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コラム

休職中の社会保険料はどうなる?支払い方法や計算、払えない場合の対処法

支払い方法や計算、払えない場合の対処法 病気やケガなどで休職する際、給与が支払われない期間の社会保険料がどうなるのか、不安に感じる方は少なくありません。 休職中の社会保険料は、原則として支払い義務が継続します。
本記事では、休職中の社会保険料について、なぜ支払いが必要なのか、金額の計算方法、具体的な支払い方法、そして万が一払えない場合の対処法までを網羅的に解説します。
今後の見通しを立てるために、正しい知識を身につけておきましょう。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

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休職中でも社会保険料の支払いは原則必要

休職により会社から給与が支払われない期間であっても、社会保険料の支払いは原則として必要です。
これは、休職が会社との雇用契約を継続したまま業務を休む状態であり、社会保険の加入資格を喪失しないためです。

社会保険料は、従業員と会社がそれぞれ負担し合っており、休職中もこの関係は変わりません。
従業員は自身の負担分を、給与天引きができない代わりに別の方法で会社へ支払う必要があります。

休職中は社会保険料の支払は必要なのでしょうか?

給与がなくても社会保険の加入資格は継続する

休職は、あくまで会社に在籍したまま一時的に業務を休む状態であり、会社を辞める退職とは異なります。 そのため、休職期間中も会社との雇用関係は継続しており、健康保険や厚生年金保険といった社会保険の加入資格は維持されます。
この資格が継続する限り、病気やケガで医療機関にかかった際の医療費負担が軽減されたり、将来の年金受給資格期間に算入されたりといった保障を受けられます。
給与の支払いがない無給の状態であっても、これらの保障を維持するために、社会保険料の支払い義務は継続する仕組みになっています。

支払う社会保険料の内訳(健康保険・厚生年金・介護保険)

休職中に支払う社会保険料は、主に「健康保険料」「厚生年金保険料」「介護保険料」の3つです。
健康保険料は、業務外の病気やケガの治療費を一部負担するための保険です。 加入している健康保険組合(協会けんぽなど)によって保険料率が異なります。
厚生年金保険料は、老後の生活を支える老齢年金や、障害・死亡時の保障を受けるための年金制度の保険料です。
また、40歳以上65歳未満の方は、介護が必要になった際のサービス費用を支えるための介護保険料も併せて徴収されます。 これら3つの保険料の合計額が、毎月支払う社会保険料となります。

給与が発生しない場合、雇用保険料の負担はない

社会保険料の中でも、雇用保険料は他の保険料と扱いが異なります。
雇用保険料は、毎月の給与額に一定の保険料率をかけて算出されるため、休職によって給与が一切支払われない期間は、雇用保険料の負担も発生しません。 給与明細を見ると、健康保険料や厚生年金保険料と一緒に雇用保険料も控除されていますが、これは給与の支払いが前提となっているためです。
したがって、無給で休職している間は、健康保険・厚生年金・介護保険の保険料のみを支払うことになり、雇用保険料の支払いは不要です。

休職中の社会保険料はいくら?

金額の計算方法 休職中は収入がなくなるため、社会保険料の負担が軽くならないかと考えるかもしれません。
しかし、休職中の社会保険料は原則として休職前と変わらない金額を支払う必要があり、負担が思ったより高いと感じることが多いです。これは、社会保険料の計算方法が、休職期間中の給与額ではなく、休職前の給与額を基にした「標準報酬月額」に基づいているためです。

ここでは、その具体的な計算の仕組みについて解説します。

休職中の社会保険料はいくらになるのでしょうか?

