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コラム

所得税とは?計算方法から確定申告・年末調整までわかりやすく

所得税とは、個人の1年間の所得に対してかかる税金です。 会社員の場合、給与から天引きされるため意識する機会は少ないかもしれませんが、所得税のしくみを理解することは、手取り額の把握や適切な納税に不可欠です。
この記事では、所得税の基本的な概念から、具体的な計算方法、納税手続きである確定申告と年末調整の違いまで、初心者にもわかりやすく解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

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そもそも所得税とは?給与から天引きされる税金の基本

所得税は、個人の「所得」に対して課される税金の一種です。 会社員の場合、毎月の給与や賞与から天引きされているため、最も身近な税金と言えるでしょう。 「所得」とは、収入から必要経費を差し引いた儲けの部分を指します。
つまり、給与の額面金額そのものではなく、そこから一定額を引いた金額が課税対象となります。 この所得税と住民税が、給与から引かれる主な税金です。

所得税とは何か。詳しく解説します。

所得税と源泉徴収税はどう違う?給与から天引きされる仕組み

「源泉徴収税」という名称の税金が存在するわけではなく、所得税の納税方法の一つが「源泉徴収」です。 これは、給与などを支払う事業者が、あらかじめ所得税を給与から天引きし、本人に代わって国に納付する仕組みを指します。 毎月の給与明細に記載されている所得税額は、この源泉徴収によって納められた金額です。 源泉徴収する所得は給与以外にもあり、年末に正確な税額との差額を調整します。

【5ステップで解説】所得税の計算方法と流れ

所得税の計算は、一見複雑に思えますが、順序立てて考えれば理解できます。 基本的には、収入から経費や各種控除を差し引き、残った金額に税率を掛けて算出します。
ここでは、所得税の納税額が確定するまでの流れを5つのステップに分けて簡単に説明します。 この手順を追うことで、ご自身の所得税がどのように決まるのかを把握できます。

所得税の計算方法の流れを解説していきます。

ステップ1:収入から経費を引いて「所得金額」を算出する

最初のステップは、1年間の総収入金額から必要経費を差し引いて「所得金額」を計算することです。 個人事業主であれば、売上から仕入れや事業活動にかかった費用が経費となります。 一方、会社員の場合は、実際の経費を個別に計算する代わりに、収入に応じて一定額を差し引ける「給与所得控除」が経費として認められています。

全部で10種類!所得の種類とそれぞれの計算方法

所得税法では、所得はその性質によって10種類に区分されています。 代表的なものは、会社員が受け取る給与や賞与、各種手当が該当する「給与所得」、事業から得られる「事業所得」、不動産の貸し付けによる「不動産所得」です。 その他にも、銀行預金の利子である「利子所得」、公的年金などが該当する「雑所得」、土地や株の譲渡による「譲渡所得」、退職後に受け取る退職金が該当する「退職所得」などがあり、それぞれ計算方法が異なります。 給与所得に対する所得税の計算が一般的ですが、複数の種類の所得がある場合は合算して税額を計算します。

ステップ2:「所得控除」を差し引いて課税対象となる金額を決める

次に、ステップ1で算出した所得金額から「所得控除」を差し引きます。 所得控除は、納税者一人ひとりの個人的な事情を税負担に反映させるための制度です。 例えば、扶養家族の有無や医療費の負担額などに応じて、税金の計算対象となる金額を減らすことができます。
代表的なものに、健康保険や厚生年金などの社会保険料を支払った場合に適用される「社会保険料控除」があります。 これにより、同じ所得金額でも最終的な税額に差が生まれます。

誰でも使える基礎控除や配偶者控除など主な所得控除一覧

所得控除には様々な種類がありますが、多くの人が対象となる主なものとして、合計所得金額が2,400万円以下であれば満額の48万円が適用される「基礎控除」があります。 また、配偶者の所得が一定額以下の場合に適用される「配偶者控除」、16歳以上の親族を扶養している場合に適用される「扶養控除」も代表的です。
その他、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる「医療費控除」や、生命保険料を支払っている場合の「生命保険料控除」などがあります。

ステップ3:課税所得金額に税率を掛けて「所得税額」を計算する

所得金額から所得控除を差し引いた金額を課税所得金額と呼びます。 この課税所得金額に所得税の税率を掛けることで納めるべき所得税の基本的な税額が算出されます。 日本の所得税は所得が多くなるほど高い税率が適用される仕組みが採用されています。 この計算により納税者それぞれの負担能力に応じた所得税を算出します。

所得が多いほど税率が上がる「超過累進課税」の仕組み

日本の所得税では「超過累進課税」という制度が採用されています。 これは、所得を複数の段階に分け、それぞれの段階に応じて異なる税率を適用する仕組みです。 例えば、課税所得が300万円の場合、300万円全体に高い税率がかかるのではなく、「195万円以下の部分には5%」「195万円を超え330万円以下の部分には10%」といったように、所得の各部分に対してそれぞれの税率が適用されます。
これにより、所得が多い人ほどより多くの税を負担する公平な仕組みとなっています。

所得税の税率と控除額がわかる速算表

【2026年最新】 所得税の税率と控除額は、国税庁が公表している速算表で確認できます。 この速算表を用いると、「課税所得金額×税率-控除額」という式で、段階的な計算をせずとも所得税額を算出できます。

