労働基準監督署の調査の通知が届いた場合、多くの企業の担当者は何をすべきか不安になるかもしれません。 しかし、調査の目的や流れを正しく理解し、事前準備を適切に行えば、過度に恐れる必要はありません。 このマニュアルでは、調査の種類から当日の流れ、準備すべき書類、指摘されやすい違反ポイント、そして是正勧告を受けた後の具体的な対策まで、企業が取るべき対応を網羅的に解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
- NHK「あさイチ」
- 中日新聞
- 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri/
取材・寄稿のご相談はこちらから

労働基準監督署の調査とは?目的と種類を理解しよう
労働基準監督署の調査とは、労働基準監督官が事業場に立ち入り、労働基準法などの関係法令が遵守されているかを確認する行政調査のことです。
この立入調査は「臨検監督」とも呼ばれ、労基署が企業の労働条件や安全衛生管理の実態調査を行うために実施します。
調査の種類や内容を事前に把握しておくことで、適切な対応が可能になります。

調査の目的は労働基準法などの法令遵守を確認するため
調査の主な目的は、事業場が労働基準法や労働安全衛生法などの関係法令を遵守し、労働者の権利が守られているかを確認することです。 労働基準監督官には、労働基準法第101条などを根拠として、事業場への立入調査、帳簿や書類の提出要求、使用者や労働者への尋問を行う権限が与えられています。 この権限は、法律違反の有無を確認し、違反があれば是正を指導することで、労働者の安全と健康を確保するために行使されるものです。
そのため、調査の理由を問わず、企業側は正当な理由なくこれを拒否できません。
【定期監督】管轄区域から無作為に選ばれて行われる調査
定期監督は、労働基準監督署が管轄区域内の事業場から無作為に対象を選定して実施する、最も一般的な調査です。 特定の申告や労働災害がなくても、行政計画に基づいて計画的に行われます。 対象の選定基準は、業種、規模、過去の違反歴など多岐にわたります。 多くの場合は、事前に電話や文書で調査日時が通知されるため、企業はそれまでに必要な書類を準備する時間的猶予があります。
日頃から労務管理が適切に行われているかを確認する良い機会と捉え、誠実に対応することが求められます。
【申告監督】従業員からの申告(通報)をきっかけに行われる調査
申告監督は、現在または過去に在籍していた従業員から、労働基準法違反に関する申告(通報)が労働基準監督署にあった場合に実施される調査です。申告の内容は、残業代の未払いや違法な長時間労働など多岐にわたります。従業員からの具体的な情報提供があるため、調査は申告内容の事実確認を中心に行われる傾向にあります。
申告監督は原則として事前通知なしで実施されることが多いですが、事案によっては事前通知が行われる場合もあります。
労働基準監督署から電話や書面で事前に通知が送られるケースも存在します。申告者の氏名は厳格に秘匿されるため、企業側は誰からの通報かを知ることはできません。
【災害時監督】労働災害の発生時に原因究明のために行われる調査
災害時監督は、事業場で死亡災害や重篤な労働災害(労災)が発生した際に、その原因究明と再発防止策の指導を目的として行われる調査です。 この調査は、労働安全衛生法に基づいて実施され、事故の状況や安全管理体制に問題がなかったかが重点的に調べられます。 調査の結果、法令違反が確認されれば是正勧告が出され、悪質なケースでは経営者が書類送検される可能性もあります。
労災の発生を受けて行われるため、事前通知なく直ちに実施されるのが一般的です。
【再監督】是正勧告が改善されたかを確認するための調査
再監督は、過去の調査で是正勧告を受けた事業場に対して、指摘された違反事項が適切に改善されているかを確認するために行われる調査です。 是正勧告書と共に交付される是正報告書を期日までに提出した後、その報告内容が事実であるかを確認する目的で実施されます。
もし改善が認められない、あるいは是正報告が虚偽であったと判断された場合は、より厳しい行政指導が行われるか、悪質な場合は検察庁へ送検され、刑事事件として扱われる可能性もあるため、誠実な対応が不可欠です。
労働基準監督署の調査当日の流れを4ステップで解説
労働基準監督署の調査は、事前通知の有無にかかわらず、通常は一定の流れで進められます。 当日の進行方法を把握しておくことで、慌てず落ち着いて対応できます。
