結論(この記事で分かること) 手続きや給与計算のミスが繰り返される、回答が遅く的外れ、法改正やリスクについて先回りした助言がない、といった状態が続くなら、顧問社労士の見直しを検討するタイミングです。社労士との顧問契約は一般に委任(準委任)契約と整理され、民法651条により各当事者がいつでも解除できますが、解除の時期と引き継ぎの段取りを誤ると実務が止まるため、「判断基準の整理→契約書の確認→後任選定→並行期間を設けた引き継ぎ」の順で進めることが重要です。
社会保険・労務管理の専門家である社会保険労務士法人とうかいが解説します。「今の社労士で本当に大丈夫だろうか」「経営陣から他社比較を求められているが、何を基準に判断すればよいかわからない」というご相談は、人事労務の現場で少なくありません。この記事では、顧問社労士を変更すべきタイミングの見極め方、客観的な判断基準、契約解除の法的な考え方、そして引き継ぎで失敗しないための具体的な手順について解説します。特定の事務所の良し悪しではなく、自社にとって必要な支援を受けられているかを点検するための視点としてお読みください。
この記事の監修
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先450社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
- NHK「あさイチ」
- 中日新聞
- 船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri/
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1. この記事の要約
- 顧問社労士の見直しは、「ミスの再発」「対応の遅さ・ずれ」「提案の不在」「費用の不透明さ」「トラブル時の助言不足」のいずれかが継続しているときに検討するのが目安です。
- 判断は感覚ではなく、ミスの件数・回答までの日数・提案の有無などを記録した「事実」に基づいて行うことが、社内説明と後任選定の両方で役立ちます。
- 社労士との顧問契約は委任(準委任)契約と整理されることが一般的で、民法651条により各当事者はいつでも解除できますが、相手方に不利な時期の解除は損害賠償の対象になり得ます。
- 切り替え時は、契約書の解約条項(予告期間など)を確認し、年度更新・算定基礎届・年末調整などの繁忙期を避け、並行期間を設けて引き継ぐのが安全です。
- 社会保険労務士には法律上の守秘義務(社会保険労務士法第21条)があり、後任への資料の受け渡しは会社の主導で行うことが基本です。
2. そもそも、顧問社労士の「変更」とは?
顧問社労士の変更とは、労働・社会保険の手続きや労務相談を継続的に委託している社会保険労務士(または社会保険労務士法人)との契約を終了し、別の社会保険労務士に委託先を切り替えることです。会社側の判断で行える経営上の選択であり、特別な行政手続きが必要なものではありません。
社会保険労務士の業務範囲は、社会保険労務士法第2条で定められています。主な内容は次のとおりです。
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書・届出書などの書類作成(第2条第1項第1号)
- それらの書類の提出代行・事務代理(同第1号の2・第1号の3)
- 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(同第2号)
- 労務管理や社会保険に関する相談・指導(同第3号)

このほか、個別労働関係紛争の解決手続(調停、あっせん等)の代理は、特定社会保険労務士のみが行えます(厚生労働省「社会保険労務士制度」)。つまり、顧問社労士に期待される役割は「手続きを正確にこなすこと」だけではなく、「労務管理について相談に応じ、指導すること」まで含まれます。見直しを考える際は、この両面で自社が十分な支援を受けられているかを確認することが出発点になります。
なお、2025年(令和7年)の社会保険労務士法改正では、社労士の「使命」に関する規定が新設され、第2条第1項第3号の業務に「労務監査」(法令や就業規則などの遵守状況の監査)が含まれることが明記されました。厚生労働省の通達では、これは従前から行われていた業務を明記したもので、相談・指導業務の範囲を拡大・縮小するものではないとされています。
専門用語解説
- 顧問契約とは、社労士が会社の手続き代行や労務相談を継続的に引き受ける契約です。月額の顧問料と、スポット業務ごとの報酬を組み合わせる形が多く見られますが、内容は事務所ごとに異なります。
- 委任・準委任契約とは、一定の事務の処理を相手に委ねる契約です。民法第656条により、法律行為でない事務の委託(準委任)にも委任の規定が準用されます。
- 任意解除権とは、委任契約の各当事者が理由を問わずいつでも契約を解除できる権利です(民法第651条第1項)。
- 守秘義務とは、社労士が正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしたり盗用したりしてはならない義務です(社会保険労務士法第21条)。社労士でなくなった後も同様とされています。
このセクションのポイント
- 顧問社労士の変更は、会社の判断で行える経営上の選択です。
- 社労士の業務は社会保険労務士法第2条で定められ、手続きだけでなく相談・指導も含みます。
- 2025年の法改正で、社労士の使命規定と「労務監査」が明記されました。
- 顧問契約は委任(準委任)契約と整理されるのが一般的で、民法の委任の規定が基本ルールになります。
3. 制度の詳細:押さえるべきポイント(見直しの判断基準と契約解除のルール)
顧問社労士を見直すかどうかは、「正確性」「対応力」「提案力」「費用の透明性」「リスク対応力」の5つの基準で点検すると判断しやすくなります。契約の解除そのものは民法上いつでも可能ですが、時期や手順には注意が必要です。

