マネーフォワード クラウド給与(以下、マネーフォワード給与)を導入すると、給与計算・明細発行・所得税計算は大幅に効率化されます。しかし「ソフトで完結できることと、社労士に依頼すべきことの境界線がわからない」という声は中小企業の経営者・人事担当者から多く聞かれます。この記事では、社会保険労務士法人とうかいが実務経験をもとに、マネーフォワード給与と社労士顧問契約を組み合わせた最大活用の方法を解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
- NHK「あさイチ」
- 中日新聞
- 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
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https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri/
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結論:社労士顧問契約は「法的判断・手続き代行・相談窓口」の3機能で給与ソフトを補完する
社労士顧問契約の役割は、マネーフォワード給与が対応できない「法的判断・行政手続き代行・労務相談対応」の3領域をカバーすることです。ソフトは定型計算を自動化し、社労士は法的根拠が必要な場面で機能します。この2つを組み合わせることで、給与計算の正確性と労務管理の適法性を同時に担保できます。

このセクションのポイント
- ソフトの役割:定型計算・帳票出力・データ連携の自動化
- 社労士の役割:法的判断・行政への申請代行・労使問題の相談対応
- 2つを組み合わせることで「効率化」と「適法性」を両立できる
社労士顧問契約の使い方:4つの活用シーン
月次の給与計算確認:社労士はどのタイミングで関与すべき?
社労士が月次に関与すべきタイミングは「給与計算の確認」ではなく、「計算の前提となるデータの正確性の確認」です。マネーフォワード給与は設定した計算式・社会保険料率・控除項目をもとに自動計算しますが、その前提データ(標準報酬月額の変更、育児休業中の免除処理、入退社に伴う日割り設定等)が誤っていれば、計算結果も誤ります。
顧問社労士は毎月の給与確定前に「標準報酬月額の変更が必要な社員はいないか」「育児・介護休業中の社会保険料免除の手続きは完了しているか」「入退社に伴う資格得喪届は適切に処理されているか」を確認する役割を担います。月次の確認をルーティン化することで、年間を通じた給与計算ミスを防止できます。

入退社・法改正対応:顧問契約があると何が変わる?
顧問契約があると、入退社・法改正時に必要な書類作成と申請が社労士に一括委任できるため、総務担当者の対応負荷が大幅に減ります。具体的には以下の業務が社労士の代行対象になります(社会保険労務士法第2条第1項第2号)。
- 雇用保険被保険者資格取得届・喪失届(雇用保険法第7条)
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届・喪失届(健康保険法第48条、厚生年金保険法第27条)
- 育児休業給付金・介護休業給付金の申請
- 社会保険料率変更時のソフト設定確認と更新アドバイス
法改正対応についても、顧問社労士は厚生労働省の省令・通達をリアルタイムで把握しており、「いつ・何を・どう変更すべきか」を先手で案内できます。
就業規則・賃金規程の整備:どのように使い分ける?
就業規則・賃金規程の作成・変更・労働基準監督署への届出は、社労士の業務(社会保険労務士法第2条第1項第1号)です。マネーフォワード給与は就業規則に基づいて計算式を設定するソフトですが、就業規則そのものの適法性(労働基準法第89条に基づく必要記載事項の充足、過半数代表者の意見聴取等)はソフトでは確認できません。
顧問契約があれば、法改正のたびに「就業規則のどの条項を変更すべきか」を相談でき、育児・介護休業法や高年齢者雇用安定法等の法改正に対応した規程整備をタイムリーに行えます。就業規則は常時10人以上の労働者を使用する事業場に作成・届出が義務付けられており(労働基準法第89条)、未整備のまま放置するとトラブル時のリスクが高まります。
労使トラブル・相談対応:顧問がいると何が違う?
顧問社労士がいると、労使トラブル発生時に法的根拠に基づいた初動対応が即座に取れます。解雇・懲戒・未払い賃金・ハラスメント等の問題が発生した場合、社労士は労働基準法・労働契約法・各種ガイドライン(厚生労働省)をもとに対応方針を整理し、必要に応じて労働審判・あっせん手続きへの準備を支援できます。
顧問契約なしの場合、問題発生後にスポットで社労士を探すことになり、初動対応が遅れるリスクがあります。問題が表面化する前の「予防的な相談」こそが、顧問契約の最大のメリットです。

