結論(この記事で分かること) 社労士へのスポット依頼は「年度更新」「36協定の作成」など期限と範囲がはっきりした単発業務に向き、顧問契約は労務相談や法改正対応など継続的な判断が必要な業務に向いています。トラブル相談や規程の見直しが年に何度も発生する会社は顧問契約、手続きが年数回で社内に労務担当者がいる会社はスポット依頼を目安に選びましょう。
「年度更新や36協定だけを頼みたい」「相談しても返信が遅く、納得できる回答がもらえない」といった悩みは、契約の形と依頼内容が合っていないことが原因の場合があります。この記事では、社会保険・労務管理の専門家である社会保険労務士法人とうかいが、スポット依頼と顧問契約の違い、それぞれに向く業務、選び方の目安を解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
- NHK「あさイチ」
- 中日新聞
- 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri/
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結論:単発の手続きはスポット、継続的な相談は顧問が向いている
スポット依頼とは、特定の手続きや書類作成を1件ごとに依頼する契約の形です。顧問契約とは、月単位などで継続的に契約し、相談対応や手続きを継続して任せる契約の形です。
社会保険労務士法第2条は、社労士の業務として、申請書等の作成・提出代行(1号関係)、帳簿書類の作成(2号)、労務管理や社会保険に関する相談・指導(3号)を定めています。ただし、スポットか顧問かという契約の形は法律で決まっているものではなく、依頼する業務の性質に合わせて選ぶものです。

このセクションのポイント
- スポット依頼=1件ごとの依頼、顧問契約=継続的な依頼
- 社労士の業務には「手続き・書類作成」と「相談・指導」がある
- 契約の形は業務の性質(単発か継続か)に合わせて選ぶ
スポット向きの業務と顧問向きの業務
どの業務がスポット向き?どの業務が顧問向き?
期限と作業範囲が明確な業務はスポット向き、日常的な判断や継続的な管理が必要な業務は顧問向きです。
| 業務 | スポット向き | 顧問向き | 理由 |
|---|---|---|---|
| 労働保険の年度更新 | ◎ | ○ | 毎年6月1日〜7月10日の決まった手続き |
| 36協定の作成・届出 | ◎ | ○ | 作成時期が明確。ただし毎年の更新管理が必要 |
| 就業規則の作成・修正 | ○ | ◎ | 単発でも可能だが、法改正に応じた見直しが続く |
| 労務トラブルの相談 | △ | ◎ | 事情を把握した上での継続的な助言が必要 |
| 給与計算 | △ | ◎ | 毎月発生し、勤怠・社会保険と連動する |
| 入退社の手続き | ○ | ◎ | 発生の都度、期限のある届出が必要 |
36協定は一度作れば終わり?
いいえ、36協定は定期的な更新が必要です。厚生労働省のQ&Aでは、36協定の対象期間は1年間に限られ、有効期間は1年間とすることが望ましいとされています。時間外労働をさせるには、36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります(労働基準法第36条第1項)。

このセクションのポイント
- 年度更新・36協定の作成など期限が明確な業務はスポットでも対応しやすい
- 労務相談・給与計算など毎月・随時発生する業務は顧問向き
- 36協定は原則1年ごとの更新管理が必要になる
スポットだけで済ませる3つのリスク
スポット依頼だけだと何が困る?
スポット依頼だけで済ませると、次の3つのリスクがあります。
- 法改正の情報が入りにくい:依頼のない期間は、就業規則や手続きに影響する法改正を自社で追う必要があります。
- トラブルが起きてからの相談になる:会社の事情を継続的に共有していないため、問題が大きくなってから相談することになりがちです。
- 手続きの期限管理が自社任せになる:年度更新や36協定の更新時期を、自社で把握して依頼する必要があります。

相談への返信が遅いのはなぜ?
契約の範囲に相談対応が含まれていないことが一因の場合があります。スポット契約は依頼した業務に限って対応するのが一般的なため、相談をどこまで受けるか、返信の目安はどの程度かを契約時に確認しておくことが大切です。
このセクションのポイント
- スポットだけでは法改正の情報収集と期限管理を自社で担うことになる
- トラブルが大きくなってからの相談になりやすい
- 相談対応の範囲・返信の目安は契約前に確認する
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
どちらを選ぶか迷ったら、次の3点を確認しましょう。
- 年間の依頼内容を書き出す:年度更新・36協定・入退社・相談の発生頻度を一覧にする
- 社内の担当者の状況を確認する:法改正の確認や期限管理を社内で担えるかを判断する
- 契約範囲を明確にする:相談対応の有無、対応する業務、連絡方法を契約書で確認する

このセクションのポイント
- 年間の依頼内容と頻度を書き出して比べる
- 社内で期限管理・法改正対応ができるかで判断する
- どちらの契約でも対応範囲を事前に明確にする
よくある質問(FAQ)
Q1. 年度更新だけをスポットで依頼できますか?
はい、年度更新のみをスポットで受け付けている社労士事務所もあります。年度更新は毎年6月1日〜7月10日に行う手続きのため、5月までに前年度の賃金データを準備して依頼すると余裕を持って進められます。

Q2. 顧問契約をすると、どんな業務まで頼めますか?
契約内容によって異なります。労務相談、手続き代行、給与計算、規程作成などの範囲は事務所ごとに設定されているため、契約前に対応範囲を書面で確認しましょう。

Q3. スポット依頼から顧問契約に切り替えることはできますか?
はい、切り替えは可能です。まずはスポットで依頼し、対応の質や相談のしやすさを確認してから顧問契約を検討する方法もあります。
Q4. 就業規則の修正はスポットで十分ですか?
単発の修正ならスポットでも対応できます。ただし、法改正のたびに見直しが必要になるため、改正情報の提供を含めて任せたい場合は顧問契約が向いています。
まとめ
社労士へのスポット依頼は単発の手続きに、顧問契約は継続的な労務相談や期限管理に向いています。年間の依頼内容と社内体制を整理し、契約範囲を明確にしたうえで選びましょう。社会保険労務士法人とうかいでは、スポットと顧問のどちらが自社に合うかのご相談も承っていますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

監修:社会保険労務士法人とうかい
参考資料
- e-Gov法令検索「社会保険労務士法」第2条(社会保険労務士の業務):https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089
- e-Gov法令検索「労働基準法」第36条(時間外及び休日の労働):https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A」(2-1:36協定の対象期間と有効期間、2-26:36協定の締結・届出):https://www.mhlw.go.jp/content/000487097.pdf
- 東京労働局「令和8年度労働保険の年度更新について」(年度更新期間は6月1日から7月10日まで):https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudou_hoken/2015_001_00004.html