見直しを検討すべきタイミングはいつ?
見直しの目安は、次のような状態が「一度きり」ではなく「繰り返し」起きているときです。
- 給与計算や資格取得・喪失手続きなどで、同じ種類のミスが再発している
- 問い合わせへの回答に時間がかかり、質問の趣旨とずれた回答が返ってくる
- 法改正の情報提供がなく、会社から聞かない限り動いてもらえない
- 作業ごとに追加費用が発生し、業務効率化の提案もない
- 労務トラブルが起きた際、リスクの見通しや対応方針の助言が得られない
- 経営陣からコストや支援内容の妥当性について、他社比較を求められている
一度のミスや行き違いはどの事務所でも起こり得ます。重要なのは、原因の説明と再発防止策が示され、改善が見られるかです。
客観的な判断基準は?(5つのチェック項目)
感覚的な不満だけで判断すると、後任選びでも同じ失敗を繰り返しがちです。次の表を使って、現状を事実ベースで点検することをおすすめします。
| 判断基準 | 確認するポイント | 見直しを検討するサイン |
|---|---|---|
| ① 正確性 | 手続き・給与計算のミスの件数と内容、再発防止策の有無 | 同種のミスが繰り返され、原因説明や改善策が示されない |
| ② 対応力 | 回答までの日数、回答が質問の趣旨に合っているか、担当者の窓口体制 | 回答が遅い・ずれる状態が続き、業務判断が止まる |
| ③ 提案力 | 法改正情報の提供、就業規則見直しや業務改善の提案の有無 | 会社から聞かない限り情報提供や提案がない |
| ④ 費用の透明性 | 顧問料に含まれる業務と別料金の業務の範囲が明確か | 追加費用の基準が不明確で、効率化の提案もない |
| ⑤ リスク対応力 | 労務トラブル時に、選択肢とリスクを示した助言があるか | 問題社員対応などで、方針の助言が得られない |
メールや依頼記録をもとに「いつ・何を依頼し・いつ・どう対応されたか」を一覧にしておくと、経営陣への説明資料にもなります。
顧問契約はいつでも解除できる?
はい、民法上は各当事者がいつでも解除できます。民法第651条第1項は「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定めています。ただし同条第2項により、相手方に不利な時期に解除した場合などには、やむを得ない事由がない限り、相手方の損害を賠償しなければならないとされています。

実務上は、民法の規定よりも先に顧問契約書の解約条項を確認することが大切です。多くの契約書では、解約の予告期間や、解約月の報酬の扱い、途中まで進んでいる業務の取り扱いなどが定められています。契約書の定めが民法の規定とどう関係するかは個別の契約内容によるため、判断に迷う場合は専門家に確認してください(個別の契約条項の有効性は要確認)。
前の社労士に預けた情報は守られる?
はい、社会保険労務士には法律上の守秘義務があります。社会保険労務士法第21条は、開業社会保険労務士または社会保険労務士法人の社員が、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らし、または盗用してはならないこと、その立場でなくなった後も同様であることを定めています。また、使用人など事務所の従業者にも同様の義務が課されています(同法第27条の2)。

