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定年が65歳まで延長?

2025年4月改正の高年齢者雇用安定法とは?

2025年4月から施行される高年齢者雇用安定法の改正は、企業にとって重要なターニングポイントとなります。この改正により、雇用を希望する労働者については、65歳までの雇用が義務化されます。企業は高年齢者の雇用機会をより一層拡充する方向に舵を切る必要があります。高年齢者の雇用促進を図るには、定年の引き上げや継続雇用制度の整備が求められることになり、人材の活用戦略も見直すことが不可欠です。企業が労働市場における高年齢者の役割を再認識し、対応策を検討するタイミングが訪れています。

高年齢雇用安定法改正により、企業の人材活用や経営戦略に直接的な影響を与え、一つ一つの対応が企業の持続可能な成長をもたらすかどうかの重要な要素となるでしょう

目次
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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2025年に変わる! 65歳までの雇用確保の影響

65歳までの雇用確保の影響について詳しく解説します。

2025年4月から始まる高年齢者雇用安定法改正により、雇用を希望する65歳までの労働者について、雇用の機会を提供する義務が課されることになりました。義務化されることで、企業の雇用戦略に大きな転換が求められるでしょう。改正では、雇用を希望する65歳までの雇用機会を全社員に対して確保することが必須条件となり、企業はこれまで以上に働く環境や制度の整備に注力する必要があります。これまで労使間の協議のもと行われてきた対応や、雇用するうえでの該当要件を設けるといった対応は不可能となります。この変化でシニア層の働く意欲が高まり、社会全体における人材活用の可能性が広がることが期待されています。一方、企業は多様な年齢層が働きやすい職場環境を整え、生産性を保ちながら長期的な人件費負担に対する対応策を検討することが重要です。

義務化による「65歳までの雇用確保」とは?

企業に新たな義務として、65歳までの雇用確保が課せられます。つまり、企業は希望する全ての従業員に対して、65歳までの雇用機会を提供しなければなりません。定年の廃止や延長、継続雇用制度を通じて、65歳まで雇用の確保を可能にする仕組みや制度づくりが求められます。高齢者が持つ知識や経験を生かしつつ、多様な人材を受け入れる企業文化の確立できれば、より企業の競争力を高めることにもなるでしょう。

努力義務から完全義務化への変化

高年齢者の雇用確保は、これまで努力義務でしたが、2025年から完全義務化に移行します。すべての企業は高年齢者の雇用機会を適切に確保し、公平性を確保するための対策が求められます。企業は高年齢従業員が活躍できる雇用制度の再構築を行なっていくことになりますが、これまでのように従業員の同意を得ればよいといった対策では不十分になるでしょう。努力義務だった取り組みを見直し、法改正に対応した柔軟かつ実効性の高い人事制度の整備を進める必要があります。新たな雇用形態や働き方を提供する際には、従業員の意見やニーズを十分に反映させることも、企業の持続可能な成長にとって重要なポイントとなるでしょう。

「高年齢雇用継続給付」の変更点

2025年4月以降、高年齢雇用継続給付の段階的縮小が予定されています。高年齢雇用継続給付とは、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者が、60歳到達時点の賃金と比べて、賃金が75%未満に低下した場合に支給される給付金です。定年後の賃金の減少に対して補填するための施策ですが、今後は給付金額の縮小が行われる見込みです。給付金が減少することで、高齢の従業員の収入が減るケースも予想され、企業は高齢の従業員の賃金について、減少のインパクトを抑える、仕事内容を見直して賃金ベースを引き上げるなど一定の配慮が必要になります。従業員の生活を支えるためにも、企業は新たな処遇や支援策を検討し、シニア層の就業意欲を高める施策を講じる必要があります。

大矢の経営視点のアドバイス

年齢、性別などに縛られず多様な人が共存する職場環境は、従業員全体のモチベーション向上にもつながります。65歳まで働くことが当たり前となった今、企業はただ漫然と雇用を継続するのではなく、成長戦略の一部として積極的に取り入んでいく必要があるでしょう。

定年65歳の義務化が求められる背景

定年65歳の義務化が求められる背景についてです。

2025年4月の高年齢者紅葉安定法の改正は、雇用を希望する従業員に65歳までの雇用確保が義務付けられています。定年を65歳にする義務が課されたわけではありません。ただし、定年65歳の義務化は、少子高齢化という日本独自の社会問題のなか、非常に注目されるトピックでもあります。