一般的には、監督官の訪問から始まり、書類確認、関係者へのヒアリングを経て、最後に調査結果が説明されるという手順で進行します。 各ステップで求められる対応を理解し、準備を整えておくことが重要です。

ステップ1:監督官の訪問と身分証明書の提示
調査当日、まず労働基準監督官が事業場を訪問します。 監督官は通常2名で訪れ、受付で調査に来た旨を伝えます。 応対者は、監督官に会議室など適切な場所へ案内し、責任者(経営者や人事労務担当者)に引き継ぎます。
最初に、監督官から「労働基準監督官証」という身分証明書の提示がありますので、必ず所属と氏名を確認してください。
身分証明書の確認は、なりすましなどを防ぐために不可欠な手続きです。 確認後、調査の趣旨について簡単な説明を受け、調査が開始されます。
ステップ2:帳簿や書類の確認作業
次に、監督官は労働関係の帳簿や書類の確認作業に入ります。 事前に準備を求められていた、あるいはその場で提出を求められた労働者名簿、賃金台帳、タイムカード、36協定、就業規則などの書類を提示します。 監督官はこれらの書類を基に、労働時間や賃金の支払い状況、各種届出の有無などに法令違反がないかを詳細にチェックします。
書類に不備があると、そこからさらに深掘りした質問につながる可能性があるため、日頃から正確な記録と整理を心掛けることが重要です。
ステップ3:事業主や労働者へのヒアリング
書類の確認と並行して、またはその後に、事業主や人事労務担当者、そして現場で働く労働者へのヒアリングが行われます。 事業主に対しては、主に経営方針や労務管理体制全般について質問されます。 労働者へのヒアリングは、書類上の記録と実態に乖離がないかを確認する目的で実施され、労働時間、休憩時間、賃金の支払い状況などが尋ねられます。
この際、事業主や管理者が同席することはできず、労働者が自由に回答できる環境が確保されます。 質問には事実に基づき、誠実に回答することが求められます。
ステップ4:調査結果の説明と是正勧告書・指導票の交付
すべての確認とヒアリングが終了した後、監督官から調査結果について口頭で説明があります。 この時点で法令違反が確認された場合、「是正勧告書」が交付されます。 これは法令違反事項を指摘し、改善を指導するものです。 また、法令違反ではないものの改善が望ましい点については、「指導票」が交付されることがあります。
これらの書面には、指摘事項と改善期日が記載されており、企業は期日までに改善策を実施し、「是正報告書」を提出する必要があります。 特に問題がなければ、口頭での助言のみで終了することもあります。
調査の前に企業が準備しておくべき書類一覧
労働基準監督署の調査では、労働条件や労働時間、安全衛生管理が適切に行われているかを証明するために、様々な書類の提出が求められます。
事前通知がある場合は、通知書に準備すべき書類が明記されていますが、抜き打ち調査に備えて日頃から整理しておくことが肝心です。以下に挙げる書類は、調査で確認される可能性が高い代表的なものです。
労働者名簿や労働条件通知書などの雇用関係書類
労働者の雇用関係を証明する基本的な書類は、調査で必ず確認される項目です。 具体的には、全従業員分の「労働者名簿」、採用時に交付する「労働条件通知書」や「雇用契約書」などが該当します。
これらの書類によって、法定の記載事項が網羅されているか、労働条件が従業員に適切に明示されているかがチェックされます。 特に、労働者名簿は法律で定められた項目(氏名、生年月日、従事する業務の種類など)が正しく記載され、最新の情報に更新されているかどうかが重要です。 不備があると、他の項目についても厳しく見られる可能性があります。
タイムカードや出勤簿などの労働時間管理に関する書類
労働時間の管理状況は、調査における最重要確認項目の一つです。 客観的な労働時間を把握するため、「タイムカード」や「出勤簿」、「ICカードの記録」、「PCのログデータ」などの提出が求められます。
これらの記録と賃金台帳を照合し、労働時間と残業代の支払いに矛盾がないかが確認されます。 特に、始業・終業時刻が正確に記録されているか、休憩時間が適切に取得できているか、長時間労働の実態がないかなどが厳しくチェックされます。
自己申告制の場合は、実態と乖離していないかを確認するための追加資料を求められることもあります。
賃金台帳や給与明細などの給与支払いに関する書類
賃金が正しく支払われているかを確認するため、賃金台帳や給与明細、源泉徴収簿などの書類は必須です。 賃金台帳は、労働日数、労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった法定記載事項がすべて記載されているかを確認されます。
