結論(この記事で分かること) 給与計算は、担当者が1人に固定されて属人化している、法改正への対応に不安がある、拠点や雇用形態が多く計算が複雑、といった条件に当てはまるほど外注が向いています。反対に、複数の担当者で業務を回せて、社内に労働・社会保険の知識が蓄積されている会社は内製のメリットが大きく、5つの判断基準で自社の状況を点検して決めるのが確実です。
給与計算を社内で続けるか、外部に任せるかは、多くの企業が一度は悩むテーマです。この記事では、顧問先500社以上の人事労務を支援し、給与計算を主要サービスとする社会保険労務士法人とうかいが、内製と外注を選ぶための判断基準を解説します。具体的なコストの試算方法は関連記事(No.186)で解説しています。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
- NHK「あさイチ」
- 中日新聞
- 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri/
取材・寄稿のご相談はこちらから

結論:属人化・法改正・複雑さのリスクが大きいなら外注
給与計算の内製と外注のどちらがよいかは、「社内で正確に継続できる体制があるか」で決まります。
給与計算は、労働基準法に基づく割増賃金の計算、社会保険料・雇用保険料・所得税・住民税の控除など、複数の法令が関わる業務です。例えば令和8年4月分からは、健康保険料とあわせて子ども・子育て支援金(被用者保険の支援金率は令和8年度0.23%)の徴収が始まりました。こうした変更を確実に反映し続けられる体制があれば内製、難しければ外注が向いています。

このセクションのポイント
- 判断の軸は「正確に継続できる体制があるか」
- 給与計算は労働・社会保険・税の法令が関わる
- 毎年の料率改定や新制度を反映できるかが分かれ目
内製か外注かを決める5つの判断基準
基準1:担当者が1人に固定されていないか?
担当者が1人しかいない場合は、外注を検討すべきです。退職や休職で給与が支払えなくなるリスクがあり、ミスに気づく人もいません。
基準2:法改正に自力で対応できるか?
保険料率や制度の変更を毎年自社で確認・反映できない場合は、外注が向いています。料率の切替え月を誤ると、全従業員の控除額を修正する必要があります。

基準3:給与体系は複雑か?
拠点ごとに締め日が違う、変形労働時間制やシフト勤務がある、手当の種類が多いといった場合は、計算ミスが起きやすく外注のメリットが大きくなります。
基準4:繁忙期の負荷に耐えられるか?
年末調整、算定基礎届、労働保険の年度更新、賞与計算が集中する時期に通常業務が回らない場合は、全部または繁忙期の業務だけでも外注を検討しましょう。

基準5:給与情報を社内で管理したいか?
役員報酬など給与情報を社内の担当者にも見せたくない場合は、外注が向いています。一方、外注する場合でもマイナンバーを委託するときは、会社に委託先を監督する義務がある点(番号法第11条)に注意が必要です。
| 判断基準 | 内製が向く | 外注が向く |
|---|---|---|
| 担当者 | 複数名で相互チェックできる | 1人に固定・属人化 |
| 法改正対応 | 社内に知識がある | 自力での確認が難しい |
| 給与体系 | シンプル | 拠点・雇用形態が多い |
| 繁忙期 | 余力がある | 通常業務が圧迫される |
| 情報管理 | 社内で完結させたい | 社内に見せたくない情報がある |
このセクションのポイント
- 担当者1人・法改正対応に不安がある場合は外注が有力
- 給与体系が複雑なほど外注のメリットが大きい
- 内製・外注どちらでも情報管理のルールは必要
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
内製か外注かは「全部か、ゼロか」で考える必要はありません。
- 5つの基準で自社を点検する:上の表で「外注が向く」に3つ以上当てはまれば、外注を具体的に検討する
- 部分委託から始める:年末調整や社会保険手続きなど、負荷の大きい業務だけを先に委託する方法もある
- 社内に確認役を残す:外注しても、勤怠データの確認と最終承認は社内で行う体制にする

社会保険労務士法人とうかいでは、給与計算と社会保険手続きをワンストップでお引き受けし、部分的な委託のご相談にも全国フルリモートで対応しています。 → 給与計算アウトソーシングのご案内:https://www.tokai-sr.jp/service/payroll/
このセクションのポイント
- 5基準のうち3つ以上が外注向きなら検討する
- 部分委託から始める選択肢もある
- 最終承認は社内に残す
よくある質問(FAQ)
Q1. 給与計算を外注するデメリットはありますか?
はい、あります。委託費が発生するほか、勤怠データの受け渡しにスケジュールの制約が生じ、社内にノウハウが蓄積しにくくなります。締め日から支給日までの日程を委託先と事前に調整することが重要です。

Q2. 給与計算だけ外注して社会保険手続きは社内で行えますか?
はい、可能です。ただし給与計算と社会保険の手続きは標準報酬月額などのデータが連動するため、別々に管理すると情報の行き違いが起きやすくなります。一括委託も比較して検討してください。
Q3. 社会保険労務士法人とうかいに内製か外注かの相談だけでもできますか?
はい、ご相談いただけます。社会保険労務士法人とうかいでは、現在の給与計算の体制や業務量をお伺いしたうえで、委託すべき範囲を一緒に整理します。全国からオンラインでご相談可能です。

まとめ
給与計算の内製と外注は、属人化・法改正対応・給与体系の複雑さ・繁忙期の負荷・情報管理の5つの基準で判断するのが確実です。自社にとって最適な委託範囲を知りたい方は、社会保険労務士法人とうかいまでお気軽にご相談ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい 2011年開業・2015年法人化。名古屋本社・東京神田事務所を拠点に、顧問先500社以上の人事労務を全国フルリモートで支援。社労士事務所TOP100(2023年)選出、2026年サステナグロースカンパニーアワード「ライジングスター賞」受賞。
参考資料
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」:https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkinseido
- 協会けんぽ「協会けんぽの子ども・子育て支援金率について」:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/insurance_rate/003/index.html
- 労働基準法 第37条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 第11条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000027



