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コラム

会社設立の社会保険手続きは5日以内!法人加入の必要書類と流れを解説

会社を設立すると、社会保険への加入が法律で義務付けられています。 特に健康保険と厚生年金保険の手続きは、設立から5日以内という非常に短い期間内に年金事務所で行う必要があります。
この記事では、会社設立後に必要な社会保険手続きの種類、提出先、期限、必要書類について網羅的に解説します。 手続きを漏れなくスムーズに進めるためのガイドとして活用ください。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

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会社設立後の社会保険加入は社長一人でも法的な義務

会社を設立した場合、たとえ社長1人の会社であっても社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入は法律上の義務です。 個人事業主とは異なり、法人は「強制適用事業所」となり、事業主や従業員の意思に関わらず加入が必須となります。 役員報酬が支払われる限り、代表者自身も被保険者として加入手続きを行わなければなりません。

従業員を雇用していない場合の労働保険の扱い

労働保険(労災保険・雇用保険)は、労働者を守るための保険制度です。 そのため、従業員を一人も雇用しておらず、役員のみで運営している会社の場合、雇用保険の加入手続きは原則不要です。労災保険については、一部の業種で役員も特別加入できる制度があります。 また、労働保険には区分されない社会保険(健康保険・厚生年金保険)については、法人の場合、役員のみで運営している会社であっても加入が義務付けられています。 労働保険の手続きが必要になるのは、初めて従業員(パート・アルバイト含む)を雇用したタイミングです。

会社設立後の社会保険手続き一覧!

提出先と期限を総まとめ 会社設立後に行う社会保険関連の手続きは、主に3つの窓口に分かれます。それぞれの届出には期限が定められており、迅速な対応が求められます。
* **健康保険・厚生年金保険**: 年金事務所へ、新規適用届は設立から5日以内、被保険者資格取得届は被保険者資格取得から5日以内に届出が必要です。
* **労災保険**: 労働基準監督署へ、最初の従業員を雇用した日の翌日から10日以内に届出が必要です。
* **雇用保険**: ハローワークへ、適用事業所設置届は適用事業所設置日の翌日から10日以内、被保険者資格取得届は雇用日の翌月10日までに届出が必要です。

【設立後5日以内】年金事務所で行う健康保険・厚生年金の手続き

会社を設立したら、まず健康保険と厚生年金保険の加入手続きを、管轄の年金事務所で行います。 この手続きの期限は、法人設立の登記日から5日以内と非常に短いため、設立準備と並行して書類作成を進めるのが理想です。 これらの年金を含む保険は、会社の役員や従業員の生活を支える重要な社会保障制度であり、法人の場合は強制加入となります。

必要書類①:健康保険・厚生年金保険 新規適用届 「

新規適用届」は、会社(事業所)が健康保険・厚生年金保険の適用事業所となるために、最初に提出する書類です。 この届出により、事業所整理記号や事業所番号が付与され、社会保険の管理が開始されます。 提出時には、法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書、90日以内に発行されたもの)の添付が必要です。 また、法人番号指定通知書のコピーも求められます。

必要書類②:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

「被保険者資格取得届」は、社長や従業員など、社会保険に加入する人ごとに作成し、提出する書類です。 この届出によって、個人の基礎年金番号とマイナンバーが社会保険情報と紐づけられます。 役員報酬や給与額を記入する必要があり、これが保険料計算の基礎となります。 加入対象者全員分を「新規適用届」と同時に提出します。

必要書類③:健康保険被扶養者(異動)届(扶養家族がいる場合)

創業した代表者や従業員に、健康保険の扶養に入れる家族がいる場合に提出する書類が「健康保険被扶養者(異動)届」です。 配偶者や子ども、父母などが対象となり、認定されるには年間収入が130万円未満であることなどの条件を満たす必要があります。 扶養家族として認定されると、自身の保険料負担なしで健康保険証が交付されます。 この届出は「被保険者資格取得届」と同時に提出します。

【従業員雇用後10日以内】労働基準監督署で行う労災保険の手続き

会社設立直後、または事業の過程で初めて従業員(パート・アルバイト含む)を雇用した場合、労働基準監督署で労災保険の加入手続きが必要です。
労災保険は、業務中や通勤中のケガや病気に対して労働者を保護する制度で、保険料は全額会社負担です。 手続きは、従業員を雇用した日の翌日から10日以内に行わなければなりません。