監督官は、タイムカードなどの勤怠記録と賃金台帳を照らし合わせ、時間外労働や休日労働、深夜労働に対する割増賃金が、法定の割増率に基づいて正確に計算・支給されているかを精査します。
計算ミスや未払いが発覚すると、是正勧告の対象となります。
36協定や就業規則などの労使協定に関する書類
従業員に時間外労働や休日労働をさせる場合に必須となる「時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)」は、調査で必ず確認される重要書類です。 労働基準監督署への届出がされているか、協定で定めた上限時間を超える労働がないかがチェックされます。
また、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、「就業規則」の作成と届出、そして従業員への周知が義務付けられています。
就業規則の内容が最新の法令に適合しているか、周知義務を果たしているかも確認の対象です。
健康診断個人票や産業医の意見書などの安全衛生関係書類
従業員の健康と安全を守るための措置が講じられているかを確認するため、安全衛生関連の書類も調査対象となります。 具体的には、従業員の健康診断個人票、ストレスチェックの実施に関する記録、長時間労働者に対する医師の面接指導の記録、産業医を選任している場合はその意見書などが含まれます。
特に、法律で義務付けられている定期健康診断が全従業員に対して適切に実施され、その結果が保管されているかは厳しく確認されるポイントです。
労基署の調査で特に指摘されやすい6つの違反ポイント
労働基準監督署の調査では、法令違反が起こりやすい特定の項目が重点的にチェックされる傾向にあります。 多くの企業で共通して指摘されるポイントを事前に把握し、自社の労務管理体制を見直しておくことで、是正勧告を受けるリスクを大幅に減らすことができます。
特に労働時間、賃金、年次有給休暇に関する項目は、違反が発覚しやすいため注意が必要です。

36協定の上限を超える違法な長時間労働
時間外労働の上限規制は、調査で最も厳しくチェックされる項目の一つです。 36協定を締結・届出していても、原則として月45時間・年360時間の上限を超えて労働させることはできません。
臨時的な特別の事情がある場合でも、特別条項で定めた上限(年720時間以内、複数月平均80時間以内など)を遵守する必要があります。 タイムカードなどの客観的な記録から上限を超える長時間労働が発覚した場合、是正勧告の対象となります。
勤怠管理を徹底し、労働時間の実態を正確に把握することが不可欠です。
サービス残業や割増賃金の計算ミスなどの賃金未払い
賃金の未払いは、従業員からの申告監督のきっかけにもなりやすく、調査で頻繁に指摘される違反です。 タイムカードで記録された時間と賃金台帳の労働時間に乖離がある「サービス残業」は、典型的な未払い残業の例です。
また、時間外労働、休日労働、深夜労働に対する割増賃金の計算ミスも指摘されやすいポイントです。 法定の割増率(時間外2割5分以上、休日3割5分以上、深夜2割5分以上)が正しく適用されているか、計算基礎に含めるべき手当が除外されていないかなど、給与計算の仕組みを再確認する必要があります。
最低賃金法で定められた金額を下回る給与設定
最低賃金法に定められた地域別または特定(産業別)最低賃金額を下回る賃金設定は、明確な法令違反として指摘されます。 特に、時給制のアルバイトやパートタイマーだけでなく、月給制の正社員についても注意が必要です。 月給を所定労働時間で割って時間額に換算した際に、最低賃金を下回っているケースが散見されます。
最低賃金額は毎年改定されるため、常に最新の金額を確認し、給与設定が法令基準を満たしているか定期的に見直すことが求められます。 違反が発覚した場合は、差額の遡及支払いが必要となります。
年次有給休暇の年5日取得義務違反や管理簿の不備
2019年の法改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、年5日の有給休暇を時季を指定して取得させることが使用者の義務となりました。 この年5日の取得義務が果たされているかは、調査で重点的に確認されます。
また、使用者には労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成し、取得時季、日数、基準日を記録して3年間保存する義務があります。
この管理簿が作成されていない、あるいは記載内容に不備がある場合も、指導の対象となるため注意が必要です。
