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コラム

会社規模別マネジメント|組織が機能する人数の壁と乗り越え方

企業の成長過程において、従業員数の増加に伴い、これまで有効だったマネジメント手法が通用しなくなる「人数の壁」という課題に直面します。 この壁を乗り越え、組織が円滑に機能し続けるためには、会社の規模や成長フェーズに応じたマネジメントへの変革が不可欠です。 本記事では、組織の成長を阻む人数の壁の正体と、その壁を乗り越えて持続的な成長を実現するための具体的なマネジメント手法を、会社の規模別に解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

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会社の成長を阻む「人数の壁」とは?

「人数の壁」とは、企業の従業員数が特定の規模に達した際に、それまでの組織運営やマネジメントの方法が機能しなくなり、成長が停滞する現象を指します。
一般的に「10人の壁」や「50人の壁」などが知られており、これは組織の構造的な変化が求められる転換点の定義とされます。
この壁を越えるためには、組織の成長段階を正しく認識し、規模に適したマネジメント体制へと移行させることが必要不可欠です。

「人数の壁」のことをご存じですか?

なぜ従業員数が増えると今までのやり方が通用しなくなるのか

従業員数が少ない創業期は、経営者の目が組織の隅々まで行き届き、メンバー間の密なコミュニケーションによって業務が円滑に進む特徴があります。 従業員が増えるにつれてコミュニケーションの経路は複雑化し、情報伝達に遅れや齟齬が生じやすくなります。 経営者一人が全従業員の状況を把握することも困難になり、意思決定のスピードが低下します。 また、新旧の従業員間で価値観のズレが生じ、暗黙の了解で成り立っていた組織文化が希薄化することも、従来のやり方が通用しなくなる一因です。 こうした変化に対応できなければ、組織は非効率化し、成長が鈍化してしまいます。

多くの企業が直面する「10人の壁」と「50人の壁」の正体

「10人の壁」とは、社長が全従業員を直接管理できる限界の人数で、これを超えると業務の属人化や社長への過度な負担が問題となります。 社長の右腕となる人材を育成し、部分的に業務を任せ始める必要が出てくる最初の転換点です。 次に訪れる「50人の壁」は、組織内に部門やチームといった階層が生まれ、マネジメントのあり方が大きく変わる段階です。 この規模になると、部門間の連携不足や企業理念の形骸化といった課題が生じやすくなります。 そのため、ミドルマネージャーの設置と育成、そして理念浸透のための仕組み作りが不可欠となります。

【人数別】組織の4つの成長段階と直面するマネジメント課題

企業の成長は、従業員数に応じて大きく4つの段階に分類できます。 各段階で組織の構造や文化は変化し、経営者や管理職が直面するマネジメント課題も異なります。
創業期から拡大期、そして仕組み化期、分業期へと移行する中で、それぞれの層が果たすべき役割や求められるマネジメント手法も変化します。
自社がどの段階にあるかを正確に把握し、次のステージへ向けた準備を進めることが、持続的な成長を実現する鍵となります。

マネジメントの課題について解説します。

創業期(〜10人):社長の目が隅々まで届く家族的経営

従業員数が10人程度までの創業期は、社長の強力なリーダーシップのもと、メンバー全員が家族のように一体感を持って事業に取り組む小規模な組織です。 社長の考えが直接従業員に伝わり、意思決定も迅速に行えるため、機動力が最大の強みとなります。 一方で、業務の進め方やルールが整備されておらず、個人のスキルや経験に依存する属人化が進みやすい側面も持ち合わせます。
この段階では、社長への依存度が高く、業務負荷が集中しやすい点が課題です。 次のステージへ進むためには、個人の能力だけに頼るのではなく、業務の標準化や情報共有の仕組みを意識し始める必要があります。

拡大期(11人〜30人):価値観の共有とルール形成が求められる

従業員数が10人を超え30人規模に近づくと、社長の目が一人ひとりに行き届かなくなり、コミュニケーション不足や認識のズレが生じ始めます。 新しく入社したメンバーと創業メンバーとの間で、仕事に対する価値観や温度差が生まれることも少なくありません。 この段階では、企業のミッションやビジョンといった価値観を明文化し、組織全体で共有することが重要になります。 同時に、就業規則の整備や業務プロセスの標準化といった基本的なルール形成も不可欠です。
組織としての一体感を維持し、効率的な業務運営の土台を築くことが、この時期の主要なマネジメント課題です。