労災保険の手続きについて解説します。

必要書類①:保険関係成立届

「保険関係成立届」は、労働保険(労災保険と雇用保険)の関係を会社として初めて成立させるための届出です。 この書類を労働基準監督署に提出することで、労働保険番号が付与されます。 この番号は、後の雇用保険手続きや保険料の納付時に必要となる重要なものです。
従業員を雇用したにもかかわらず未加入のままでいると、万が一労働災害が発生した際に大きな問題となるため、速やかに提出してください。

必要書類②:労働保険概算保険料申告書

「労働保険概算保険料申告書」は、その年度の終わりまでに従業員に支払う賃金総額の見込み額を算出し、それに基づいて概算の労働保険料を申告・納付するための書類です。 保険関係成立届と同時に提出されることもありますが、それぞれの提出期限は異なります。保険関係成立届は雇用した日の翌日から10日以内、概算保険料申告書は保険関係成立の翌日から50日以内が提出期限とされています。
業種によって保険料率が異なるため、自社の事業内容に応じた正しい料率で計算する必要があります。 申告・納付した保険料は、年度末に確定した賃金総額を基に精算(確定申告)されます。

【従業員雇用後10日以内】ハローワークで行う雇用保険の手続き

従業員を雇用したら、労災保険の手続きと並行して、ハローワークで雇用保険の加入手続きも行います。 雇用保険は、従業員が失業した際の生活保障や、育児・介護休業中の給付金などを目的とした制度です。 雇用保険被保険者資格取得届の手続きの期限は、原則として、従業員を雇用した日の属する月の翌月10日までです。
先に労働基準監督署で「保険関係成立届」を提出し、その控えを受け取ってからハローワークへ向かうのが一般的な流れとなります。

雇用保険の手続きについて解説します。

必要書類①:雇用保険 適用事業所設置届

「雇用保険適用事業所設置届」は、自社が雇用保険の対象となる事業所であることをハローワークに届け出るための書類です。 この届出により、事業所番号が交付されます。 提出時には、労働基準監督署で受理印が押された「保険関係成立届(控)」のほか、法人登記簿謄本、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)などの添付書類が必要です。
事業所の実在を確認するための書類も求められる場合があります。

必要書類②:雇用保険 被保険者資格取得届

「雇用保険被保険者資格取得届」は、加入条件を満たす従業員ごとに作成し、提出する書類です。この届出により、従業員は雇用保険の被保険者となり、失業給付などを受けられる資格を得ます。
原則として、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある従業員は、パート・アルバイトであっても加入対象となります。 この届出は、被保険者となった日(入社日など)の属する月の翌月10日までに提出する必要があります。

社会保険料はいくらかかる?

会社と個人の負担額をシミュレーション 社会保険料は、従業員の給与(標準報酬月額)に保険料率を掛けて算出され、その金額を会社と従業員で半分ずつ負担します。保険料には健康保険料、厚生年金保険料、そして40歳以上65歳未満の方は介護保険料が含まれます。
例えば、東京都の協会けんぽで標準報酬月額30万円の場合、令和6年度の健康保険料率は9.98%(個人負担4.99%)、介護保険料率は全国一律で1.60%(個人負担0.80%)です。厚生年金保険料率は18.3%(個人負担9.15%)です。これらの料率で計算すると、個人と会社それぞれの合計保険料は約44,000円〜45,000円前後となります。この保険料は、給与から天引きされます。

社会保険の手続きが期限に遅れた場合の罰則とリスク

設立から5日過ぎた後でも社会保険の加入手続きは可能ですが、遅延には様々なリスクが伴います。 法律上、正当な理由なく加入手続きを怠った場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、年金事務所の調査で未加入が発覚した場合、最大で2年分の保険料を遡って一括で支払うよう命じられることがあります。 さらに、従業員の医療費が全額自己負担になるなど、信頼を失う原因にもなりかねません。

手続きが複雑なら社会保険労務士(社労士)への依頼も検討しよう

会社設立直後は、事業の立ち上げに集中したい時期です。 社会保険の手続きは専門的で煩雑なため、社会保険労務士(社労士)に代行を依頼するのも有効な選択肢です。 専門家である労務士に任せることで、書類作成や役所への提出を正確かつ迅速に行ってもらえます。
これにより、手続きの漏れや遅延のリスクをなくし、経営者は本業に専念できます。 費用はかかりますが、時間的コストや安心感を考慮すると、十分に検討の価値があります。

社会保険手続きの遅延は、6ヶ月以下の懲役や50万円以下の罰金、最大2年分の保険料遡及徴収のリスクを伴います。手続きが複雑な場合は、社労士へ代行を依頼するのも有効です。

会社設立時の社会保険手続きに関するよくある質問

ここでは、会社設立時の社会保険手続きに関して、多く寄せられる質問とその回答をまとめました。

会社設立後、健康保険証はいつ頃手元に届きますか?

