結論(この記事で分かること) 労務デューデリジェンス(労務DD)の費用に公的な統一相場はありません。対象となる拠点数、調査範囲の深さ、担当する専門家が社労士か弁護士かによって金額が変わります。中小企業庁の「事業承継・M&A補助金」(専門家活用枠)では、デュー・ディリジェンス費用を含む専門家活用費用全体が補助率2/3又は1/2、補助上限800万円以内の対象になっており、費用規模を考える際の一つの目安になります。
「M&Aを検討しているが、労務デューデリジェンスにどのくらい費用がかかるのか分からない」という相談は、譲受企業・譲渡企業の双方から寄せられます。この記事では、M&A労務デューデリジェンスの支援実績がある社会保険労務士法人とうかいが、費用の決まり方と調査範囲を解説します。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
- NHK「あさイチ」
- 中日新聞
- 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri/
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結論:労務DDの費用は「調査範囲」と「担当する専門家」で決まる
労務デューデリジェンスとは、M&Aに際して譲受企業が譲渡企業の雇用状況・労働条件・コンプライアンス状況を調査し、未払い残業代などの簿外債務・偶発債務や法令違反リスクを洗い出すプロセスです。
費用に公的な統一相場はなく、対象拠点数、調査する資料の範囲(雇用契約書・36協定・賃金台帳など)の深さ、現地訪問の有無、担当する専門家が社労士か弁護士かによって金額が変わります。弁護士に依頼する場合は法務デューデリジェンスと同時に行うことが多く、費用は比較的高額になる傾向があります。

このセクションのポイント
- 労務DDは未払い残業代などの簿外債務・偶発債務を洗い出す調査
- 費用は対象拠点数・調査範囲の深さ・担当専門家で変わり、公的な統一相場はない
- 弁護士が法務DDと同時に行う場合は比較的高額になりやすい
労務DDの費用を左右する要素と調査範囲
何を調べるのか?
労務DDの主な調査項目は、人事(採用・異動・退職)、服務規律(出退勤、副業・兼業、ハラスメント)、労働時間(管理体制、管理監督者の範囲、休日・休憩)、休暇(年次有給休暇、育児・介護休業)、賃金(割増賃金の計算、未払いの有無、賞与・退職金)、安全衛生(長時間労働、健康診断)です。これらのうち、簿外債務・偶発債務につながる事項を重点的に確認します。
費用はどんな要素で変わる?
対象拠点数、従業員数、資料の整備状況(未整備なほど精査に時間がかかる)、現地訪問・ヒアリングの有無、報告書の詳細度などが費用を左右します。令和2年4月の民法改正に伴い賃金請求権の消滅時効が延びたことから、未払い残業代請求のリスクが増しており、調査範囲をどこまで広げるかが費用に直結します。
国の補助金はデューデリジェンス費用に使える?
中小企業庁の「事業承継・M&A補助金」(専門家活用枠)は、M&Aによる経営資源の引継ぎを行う中小企業・小規模事業者を対象に、M&A支援業者への手数料、セカンドオピニオン、デュー・ディリジェンス費用などを補助対象経費としています(補助率2/3又は1/2、補助上限800万円以内)。これは国が専門家活用費用の規模をどの程度の水準で想定しているかを示す一つの目安になりますが、あくまで補助金の上限額であり、個別の労務DD費用そのものの市場相場を示すものではありません。利用にあたっては公募要領の最新情報を確認する必要があります。
このセクションのポイント
- 対象拠点数・資料の整備状況・現地訪問の有無・報告書の詳細度が費用を左右する
- 公的な統一相場はなく、見積りは個別に依頼する必要がある
- 事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)はDD費用を含む専門家活用費用を補助対象とする(補助上限800万円以内、補助率2/3又は1/2)
社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
労務DDを依頼する際は、次の3点を押さえておくと進めやすくなります。
- M&Aのスキームが固まった早い段階で範囲をすり合わせる:対象拠点・確認したい項目を専門家と事前に共有する
- 資料開示リストを整理しておく:雇用契約書、36協定、賃金台帳などの所在を事前に把握しておくと精査効率が上がる
- 遡及期間を明確にして依頼する:未払い残業代などの指摘事項は、消滅時効の期間を踏まえた試算まで依頼する

社会保険労務士法人とうかいは、M&A労務デューデリジェンスの支援実績があり、全国フルリモートで対応しています。
→ M&A労務デューデリジェンスのご案内:https://www.tokai-sr.jp/service/ma_duediligence/
このセクションのポイント
- スキーム確定後の早い段階で調査範囲をすり合わせる
- 資料開示リストを事前に整理し精査効率を高める
- 遡及期間を明確にして未払い賃金等の試算を依頼する
よくある質問(FAQ)
Q1. 労務DDは誰に依頼できますか?
社労士、弁護士、M&A仲介業者などに相談できます。社労士は労働・社会保険の専門家であり、就業規則や給与計算の実務にも踏み込んで調査できる点が特徴です。
Q2. 労務DD費用に公的な相場はありますか?
いいえ、ありません。対象拠点数、調査範囲の深さ、担当する専門家によって金額が変わるため、個別に見積りを依頼して比較する必要があります。
Q3. 労務DD費用に補助金は使えますか?
事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)では、デュー・ディリジェンス費用を含む専門家活用費用が補助対象経費となる場合があります(補助上限800万円以内、補助率2/3又は1/2)。利用の可否は最新の公募要領を確認してください。
Q4. 労務DDで何が分かりますか?
未払い残業代などの簿外債務・偶発債務、労働時間管理や36協定の遵守状況などの法令違反リスクが分かります。M&A後に発覚するトラブルを事前に把握する手段になります。
まとめ
労務デューデリジェンスの費用には公的な統一相場がなく、調査範囲と担当する専門家によって金額が変わるため、早い段階での範囲のすり合わせが重要です。M&Aに伴う労務リスクを把握したい方は、社会保険労務士法人とうかいまでお気軽にご相談ください。

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監修:社会保険労務士法人とうかい 2011年開業・2015年法人化。名古屋本社・東京神田事務所を拠点に、顧問先500社以上の人事労務を全国フルリモートで支援。社労士事務所TOP100(2023年)選出、2026年サステナグロースカンパニーアワード「ライジングスター賞」受賞。
参考資料
- 中小企業庁「中小企業生産性革命推進事業『事業承継・M&A補助金』(十一次公募)の公募要領を公表します」(令和7年3月31日):https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2025/250331shoukei_kobo.html
- 賃金請求権の消滅時効に関する民法・労働基準法改正(厚生労働省資料):https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001456297.pdf