標準報酬月額を基に算出されるため、休職前と金額は変わらない

社会保険料は、実際の給与額そのものではなく、「標準報酬月額」という基準額を基に計算されます。
標準報酬月額は、毎年4月から6月の3か月間に支払われた給与の平均額を算出し、それを等級表に当てはめて決定されます。 この決定された標準報酬月額は、原則としてその年の9月から翌年8月までの1年間適用されます。 そのため、年の途中で休職して給与がゼロになったとしても、この標準報酬月額はすぐに変更されず、休職直前と同じ等級に基づく保険料を支払い続けることになります。
これが、休職中でも社会保険料の金額が変わらない理由です。

賞与にかかる社会保険料の扱い

休職期間中に賞与が支給された場合、その賞与からも社会保険料が控除されます。
賞与にかかる社会保険料は、税引き前の賞与総額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、健康保険料率や厚生年金保険料率を掛けて算出されます。 多くの企業では、休職中の従業員に対して賞与を支給しないか、あるいは査定期間中の勤務日数に応じて減額することが一般的です。
しかし、会社の就業規則や賃金規程によっては、休職中であっても賞与が支払われるケースがあります。 その場合は、月々の社会保険料とは別に、賞与からも保険料が徴収されることを覚えておく必要があります。

休職中の社会保険料、具体的な3つの支払い方法

休職中は給与からの天引きができないため、社会保険料の支払い方法を会社と確認する必要があります。
どのような徴収方法になるかは会社の規定によって異なりますが、一般的にはいくつかのパターンが存在します。 ここでは、休職中の社会保険料の払い方として代表的な3つの方法を紹介します。
トラブルを避けるためにも、休職に入る前に人事・労務担当者に徴収の流れを確認しておくことが重要です。

会社指定の口座へ毎月振り込む

社会保険料の支払い方法はいくつかありますが、従業員が会社からの請求書に基づいて金融機関に振り込む方法は一般的ではありません。
一般的には、会社が従業員の給与から社会保険料を控除し、会社負担分と合わせて日本年金機構にまとめて納付します。主な納付方法としては、金融機関の窓口での現金納付、口座振替、電子納付などがあります。
口座振替は、事前に手続きをしておけば毎月自動的に社会保険料が引き落とされるため、納付の手間を軽減できます。金融機関の窓口での現金納付や電子納付は、都度手続きが必要となりますが、支払い方法の選択肢として利用されています。
支払いが遅れると会社に迷惑がかかる可能性があるため、期日管理を徹底することが重要です。

会社に立て替えてもらい、復職後に給与や賞与から精算する

会社によっては、休職中の従業員の社会保険料を一時的に会社が立替払いし、従業員が復職した後に給与や賞与からまとめて精算(回収)する方法を取る場合があります。 この方法は、休職中の従業員にとって当座の金銭的負担を軽減できるメリットがあります。
ただし、この対応が可能かどうかは会社の就業規則や内部規定によります。 復帰後には、数ヶ月分の社会保険料が一度に差し引かれるため、手取り額が大幅に減少する点に注意が必要です。
立替を希望する場合は、事前に会社へ相談し、精算方法について書面で確認しておくと安心です。

傷病手当金の受取代理人制度を利用して支払う

病気やケガによる休職中に健康保険から傷病手当金を受給する際、社会保険料の支払いは継続して発生します。傷病手当金自体は非課税所得であり、所得税や住民税の課税対象にはなりません。
しかし、住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、傷病手当金受給中も支払いが必要となる場合があります。
社会保険料についても休職中も発生するため、支払い方法については勤務先や健康保険組合に確認が必要です。
会社が従業員の傷病手当金の受領を代行する制度は、2023年1月に申請様式から削除されており、現在は利用できません。

休職中も社会保険料の負担は続くため、支払方法の事前確認が必須です。支払方法として「会社指定の口座への毎月振込」、「復職後に給与・賞与からの精算」があります。「復職後に給与・賞与から精算」する方法だと、手取り額が大幅に減るので注意しましょう。トラブル防止のために、事前に徴収ルールを確認しておきましょう。

社会保険料の支払いが免除される特別なケース

これまで説明した通り、病気やケガによる私傷病休職では社会保険料の支払いが必要ですが、法律で定められた特定の休業に限り、支払いが免除される制度が存在します。
この免除制度は、従業員と事業主の双方が対象となり、申請手続きを行うことで適用されます。 ここでは、社会保険料の支払いが停止される代表的な2つのケースである「産前産後休業」と「育児休業」について解説します。

