結論(この記事で分かること) 2026年11月時点で、子の看護等休暇・介護休暇の「中抜け」を認めることは法律上の義務ではありません。ただし、厚生労働省の指針は中抜けを認めるよう事業主に配慮を求めており、2026年10月26日の第93回雇用環境・均等分科会では「中抜けを原則可能とすること」が審議論点になりました。すでに中抜けを認めている会社は、制度を廃止せず、申請と勤怠記録のルールを整えておくことが大切です。
「病院の付き添いで2時間だけ抜けたい」という従業員からの申出に、どう対応すべきか迷う人事担当者は少なくありません。この記事では、子の看護等休暇・介護休暇の中抜けについて、現行のルール、2026年の見直し案、申請・勤怠記録の実務を、社会保険労務士法人とうかいが厚生労働省の資料をもとに解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
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- NHK「あさイチ」
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結論:現行法では中抜けは「義務ではないが配慮が求められる」
中抜けとは、勤務の途中で時間単位の休暇を取って職場を離れ、その日のうちに勤務に戻ることです。現行の育児・介護休業法施行規則は、時間単位の看護等休暇・介護休暇を「始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続する」形で取れるようにすることを求めています。つまり、法律上は「朝に休んでから出勤する」「早めに退勤する」形を認めれば足ります。

一方、育児・介護休業法の指針(第2の2(4))は、中抜けを認めるなど制度を弾力的に利用できるよう配慮することを事業主に求めています。
このセクションのポイント
- 現行法で義務なのは「始業から連続」または「終業まで連続」の時間単位取得
- 中抜けは義務ではないが、指針で配慮が求められている
- すでに中抜けを認めている場合、やめることは不利益変更にあたり、原則として労使の合意が必要
2026年の見直し案で何が変わる?
2026年10月26日の第93回雇用環境・均等分科会(資料2)で、厚労省は次の2点を論点として示しました。
| 項目 | 現行(2026年11月時点) | 見直し案(審議中) |
|---|---|---|
| 中抜け | 義務ではない(指針で配慮) | 原則として可能とする |
| 中抜けを拒める場合 | ― | 業務の性質・実施体制から中抜けが困難な業務に就く労働者は、労使協定で中抜けの申出を拒めるようにする |
| 施行日 | ― | 未定(要確認) |
分科会では、「中小企業の現場実態を踏まえ慎重に検討すべき」という意見と、「介護開始時に中抜けできた人ほど就業継続率が高いというデータを踏まえ検討を進めるべき」という意見の両方が出ています。同じ分科会では、男性の育児休業の取得期間を公表項目に追加する案(常時雇用1,000人超の企業)や、くるみん認定基準の見直しも議題になっています。いずれも審議段階です。
なお、2025年4月の改正で、子の看護等休暇の対象は小学校3年生修了までの子に広がり、取得事由に感染症に伴う学級閉鎖や入園(入学)式・卒園式が加わっています。
このセクションのポイント
- 中抜けを「原則可能」とし、困難な業務は労使協定で除外できる案が審議中
- 男性育休の取得期間公表、くるみん基準の見直しもあわせて議論されている
- 施行日は決まっていない
中抜けを認める場合の申請・勤怠記録はどうする?
中抜けを認める場合は、「休暇の時間」と「労働時間」を勤怠上で区別して記録することが重要です。例えば、所定労働時間9:00〜18:00(休憩12:00〜13:00)の従業員が、子の通院付き添いで10:00〜12:00に中抜けする場合は次のように記録します。

| 時刻 | 打刻・記録 | 扱い |
|---|---|---|
| 9:00 | 出勤 | 労働時間 |
| 10:00 | 外出(看護等休暇 開始) | 子の看護等休暇 2時間 |
| 12:00〜13:00 | 休憩 | 休憩時間 |
| 13:00 | 戻り | 労働時間 |
| 18:00 | 退勤 | 実労働6時間+休暇2時間 |
あわせて、次の点を休暇規程で定めておくとトラブルを防げます。
- 申請方法:当日の口頭・チャット申請を認めるか、事後の記録方法
- 単位:1時間単位(1時間未満の端数がある所定労働時間は切り上げて「1日分」を計算)
- 有給・無給:法律上は会社が決められるため、規程に明記する
- 移動時間の扱い:職場を離れてから戻るまでを休暇とすることを明確にする
このセクションのポイント
- 中抜けの時間は「休暇」として、労働時間と分けて打刻・記録する
- 申請方法、取得単位、有給・無給、移動時間の扱いを規程で定める
- 改正が決まれば、労使協定で除外する業務の整理も必要になる可能性がある
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
- 自社の現状を確認する:育児・介護休業規程で中抜けを認めているか、実際の運用と一致しているかを点検しましょう。
- 勤怠システムの設定を確認する:時間単位の休暇を勤務途中に登録できるか、休暇時間が労働時間から正しく除かれるかを確かめましょう。
- 中抜けを認めていない場合は、改正前の導入も検討する:指針の配慮義務に沿い、改正が決まった際の対応も軽くなります。

このセクションのポイント
- 規程・運用・勤怠システムの3点を点検する
- 中抜けの導入は改正前でも検討する価値がある
よくある質問(FAQ)
Q1. 子の看護等休暇で勤務途中の外出を必ず認めなければいけませんか? A. いいえ、2026年11月時点では義務ではありません。法律上は始業から連続、または終業まで連続する時間単位の取得を認めれば足ります。ただし指針は中抜けへの配慮を求めており、中抜けを原則可能とする案が審議中です。
Q2. 介護休暇の中抜けも同じ扱いですか? A. はい、同じです。介護休暇も現行法では中抜けは義務ではなく、指針で配慮が求められています。第93回分科会の見直し案も、子の看護等休暇と介護休暇の両方が対象です。

Q3. 今認めている中抜けを廃止してもよいですか? A. 原則として労使の合意が必要です。厚労省のQ&Aでは、中抜けを認めている制度をやめることは労働者にとって不利益な変更にあたり、労働契約法により原則として合意が必要とされています。
Q4. 中抜けの時間は給与から控除できますか? A. 無給とする規程であれば控除できます。看護等休暇・介護休暇の有給・無給は法律で定められていないため、会社の規程によります。ただし、実際に休んだ時間を超えて控除することはできません。

まとめ
子の看護等休暇・介護休暇の中抜けは、現行法では義務ではありませんが、指針で配慮が求められ、原則可能とする見直し案が審議中です。今のうちに、規程・申請フロー・勤怠記録をそろえておくと、改正が決まった際もスムーズに対応できます。育児・介護休業規程の改定やクラウド勤怠の運用は、社会保険労務士法人とうかいへお気軽にご相談ください(就業規則の作成・改訂/労務相談顧問/勤怠DX支援)。
監修:社会保険労務士法人とうかい
参考資料
- 厚生労働省「労働政策審議会 雇用環境・均等分科会(第93回)資料2 仕事と育児の両立支援に関する検討項目と主な御意見」(2026年10月26日) https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001762771.pdf
- 厚生労働省「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A」(問1-9、問1-14) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582061.pdf
- 厚生労働省「育児・介護休業法 令和6年(2024年)改正内容の解説」(指針第2の2(4)を含む) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001407488.pdf



