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コラム

給与計算の担当者が退職したら?引き継ぎと外注化の手順

結論(この記事で分かること) 給与計算の担当者が退職するときは、担当者が計算する最後の月より前に外注先を決め、その月に最低1回の並行計算を行えば、支給を止めずに切り替えられます。在籍中に手当の計算ルールや例外処理、システムの権限を聞き出し、いまのクラウド給与ソフトをそのまま使える外注先を選ぶと移行の手間を抑えられます。

「8月支給分を最後に給与計算の担当者が辞めるので、その後はアウトソーシングしたい」というご相談は少なくありません。この記事では、社会保険・労務管理の専門家である社会保険労務士法人とうかいが、退職日から逆算したスケジュール、在籍中に聞き出すこと、いまの給与ソフトを使える外注先を選ぶメリットを解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

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結論:担当者の「最後の月」で並行計算できるように逆算する

外注化を間に合わせるには、担当者が計算する最後の月に、外注先が同じ月の給与を並行して計算できる状態にしておくことが最も重要です。退職後は、計算の根拠を確認する相手がいなくなるためです。

労働基準法24条は、賃金を全額、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うよう定めています。支給の遅れや誤りを防ぐため、引き継ぎは退職が決まった日から始めましょう。

このセクションのポイント

  • 最後の月に外注先と並行計算できるよう逆算する
  • 退職後は計算の根拠を確認できないため、在籍中の聞き取りが重要

退職日から逆算したスケジュールと聞き出すこと

いつまでに何をすればよい?

8月支給分が担当者の最後の計算となる場合、次のスケジュールが目安です(法令で定められた期限ではありません)。

時期(例)やること
退職が決まったらすぐ聞き取りを始め、外注先の候補を探す
7月支給分の計算まで外注先と契約し、ソフトの権限を付与して聞き取り結果を共有する
8月支給分(最後の月)担当者が本番、外注先が並行計算し、差異の原因をつぶす
9月支給分外注先が本番の計算を担当する

並行計算とは、切り替え前に新旧の担当が同じ月の給与を別々に計算し、結果を突き合わせることです。

なお、定時決定の標準報酬月額は9月から適用され、保険料は当月の給料から前月分を控除できます。翌月徴収なら新しい等級は10月支給分から反映するため、外注先と確認しましょう。

担当者から何を聞き出しておけばよい?

在籍中に、次の7項目を聞き取り、文書で残します。

項目確認する内容
1. 手当の計算ルール支給条件、日割り・端数処理、規程にない慣行
2. 例外処理欠勤控除、遡及昇給、立替金の精算、休職者の扱い
3. 締め日・支給日勤怠の締め日、支給日、振込データの作成・承認の流れ
4. 住民税の更新特別徴収税額の通知の受け取り方法とソフトへの反映手順
5. 社会保険の更新翌月・当月どちらで徴収しているか、等級変更の反映方法
6. 月次・年次のタスク毎月の作業、年末調整、賞与、算定基礎届などの年間予定
7. システムのID・権限給与ソフト・勤怠・ネットバンキングのログイン情報と権限者

特に1と2は担当者しか知らないことが多いため、過去の明細で「なぜこの金額か」を一緒に確認しましょう。

このセクションのポイント

  • 最後の月の前月までに外注先と契約する
  • 9月以降の標準報酬月額の反映を確認する
  • 手当のルールと例外処理は過去の明細を使って聞き取る

いまの給与ソフトを使える外注先を選ぶメリットは?

いま使っているクラウド給与ソフトをそのまま使える外注先なら、データの移行が不要で、過去の給与データも従業員の明細の見方も変わりません。

マネーフォワード クラウド給与では、1つの事業者に複数の「給与担当者」を設定でき、社労士などの専門家と共有する場合にも利用できると案内されています。給与担当者はすべての機能を操作できます。

退職する担当者のアカウントは、「メンバーの追加・管理」画面で削除すると即時にログインできなくなり、給与データは削除されません。「ログイン権限失効日」の設定でも止められます。給与担当者は自分の権限を「従業員」に変更できないため、自社にも別の給与担当者を残しておきましょう。

このセクションのポイント

  • 同じソフトなら、データ移行が不要で過去データもそのまま使える
  • 外注先は「給与担当者」として追加できる
  • 退職者のアカウントは削除か失効日で止め、自社にも給与担当者を残す

社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス

今日から次の3点に取り組みましょう。

  1. 聞き取りの日程を確保する:7項目を確認する時間を退職日までに計画的に取る
  2. 最後の月を並行計算の月にする:契約と権限付与をその前月までに終える
  3. 給与と手続きの窓口をそろえる:社労士事務所に給与計算を任せると、社会保険の手続きと給与への反映を一つの窓口で確認できます

このセクションのポイント

  • 聞き取りの時間を計画的に確保する
  • 給与計算と社会保険の手続きの窓口をそろえると確認が楽になる

よくある質問(FAQ)

Q1. 外注先はいつまでに決めればよいですか?

法令上の期限はありませんが、担当者が計算する最後の月の前月までに決めることをおすすめします。最後の月に最低1回、外注先と並行計算を行えるようにするためです。

Q2. マネーフォワード クラウド給与を使ったまま外注できますか?

はい、できます。複数の給与担当者を設定できるため、外注先を給与担当者として追加すれば、いまのデータのまま計算を任せられます。

Q3. 退職した担当者のアカウントはどうすればよいですか?

「メンバーの追加・管理」画面で削除すれば即時にログインできなくなり、給与データは残ります。ログイン権限失効日の設定でも止められます。

Q4. 担当者が有給休暇の消化に入る場合はどうなりますか?

退職日ではなく、最終出社日を基準に逆算してください。休暇中は聞き取りや並行計算の確認ができず、引き継ぎ期間が実質的に短くなります。

まとめ

給与計算の担当者が退職するときは、最後の月に外注先と並行計算できるよう逆算し、在籍中に計算ルールを聞き出しておくことが大切です。いまの給与ソフトを使える外注先なら移行の手間を抑えられます。社会保険労務士法人とうかいでは、給与計算の引き継ぎや外注化のご相談を承っていますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい

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