少子高齢化と労働力不足の現実

日本は少子化が進んでいるため、労働力人口の減少が深刻な課題となっています。出生率の低下により、若い世代の数が減り、企業の人材確保が難しくなりつつあるのです。このままの状況が続けば、日本経済全体への悪影響は避けられず、さらなる対策が求められます。こうした背景から、65歳定年の義務化は、その一つの解決策となり得る重要な施策とされています。長期にわたってシニア層を雇用することが、経済の継続的な発展には欠かせない措置となっています。高齢者が持っている専門的な知識や技術は、企業にとって貴重な資源です。少子高齢化の影響で若手労働者が減少する一方で、シニア層が能力を発揮できる場を提供することも必要とされるでしょう。高齢者が働き続ける環境を整えることは、労働市場におけるギャップを埋めるだけでなく、彼らが持つ豊富な知識や経験を最大限に活用する機会を生み出します。

シニアの意識変化と就業意欲の高まり

近年、シニア層の働き方に対する意識が大きく変わりつつあります。以前は定年後の生活を余暇中心に考える人が多かった中、今では働き続けたいという希望を持つシニアが増えています。年金受給年齢の引き上げなど経済的な理由だけでなく、自分の経験やスキルを社会に還元したいという気持ちも強く影響しているでしょう。

シニアの雇用意欲が高まることで、企業側も長期的な人材戦略を見直す必要が出てきました。シニア層の雇用を促進するプログラムや制度を整えることで、この世代が持つ豊富な経験を活かし、労働市場での活躍を期待する流れが形成されているのです。企業も従業員も互いに利益を得られる持続可能な雇用環境が整っていくでしょう。企業の競争力は強化され、加えて地域経済の発展にも寄与することが期待されています。65歳定年の義務化の実現は、現役世代とシニア世代が共に活躍できる社会の実現に向けた鍵となるものであり、社会全体においてその実施の意義が大きいと言えるでしょう。

コンサルタント中村の経営視点のアドバイス

ひと昔まえの定年後の再雇用や継続雇用には、給料が下がる、役職から離れて働きがいを見出せない、などマイナスのイメージをお持ちの方もいらっしゃったのではないでしょうか。最近は、まだまだ現役でバリバリ働く人も多くいます。これまでの経験や人脈を活用して、さらに活躍の場を広げる人もいます。企業において、定年後やシニアになっても、やりがいを持って働ける環境は、若い社員にポジティブな影響を与えるでしょう。今回の改正を機に、シニアの活躍について、考えてみませんか。

2025年の義務化に向けた企業の対応策

2025年の義務化に向けた企業の対応策を見ていきましょう。

2025年4月から施行される65歳までの雇用機会確保義務化に向けて、企業には多様な対応策が求められています。改正がもたらす影響を考慮し、企業は将来的な労働力の構成を再評価する必要もあります。特に、シニア層の活用を戦略的に行うための準備が求められるでしょう。

65歳までの継続雇用制度の導入

雇用を希望する65歳までの従業員に対する雇用機会確保義務化により、企業は希望者に対して65歳までの雇用を確保しなければなりません。そこでまず検討されるのが65歳までの継続雇用制度の導入があります。多くの会社で定年年齢とされる60歳以降も働き続けたいと考える従業員に安定した雇用機会を提供することが可能となります。

ただし、継続雇用制度は単なる再雇用だけに留まらないことが重要です。従業員一人ひとりの希望や能力に応じた柔軟な対応を行うことで、企業としての競争力を高めることが期待されます。たとえば、勤務形態の選択肢を拡充することや、新しいスキルを身につけるための研修機会を提供する取り組みが挙げられます。これにより、従業員が自身のライフスタイルに合った働き方を選択しやすくなり、結果として働き続けるモチベーションの向上にもつながります。

また、継続雇用制度の運用にあたり、従業員が気軽に相談できる窓口を設けることが推奨されます。このような制度を整えることで、従業員のモチベーションを高め、企業と従業員の関係をより良好に保つことが可能になります。

就業規則や賃金制度の見直しとシニア従業員への処遇改善

就業規則や賃金制度の見直しにも取り組む必要があります。継続雇用制度、定年延長、定年引き上げなど、取り組みに応じて、高齢者に対する待遇を明確にすることが重要です。賃金や待遇について、透明性のある基準を定めることが企業に求められます。さらにシニア従業員への処遇改善についても考えていかなければなりません。高齢者の雇用継続を促進するためには、賃金や福利厚生の見直しが不可欠です。特に、シニア層のスキルや経験を評価し、その適切な報酬を提供することが求められます。年齢に関係なくスキルやパフォーマンスを重視した評価制度の導入や、働きやすい職場環境の整備が鍵となります。シニア従業員に対する研修やキャリアアップの機会を提供することも重要です。従業員の働く意欲を引き出し、企業全体の生産性向上につながることでしょう。シニア層が活躍できる環境を整備することは、企業の魅力を増す要素ともなります。

そして、就業規則に定年後の労働条件をしっかりと反映させましょう。具体的な制度を周知徹底することにより、従業員が安心して仕事に取り組むことができ、雇用の安定につながります。