産前産後休業(産休)中の免除制度

出産のために取得する産前産後休業(産休)の期間中は、事業主が年金事務所や健康保険組合に申し出ることにより、健康保険料と厚生年金保険料の支払いが被保険者本人と事業主の両方で免除されます。
免除期間は、産前休業を開始した月から産後休業が終了する月の前月までです。 この免除期間中も、健康保険の被保険者資格は継続し、病院での保険診療を受けられます。
また、将来受け取る年金額を計算する際には、保険料を納付したものとして扱われるため、年金額が減る心配はありません。

育児休業(育休)中の免除制度

子どもを養育するために取得する育児休業(育休)の期間中も、産休と同様に社会保険料の支払いが免除されます。
事業主からの申し出により、育児休業等を開始した月から終了する月の前月までの健康保険料と厚生年金保険料が、被保険者本人・事業主ともに免除の対象となります。 産休中の免除制度と同様に、免除期間中も被保険者資格は継続し、将来の年金額計算においても保険料を納付した期間として扱われるため、不利益は生じません。

どうしても社会保険料が払えない場合の対処法

休職が長引き、貯蓄も尽きて社会保険料の支払いが困難になる可能性も考えられます。
社会保険料を未納・滞納してしまうと、将来受け取る年金が減額されたり、督促、延滞金発生、財産調査、差し押さえなどのリスクがあります。
健康保険料の未納の場合、保険給付が一時的に差し止められたり、医療費を全額自己負担しなければならなくなる可能性があります。

そうなる前に、まずは一人で抱え込まず、然るべき場所に相談することが重要です。 ここでは、支払いが困難になった場合の具体的な対処法を3つ紹介します。

どうしても支払えない場合の対処法について解説します。

まずは会社の担当部署(人事・労務)に相談する

社会保険料の支払いが困難になった場合、最初にすべきことは、会社の担当部署(人事部や労務部など)に速やかに連絡し、正直に状況を伝えることです。 会社から送られてくる請求書を無視したり、連絡を絶ったりするのは最も避けるべき対応です。
支払いが難しい旨を早めに相談することで、会社側も状況を把握し、支払い方法の変更や猶予など、何らかの解決策を一緒に検討してくれる可能性があります。 無断で滞納すると、会社との信頼関係を損なうことにもつながりかねません。

傷病手当金など利用できる公的制度を確認する

休職中の収入を補うための公的制度がないか確認しましょう。 私傷病による休職であれば、健康保険から「傷病手当金」が支給される可能性があります。 これは、給与のおおよそ3分の2が最長1年6ヶ月にわたって支給される制度です。
業務上のケガや病気の場合は、労災保険から「休業(補償)給付」が受けられます。 これらの給付金は、社会保険料の支払いや生活費に充てることができます。
それでもなお生活が困窮する場合には、最後のセーフティネットとして、お住まいの自治体が窓口となる生活保護制度の利用も視野に入ります。

会社との合意に基づき分割払いや支払猶予を検討する

会社の担当部署に相談した結果、双方の合意が得られれば、支払い方法を柔軟に変更してもらえる場合があります。
例えば、一度に支払うのが難しい金額を分割で支払ったり、復職後まで支払いの期限を猶予してもらったりといった対応です。 ただし、これらは会社の義務ではなく、あくまで個別の事情を考慮した上での特別な対応となります。
そのため、必ずしも希望が通るとは限りませんが、支払う意思があることを示し、誠実に相談することが重要です。 合意した内容は、後々のトラブルを避けるためにも書面で残しておくとよいでしょう。

注意!社会保険料以外に住民税の支払いも必要

休職中に支払わなければならないのは、社会保険料だけではありません。
もう一つ、忘れてはならないのが「住民税」です。 住民税は、社会保険料とは課税の仕組みが異なり、前年の所得に対して課税される「後払い」の税金です。
そのため、休職して現在の収入がゼロになったとしても、前年に所得があれば支払い義務が発生します。 社会保険料と合わせると月々の負担は大きくなるため、あらかじめ資金計画に含めておくことが重要です。

