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社労士が解説!就業規則の作成義務と就業規則を作成するメリット

社労士が解説!
就業規則の作成義務と就業規則を作成するメリット

目次
  1. 就業規則の作成義務とは?
    1. 常時雇用される従業員とは?
    2. 10名は事業場単位でカウントします
  2. 就業規則の作成義務・届出義務違反をするとどうなるの?
  3. 就業規則を作成するメリットとは?
    1. ​​​​​自由な働き方を実現
    2. ルールの明確化
    3. 労働トラブルの防止
  4. 就業規則の作成義務に関してよくある質問
    1. 就業規則の作成義務が発生する「常時10名以上の労働者を使用する」の10名に含まれる従業員はどのような従業員でしょうか?
    2. 就業規則の作成義務が発生する「常時10名以上の労働者を使用する」の常時はどのように判断すればいいでしょうか?
    3. 当社には複数の営業所があります。各営業所の従業員数はそれぞれ10名未満ですが、会社全体としては10名以上になります。就業規則の届出は必要でしょうか?
    4. 複数の営業所がありますが、すべて共通の就業規則を適用しています。本社所在地の管轄する労働基準監督署に届出を行うことで、全営業所分を届け出たことになりますか?
    5. 労働保険の継続一括届を提出しています。その場合ならば就業規則の届出は本社のみで大丈夫でしょうか?
    6. 就業規則の変更届は、変更箇所が一部の場合、変更箇所だけの届出を行えばいいですか?
    7. 退職金規定や育児介護規程の届出も必要でしょうか?
    8. 就業規則の変更は、数年に1度、変更内容をまとめて届け出てもいいでしょうか?
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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就業規則の作成義務とは?

就業規則は10名以上の事業場では作成・届出義務が発生します。

就業規則とは会社と従業員のルールを定めた規則です。
ただし、規則であると同時に、法的な書類でもあります。就業規則は労働基準法第89条第1項により「常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない」と規定されています。

つまり、簡単に言えば10名以上、従業員を雇用する場合は法的に就業規則の作成・届出が義務付けられるのです。ここでは、就業規則の作成義務・届出義務と、就業規則を作らない場合のデメリットについて解説します。就業規則を作成しないとどうなるの?「常時10名以上」ってどうやって数えるの?就業規則の作成・届出に関する素朴な疑問にも回答します。

常時雇用される従業員とは?

常時雇用される従業員は、常態として雇用をしている人数のことです。月に1回しか出勤しないパートタイム労働者だけを10名雇用していたとしても就業規則の作成・届出義務は発生するということです。出勤しているのかどうかではなく所属している人数をカウントすることがポイントです。

では、常時雇用される従業員に含まれない従業員はどのような従業員でしょうか。
例えば、期間定めのある従業員は含まれません。期間が満了すれば、当然雇用が終了すると考えられるため、常時雇用される従業員には含まれないのです。
また、派遣労働者は派遣元の労働者としてカウントされます。ですので、派遣労働者も常時雇用される従業員には含まれません。

よくある質問としては管理監督者の扱いです。管理監督者は労働基準法第41条第2号に規定されています。労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるものをいい、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けません。経営者と一体に扱われるからと言って、経営者ではないので、管理監督者は常時雇用される従業員にカウントされますので注意が必要です。

10名は事業場単位でカウントします

就業規則の作成義務・届出義務に関する従業員は1事業所あたりの従業員を指しています。企業全体の従業員数ではありません。事業所が複数存在する場合は原則として、常時10人以上の労働者を使用するそれぞれの事業所で就業規則を作成し、それぞれの事業所を管轄する労働基準監督署に提出しなければいけません。
つまり同じ会社でもA事業所は届出が必要で、B事業所では届出が必要ないという状況も十分にあり得るのです。

しかし同一の企業であれば、同一の内容の就業規則で運用を行っている企業も少なくないと思います。
同一の就業規則を運用している場合は、本社において一括して就業規則の作成を行い、届出を行うことも認められています。

ただ、就業規則の届出は現在は電子申請でも行うことができます。電子申請であれば、以前のように管轄の労働基準監督署それぞれに届出る必要もなく、簡単に申請することができます。以前は手間を考えて、一括で届出を行う企業が多かったと思いますが、今後は電子申請の利用が増え、一括の届出は減ることになるでしょう。

 

就業規則の作成義務・届出義務違反をするとどうなるの?

就業規則の作成義務・届出義務に違反すると30万円以下の罰金となることがあります。

労働基準法では、就業規則の作成義務・届出義務を怠った場合、罰則があります。罰則は30万円以下の罰金です。
また、就業規則の作成義務・届出義務だけでなく、この罰則は変更の届出を行っていない場合にも適用になります。

また、労働基準監督署より是正勧告の対象となることがあります。
就業規則は会社と従業員との約束事です。
法律を守ることも大切ですが、会社を成長させるためには就業規則は不可欠です。                                               

就業規則を作成するメリットとは?

