりのコスト負担が大きくなります。加入者数が少ない場合は、最小手数料が設定されている機関を選ぶことがポイントです。

注意点②:投資教育の実施義務がある
確定拠出年金法第22条により、従業員数に関係なく投資教育の実施義務があります。外部機関に委託することで負担を軽減できますが、年1回以上の実施は確保する必要があります。

注意点③:規約作成・申請が必要
小規模でも規約の作成と厚生労働大臣(地方厚生局)への承認申請が必要です。申請書類の準備に手間がかかるため、社労士への依頼が実質的に必須となるケースが多くあります。
注意点④:選択制DCの場合は従業員への丁寧な説明が必要
選択制DCでは、DC掛金を選択すると給与として受け取る金額が減るため、標準報酬月額への影響が生じる可能性があります。標準報酬月額が下がると傷病手当金・育児休業給付金・将来の厚生年金受取額に影響する可能性があります。従業員が理解した上で選択できるよう、丁寧な説明資料と説明機会を設けることが重要です。

このセクションのポイント
- 加入者が少ない場合は1人あたりコストに注意
- 投資教育の実施義務は人数に関係なくある
- 選択制DCの場合は従業員への丁寧な説明が必須
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
- まず選択制DCかiDeCo+かを比較する:10人以下の企業は選択制DCとiDeCo+のどちらが自社に合っているかを社労士と一緒に検討することをお勧めします。規約が必要かどうかで手間とコストが変わります。
- 退職金制度と一緒に見直す:退職金制度がない場合は導入のチャンスです。就業規則・賃金規程と整合するよう設計すれば、採用面接での訴求力も高まります。
- 手数料の安い運営管理機関を選ぶ:小規模企業ほど手数料が費用負担に占める割合が高くなります。複数機関の比較が重要です。

このセクションのポイント
- 選択制DCとiDeCo+の比較から始める
- 退職金制度の見直しと同時に設計する
- 手数料水準を重点的に比較する
よくある質問(FAQ)
Q1. 代表者(経営者)も企業型DCに加入できますか? 法人の代表取締役は企業型DCの加入者になることができます。ただし個人事業主は事業主本人が加入できない点に注意が必要です(従業員のみ加入可)。
Q2. 家族経営の会社でも導入できますか? はい、家族のみで構成される法人でも規約の要件を満たせば導入できます。ただし、社会保険の被保険者である必要があります。
Q3. パートタイム従業員も加入させる必要がありますか? 規約で加入対象者を定めることができます。正社員のみ・勤続〇年以上などの合理的な条件で限定することが可能です。
Q4. 導入コストが不安ですが、試算してもらえますか? はい、社労士法人とうかいでは導入前の節税効果シミュレーションと費用試算の無料相談を行っています。お気軽にご連絡ください。
まとめ
企業型DCは従業員1名からでも導入でき、小規模企業には費用負担を抑えられる選択制DCが特に向いています。退職金代替・採用力強化・法人税節税を同時に実現できる制度として、多くの小規模企業が導入を進めています。導入の疑問は社労士法人とうかいへお気軽にご相談ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい https://www.tokai-sr.jp/