一方で、守秘義務があるからこそ、前任の社労士が自らの判断で後任へ資料を直接渡すことは通常想定されません。資料の返却や後任への受け渡しは、会社が主体となって依頼・管理するのが基本です。
切り替えの基本的な流れは?
切り替えは、次の順で進めると業務の空白を防ぎやすくなります。
- 現状の整理:判断基準表をもとに課題を記録し、社内で見直しの方針を合意する
- 契約書の確認:解約予告期間、解約時の業務の扱い、資料返却の取り決めを確認する
- 後任候補の比較:対応範囲・体制・費用の内訳・引き継ぎの進め方を確認する
- 時期の決定:繁忙期を避け、解約の通知時期と新契約の開始時期を決める
- 並行期間での引き継ぎ:労働者名簿・賃金台帳・就業規則・各種協定届・手続きの進行状況などを整理して引き継ぐ
- 行政手続き面の確認:電子申請の利用状況や、進行中の手続きの担当を明確にする
なお、労働保険の年度更新・社会保険の算定基礎届(いずれも例年6〜7月)や年末調整(11〜1月)など、業務が集中する時期の切り替えは避けるのが無難です。
このセクションのポイント
- 見直しの目安は、ミス・遅延・提案不足などが「繰り返し」起きているかどうかです。
- 「正確性・対応力・提案力・費用の透明性・リスク対応力」の5基準で、事実ベースで点検します。
- 顧問契約は民法651条によりいつでも解除できますが、不利な時期の解除は損害賠償の対象になり得ます。
- 解約予告期間などは契約書の定めを必ず確認し、繁忙期を避けて切り替えます。
4. 経営者が今すぐ対応すべきこと|社会保険労務士法人とうかいからのアドバイス
顧問社労士の見直しは、「不満があるから変える」ではなく、「自社に必要な支援を明確にしてから判断する」ことで成功しやすくなります。まずは現状を記録し、契約書を確認することから始めてください。
優先度別アクションリスト
| 優先度 | アクション | 期限の目安 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 高 | ミス・遅延・未回答などの事実を、日付と内容つきで一覧化する | 今月中 | 人事担当者 |
| 高 | 顧問契約書を取り出し、解約予告期間・業務範囲・別料金の範囲を確認する | 今月中 | 人事担当者 |
| 高 | 現在進行中の手続き(入退社・給付申請など)と期限を把握する | 今月中 | 人事担当者 |
| 中 | 自社が社労士に求める支援(手続き中心か、相談・提案も含むか)を経営陣と合意する | 1〜2か月以内 | 経営者・人事担当者 |
| 中 | 現在の社労士に課題を伝え、改善の余地があるか話し合う | 1〜2か月以内 | 経営者 |
| 低 | 後任候補から提案を受け、業務範囲・体制・費用内訳・引き継ぎ方法を比較する | 2〜3か月以内 | 経営者・人事担当者 |
| 低 | 繁忙期を避けた切り替え時期と並行期間を決める | 切り替えの2〜3か月前 | 経営者・人事担当者 |
よくある落とし穴
- 契約書を確認せずに解約を伝える:予告期間や解約月の報酬の扱いを見落とし、想定外の費用や業務の空白が生じることがあります。
- 繁忙期に切り替える:年度更新・算定基礎届・年末調整の時期に担当が変わると、提出期限の管理が難しくなります。
- 資料の所在を把握していない:労働者名簿や賃金台帳、就業規則の最新版、労使協定の控えなどが社内にない場合、引き継ぎに時間がかかります。
- 費用の比較だけで後任を選ぶ:顧問料に含まれる業務の範囲は事務所ごとに異なるため、総額だけでなく「何が含まれるか」を比較する必要があります。
社会保険労務士に相談するとできること
- 現在の労務管理体制や就業規則の状況を点検し、課題を整理する(労務監査的な観点での確認)
- 引き継ぎに必要な資料のリストアップと、進行中の手続きの整理を支援する
- 入退社・社会保険・労働保険の手続きを、期限管理を含めて代行する
- 法改正情報を踏まえた就業規則・労使協定の見直しを提案する
- 問題社員対応など労務トラブルについて、リスクと選択肢を示した助言を行う
このセクションのポイント
- まず「事実の記録」と「契約書の確認」から始めます。
- 自社が社労士に求める支援の範囲を、経営陣と事前に合意しておきます。
- 繁忙期の切り替えと、費用だけでの比較は避けます。
- 現任社労士との話し合いで解決できる余地がないかも確認します。
5. とうかいが実際に対応した相談事例・よくあるトラブル
※事例は典型的なケースをもとに再構成しています。
相談事例
事例1:手続きミスの再発をきっかけに見直しを検討したケース
- 業種・規模:製造業/従業員100名超
- 相談内容:入社時の資格取得手続きや給与計算での誤りが繰り返され、従業員からの問い合わせ対応に人事担当者の時間が取られていた。
- 対応:過去の誤りを種類別に整理し、原因が「情報の受け渡しルールの不備」と「確認工程の不足」にあることを確認。入退社情報の連絡様式と締め日を整え、ダブルチェックの工程を設計した。
- 結果:社内側と社労士側の役割分担が明確になり、誤りが起きた際も原因を特定しやすい体制になった。
事例2:法改正対応や提案の不足を感じていたケース
- 業種・規模:サービス業/従業員100名規模
- 相談内容:育児・介護休業法などの改正があっても情報提供がなく、就業規則が改正内容に追いついているか分からない状態だった。
- 対応:就業規則と各種労使協定を点検し、改正内容との差異を一覧化。優先度をつけて改定案を作成し、従業員への周知方法も提案した。
- 結果:規程の整備状況を経営陣が把握でき、法改正に計画的に対応できる体制になった。