無期雇用契約への対応

雇用機会確保の義務化により、有期雇用従業員の無期雇用契約への切り替えも企業にとって必要な対応の一つとなります。シニア層の雇用を安定させるために、無期雇用契約が魅力的な選択肢として浮上するのです。これにより、長期間にわたって企業に貢献してもらうことが可能となります。

無期雇用契約への対応は、雇用条件や賃金制度などを見直すことを伴います。企業は、従業員が安心して長く働ける環境を整えなければなりません。また、無期雇用にすることでシニア層が持つ経験やスキルを充分に活用できる機会を提供することが、企業の競争力を高める要因にもなります。

企業全体で取り組む意識改革

雇用機会確保の義務化の影響を受けて、企業全体での意識改革が求められています。シニア層の雇用を促進するためには、若手社員を含む全従業員が高齢者雇用に理解を示し、受け入れる姿勢を持つことが重要です。企業文化としてシニアの活躍を支援する風土を形成し、職場全体の相互理解と協力を深めなければなりません。

定期的な研修やコミュニケーションを促進する機会の創出、シニア従業員が蓄えてきた豊富な知識や経験を積極的に共有する場などを提供することで、他の従業員のスキル向上も期待できるでしょう。職場内の協働を強化するだけでなく、企業全体としての競争力や生産性の向上にもつながっていくのではないでしょうか。

今改正に柔軟かつ前向きに対応することで、シニア世代と若手世代が共に成長し、より付加価値の高いビジネスを展開できる基盤が整えられるのです。

鶴見の経営視点のアドバイス

高齢者の雇用の促進に取り組む企業には、助成金などさまざまな優遇策も用意されています。シニア従業員の活躍についてお悩みの企業は、こうした助成金などの力も借りながら、積極的に活用の施策に取り組むこともおすすめです。

70歳を見据えた未来の雇用対策

70歳を見据えた未来の雇用対策を考えていきましょう。

65歳までの雇用機会確保が義務化される中で、さらに先70歳を見据えた雇用対策も重要なテーマとして議論に上がることもます。国の方針として、努力義務としてではありますが、何らかの形で70歳までの就業機会を確保することが求められるようになり、企業はその準備を整える必要があります。シニア層の力を活かすことは、今後の日本経済にとっても不可欠の取り組みと言えるでしょう。

70歳雇用の努力義務化の概要

2021年の法改正により、70歳までの就業機会の確保が努力義務として位置付けられました。働く意欲のある高齢者が、何らかの形で就業できる環境を増やすことを目的にしています。少子高齢化が進行する中で社会全体の労働力不足に対応する一環とされています。企業にとって、この「努力義務化」は、単なる義務ではなく、シニア人材を有効に活用する新たな可能性を広げるチャンスと捉えるべきです。

さらに、企業は70歳雇用の努力義務化を契機に、自社の人材戦略を再構築することが重要です。単に雇用年齢を引き上げるだけではなく、シニア層の持つ豊富な経験や高度なスキルを活用する取り組みが求められます。

シニア人材を活用するための仕組みづくり

シニア人材の活用を進めるために、企業は雇用制度や働き方の仕組みを整備する必要があります。ただし、シニアの場合には、心身の負担なども一人ひとり大きく異なってくるころですので、フレキシブルな勤務形態や職務ローテーションの導入も考えておくべきです。これによって、シニア従業員が能力を最大限に発揮できる環境を提供することが可能になります。企業内でのスキルシェアリングやメンタリング制度を導入することも効果的です。若い世代とシニア層が相互に学び合う機会を増やし、組織全体の活性化を目指したいところです。シニア人材をリーダーとして活用することにより、組織の多様な視点を生かし、新たな問題解決へのアプローチが生まれるケースもあるかもしれません。

まとめ

65歳までの雇用機会確保義務化が進む中で、企業はシニア層の雇用に積極的な取り組みを行うことが求められています。労働力不足の現状を改善し、経済の活力を取り戻す重要なステップとなっていくことになります。長期的な視点で、継続雇用制度や再雇用制度の整備、就業規則や賃金制度の見直しが、急務です。さらに、70歳までの就業機会確保の努力義務化が進む中で、高齢者が安心して働き続けられる社会の実現へ向けた動きが加速していくでしょう。

この変化に対応するため、企業にも多くの取り組みが期待されることになってきます。とはいえ、社内体制、労務費、社内風土、多くの課題を抱える企業が多いことも事実です。シニア人材が活躍できる企業を実現するためには、シニア層を支える制度改革が欠かせません。今回の改正は、取り組みを本格的に進めるための絶好の時期であり、企業としても積極的な対応が期待されます。どのように施策、制度の見直しを検討していったらいいかわからないとお悩みの人事担当者は、ぜひご相談ください。

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