住民税は前年の所得に対して課税されるため納税義務がある

住民税は、その年の1月1日時点での住所地の市区町村に、前年1月1日から12月31日までの1年間の所得に基づいて課税されます。 会社員の場合、この所得額は年末調整によって確定しており、その情報が会社から各市区町村へ報告されています。
そして、市区町村が税額を計算し、翌年の6月から1年かけて徴収する仕組みになっています。 このため、休職して収入がない状態でも、前年に一定以上の所得があれば納税義務が生じます。
休職1年目は特に前年の所得が高いため、住民税の負担も大きくなる傾向にあります。

住民税の支払い方法(普通徴収への切り替え)

在職中は、住民税は給与から天引きされる「特別徴収」という方法で納めていますが、休職して給与の支払いがなくなると、この方法が使えなくなります。
そのため、市区町村から自宅に送付されてくる納付書を使い、自分で直接金融機関やコンビニエンスストアなどで納める「普通徴収」に切り替えるのが一般的です。 通常、年4回(6月、8月、10月、翌1月)に分けて支払います。
会社によっては、社会保険料と同様に住民税を立て替え、復職後に精算するケースもありますので、事前に会社の担当者に確認しておくとよいでしょう。

住民税は前年の所得に基づく「後払い」のため、休職中も納税義務があります。給与天引きから「自分で納付」に切り替わるのが一般的ですが、会社が立て替える場合もあります。社会保険料と合わせると負担が重いため、事前に納税資金を準備しておきましょう。

休職中の社会保険料に関するよくある質問

ここまで休職中の社会保険料について詳しく解説してきましたが、まだ細かい疑問点が残っているかもしれません。 このセクションでは、特に多くの方が疑問に思う点や誤解しやすいポイントをQ&A形式でまとめました。
ご自身の状況と照らし合わせながら、最終的な確認に役立ててください。

休職すると社会保険料は全額自己負担になりますか?

いいえ、全額自己負担にはなりません。

社会保険料は、従業員と会社が負担割合に応じてそれぞれ支払う「労使折半」が原則です。
この原則は休職中も変わらないため、会社負担分は引き続き会社が支払います。 従業員が支払うのは、これまで通り給与から天引きされていた自己負担分のみです。

休職によって社会保険の等級(標準報酬月額)は下がりますか?

いいえ、休職して給与が支払われなくなっただけでは、すぐに社会保険の等級(標準報酬月額)が下がることはありません。

標準報酬月額は原則として年に一度、4月〜6月の給与を基に見直されるため、休職前の等級が維持されます。 そのため、保険料の減額はすぐには行われません。

傷病手当金から社会保険料を直接天引きできますか?

いいえ、傷病手当金から社会保険料を直接天引きすることは法律上できません。

傷病手当金は給与ではないため、天引きの対象外です。
ただし、会社が傷病手当金の「受取代理人」となる制度を利用すれば、会社が代理で受給した手当金から保険料を相殺し、差額を受け取ることが可能です。

介護休業中も、産休・育休のように保険料の免除はされますか?

免除されません。

現在、社会保険料の免除が認められているのは「産前産後休業」と「育児休業」のみです。
介護休業や私傷病休職は免除の対象外となるので注意しましょう。

復職した月の保険料は、日割り計算になりますか?

日割りにはなりません。

社会保険料は「月末」時点で在籍しているかどうかで1ヶ月分が発生します。月の途中で復職しても、その月1ヶ月分の保険料がかかります。

まとめ

休職期間中は、産休・育休などの例外を除き、原則として社会保険料の支払い義務が継続します。 保険料の金額は、休職前の給与を基にした標準報酬月額で決まるため、基本的に休職前と変わりません。

給与からの天引きができないため、会社への振込や、復職後の精算といった方法で支払うのが一般的です。 支払いが困難な場合は、未納にする前に必ず会社に相談してください。
また、社会保険料だけでなく、前年の所得にかかる住民税の支払いも必要になる点を忘れないようにしましょう。

休職に入る前に、会社の担当者と支払い方法や手続きについて十分に確認しておくことが、安心して療養に専念するためには不可欠です。

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