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コラム

労災の二次検診は費用無料!対象条件・検査内容・申請方法のすべて

勤務先の健康診断で異常を指摘された場合、労災保険制度を利用して無料で精密な検査を受けられる「二次健康診断等給付」という制度があります。
これは一般に労災の二次検診と呼ばれ、脳・心臓疾患の発症を未然に防ぐことを目的としています。
この記事では、二次検診を無料で受けるための対象条件や検査内容、具体的な申請手続きの流れについて詳しく解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

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労災の二次健康診断とは?過労死などを予防するための無料制度

労災の二次健康診断(正式名称:二次健康診断等給付)は、過重労働などが原因で起こりやすい脳血管疾患や心臓疾患、いわゆる「過労死」を予防するために設けられた制度です。
定期健康診断(一次検診)で特定の項目に異常が見つかった労働者が対象となり、労災保険から給付されるため、自己負担なく無料で専門的な検査や保健指導を受けられます。
これは業務上の怪我や病気の治療を目的とする通常の労災保険とは異なり、あくまで重篤な病気の発症を未然に防ぐための予防的な措置です。

この二次検診の利用が、労災申請として扱われることはありません。

二次検診を無料で受けるための2つの必須条件

労災保険による二次検診を無料で受けるためには、2つの条件を両方とも満たす必要があります。
1つ目は、会社の定期健康診断(一次検診)の結果に関する条件です。
2つ目は、現在の健康状態に関する条件です。

いずれか一方だけでなく、両方に該当することが給付の前提となるため、ご自身の状況を正確に確認することが重要です。
これから、それぞれの条件について具体的に説明します。

条件①:一次健康診断の結果、4項目すべてに異常所見がある

二次検診の対象となるには、一次健康診断において、以下の4つの検査項目すべてで異常所見があると診断される必要があります。
1.血圧測定
2.血中脂質検査
3.血糖検査

4.腹囲の検査またはBMIの測定
これらの項目は、脳・心臓疾患の危険因子と密接に関連しています。
一つでも基準値内であれば対象外となるため、健康診断の結果を正確に確認してください。

条件②:脳・心臓疾患を発症していると診断されていない

二次検診は、脳・心臓疾患を「予防」することを目的とした制度です。
そのため、すでに脳梗塞や心筋梗塞などの脳・心臓疾患を発症し、医師から診断を受けて治療中である場合は、この給付の対象にはなりません。
その場合は、労災保険による二次検診ではなく、健康保険を利用して必要な治療や検査を受けることになります。

あくまで、自覚症状はないものの、将来的な発症リスクが高いと判断された労働者のための予防措置である点を理解しておく必要があります。

二次検診で受けられる具体的な検査内容

二次検診では、一次健康診断よりもさらに詳しく脳や心臓の状態を調べるための精密検査と、生活習慣の改善を促すための特定保健指導がセットで提供されます。
これらの検査や指導は、脳血管や心臓にかかる負担の程度を評価し、動脈硬化の進行具合などを具体的に把握することを目的としています。
受診者は、これらの詳細な結果に基づいて、専門家から具体的なアドバイスを受けられます。

脳血管と心臓の状態を精密に調べる検査項目

二次検診では、脳血管と心臓の健康状態を評価するため、以下の専門的な検査が行われます。
空腹時血中脂質検査:血液中の中性脂肪やコレステロールの値を詳しく調べます。
空腹時血糖値検査:インスリンの働きや糖尿病のリスクを評価します。

ヘモグロビンA1c検査:過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値の状態を把握します。
負荷心電図または心エコー検査:運動時の心臓の反応や、心臓の形・動きを直接観察します。
頸動脈エコー検査:脳に血液を送る首の動脈の硬化や詰まり具合を確認します。
微量アルブミン尿検査:腎機能の初期の変化を捉え、血管の状態を間接的に評価します。

生活習慣の改善を目的とした特定保健指導

特定保健指導は、二次検診の検査結果に基づき、医師や保健師が生活習慣の改善に向けて具体的なアドバイスを行う面談指導です。
指導は1回あたり20分程度で、検査当日に受けることができます。
内容は、栄養指導、運動指導、生活指導(睡眠、禁煙など)から構成されます。

個々の健康状態やライフスタイルに合わせて、実行可能な改善目標を設定し、脳・心臓疾患のリスクを低減させるための具体的な方法を一緒に考えます。

二次検診の申請から受診完了までの手続きと流れ

二次検診を受けるための手続きは、労働者自身が進める必要があります。
まず、受診できる医療機関を探して予約し、必要な申請書類を準備します。
その後、事業主の証明を受けた上で、医療機関に書類を提出して受診するという流れが一般的です。

期限も設けられているため、対象となると分かったら、速やかに手続きを開始することが大切です。
ここでは、具体的な手順を4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:受診可能な指定医療機関を探して予約する

二次検診は、どの医療機関でも受けられるわけではありません。
「二次健康診断等給付医療機関」として指定されている病院やクリニックで受診する必要があります。
指定医療機関は、全国の労災病院や、都道府県労働局が指定した医療機関です。