仕組化期(31人〜100人):権限委譲とマネージャー育成が急務に

従業員数が30人を超え100人規模に達する仕組化期では、社長一人ですべてを管理することが物理的に不可能になります。 そのため、部長や課長といったミドルマネージャーの役職を設置し、彼らに権限を委譲することで、組織を効率的に運営する階層構造への移行が求められます。 この時期の最重要課題は、経営者の分身として機能するマネージャーの育成です。
また、評価制度や目標管理制度といった人事の仕組みを導入し、個人の感覚ではなく客観的な基準に基づいて組織を管理する必要も出てきます。
組織的な成長を実現するための基盤を整える重要な段階です。

分業期(101人〜):部門間の連携と企業文化の浸透が鍵

従業員数が100人を超え、500人規模へと拡大していく分業期には、営業、開発、管理など機能別に組織が専門分化します。 これにより各部門の専門性が高まり、業務効率は向上しますが、一方で「部門の壁」が生じやすくなります。 いわゆるセクショナリズムが蔓延し、部門間の連携不足や対立が起こることも少なくありません。
この課題を克服するためには、全社的な視点での目標設定や、部門横断的なプロジェクトの推進、そして企業文化を組織の末端まで浸透させるための継続的な取り組みが不可欠です。 組織としての一体感をいかに維持・強化するかが、マネジメントの鍵となります。

会社の規模拡大に合わせて見直すべきマネジメントの3要素

組織が成長し、従業員数が増加する過程では、従来のマネジメント手法が機能しなくなるため、意識的な見直しが不可欠です。 特に「経営者の役割」「ミドルマネージャーのスキル」「人事評価制度」の3つの要素は、会社の規模拡大に合わせて変革すべき重要なポイントです。
これらの要素が現状の組織規模に適しているかどうかが、成長を続けるための重要な判断基準となり、組織の成熟度に合わせた最適な判断が求められます。

経営者に求められる役割の変化

創業期の経営者は、自らがプレイングマネージャーとして現場の最前線に立ち、事業を牽引する役割を担います。 しかし、組織が拡大するにつれて、その役割は大きく変化します。 従業員が増え、組織が階層化されると、経営者には現場の実務から一歩引き、会社全体の方向性を示すビジョンの策定と浸透、事業戦略の立案、そしてミドルマネージャーへの権限委譲を通じた組織構築が求められるようになります。 個人の能力で事業を引っ張る段階から、仕組みと文化で組織を動かす段階へと、自身の役割をアップデートしていくことが不可欠です。 この変化に適応できるかどうかが、企業の成長角度を左右します。

ミドルマネージャーに必須となるスキルセット

会社の規模が拡大し、組織が階層化する中で、ミドルマネージャーは経営層と現場をつなぐ要となります。 彼らに求められるのは、単なる業務遂行能力だけではありません。 経営方針を深く理解し、それを現場の具体的な業務目標に落とし込む目標設定スキル、部下一人ひとりの能力や意欲を引き出し、成長を支援する育成・動機付けのスキル、そして部門間の利害を調整し、円滑な連携を促すコミュニケーション能力など、多岐にわたるスキルセットが必須です。 これらの能力を兼ね備えたミドルマネージャーの存在が、組織全体のパフォーマンスを最大化させる上で決定的な役割を果たします。

従業員の行動を方向付ける人事評価制度

組織が小規模なうちは、経営者の主観的な判断による評価でも納得感が得られやすいですが、規模が拡大するにつれて、公平性や客観性に欠ける評価は従業員の不満やモチベーション低下の原因となります。 そのため、会社の成長フェーズに合わせて人事評価制度を見直し、明確な基準に基づいた制度へと移行させる必要があります。 評価制度は、会社が従業員にどのような行動や成果を期待しているのかを示す強力なメッセージです。 企業のビジョンや戦略と連動した評価基準を設けることで、従業員の行動を望ましい方向へと導き、組織目標の達成を促進する機能を持ちます。

組織拡大期には、経営者は実務から引きビジョン策定へ、ミドル層は目標設定や育成スキルへの更新、評価制度は客観的基準への刷新という、規模に応じた変革が必要です。

「人数の壁」を乗り越え、組織を成長させるための具体的な方法

組織の成長に伴って現れる「人数の壁」は、場当たり的な対応では乗り越えられません。 この壁を突破し、持続的な成長軌道に乗るためには、計画的かつ具体的な施策が必要です。
特に、全従業員のベクトルを合わせる「ミッション・ビジョンの浸透」、組織の対応力を高める「権限委譲」、そして一体感を醸成する「コミュニケーションの仕組み化」という3つのアプローチが有効となります。