事例3:問題社員への対応で主体的な助言を求めていたケース
- 業種・規模:卸売業/従業員100名超
- 相談内容:欠勤を繰り返す社員や出社しない社員への対応について、会社としてどこまで何をすべきか助言が得られず、対応が後手に回っていた。
- 対応:勤怠記録と面談記録の整理方法を提示し、就業規則の欠勤・休職・服務規律の規定を確認。体調不良が疑われる場合の受診勧奨や、段階的な対応の進め方についてリスクを説明したうえで方針を整理した。
- 結果:記録に基づく一貫した対応が取れるようになり、判断の根拠を社内で共有できるようになった。
よくあるトラブルとその対処法
トラブル1:解約を伝えた後に、進行中の手続きが止まった
- 原因:解約時点で進行中だった手続きの担当が決まっていなかった。
- 対処法:解約通知の前に進行中の手続きと期限を一覧化し、「どこまでを現任が完了し、どこから後任が引き継ぐか」を書面で取り決めます。
トラブル2:引き継ぎ資料がそろわない
- 原因:労働者名簿や賃金台帳、就業規則の最新版などを社労士側だけで管理しており、社内に控えがなかった。
- 対処法:契約書の資料返却に関する定めを確認し、会社から返却・提供を依頼します。今後は、法定帳簿や規程の最新版を社内でも保管する運用にします。
トラブル3:想定外の費用が発生した
- 原因:解約予告期間中の顧問料や、解約月に発生したスポット業務の報酬の扱いを確認していなかった。
- 対処法:契約書で予告期間・報酬の精算方法を確認し、不明点は解約通知前に書面で確認します。
トラブル4:後任に替えても同じ不満が出た
- 原因:自社が求める支援内容(手続き中心か、相談・提案まで含むか)を明確にしないまま選んだ。
- 対処法:判断基準表を使って求める支援を言語化し、候補先に「業務範囲」「回答体制」「提案の頻度」「費用に含まれる範囲」を同じ条件で確認します。
このセクションのポイント
- 見直しの相談は、ミスの再発・提案不足・トラブル時の助言不足が典型的なきっかけです。
- 進行中の手続きの担当と期限を、解約通知の前に書面で取り決めます。
- 法定帳簿や規程の最新版は、社内でも保管しておくことが重要です。
- 求める支援内容を言語化してから後任を選ぶと、同じ不満の再発を防げます。
6. 個別相談のご案内|社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士法人とうかいは、社会保険・労働保険の手続きから就業規則の整備、労務相談まで、企業の人事労務を幅広くサポートしています。
- マネーフォワード クラウド公認メンバー「プラチナメンバー」(社労士区分)
- 愛知・岐阜・三重を中心に、オンラインで全国(国内)に対応
- 得意分野:給与計算、就業規則、労務相談、社会保険・福利厚生

