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コラム

深夜残業と割増賃金の計算方法は?夜勤手当と深夜手当の違いとは?

従業員が深夜に労働した場合、会社は従業員に対し、深夜残業に対する割増賃金を支払わなくてはなりません。深夜残業の割増賃金の計算方法は複雑で、企業の人事担当者や従業員にとって、正確な理解が必要です。
本記事では、深夜残業と割増賃金の具体的な計算方法、深夜手当と夜勤手当の違いについて解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

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深夜残業の定義と割増賃金

深夜労働の定義と割増賃金を確認していきましょう。深夜労働は、午後10時から午前5時までの間に行われる労働時間を指します。この深夜労働には一定の割増率以上の割増賃金が適用され、これは従業員の労働条件を保護するための措置です。

深夜残業とは何か?

深夜残業とは、原則として「午後10時から午前5時まで」の時間帯に行われる労働(深夜労働)であり、かつそれが「1日8時間・週40時間」という法定労働時間を超えた時間外労働(残業)に該当する状態を指します。
労働基準法上、深夜労働には25%以上、時間外労働には25%以上の割増賃金を支払う義務があるため、この2つが重なる「深夜残業」に対しては、合計50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

深夜残業の定義について確認していきましょう。

深夜労働ができる人とできない人

深夜労働は、原則として満18歳以上の労働者が対象となります。労働基準法第61条では、満18歳未満の年少者に対する深夜労働は原則禁止されていますが、一部例外も存在します。また、労働基準法第66条第3項では、妊産婦が使用者に対して請求した場合には深夜労働をさせてはならないと定められています。
したがって、年少者や妊産婦の深夜労働については、個別の状況に応じて判断が異なります。企業は労働基準法を遵守し、従業員の労働環境を適切に管理する必要があります。

深夜手当とは?

深夜手当は、深夜労働時間である午後10時から午前5時の間に労働を行った場合に支払われる割増賃金のことを指します。労働基準法第37条に基づいて、深夜手当の割増率は基本賃金の25%以上とされています。法定労働時間である8時間を超えて労働した場合には、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払う必要がありますが、深夜労働をした場合には、それに深夜手当として25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
深夜労働に対する割増賃金の計算にあたっては、法定労働時間と所定労働時間の理解を深めておく必要があります。

深夜手当と夜勤手当の違い

深夜手当と夜勤手当は、同じように深夜労働に対して支払われる手当ですが、その意味と適用範囲が異なります。深夜手当は、労働基準法で義務付けられた法定の割増賃金です。午後10時から午前5時までの間に働いた場合、会社は必ず基本賃金の25%以上を上乗せして支払わなければなりません。これは管理職であっても対象となる、拒否できない法律上の義務です。夜勤手当は企業が任意に設けている手当です。企業が任意に設定する独自の手当です。
夜勤シフトに従事することへの「慰労」や「交代勤務への対価」として、1回数千円といった定額で支給されるのが一般的です。支給の有無や金額に法的強制力はありません。企業人事担当者としては、この二つの手当の違いを正しく理解し、適切に適用することが重要です。

深夜手当と夜勤手当の違いについてご存じですか?

夜勤手当とは?

夜勤手当は、特定の夜勤シフトに対して支払われる手当のことを指し、企業独自の規定によるものです。深夜手当と異なり、法律で具体的な割増率は定められていません。従って、夜勤手当の金額や支給条件は企業ごとに異なります。
例えば、夜勤シフト全般に対して一律支給される場合もあれば、夜勤の連続勤務に応じて追加手当が支給されることもあります。企業は自社の就業規則や給与規程に夜勤手当に関する詳細を明記することが推奨されます。

深夜残業の割増賃金の計算方法

深夜残業の割増賃金の計算方法を解説します。深夜労働に対する割増賃金である深夜手当の計算方法は、労基法に従って計算しなくてはなりません。まずは、正確な労働時間の把握を行い、法定労働時間内外の区別をします。深夜労働が法定労働時間内であるのか、休日出勤時なのかによっても、計算方法が変わりますので、正確に理解しておくことが重要です。

割増賃金率の計算

深夜労働の割増賃金率は、基本賃金の25%以上とされています。これは労働基準法第37条に基づいており、従業員が深夜(午後10時から午前5時まで)に労働した場合に適用されます。従業員の健康と労働環境を守るための措置が取られています。
深夜労働が法定時間外労働に該当する場合は、時間外労働分の割増率25%と深夜労働の割増率25%が加わり、割増率50%として支払われる必要があります。

割増賃金の計算方法について解説していきます。

具体例:深夜残業の割増賃金の計算式 具体的な計算例

例えば、基本時給が1,000円の従業員が1時間深夜残業を行った場合、割増賃金は以下のように計算されます。基本時給に割増率25%を適用します。1,000円×1.25=1,250円です。したがって、深夜に1時間働くと1,250円が支払われます。
加えて、法定労働時間8時間を超えて深夜労働を行った場合は、通常の残業手当に深夜手当を加算する必要があります。残業手当の割増率25%と深夜手当の割増率25%を合わせ、50%の割増手当として計算されます。1,000円×1.5=1,500円です。

