「企業型DCとiDeCoって何が違うの?」「両方加入できるの?」という疑問は、経営者・従業員双方からよく寄せられます。この記事では、社会保険労務士法人とうかいが、企業型DCとiDeCoの違いを「経営者視点」と「従業員視点」の両面から徹底的に比較・解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
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結論:最大の違いは「誰が掛金を拠出するか」です
企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の違いは、掛金を拠出するのが会社か・個人かという点です。
| 項目 | 企業型DC | iDeCo |
|---|---|---|
| 掛金の拠出者 | 事業主(会社)※選択制・マッチング拠出を除く | 加入者本人 |
| 根拠法令 | 確定拠出年金法 第4条〜 | 確定拠出年金法 第55条〜 |
| 運営主体 | 各事業主(規約作成・厚生労働大臣承認が必要) | 国民年金基金連合会 |
| 加入条件 | 事業主が制度を導入していること | 国民年金被保険者であること |
| 掛金上限(月) | 55,000円(他の企業年金なし) | 12,000〜68,000円(区分による) |
| 税制優遇(拠出時) | 事業主掛金:損金算入(法人税節税) | 全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除) |
| 受取開始年齢 | 原則60歳〜75歳 | 原則60歳〜75歳 |
このセクションのポイント
- 企業型DC:会社が掛金を出す企業年金制度
- iDeCo:個人が掛金を出す個人型年金制度
- 2022年10月改正で、企業型DC加入者もiDeCoに同時加入できるようになった
経営者・会社側から見た違い
企業型DCのほうが法人税の節税効果が大きい
企業型DCの掛金は事業主が全額損金算入できます(法人税法第37条)。会社のコストとして確実に節税効果が得られます。
一方、iDeCoは個人が拠出するため、会社の経費にはなりません(従業員本人の所得控除になります)。

従業員の老後支援として「見える化」できる
企業型DCは「会社が毎月〇〇円積み立ててくれる」という形になるため、従業員にとっての福利厚生の価値が明確です。iDeCoの場合は従業員が自分で加入するため、会社の関与が見えにくくなります。
導入・運営に手間がかかる
企業型DCを導入するには、規約の作成と厚生労働大臣への承認申請が必要です(確定拠出年金法第4条)。また、運営管理機関との契約、定期的な投資教育の実施(確定拠出年金法第22条)、規約変更手続きなど、継続的な管理業務が発生します。
iDeCoの場合、会社がすることは「事業主証明書の発行」のみ(従業員本人が手続きをします)。

このセクションのポイント
- 企業型DC:法人税節税・福利厚生の訴求に強い
- iDeCo:会社の負担はほぼなし(事業主証明書のみ)
- 税効果・採用訴求を重視するなら企業型DCの導入がおすすめ
従業員・加入者から見た違い
掛金の税制優遇の仕組みが異なる
企業型DC(事業主掛金): 事業主が拠出する掛金は従業員の給与には含まれないため、所得税・住民税の課税対象外です。従業員は掛金分を「もらった」扱いにならず、税負担が増えません。
iDeCo: 従業員本人が掛金を拠出し、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります(確定拠出年金法第68条の2、所得税法第75条)。年末調整または確定申告で控除申請が必要です。

掛金の上限額が異なる
企業型DC加入者がiDeCoにも同時加入する場合、iDeCoの掛金上限は月20,000円(かつ、企業型DC掛金との合算が月55,000円以内)となります(2022年10月改正後)。
| 加入状況 | iDeCoの掛金上限(月) |
|---|---|
| 企業年金なし(会社員) | 23,000円 |
| 企業型DCのみ | 20,000円(合算55,000円以内) |
| DB+企業型DC(または DBのみ) | 12,000円 |
| 自営業者(国民年金第1号) | 68,000円 |
| 専業主婦・夫(第3号) | 23,000円 |
運用商品のラインアップが異なる
企業型DCの運用商品は、会社が選んだ運営管理機関が提供するラインアップに限られます。iDeCoは金融機関を自分で選べるため、より幅広い運用商品から選択できます。

このセクションのポイント
- 企業型DC加入者でもiDeCoに同時加入できる(2022年10月〜)
- 同時加入時のiDeCo上限は月2万円
- 運用商品は企業型DCが会社選定、iDeCoが個人選定
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
- 経営者が選ぶなら企業型DC:法人税節税・退職金代替・採用訴求の観点から、企業として制度を整えるなら企業型DCが優先です。
- 従業員への説明でiDeCoとの違いを明確に:企業型DCを導入した際、iDeCoとの違いをわかりやすく説明することが、制度への理解・定着率向上につながります。
- 同時加入の活用も検討を:掛金の余裕がある従業員には、企業型DCに加えてiDeCoへの同時加入もひとつの選択肢です。

このセクションのポイント
- 法人税節税・福利厚生訴求には企業型DC導入が有効
- 従業員への丁寧な説明が重要
- 両方を組み合わせて老後資産を最大化する戦略もある
よくある質問(FAQ)
Q1. 企業型DCとiDeCo、どちらが老後のお金を多く積み立てられますか? 企業型DCは会社の掛金(最大月55,000円)が加わるため、自分だけで積み立てるiDeCoより総額が大きくなるケースが多いです。さらに企業型DCとiDeCoを同時加入すれば合計月75,000円(上限)まで積み立てられます。
Q2. 会社に企業型DCがない場合、iDeCoに加入できますか? はい、企業年金のない会社員はiDeCoに加入できます。この場合の掛金上限は月23,000円です。
Q3. 企業型DCに加入している従業員が退職したら、iDeCoに移換できますか? はい、退職後は企業型DCの資産をiDeCoに移換するのが一般的です(確定拠出年金法第54条の4)。移換手続きは退職後6ヶ月以内に行うことを推奨します。
Q4. 選択制DCとiDeCoはどう違いますか? 選択制DCは企業型DCの一種で、従業員が給与の一部をDC掛金に振り替えるかどうかを選択できる仕組みです。iDeCoとは別の制度ですが、選択制DCを通じた掛金はiDeCoと同様に非課税扱いとなります。
まとめ
企業型DCとiDeCoはどちらも確定拠出年金制度ですが、「会社が拠出するか・個人が拠出するか」という点で大きく異なります。経営者にとっては企業型DCの導入が法人税節税と従業員への福利厚生の両立に有効です。2022年10月以降は両方に同時加入できるため、従業員が自助努力でさらに上乗せすることも可能です。まずはとうかいへご相談ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい https://www.tokai-sr.jp/