「今の体制で問題がないか点検してほしい」「切り替えを検討しているが、何から手を付ければよいかわからない」といったご相談も承っています。まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 社労士を変更するベストなタイミングはいつですか? A. 繁忙期を避けた時期が適しています。労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎届(例年6〜7月)、年末調整(11〜1月)の前後は手続きが集中するため、それ以外の時期に、並行期間を設けて切り替えるのが安全です。
Q2. 顧問契約の途中でも社労士を変更できますか? A. はい、変更できます。民法第651条により委任契約は各当事者がいつでも解除できます。ただし、相手方に不利な時期の解除は損害賠償の対象になり得るほか、契約書に解約予告期間などの定めがある場合が多いため、まず契約書を確認してください。

Q3. 社労士を変更するときに行政への届出は必要ですか? A. 顧問契約の変更そのものについて、会社が行う特別な届出は通常ありません。ただし、電子申請の設定や進行中の手続きの担当などは見直しが必要になることがあるため、現任・後任の社労士と事前に確認してください。
Q4. 前の社労士に渡した従業員の個人情報は大丈夫ですか? A. 社会保険労務士には法律上の守秘義務があります。社会保険労務士法第21条により、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしたり盗用したりすることは禁止され、その立場でなくなった後も同様です。事務所の従業者にも同様の義務があります(同法第27条の2)。
Q5. 引き継ぎで最低限そろえておくべき資料は何ですか? A. 労働者名簿、賃金台帳、就業規則と各種規程の最新版、労使協定(36協定など)の控え、進行中の手続きの一覧と期限が最低限必要です。社労士側だけで管理している資料がないか、早めに確認しておきましょう。
Q6. 社労士の変更理由は正直に伝えるべきですか? A. 事実に基づいて簡潔に伝えることをおすすめします。感情的な表現は避け、「対応体制を見直すため」など方針として伝えると、円満な終了と資料返却がスムーズになります。課題を伝えることで改善されるケースもあります。
Q7. 社労士を選ぶときに費用以外で何を比較すべきですか? A. 業務範囲・回答体制・提案の有無・費用に含まれる範囲の4点です。顧問料に含まれる業務は事務所ごとに異なるため、総額ではなく「何が含まれ、何が別料金か」を同じ条件で比較することが大切です。

Q8. 社労士を変更すると、手続きが一時的に止まることはありますか? A. 準備をしないまま切り替えると、止まるおそれがあります。解約通知の前に進行中の手続きと期限を一覧化し、現任と後任の担当範囲を書面で取り決め、並行期間を設けることで業務の空白を防げます。
まとめ
顧問社労士の見直しは、ミスの再発、対応の遅さやずれ、提案の不足、費用の不透明さ、トラブル時の助言不足といった状態が「繰り返し」起きているときに検討するのが目安です。判断は「正確性・対応力・提案力・費用の透明性・リスク対応力」の5基準で、記録に基づいて行うことが重要です。顧問契約は民法第651条によりいつでも解除できますが、契約書の解約条項を確認し、繁忙期を避け、並行期間を設けて引き継ぐことで、業務を止めずに切り替えられます。現状の点検や切り替えの進め方に迷われた際は、社会保険労務士法人とうかいまでお気軽にご相談ください。

参考資料
- マネーフォワード クラウド 社労士検索「社会保険労務士法人とうかい」(公認メンバーランク:プラチナメンバー、対応エリア・得意分野):https://biz.moneyforward.com/mfc-partner/search/labor-consultants/107821/
- 厚生労働省「社会保険労務士制度」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roumushi/index.html
- 厚生労働省「社会保険労務士法の一部を改正する法律の概要」(令和7年法律第77号):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roumushi/shahoroumu01/01.html
- 厚生労働省「社会保険労務士法の一部を改正する法律の公布等について」(令和7年6月25日付け 基発0625第6号・年管発0625第1号):https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001529706.pdf
- 厚生労働省「社会保険労務士等の懲戒処分事案」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roumushi/shahorou-tyoukai/index.html
- e-Gov法令検索「社会保険労務士法」(昭和43年法律第89号)第2条・第21条・第27条の2:https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089
- e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第651条・第656条:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089