このセクションのポイント
- 月次は「計算の前提データの確認」を社労士がサポート
- 入退社・法改正はソフト操作ではなく「行政手続き代行」として社労士に委任
- 就業規則・賃金規程の適法性はソフトでは確認できないため社労士が担当
- 労使トラブルの「予防的相談」が顧問契約の最大の付加価値
マネーフォワード給与×社労士顧問の年間活用スケジュール例
| 時期 | マネーフォワード給与で行う作業 | 社労士に依頼する業務 |
|---|---|---|
| 4〜6月 | 給与計算・明細発行 | 算定基礎届(定時決定)の作成・提出代行 |
| 7月 | 賞与計算・賞与明細発行 | 賞与支払届・賞与支払届総括表の作成・提出代行 |
| 8〜9月 | 標準報酬月額の更新後の計算確認 | 月額変更届(随時改定)の判定・作成・提出代行 |
| 10月 | 社会保険料率変更反映後の確認 | 社会保険料率改定の確認・ソフト設定変更アドバイス |
| 11〜12月 | 年末調整データ集計・連動確認 | 年末調整に関する法的確認・特殊ケースの相談 |
| 1〜3月 | 住民税通知の取込・翌年度設定 | 就業規則の年次見直し・4月施行の法改正対応チェック |
| 随時 | 入退社・給与変更処理・勤怠連携 | 社会保険・雇用保険の資格取得届・喪失届の作成・申請代行 |
| 随時 | 育児・産前産後休業中の給与設定 | 育児休業給付金・社会保険料免除申請の代行 |
このセクションのポイント
- 年間を通じて「ソフトの自動処理」と「社労士の申請代行」が連動するタイミングは明確
- 算定基礎届(7月)・年度更新(6月)・年末調整(12月)の3大イベントは社労士活用のヤマ場
- 随時発生する入退社手続きを社労士に委任することで、総務担当者の負荷を平準化できる
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
社会保険労務士法人とうかいでは、マネーフォワード クラウド給与を導入済みの企業に対して「ソフトで自動化できる業務はソフトに任せ、法的判断と手続き代行を社労士が担う」という役割分担モデルの顧問サービスを提供しています。
今日から取り組むべき3点は以下のとおりです。
①現状の年間業務フローを書き出し、「ソフト対応」と「社労士対応」を仕分けする 上記のスケジュール表を参考に、自社の実態と照らし合わせてどの業務が誰の担当になっているかを可視化しましょう。「担当者がいない業務」がリスクの温床になります。
②顧問社労士が電子申請・クラウドツールに対応しているか確認する 既に顧問契約がある場合でも、e-Gov電子申請やマネーフォワード クラウド社会保険との連携対応状況を改めて確認することをお勧めします。
③就業規則の最終更新日と内容を確認する 2022年以降の育児・介護休業法改正(令和4年法律第32号・順次施行)に対応した条文が盛り込まれているかを確認し、未対応であれば早急に整備を進めてください。

このセクションのポイント
- 「誰がどの業務を担うか」を明確にした年間スケジュールを作成する
- 電子申請・クラウド連携対応の可否を顧問社労士に確認する
- 就業規則の法改正対応状況を点検し、未整備なら優先的に着手する
よくある質問(FAQ)
Q. マネーフォワード給与を使っていれば、毎月社労士に確認してもらう必要はありますか?
A. 毎月の確認は必須ではありませんが、入退社・月額変更・育児休業など「イレギュラーな変動がある月」は社労士への確認を推奨します。ソフトの自動計算は正確ですが、前提データの誤設定はソフト側では検出できないため、変動が多い時期は社労士チェックが保険になります。
Q. 顧問契約を結ぶと、毎月どのくらいの費用がかかりますか?
A. 企業規模や対応業務範囲によって異なりますが、従業員100名規模であれば月額3〜8万円が目安です。入退社手続き代行・算定基礎届・年度更新・相談対応が含まれる標準的な顧問プランが多く、就業規則の作成・変更は別途費用になるケースが一般的です。
Q. マネーフォワード給与と社労士の顧問サービスを組み合わせると、社内の人事担当者は何をすればよいですか?
A. 社内担当者の主な役割は「勤怠データの確認・承認」「給与計算結果の最終確認」「社労士へのデータ提供」の3点に絞られます。社労士への情報連携をスムーズにするために、入退社情報・異動・休業・残業時間の集計データを月次でまとめる仕組みを作ることが最重要です。
Q. 顧問社労士がいなくても、マネーフォワード クラウド社会保険を使えば手続きを自分で行えますか?
A. 技術的には可能ですが、法的知識がない状態での自社処理はリスクが伴います。社会保険・雇用保険の手続きは要件判定・書類作成・提出期限の管理が必要であり、誤りがあれば従業員への不利益(給付の遅れ・不支給等)や行政からの是正指導につながることがあります。手続きの正確性を確保するため、少なくとも初期設定と年次手続きは社労士に確認を依頼することを推奨します。
まとめ
マネーフォワード給与と社労士顧問契約を組み合わせることで、給与計算の効率化と労務管理の適法性を同時に実現できます。ソフトに任せる定型業務と、社労士に任せる法的判断・手続き代行の役割を明確に分けることが、中小企業の最適な労務管理体制です。社会保険労務士法人とうかいでは、マネーフォワード クラウド給与を活用した顧問契約をご提供しています。現在の体制に不安や疑問がある場合は、まずお気軽にご相談ください。

この記事は2026年5月27日時点の情報をもとに作成しています。法令・制度は改正される場合があるため、最新情報は厚生労働省等の公式サイトをご確認ください。 監修・文責:社会保険労務士法人とうかい
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