対象の医療機関は、厚生労働省のウェブサイトや各都道府県労働局のホームページで確認できます。
また、最寄りの労働基準監督署に問い合わせて探すことも可能です。
受診したい医療機関を見つけたら、電話などで直接予約を取ってください。

ステップ2:「二次健康診断等給付請求書」を用意する

次に、申請に必要な「二次健康診断等給付請求書」(様式第16号の10の2)を準備します。
この書類は、最寄りの労働基準監督署で受け取るか、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードして印刷することもできます。
請求書には、ご自身の氏名や住所、事業場の名称などの基本情報に加え、一次健康診断の結果を記入する欄があります。

健康診断の結果票を見ながら、正確に転記してください。
この書類が、二次検診を無料で受けるための申請書となります。

ステップ3:事業主の証明と一次健診の結果を書類に添付する

作成した「二次健康診断等給付請求書」には、事業主(会社)による記名が必要です。会社の総務部や人事労務の担当者に依頼し、事業主証明欄への記入をしてもらってください。また、一次健康診断で異常所見があったことを証明するため、健康診断結果のコピーを請求書に添付する必要があります。

これらの書類が揃って、初めて二次検診の申請が可能となります。会社への依頼には時間がかかる場合もあるため、早めに準備を進めましょう。

ステップ4:予約した医療機関の窓口に書類を提出して受診する

必要事項を記入し、事業主の証明と一次健康診断結果のコピーを添付した「二次健康診断等給付請求書」を、予約した指定医療機関の窓口に提出します。
書類に不備がなければ、費用を支払うことなく二次検診を受けることができます。
念のため、当日は健康保険証も持参すると安心です。

受診後は、医療機関から結果が通知されるとともに、今後の健康管理に関するアドバイスが提供されます。

二次検診を利用する際に知っておくべき注意点

二次検診は非常に有用な制度ですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
特に、申請可能な期間や受診できる回数には制限が設けられています。
これらのルールを知らずにいると、せっかくの機会を逃してしまう可能性があります。

制度を有効に活用するために、あらかじめ注意点を把握しておくことが重要です。
ここでは、特に重要な2つのポイントについて解説します。

申請期限は一次健康診断の受診日から3ヶ月以内

二次検診の給付を請求できる期間は、一次健康診断を受けた日から3ヶ月以内と定められています。
この期間は非常に短く、健康診断の結果が手元に届くのが遅れたり、書類の準備に時間がかかったりすると、あっという間に過ぎてしまいます。
例えば、4月15日に一次健康診断を受けた場合、請求の期限は7月14日です。

この期限を1日でも過ぎると給付を受けられなくなるため、対象者であることが分かったら、すぐに手続きを開始する必要があります。

給付を受けられるのは1年度内に1回限り

二次検診の給付は、同一年度内に1回限り受けることができます。
一度この給付を利用すると、その年度内に再度要件を満たしても、改めて二次検診を受けることはできません。
ただし、この制限は年度ごとリセットされます。

そのため、翌年度の定期健康診断で再び対象条件を満たした場合には、改めて給付を申請し、二次検診を受診することが可能です。
継続的な健康管理の一環として、毎年活用できます。

労災の二次検診に関するよくある質問

ここでは、労災の二次検診に関して、多くの方が抱く疑問について回答します。
健康保険の再検査との違いや、結果の会社への報告義務、受診可能な医療機関の範囲など、実務的なポイントを取り上げます。

これらの情報を参考に、制度への理解を深めてください。

健康保険の「再検査」や「精密検査」とは何が違いますか?

目的と費用負担が異なります。
労災の二次検診は、脳・心臓疾患の「予防」を目的とし、費用は全額労災保険から給付されるため無料です。

一方、健康保険での再検査や精密検査は、病気の「診断・治療」を目的としており、原則として医療費の3割が自己負担となります。
この二つの制度は目的が異なるため、混同しないよう注意が必要です。

二次検診の結果は会社に報告する義務がありますか?

労働安全衛生法上、二次検診の結果を会社に報告する法的な義務はありません。

ただし、会社には従業員に対する安全配慮義務があります。
検査の結果、医師から時間外労働の制限など就業に関する指示があった場合は、自身の健康を守るためにも会社に申し出て、必要な措置について相談することが望ましいです。

対象の医療機関であればどこでも受診できますか?

受診できるのは「二次健康診断等給付医療機関」として指定された病院やクリニックに限られます。

全国の労災病院や、都道府県労働局が指定した医療機関が対象となります。
かかりつけ医が必ずしも対象とは限りません。

受診前には、厚生労働省のウェブサイトや最寄りの労働基準監督署で、対象医療機関のリストを確認することが必要です。

まとめ

労災の二次検診(二次健康診断等給付)は、健康診断で血圧や血糖値などに異常が見つかった労働者が、無料で精密な検査と保健指導を受けられる制度です。
過労死につながる脳・心臓疾患の予防を目的としており、対象条件を満たせば、費用の心配なく自身の健康状態を詳しく確認できます。

一次検診の日から3ヶ月以内という申請期限があるため、該当する方は速やかに手続きを進めることが重要です。
この制度を活用し、自身の健康管理に役立ててください。

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