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コラム

年末調整の外注はどこまで?社労士と税理士の役割分担

結論(この記事で分かること) 年末調整は、申告書の回収や人事データの整備は外注しやすい一方、控除の判断を含む税額計算や税務書類の作成、税務相談は税理士の業務(税理士法2条・52条)です。源泉徴収票の交付などは翌年1月31日が期限のため、早めに「事務処理」と「税務判断」の担当を分けて決めましょう。

年末調整を外注したくても、「社労士と税理士のどちらに、どこまで頼めるのか」で迷う会社は少なくありません。この記事では、社会保険・労務管理の専門家である社会保険労務士法人とうかいが、年末調整の流れと期限、外注できる範囲、クラウドの活用法を解説します。

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア

  • NHK「あさイチ」
  • 中日新聞
  • 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」

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結論:税額計算と税務判断は税理士、回収・データ整備は外注しやすい

年末調整を外注する場合、税額計算や控除の判断にかかわる部分は税理士に依頼する必要があります。税理士法2条1項は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」を税理士業務と定め、同法52条は税理士・税理士法人以外がこれを行うことを禁じています。

年末調整とは、給与の支払者がその年最後の給与を支払う際に、源泉徴収税額と年税額との過不足を精算する手続きです(所得税法190条)。日本税理士会連合会の事業報告では、全国社会保険労務士会連合会との確認書(平成14年6月6日)で、年末調整事務は税理士業務に該当し社労士は行えないと明確にしたとされています。申告書の回収などの事務処理との細かな線引きは要確認です。

このセクションのポイント

  • 税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の独占業務
  • 日本税理士会連合会は年末調整事務を税理士業務と整理している
  • 事務処理と税務判断の細かな境界は税理士に確認する

年末調整の流れと外注先の役割分担

いつまでに何をする?

年末調整は次の順で進みます。

手順期限・時期担当の目安
1. 申告書の配布・回収その年最後の給与支払まで社内・外注先
2. 内容確認・年税額の計算同上社内、外注なら税理士
3. 過不足額の精算最後の給与支払時(不足額は翌月10日までに納付)社内の給与計算
4. 源泉徴収票の交付翌年1月31日まで(中途退職者は退職後1か月以内)社内、外注なら税理士
5. 法定調書合計表・源泉徴収票の税務署提出翌年1月31日まで社内、外注なら税理士
6. 給与支払報告書の市区町村提出翌年1月31日まで(地方税法317条の6)外注時の担当は要確認

令和9年1月1日以後は、給与支払報告書を市区町村に提出すれば、源泉徴収票を税務署に提出したものとみなされます(国税庁タックスアンサーNo.7411)。

従業員からの問い合わせは誰が答える?

問い合わせは「操作」と「税務」に分けるのが安全です。入力方法や期限の案内は外注先でも対応できますが、「この親族は扶養控除の対象か」といった相談は税務相談に当たり得るため、税理士が回答しましょう。

令和8年分で変わった点は?

令和8年分は、基礎控除・給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等(特定親族を含む)の所得要件の改正、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例創設が行われました。原則として令和8年12月1日施行で、12月の年末調整で精算します。新たに扶養の要件を満たす親族は申告書の提出が必要です。

クラウドの申告書回収機能はどう使う?

申告書の回収をクラウド化すると、回収漏れや転記ミスを減らせます。公式サイトでは次の機能が案内されています。

  • SmartHR:アンケート形式での回答、保険料控除証明書の撮影によるAI入力、結果のマネーフォワード クラウド年末調整などへの反映
  • マネーフォワード クラウド年末調整:アンケート形式での回収、給与データを取り込んだ年税額計算、源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表の作成、電子申告

自動計算でも控除の適用判断は残るため、税理士の確認を組み込みましょう。

このセクションのポイント

  • 源泉徴収票の交付と各種提出の期限は翌年1月31日
  • 令和8年分は基礎控除・給与所得控除などが改正
  • 回収はクラウドで効率化し、税務判断は税理士が確認する

社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス

まず次の3点から始めましょう。

  1. 委託範囲表を作る:6つの手順ごとに社内・社労士・税理士の担当を書き出す
  2. 連携体制を確認する:社労士事務所に依頼する場合は、税理士との連携体制があるかを契約前に確認する
  3. 問い合わせ窓口を分ける:操作の質問と税務の相談の受け先を従業員に周知する

このセクションのポイント

  • 手順ごとの委託範囲表を作る
  • 社労士事務所には税理士との連携体制を確認する
  • 問い合わせは「操作」と「税務」で窓口を分ける

よくある質問(FAQ)

Q1. 社労士事務所に年末調整を丸ごと依頼できますか?

いいえ、丸ごとの依頼は避けるべきです。日本税理士会連合会は年末調整事務を税理士業務と整理しているため、税額計算や控除の判断は税理士が担う形にし、社労士事務所には税理士との連携体制を確認しましょう。

Q2. 税理士法人に依頼すれば、税務署への提出まで任せられますか?

はい、税理士・税理士法人は税務書類の作成や税務代理を行えます。ただし対応範囲は契約によって異なるため、法定調書合計表などの提出まで含まれるか事前に確認してください。

Q3. 従業員からの問い合わせ対応も外注できますか?

はい、操作方法や提出期限の案内なら外注できます。ただし、控除を受けられるかなど税額計算にかかわる相談は税務相談に当たり得るため、税理士が回答する体制にしましょう。

Q4. 源泉徴収票はいつまでに従業員へ渡す必要がありますか?

翌年1月31日までです。年の途中で退職した人には、退職の日以後1か月以内に交付します(所得税法226条1項)。本人の承諾があれば電子交付もできます。

まとめ

年末調整は、申告書の回収やデータ整備なら外注しやすい一方、税額計算・税務書類の作成・税務相談は税理士の業務です。翌年1月31日の期限から逆算して、手順ごとの担当を決めておきましょう。社会保険労務士法人とうかいでは、給与計算や人事データ整備を含む業務の切り分けのご相談を承っていますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい

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