組織を成長させる具体的な方法について解説します。

全従業員にミッションやビジョンを浸透させる

組織の規模が大きくなるほど、従業員一人ひとりが「何のためにこの仕事をしているのか」という目的意識を共有することが難しくなります。 そこで重要となるのが、企業の存在意義を示すミッションや、目指すべき将来像であるビジョンの浸透です。
これらを単なるお題目で終わらせず、経営者が自身の言葉で繰り返し語り、評価制度や日々の業務と結びつけることが求められます。
全従業員が共通の価値観を判断基準として持つことで、自律的な行動が促され、組織としての一体感が醸成されます。 これにより、部門や役職を超えた協力体制が生まれ、組織全体の力が一つの方向へと集約されます。

属人化を防ぎ、自律的な組織をつくる権限委譲の進め方

権限委譲は、経営者や上位管理職の負担を軽減するだけでなく、部下の成長を促し、組織全体の意思決定スピードを向上させるために不可欠です。 効果的に進めるには、単に業務を丸投げするのではなく、委譲する業務の目的、範囲、責任の所在を明確に伝えることが前提となります。 同時に、部下が安心して挑戦できるよう、必要な情報やリソースを提供し、失敗を許容する文化を育むことも重要です。 最初は小さな業務から始め、成功体験を積ませることで、部下の自信と能力を引き出します。
これにより、次世代のリーダーが育成され、経営者はより長期的・戦略的な課題に集中できる自律的な組織が構築されます。

組織の透明性を高めるコミュニケーションの仕組み化

従業員が増えるほど、情報伝達の遅延や歪みが生じやすくなり、組織の一体感が損なわれるリスクが高まります。 これを防ぐためには、意図的にコミュニケーションが生まれる「仕組み」を構築することが不可欠です。
例えば、全社的な情報を共有する定例会や社内報、部門間の連携を促すクロスファンクショナルなミーティング、上司と部下の信頼関係を築く1on1ミーティングなどが挙げられます。 また、ビジネスチャットツールを導入し、オープンな情報共有を促進することも有効です。
こうした仕組みを通じて組織内の情報の透明性を高めることは、従業員のエンゲージメントを向上させ、変化に強い組織風土を醸成します。

会社規模別マネジメントに関するよくある質問

会社の成長段階に応じてマネジメント手法を変えていく必要性について解説しましたが、ここでは具体的な疑問点について回答します。
中小企業と大企業のマネジメントの違いや、管理職育成の進め方など、多くの経営者や人事担当者が抱える質問を取り上げます。

30人の壁、50人の壁、100人の壁とは何ですか?

組織構造の「踊り場」で発生するコミュニケーションの機能不全です。

それぞれの壁で、管理システムの導入や評価制度の刷新が必要になります。

中小企業と大企業でマネジメントの最大の違いは何ですか?

意思決定のスピードと範囲です。 中小企業は経営者のトップダウンで迅速な判断が可能ですが、比較すると大企業では部門間の調整や手続きが重視され、ミドルマネジメントの役割が重要になります。

求められる管理の仕組みと柔軟性が根本的に異なります。

マネジメント層を育成するには何から始めるべきですか?

自社が求めるマネージャー像を明確に定義することから始めます。

その上で、候補者の選抜、体系的な研修の実施、そして実際の業務を通じた実践機会の提供が有効です。 特に、権限委譲を伴う経験を積ませることが成長を促すための判定基準となります。

プレイングマネージャーが「マネジメント」に専念するタイミングは?

チーム人数が5〜7名を超えたあたりが、一つの転換点です。

「マジックナンバー7(±2)」と呼ばれ、1人が密にコミュニケーションを取れる限界を超えると、プレイヤー業務を抱えたままではチーム全体のパフォーマンスが低下します。

質問が入ります。質問が入ります。質問が入ります。質問が入ります。 h3:Q. 急激な組織拡大で特に注意すべき点はありますか?

企業文化の希薄化とコミュニケーション不全です。

急激な人員増加は、既存の価値観を揺るがし、情報伝達の遅延や誤解を生みやすくなります。 採用段階でのカルチャーフィットの重視と、意図的なコミュニケーション機会の創出が極めて重要です。

まとめ

企業の成長過程において、最適なマネジメント手法は会社の規模に応じて変化します。 「10人の壁」「50人の壁」「100人の壁」といった従業員数は、組織のあり方を見直す重要な転換点の目安となります。

創業期には経営者のリーダーシップが中心となりますが、組織が拡大するにつれて、ミドルマネージャーへの権限委譲や、理念浸透、評価制度といった仕組みによるマネジメントへの移行が不可欠です。

自社の現状がどの成長段階にあるかを正しく認識し、経営者の役割、管理職に求めるスキル、組織のルールなどを計画的にアップデートしていくことが、継続的な成長を実現する鍵となります。

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