ステップ4:算出された税額から「税額控除」を直接差し引く

ステップ3で計算した所得税額から、直接差し引くことができるのが「税額控除」です。 所得控除が税率を掛ける前の所得金額から差し引かれるのに対し、税額控除は算出された税額そのものから引かれるため、節税効果が大きいというメリットがあります。
代表的な税額控除には、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」や「配当控除」などがあり、特定の条件を満たす場合に適用されます。

ステップ5:最後に「復興特別所得税」を上乗せして納税額が確定

最後に、ステップ4までで計算した所得税額(基準所得税額)に、「復興特別所得税」を上乗せして最終的な納税額が確定します。 復興特別所得税は、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために創設された税金で、基準所得税額に対して2.1%の税率で課されますが、令和9年分以後は税率が1.1%に引き下げられる予定です。
この税金は2013年1月1日から2037年12月31日までの期間に発生する所得に対して課されることになっていますが、課税期間は2047年まで延長される予定です。

【シミュレーション】年収500万円の会社員の所得税はいくら?

では、具体的な例で所得税がいくらになるか見てみましょう。 年収500万円の独身の会社員で、社会保険料を75万円、その他の所得控除は基礎控除のみと仮定します。 まず給与所得控除額を計算し、所得金額を算出します。 そこから社会保険料控除と基礎控除を引き、課税所得金額を求めます。 最後に速算表の税率を掛けて控除額を引くことで、所得税額が約8万5000円程度と計算されます。
実際には、これに復興特別所得税が加わります。

所得税の納税手続きはどうやる?年末調整と確定申告の違い

所得税の納税額が確定したら、次はその税金を納める手続きが必要です。 納税方法には、主に「年末調整」と「確定申告」の2種類があります。 どちらの手続きが必要になるかは、働き方や所得の種類によって異なります。 ここでは、それぞれの制度について、対象者や手続き内容の違いを詳しく解説します。

会社員や公務員は「年末調整」で納税が完了する

会社員や公務員など、一つの勤務先から給与を受け取っている場合、原則として「年末調整」によって所得税の納税が完了します。 年末調整とは、会社が毎月の給与から源泉徴収した所得税の合計額と、年間の給与総額から計算される本来納めるべき所得税額との差額を精算する手続きです。
多くの正社員は、生命保険料控除などの申告を会社に行うだけで、自分で税務署へ行く必要はありません。

個人事業主や副業をしている人は「確定申告」が必要

個人事業主やフリーランス、または給与所得者でも副業による所得が年間20万円を超える人などは、確定申告を行う必要があります。 確定申告とは、1年間のすべての所得とそれに対する税額を自ら計算し、税務署に申告・納税する手続きです。
年末調整では対応できない医療費控除を受けたい場合や、2か所以上から給与を得ている場合なども確定申告が必要になるケースがあり、原則として翌年の2月16日から3月15日までに行います。

所得税の納税手続きは、会社員や公務員が会社を通じて税額を精算する「年末調整」と、個人事業主や副業所得が年20万円超の人が自ら税務署へ申告・納税する「確定申告」の2種類です。

所得税に関するよくある質問

ここでは、所得税に関して多くの人が抱く疑問点について、Q&A形式で簡単にお答えします。 ご自身の状況と照らし合わせながら、所得税への理解をさらに深めていきましょう。

所得税は年収がいくらを超えたら払う必要がありますか?

給与収入のみの場合、従来の原則的な非課税ラインは「年収103万円」です(基礎控除48万円+給与所得控除55万円)。

なお、近年議論されている「年収の壁」緩和措置に伴う税制改正により、非課税枠の拡大や激変緩和措置が順次導入されています。ご自身の正確な非課税ラインや具体的な適用時期については、最新の国税庁の発表や法案の施行状況をご確認ください。

「収入」と「所得」はどう違うのですか?

収入は「入ってきた総額」、所得はそこから「経費を引いた残り」です。

所得税は「収入」に直接かかるのではなく、収入から必要経費(会社員なら給与所得控除)を差し引いた「所得」に対して計算されます。

「所得税」と「住民税」は具体的に何が違いますか?

所得税と住民税の最も大きな違いは、納める先です。

所得税は国に納める「国税」ですが、住民税は住んでいる都道府県や市区町村に納める「地方税」です。 また、計算の対象期間にも違いがあり、所得税はその年の所得に対して課税されますが、住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年6月から納付が始まるという意味で二期のような特徴があります。

所得税を安くするための節税方法はありますか?

はい、所得税を安くするための方法はいくつかあります。

代表的な節税策として、iDeCo(個人型確定拠出年金)やふるさと納税の活用が挙げられます。 これらは所得控除の対象となり、課税される所得を減らす効果があります。 また、生命保険料控除や医療費控除など、適用できる控除を漏れなく申告することも基本的な節税につながります。

副業をしている場合、いくらから確定申告が必要ですか?

副業の「所得(売上ー経費)」が年間20万円を超えると確定申告が必要です。

20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は金額に関わらず必要になる点に注意してください。

まとめ

所得税のまとめとして、これは個人の所得にかかる税金であり、法人税とは区別されることを押さえておきましょう。 計算方法は複雑ですが、控除制度を理解することが重要です。

会社員は年末調整で手続きが完了することが多いですが、副業収入がある場合や個人事業主は確定申告が必要です。 また、年収が一定額以下の場合や生活保護を受けている場合など、所得税が非課税となるケースも存在します。

所得税額は、年収から各種控除を引いた課税所得に税率を掛け、そこから控除額を引いて計算されます。

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