法律で義務付けられた健康診断の未実施
事業主は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施する義務があります(労働安全衛生法第66条)。 この定期健康診断が、パートタイマーを含む対象者全員に適切に実施されているかが確認されます。 受診率が低い場合や、一部の従業員が未受診のまま放置されている場合は、安全配慮義務違反として指摘されます。
また、診断結果の記録を保管し、必要に応じて有所見者への事後措置を講じているかも重要なチェックポイントです。
就業規則の作成・届出義務を果たしていない
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。 また、作成・変更した就業規則は、事業場の見やすい場所に掲示する、書面を交付するなどの方法で、全労働者に周知しなければなりません。 調査では、そもそも就業規則が作成・届出されているか、その内容が法改正に対応しているか、そして適切に周知されているかが確認されます。
これらの義務を果たしていない場合、法令違反として是正指導を受けることになります。
是正勧告・指導票を受けた後の具体的な対応方法
労働基準監督署の調査で法令違反や改善点が見つかった場合、「是正勧告書」や「指導票」が交付されることがあります。是正勧告書は法令違反が認められる場合に交付されるものであり、実務上、指摘された内容について改善し、是正報告書を提出することが求められます。指導票は法令違反ではないものの、改善が望ましい事項に対して交付されます。
これらの書面を受け取った際は、指摘された内容を真摯に受け止め、迅速かつ適切に対応することが重要です。対応を怠ると、より深刻な事態に発展する可能性もあるため、定められた手順に従って改善を進める必要があります。
是正勧告と指導票の法的拘束力の違い
「是正勧告書」は、労働基準法などの法令に違反している事実を指摘し、その是正を促す行政指導文書です。 これ自体に法的な強制力はなく、従わなくても直接罰則が科されるわけではありません。
一方、「指導票」は、法令違反ではないものの、労働安全衛生の観点から改善が望ましい事項について助言・指導するものです。 こちらも法的拘束力はありません。 しかし、どちらも行政機関からの公的な指摘であるため、非常に重く受け止める必要があります。
特に是正勧告は、背景に罰則付きの法律違反があることを意味します。
是正勧告を無視すると罰則や送検につながるリスクがある
是正勧告に法的拘束力はないものの、これを無視したり、何の対応も取らなかったりすると、事態は深刻化します。 労働基準監督署は、改善が見られない悪質なケースと判断した場合、再監督を実施します。
それでもなお是正されない場合は、労働基準法違反の容疑で捜査を行い、経営者を検察庁に書類送検する可能性があります。 送検されれば刑事事件として扱われ、裁判の結果、罰金や懲役などの刑罰が科されることもあります。
企業名の公表につながる可能性もあり、社会的信用を大きく損なうリスクを伴います。
指摘された違反事項を改善し期日までに是正報告書を提出する
是正勧告書や指導票を受け取ったら、まず指摘された違反事項の内容を正確に理解し、具体的な改善計画を立てます。 例えば、未払い残業代が指摘された場合は、対象期間と対象者を特定し、速やかに差額を支払う必要があります。
改善措置を講じたら、その内容を「是正(改善)報告書」にまとめ、証拠資料(是正後の賃金台帳の写しなど)を添付して、指定された期日までに労働基準監督署へ提出します。
報告書は、指摘されたすべての項目について、どのように改善したかを具体的に記載することが求められます。
指摘された違反事項を改善し期日までに是正報告書を提出する
是正報告書を作成する際は、定められた様式に従い、指摘された違反内容、それに対して講じた是正措置、そして是正が完了した年月日を明確に記載します。 例えば、「時間外労働に対する割増賃金の率が法定どおりでなかった」という指摘であれば、「就業規則及び賃金規程を改定し、法定割増率に基づき計算する方法に変更し、令和〇年〇月〇日より適用した」のように具体的に記述します。
作成後は、代表者印を押印し、郵送または持参にて提出します。 提出前にコピーを保管しておくことも忘れないようにしましょう。
自社での対応が困難なら社労士や弁護士への相談も検討
労働基準監督署の調査対応や是正勧告への対応は専門的な知識を要します。 法令の解釈が難しい、是正方法が分からない、あるいは監督官とのやり取りに不安があるなど、自社だけで対応することが困難だと感じた場合は、社会保険労務士(社労士)や弁護士といった労務問題の専門家に相談・依頼することも有効な選択肢です。
