結論(この記事で分かること) 22時〜翌5時の労働には25%以上の深夜割増が必要で、時間外労働と重なれば50%以上、月60時間を超える時間外労働と重なれば75%以上になります。日をまたぐ継続勤務は始業日の1日の労働として扱い、管理監督者にも深夜割増は必要です。
サーバー保守など深夜作業のある会社では、割増率の重複や日またぎの扱いで計算を誤りやすくなります。この記事では、社会保険・労務管理の専門家である社会保険労務士法人とうかいが、深夜勤務の給与計算の注意点と過去分の再計算の進め方を解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
- NHK「あさイチ」
- 中日新聞
- 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
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結論:深夜割増は時間外・休日の割増に「上乗せ」する
深夜労働とは、午後10時から午前5時までの労働です(労働基準法37条4項)。この時間帯の労働には25%以上の割増賃金が必要で、時間外・休日労働と重なる場合は割増率を合算します(労基則20条)。

| 重なり方 | 割増率 |
|---|---|
| 深夜のみ(所定労働時間内) | 25%以上 |
| 時間外+深夜 | 50%以上 |
| 月60時間超の時間外+深夜 | 75%以上 |
| 休日労働+深夜 | 60%以上 |
このセクションのポイント
- 深夜は22時〜翌5時、25%以上
- 時間外と重なれば50%以上、月60時間超なら75%以上
- 休日労働と重なれば60%以上
計算でつまずきやすい3つの論点
日をまたぐ勤務はどちらの日の労働?
始業時刻が属する日の労働として扱います。継続勤務が2暦日にわたる場合は一勤務として扱う、とする行政通達(昭和63年1月1日基発1号)があるためです。午前0時で区切って翌日を「新しい1日」として数えると、時間外労働が少なく計算されるおそれがあります。

計算例は?(数字は架空の例です)
時間単価2,000円、所定9時〜18時(休憩1時間・実働8時間)の従業員が、サーバー保守で翌2時まで休憩なしで働いた場合です。
- 18時〜22時(時間外4時間):2,000円×1.25×4時間=10,000円
- 22時〜翌2時(時間外+深夜4時間):2,000円×1.5×4時間=12,000円
- 割増賃金の合計:22,000円
なお、所定労働時間内の深夜労働(夜勤シフトなど)は時間外ではないため、通常の賃金に25%以上を加算します。
管理監督者にも深夜割増は必要?
必要です。最高裁平成21年12月18日判決(ことぶき事件)は、管理監督者でも深夜割増賃金を請求できると判断しました。ただし、所定賃金が一定額の深夜割増を含む趣旨で定められていることが明らかな場合は、その額の限度で支払いは不要とされています。

このセクションのポイント
- 日をまたぐ継続勤務は始業日の労働として数える
- 時間外の深夜は1.5倍、所定内の深夜は0.25を加算
- 管理監督者も深夜割増の対象
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
過去分の再計算は、次の3ステップで進めましょう。
- 対象期間を決める:賃金請求権の消滅時効は、2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金について当分の間3年です(労基法115条・附則143条3項)。
- 勤怠記録と賃金台帳を突き合わせる:打刻を「所定内/時間外/深夜/休日」に区分し直し、月60時間超の時間外も確認します。
- 差額を精算する:未払いは速やかに支払います。過払いを給与から差し引く場合は、賃金全額払いの原則(労基法24条)との関係で注意が必要です。

このセクションのポイント
- 遡る期間の目安は支払期日から3年
- 打刻を時間帯ごとに区分し直して再計算
- 過払いの調整は慎重に
よくある質問(FAQ)
Q1. 時間外労働が深夜に及んだら割増率は何%ですか?
50%以上です。時間外労働の25%以上と深夜労働の25%以上を合算します。月60時間を超える時間外労働が深夜に及んだ場合は75%以上です。
Q2. 23時から翌8時の勤務は何日の労働になりますか?
始業時刻が属する日の労働です。継続勤務が2暦日にわたる場合は一勤務として扱うとする行政通達があり、午前0時で区切って別の日として数えることはできません。

Q3. 管理職なら深夜割増は不要ですか?
いいえ、不要ではありません。管理監督者は時間外・休日の割増の対象外ですが、深夜割増は対象です。最高裁も管理監督者の深夜割増賃金の請求を認めています。

Q4. 過去の未払いは何年分さかのぼればよいですか?
支払期日から3年分が目安です。2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金の消滅時効は、当分の間3年とされています。
まとめ
深夜勤務の給与計算では、割増率の合算、日またぎの扱い、管理監督者の深夜割増の3点が要注意です。過去分は3年を目安に勤怠記録と照合して再計算しましょう。社会保険労務士法人とうかいでは、深夜勤務を含む給与計算の点検や再計算のご相談を承っていますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい
参考資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」第24条(賃金の支払)・第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)・第41条・第115条(時効)・附則第143条:https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第20条(時間外・休日労働が深夜に及ぶ場合の割増賃金):https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023
- 厚生労働省 法令等データベース「改正労働基準法の施行について(昭和63年1月1日基発第1号・婦発第1号)」:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1899&dataType=1&pageNo=1
- 厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」:https://www.mhlw.go.jp/content/000617974.pdf
- 裁判所「最高裁判所第二小法廷 平成21年12月18日判決(ことぶき事件)」判決全文:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/279/038279_hanrei.pdf



