9:00〜17:00

(土日祝は除く)

トップページ > コラム > 給与計算 > 給与計算の属人化リスクと解消法|担当者1人の会社の対策

コラム

給与計算の属人化リスクと解消法|担当者1人の会社の対策

結論(この記事で分かること) 給与計算の属人化は、「業務の見える化」「システムの権限設定」「外部委託によるダブルチェック」を組み合わせれば、社内で給与情報を見られる人を増やさずに解消できます。担当者の不在で支払日に賃金を全額支払えないと労働基準法24条に違反するおそれがあるため、早めの対策が大切です。

給与計算を担当者1人が抱え、「その人が休んだら業務が止まる」と不安を持ちながらも、給与情報を見る人は増やしたくないという会社は少なくありません。この記事では、社会保険・労務管理の専門家である社会保険労務士法人とうかいが、給与計算の属人化のリスクと、情報管理を保ちながら解消する方法を解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

取材・寄稿のご相談はこちらから

結論:見る人を増やさず「仕組み」と「外部のチェック」で属人化を解消する

給与計算の属人化は、社内の担当者を増やさなくても、手順の文書化と外部委託によるダブルチェックで解消できます。

給与計算の属人化とは?

給与計算の属人化とは、計算の手順・判断基準・データの保管場所が特定の担当者しか分からず、その人がいないと業務が進まない状態です。子会社で長年1人の経理・総務担当者がすべてを担っているケースが典型例です。

このセクションのポイント

  • 属人化とは、特定の担当者しか業務の中身が分からない状態のこと
  • 担当者を増やさなくても、仕組みと外部チェックで解消できる
  • 子会社などで長年1人が担当している場合は特に注意が必要

属人化を放置するリスクと3つの解消法

放置するとどんなリスクがある?

属人化を放置すると、主に次の3つのリスクがあります。

リスク内容
支給遅延担当者の急な休みや退職で、支払日に全額を支払えないおそれがある
ミスの発見の遅れ確認する人がおらず、設定誤りが何か月も続くことがある
不正の温床入力から確認まで1人で完結し、不正に気づきにくい

労働基準法24条は、賃金を「全額」、「毎月1回以上、一定の期日を定めて」支払うことを定めています。支払日を守れない事態は、法令違反と従業員の信頼低下につながります。

どうすれば解消できる?

解消法は次の3つで、組み合わせるほど効果が高まります。

  1. 業務フローの見える化・マニュアル化:月次の作業手順、締め日・支払日、マスタの変更ルール、データの保存場所を文書にする
  2. システムの権限設定:閲覧・編集権限を必要な人だけに絞る(個人情報保護委員会のガイドラインでも技術的安全管理措置としてアクセス制御が挙げられています)
  3. 外部委託でダブルチェック体制にする:給与計算の全部または一部を社会保険労務士などに委託し、社内担当者と外部の二重チェックにする

外部委託なら、社内で給与情報を見る人を増やさずに、業務を知る人を2人以上にできます。担当者の休暇中も支給が止まりにくくなります。

このセクションのポイント

  • 属人化は支給遅延・ミスの発見の遅れ・不正の温床につながる
  • 見える化、権限設定、外部委託によるダブルチェックを組み合わせる
  • 外部委託なら社内の閲覧者を増やさずに属人化を解消できる

外部委託するときの情報管理はどうなる?

外部委託でも、守秘義務と委託先の監督の仕組みで給与情報は保護されます。

社労士には守秘義務がある?

はい、あります。社会保険労務士法21条は、開業社会保険労務士や社会保険労務士法人の社員が、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らすことを禁じています(社労士でなくなった後も同様)。

会社側がすべきことは?

個人情報保護法25条は、個人データの取扱いを委託する会社に、委託先への「必要かつ適切な監督」を求めています。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、次の3点が示されています。

  • 適切な委託先を選ぶ(安全管理措置の水準を事前に確認する)
  • 委託契約を結ぶ(安全管理措置の内容や取扱状況の把握方法を盛り込む)
  • 委託先での取扱状況を把握する(定期的な確認など)

このセクションのポイント

  • 社労士には社会保険労務士法21条の守秘義務がある
  • 委託元は個人情報保護法25条に基づき委託先を監督する
  • 委託先の選定・委託契約・取扱状況の把握の3点を押さえる

社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス

属人化の解消は、担当者が在籍しているうちに始めるのが確実です。今日から次の3点に取り組みましょう。

  1. 担当者と業務を棚卸しする:月次・年次の作業と期限を一覧にする
  2. 給与システムの権限を確認する:不要な閲覧・編集権限を外す
  3. 外部委託の範囲を検討する:全部委託だけでなく、計算結果のチェックのみを委託する方法もあります

このセクションのポイント

  • 担当者が在籍しているうちに業務を棚卸しする
  • 給与システムの権限を点検する
  • 一部委託やチェックのみの委託も選択肢になる

よくある質問(FAQ)

Q1. 給与計算の担当者を2人に増やすべきですか?

必ずしも増やす必要はありません。給与情報を見られる人を増やしたくない場合は、業務のマニュアル化と外部委託によるダブルチェックで、社内の閲覧者を増やさずに属人化を解消できます。

Q2. 給与計算を外部委託すると、従業員の同意が必要ですか?

原則として不要です。利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いを委託する場合、委託先は個人情報保護法上の「第三者」に当たりません。ただし、委託先の監督義務(同法25条)は会社に残ります。

Q3. 担当者が休んで給料日に間に合わなかったら違法ですか?

違法となるおそれがあります。労働基準法24条は、賃金を全額、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことを定めています。不在時に備えた体制づくりが重要です。

まとめ

給与計算の属人化は、支給遅延やミスの見逃し、不正の温床につながるリスクがあります。業務の見える化、システムの権限設定、外部委託によるダブルチェックを組み合わせれば、社内で給与情報を見る人を増やさずに解消できます。社会保険労務士法人とうかいでは、給与計算の体制づくりや外部委託のご相談を承っていますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい

参考資料

なぜ中堅・大手企業に選ばれるのか。サービス案内&事例、導入までの流れ・他社事例を1冊に凝縮。導入支援実績450社以上。無料でダウンロードする。
ご相談の流れ
無料相談は
こちら
事務所
パンフレット