専門家へ依頼するメリットは的確な助言と精神的負担の軽減
専門家に依頼する最大のメリットは、法的な観点から的確なアドバイスを受けられる点です。 調査で指摘された問題点の根本的な原因を分析し、法令に適合した具体的な改善策を提案してくれます。
また、是正報告書の作成支援や、調査当日の立ち会いを依頼することも可能です。 専門家が間に入ることで、監督官に対して論理的かつ的確な説明ができ、企業側の主張を適切に伝える手助けになります。
これにより、担当者が抱える精神的なプレッシャーや不安を大幅に軽減できるという利点もあります。
調査の立ち会いを専門家に依頼する場合の費用目安
社労士や弁護士に調査の立ち会いや是正報告のサポートを依頼する場合の費用は、依頼内容や事務所によって異なります。 一般的な目安として、相談料は1時間あたり5,000円から20,000円程度が相場です。
調査の立ち会いについては、半日で5万円から10万円、1日であれば10万円から20万円程度が目安となります。 是正報告書の作成支援なども含めた総合的なサポートを依頼する場合は、別途見積もりとなることが多いです。
顧問契約を締結している場合は、顧問料の範囲内で対応してくれるケースもあります。

経営視点のアドバイス
労基署の調査対応は、専門知識を持つ社労士等への依頼が有効です。法的助言や当日の立ち会いにより、的確な是正と担当者の負担軽減が可能です。費用は内容や顧問契約により異なります。
労働基準監督署の調査対応に関するよくある質問
労働基準監督署の調査に関して、企業の担当者は様々な疑問や不安を抱えることがあります。 ここでは、調査対応において特に多く寄せられる質問について、簡潔に解説します。 事前に疑問点を解消しておくことで、いざという時に冷静に対応できるようになります。
抜き打ち調査(臨検)は拒否できますか?
結論として、抜き打ち調査(臨検)を拒否することはできません。
労働基準監督官の立入調査の権限は法律で定められており、正当な理由なくこれを拒んだり、妨げたり、あるいは質問に対して虚偽の陳述をしたりした場合は、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金が科される可能性があります。 調査には誠実に応じる義務があります。
調査官からの質問にはどのように答えるべきですか?
調査官からの質問には、事実に基づいて正直かつ具体的に回答することが基本です。
分からないことや曖昧な点については、憶測で答えずに「確認して後ほど回答します」と伝えるのが賢明です。 意図的に事実を隠したり、虚偽の報告をしたりすると、かえって心証を悪くし、より厳しい調査や処罰につながる恐れがあるため、誠実な姿勢で対応してください。
是正報告書の提出が期限に間に合わない場合はどうすればよいですか?
やむを得ない理由で是正報告書の提出が期限に間に合わない場合は、無断で遅延せず、必ず事前に担当の監督官に電話で連絡し、理由を説明して指示を仰いでください。
事情を説明すれば、期限の延長が認められることもあります。何も連絡せずに期限を過ぎてしまうと、改善の意思がないと見なされ、再監督や送検といった厳しい措置につながる可能性があります。
調査の際、過去何年分の書類を準備しておく必要がありますか?
通常は過去1年〜3年分の賃金台帳、タイムカード、36協定の控えなどを求められます。
法改正により書類の保存期間が5年(当面は3年)に延長されているため、少なくとも3年分は即座に出せるようにしておくべきです。
是正勧告に従わないと、すぐに「送検(逮捕)」されますか?
即座に逮捕されることは稀ですが、是正勧告を無視し続けたり、虚偽の報告を繰り返したり、是正の意思が全く見られない「悪質」なケースでは、検察庁へ送検されます。
まとめ
労働基準監督署の調査は、企業の労務管理体制が法令を遵守しているかを確認するために行われます。
調査には定期監督や申告監督など複数の種類があり、それぞれで対応のポイントが異なります。 調査の通知を受けた際は、慌てずに目的と流れを理解し、求められる書類を正確に準備することが重要です。 特に、労働時間管理や賃金支払いに関する書類は入念に確認する必要があります。
万が一、是正勧告を受けた場合でも、指摘内容を真摯に受け止め、期限内に適切な改善を行い、是正報告書を提出すれば問題ありません。 自社での対応に不安があれば、社労士などの専門家に相談することも有効な手段です。