休日出勤時の深夜残業の計算方法

休日出勤の際に深夜労働した場合には、さらに注意が必要です。まず、休日出勤手当としては、基本賃金の35%以上の割増率が適用されます。そして深夜に労働した時間には、さらに25%の割増賃金が加わりますので、60%の割増率となります。例えば、基本時給1,000円の場合、休日深夜残業1時間の賃金は、1,000円×1.60=1,600円となります。
このように、休日出勤と深夜残業が重なる場合の割増率は注意が必要です。労基法で定められている25%の割増率は、最低25%以上の割増率で計算しなくてはならないというものです。企業によっては、労基法以上の割増率を設定しているケースもあるので、自社の就業規則や給与規程を今一度確認してみましょう。

給与形態別の深夜手当の計算方法

給与形態別の深夜手当の計算方法を解説します。深夜手当は時給制、月給制、日給制など給与形態によって計算方法を確認しておくとよいでしょう。

時給制従業員の計算方法

時給制の従業員は、基本時給に対して深夜割増手当を計算します。例えば、時給が1,000円の場合、午後10時から午前5時までの深夜労働時間には25%の割増率が適用されるため、1,000円×1.25=1,250円となります。
時給制の場合、勤務時間が明確に記録されるため、割増手当の計算も比較的簡単です。

月給制従業員の計算方法

月給制の従業員は、通常の月給額をもとに時間あたりの賃金を算出し、深夜労働分の割増手当を加えます。まず、月給を月の所定労働時間数で割って1時間あたりの賃金を計算します。
例えば、月給30万円で月の所定時間が160時間の場合、1時間あたりの賃金は30万円÷160時間=1,875円です。この1,875円に対して深夜手当の25%を加算して、1,875円×1.25=2,343.75円(切上2,344円)が深夜労働1時間あたりの賃金となります。

日給制従業員の計算方法

日給制の従業員は、1日の賃金額を基に時間あたりの賃金を算出し、深夜労働時間に応じた割増手当を計算します。例えば、日給1万円で1日の所定労働時間が8時間の場合、1時間あたりの賃金は1万円÷8時間=1,250円です。この1,250円に対して深夜手当25%を適用して、1,250円×1.25=1,562.5円(切上1,563円)が深夜労働1時間あたりの賃金となります。日給制でも、深夜労働時間に応じた割増手当を正確に計算することが重要です。  h2:経営者と従業員が注意すべきポイント 経営者と従業員が注意すべきポイントを見ていきましょう。
深夜労働や割増賃金についての理解は、経営者および従業員の両方にとって極めて重要です。パート・アルバイトといった雇用形態、管理職に対する深夜手当の支払い、複数の条件が重なる場合の割増率の取り扱いについても、間違った理解や計算は、後々トラブルにもなりますので、しっかりと注意しておきましょう。

深夜労働への配慮

深夜労働の時間帯は、午後10時から午前5時までと定められています。この時間帯に働くことは、身体的および精神的な負担が大きいため、法律で特別な保護が設けられています。
深夜手当の支払はもちろんのこと、夜勤労働者など週に1回以上または月4回以上深夜時間帯に働く労働者には「特定業務従事者の健康診断」として、6か月に1回健康診断を受けることが事業者に義務付けられています。企業は深夜労働に従事する従業員の管理と配慮を行う義務があります。

パート・アルバイトも深夜手当の対象

深夜手当は、パートタイムやアルバイトの従業員であっても対象です。労働基準法に基づき、午後10時から午前5時の間に働いた場合、深夜手当として25%以上の割増賃金が支払われます。
例えば、時給1,000円のパート従業員が深夜に勤務した場合、深夜手当として1,250円以上が必要です。
パート・アルバイトなどを多く雇用する企業は、労基法を遵守し、正確に給与計算を行うことで労働環境の適正化を図ることが求められます。

管理職に対する深夜手当の支払い

一般に、管理監督者である管理職は労働基準法の一部が適用対象外とされ、割増賃金の支払い義務が適用されません。ただし、深夜労働に対する割増賃金の支払いは例外です。つまり、管理職であっても、午後10時から午前5時までの深夜勤務については割増賃金を支払う義務があります。
これは従業員全体の健康と安全を守るための重要な措置です。管理職が深夜に業務を行う場合、その労働時間は正確に記録され、深夜手当が適切に計算する必要があります。

複数の条件が重なる場合の割増率の取り扱い

割増賃金に関わる給与計算を行う場合、複数の条件が重なると割増賃金率の計算が複雑になることがあります。例えば、休日出勤かつ深夜労働を行う場合、休日出勤手当(基本賃金の35%割増)と深夜手当(基本賃金の25%割増)の両方が適用されます。この場合、通常の時給が1,000円であれば、休日出勤の割増率35%と深夜労働の割増率25%を合算する必要があります。つまり、1,000円×1.6=1,600円が支払われることになります。このルールを正確に適用することで、従業員の権利を確保しつつ、公正な労働条件を提供することができます。
会社に給与計算の専任の担当者などがいない場合、割増賃金の計算が誤っていたというケースも少なくありません。とくに複数の条件が重なると、わかりづらいものです。今一度、就業規則や給与規程を見直して、自社の給与計算方法をチェックしてみましょう。