手続き完了後、通常1週間から3週間程度で会社に郵送されます。 繁忙期や書類不備の場合はさらに時間がかかることもあります。

従業員がすぐに病院にかかる必要がある場合は、年金事務所で「健康保険被保険者資格証明書」の交付を申請することで、保険証の代わりとして使用できます。

役員報酬が0円の場合、社会保険に加入する必要はありますか?

法人の役員は、原則として健康保険と厚生年金の加入対象ですが、役員報酬が完全にゼロ(無報酬)の場合、社会保険の適用事業所であっても、報酬からの社会保険料天引きができないため、社会保険への加入が難しい場合があります。

この場合、社会保険料の直接的な負担は発生しません。ただし、日本年金機構は形式的な判断ではなく実態に即して社会保険の加入可否を判断するため、表面上は無報酬でも、実質的に会社から生活費相当額を受け取っているとみなされる場合は、社会保険の加入義務が発生する可能性があります。報酬が支払われるようになった時点で社会保険の加入義務が発生します。
なお、役員報酬が極端に低い場合は、実態に応じて年金事務所が判断し、加入が難しいケースや是正を求められるケースがあるため注意が必要です。

パートやアルバイトを雇った場合の社会保険の加入条件を教えてください。

パートやアルバイトでも、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で働く正社員の4分の3以上である場合は、社会保険の加入対象です。 さらに、従業員数51人以上の企業など特定の条件を満たす場合は、週の労働時間が20時間以上であれば加入義務が生じます。

(※パート・アルバイトの社会保険加入要件については、段階的な適用拡大が進められており、今後の法改正により企業規模要件や賃金要件の見直しが計画されています。最新の適用基準については常に法改正情報を確認してください。)

会社設立時の「被保険者資格取得届」を提出する際、従業員や役員の「マイナンバーカード(個人番号)」の記載は必須ですか?

はい、原則として必須です。 2026年現在の社会保険手続きにおいて、資格取得届へのマイナンバー(または基礎年金番号)の記載は義務化されています。

マイナンバーを正しく記載して届け出ることで、年金機構のシステムとデータが即座に紐づき、健康保険証(マイナ保険証)の利用登録がスムーズに行われるようになります。

社長である私(代表取締役)は、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入することはできますか?

原則として、法人の代表取締役や役員は「労働者」ではないため、労災保険・雇用保険には加入できません。 労働保険はあくまで「雇われて働く人」を守るための制度です。

ただし、役員であっても「部長兼取締役」のように、実態として一般の従業員と同じように働き、給与(労働の対価)の大半を受け取っている場合は、ハローワーク等の承認を得て雇用保険に加入できる「兼務役員」という例外があります。
また、中小企業の経営者向けに、労災保険に特別に加入できる「労災保険の中小事業主特別加入制度」も用意されています。

会社設立から5日以上(例えば1ヶ月以上)過ぎてから年金事務所へ書類を持って行った場合、ペナルティで過去に遡って保険料を徴収されますか?

はい、設立日(または役員報酬の支給開始日)に遡って保険料が計算・徴収されます。 5日の期限を過ぎてしまっても窓口で書類は受理されますが、加入日は「設立日」等まで遡及します。

手続きが遅れた期間分(数ヶ月分)の健康保険料・厚生年金保険料が、初回にまとめて一括で請求されることになるため、会社の立ち上げ期のキャッシュフロー(資金繰り)に大きな負担がかかるという実務上のリスクがあります。

まとめ

会社設立後の社会保険手続きは、法人の義務であり、迅速な対応が求められます。 特に健康保険・厚生年金は設立から5日以内という厳しい期限が設けられています。

手続きは「年金事務所」「労働基準監督署」「ハローワーク」の3つの窓口で行い、それぞれ必要な書類が異なります。

本記事で解説した手順と必要書類を確認し、漏れなく手続きを進めてください。

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