深夜残業と割増賃金に関するツール紹介

深夜残業と割増賃金に関するおすすめのツールを紹介します。企業における勤怠管理や給与計算において、深夜労働の管理や割増賃金の計算は複雑で時間を要する作業です。正確な計算と適切な管理を実現するために、勤怠管理システムなど専用のツールを活用することをおすすめしています。

労働時間計算のためのツール 「勤怠管理システム」

従業員の勤務時間を記録し、正確に深夜時間や残業時間の自動計算をサポートするツールをおすすめします。例えば、「KingofTime」や「ジョブカン勤怠管理」は、クラウドベースの勤怠管理システムで、深夜労働や残業時間の自動集計を行います。
手動での計算ミスを防ぎ、効率的な管理が可能になります。多くの勤怠管理システムでは、法定労働時間の遵守や企業の労務管理を大幅に改善するための強力な支援ツールとして期待できます。

給与計算・明細の作成ツール「給与計算システム」

深夜手当や割増賃金を含む詳細な給与計算を簡便に行えるように設計されている給与計算システムもおすすめです。例えば、「弥生給与」や「給与奉行」などのソフトウェアは、深夜手当や残業手当の自動計算機能が充実しており、給与計算の精度と効率性を高めます。
これらのツールはタイムリーに法令のアップデートにも対応しており、最新の労働基準法に基づいた正確な給与計算が保証されます。
さらに給与明細作成ツールを活用することで、経理業務の負担を軽減し、従業員への透明な給与支給を実現します。

深夜残業等の複雑な計算には、クラウド型勤怠管理システム(King of Time等)や給与計算システム(弥生給与等)の活用が正確な自動集計と法改正対応に有効です。

よくある質問

深夜残業の割増手当に関するよくある質問をまとめてました。

夜勤シフト(例:20時〜翌5時、休憩1時間)の場合、どこからどこまでが深夜手当の対象ですか?

午後10時から午前5時までの間に、実際に働いた時間が対象です。

例えば、休憩時間を「23時〜24時(1時間)」と設定している場合、22時〜翌5時までの7時間のうち、休憩1時間を差し引いた「6時間分」に対して25%の深夜手当(割増賃金)を支払う必要があります。休憩時間中は労働していないため、深夜時間帯であっても手当の支給は不要です。

裁量労働制や固定残業代(みなし残業)を導入している従業員にも、深夜手当の支払いは必要ですか?

はい、必要です。固定残業代等で免除されるのは「時間外・休日」の割増分だけです。

裁量労働制や固定残業代(例:月30時間分の残業手当支給)であっても、深夜労働に対する25%の割増義務は免除されません。そのため、深夜に働いた時間分の深夜手当(25%分)は、毎月の固定給とは別に実費で計算して支払う必要があります(※固定残業代の契約の中に「深夜割増分も含める」と明記し、時間数を区別して設定している場合を除きます)。

深夜労働の割増賃金計算で、1円未満の端数(小数点以下)が出た場合、どのように処理すべきですか?

50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げる(四捨五入)のが原則です。 50銭(0.5円)を基準に処理します。

ただし、これは「1ヶ月の総割増賃金」の合計額に対して行うのが原則の処理ですが、事務処理の便宜上、1時間あたりの割増単価の時点で四捨五入して計算することも認められています。

深夜時間帯(22時〜5時)の割増率を、就業規則で「30%」と法律(25%)以上に手厚く設定することは可能ですか?

はい、可能です。法律の基準はあくまで「最低ライン」です。

労働基準法を上回る条件(例:深夜30%割増、残業35%割増など)を就業規則で定めることは完全に自由であり、従業員にとって有利なルールとなるため大歓迎されます。ただし、一度就業規則に書いてしまうと、後から「やっぱり大変だから法律通りの25%に下げたい」と思っても簡単には下げられなくなる(不利益変更の手続きが必要になる)ため、設定は慎重に行うべきです。

まとめ

深夜労働や割増賃金に関する知識は、企業の人事担当者や働く従業員にとって非常に重要です。業種や職種によっては、頻繁に深夜労働が発生する職場では、とくに配慮が必要でしょう。深夜手当といった割増賃金は、労基法で定められたルールに基づいて正確に計算しなくてはなりません。

しかしながら、複雑な条件のもとの給与計算は、給与計算担当者にとってわかりにくく負担の大きな作業でもあります。そこで、勤怠管理システムや給与計算システムなどを活用しながら、最新の法令に基づいた給与計算を実現してみませんか。

これらのツールを使用することで、労務管理の効率化と正確性を高めることができます。とうかいにおいても、多くのクライアント企業の皆様の勤怠管理や給与計算業務の効率化をサポートしています。この機会にぜひ検討してみませんか。

いよいよ「給与計算・手続き業務を外注したい」中堅・大企業様必見!!2026年中に労務管理(給与計算・手続き)を外注化するための具体的スケジュールと検討事項一覧。外注化のためのやることリスト&スケジュールマイルストーン、ダウンロードはこちら。
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