就業規則を作成しないデメリットは法的に罰則を受けるだけではありません。

まだ従業員が少ない会社は就業規則を作成しないでもいいと思っている経営者の方は多いと思います。
しかし私たちは従業員を一人でも雇用するのであれば就業規則を作成することをおススメしています。たしかに10名以上の事業場となれば作成する義務を負いますので、そこまでは作成しないでもいいという考え方もひとつの考えです。

しかし、就業規則を作成するだけで法的にも様々な働き方が可能になります。もともと労働基準法は非常に厳しい法律です。非常に厳しい法律だからこそ、現実に運用するために例外の項目も非常に多いのです
就業規則を整備することで、例外を使うことができ、自由な働き方を実現できるのです。
ぜひ、雇用をするのであれば、就業規則を作成ください。
ここでは、作成することのメリットを確認していきます。

自由な働き方を実現

就業規則がなければ、1年単位の変形労働時間制も1か月単位の変形労働時間制も法的に認められていません。
よく労使トラブルで変形労働時間制を採用しているにも関わらず、運用ができていないことで未払いの残業代の支払いが命じられていますが、これも一つの例です。
変形労働時間制を採用する場合は就業規則への明記が必要です。※導入する変形労働時間制により条件は異なります。
変形労働時間制は労使ともに効率よく働ける制度です。
「忙しい時に働き、仕事がない時に休む」そういった制度です。
ですが、就業規則がなければ、変形労働時間制は導入できず、忙しい時は残業をする必要が生じ、閑散期でも働くことになってしまうかもしれないのです。
これだけではありません。就業規則は会社と従業員の約束事です。経営者から従業員にどのように働い欲しいかを明記する一方で、従業員に対して労働条件を約束するのです。

2.ルールの明確化

就業規則がなければ解雇することはできません。
就業規則がないことが原因でセクハラなどのハラスメントの対応が遅れることもあります。これは就業規則がないことで従業員同士、経営者と従業員の間でのルールが不明確なことが原因です。
例えば、
・副業は認められているのか?
・セクハラはどのような言動が該当するのか?
・家族手当はどのような状態であれば支給されるのか?
これらはほんの一例ですが、法律での規定はあいまいです。だからこそ会社で決める必要があるのです。
労働基準法は法律が求める最低限の働くルールを定めています。ですが、会社のルールについては定めていません。
「会社のルールを会社で作る」これは雇用をするうえで最も大切なことではないでしょうか?
就業規則は会社のルールを定めるため、すべての雇用をする会社にとって必要なのです。

労働トラブルの防止

就業規則がないことで、労働トラブルが深刻化することは多々あります。例えば、退職金規程がない会社で、従業員が退職の際、あまりに自分の都合を優先して退職の手続きを進めたため、他の従業員が退職した際には支払っていた退職金の支払いを行いませんでした。しかし従業員は他の退職者がもらっていた退職金を自分がもらえないのはおかしいと会社に訴えました。
退職金規程が整備されていれば、このようなトラブルは防げたはずです。退職金規程を整備しルールが明確になっていたのであれば、トラブルは防げたのです。
就業規則を整備することで会社と従業員のルールが明確化し、無用なトラブルが防げるのです。

就業規則の作成義務に関してよくある質問

就業規則の作成義務が発生する「常時10名以上の労働者を使用する」の10名に含まれる従業員はどのような従業員でしょうか?

継続的に雇用する従業員はパート・アルバイトも含め対象となります。

就業規則の作成義務は、雇用形態に関係なく、雇用(所属)している労働者が常態として10名以上いることであり、出勤している人数は関係ありません。
例えば、正社員が1名だけだったとしても、所属している従業員が10名以上いれば、就業規則の届出義務は発生することになります。もちろん法令上、届出の義務がない場合でも、働くうえでのルールである就業規則を作成することが望ましいと言えるでしょう。

就業規則の作成義務が発生する「常時10名以上の労働者を使用する」の常時はどのように判断すればいいでしょうか?

出勤しているかどうかではなく、所属しているかどうかで判断します。

「常態」の判断ですが、ひとつの事業場(職場)に10名以上所属しているかどうかで判断します。所属しているかどうかなので、出勤日数は関係ありません。
「常時10名以上」に該当しない場合としては、期間の定めのある労働者を一時的に雇い入れ、一時的に10名以上となっている場合です。雇い入れた結果10名以上を超えたが、期間の定めのある従業員が期間を満了した場合に、再度10名未満に戻るような場合には就業規則の届出義務は発生しません。

当社には複数の営業所があります。各営業所の従業員数はそれぞれ10名未満ですが、会社全体としては10名以上になります。就業規則の届出は必要でしょうか?

10名以上かどうかは事業場ごとに判断しますので、この場合届出義務はありません。

就業規則の届出義務は「事業場」単位で考えますので、各事業場に所属する人数が10名以上でなければ、届出義務は発生しません。
事業譲渡は、場所的観念によって判断されますので、経営上一体をなす工場、支店等を総合した全事業を指すわけでないのです。つまり、場所的に独立した営業所は原則として事業場とみなされますので、営業所単位で10名未満の労働者を使用している場合は、その営業所での就業規則の届出義務はありません。しかし、10名以上の事業所と未満の事業所が混在する場合には、10名以上の事業所では届出義務が発生します。お気を付けください。

複数の営業所がありますが、すべて共通の就業規則を適用しています。
本社所在地の管轄する労働基準監督署に届出を行うことで、全営業所分を届け出たことになりますか?

なりません。事業所単位での届出が必要です。

就業規則は事業所単位での届出が原則です。たとえ、全営業所が共通の就業規則を使用していたとしても、原則として全営業所での届出が必要です。
就業規則はそれぞれの営業所の管轄する労働基準監督署に届出を行います。また事業所単位での届出は原則ですので、一定の要件を満たすことで、本社で一括して、各営業所分の就業規則を届け出ることができます。
その場合、所定の届出方法によります。詳細は専門家、もしくは労働基準監督署まで問合せ下さい。

労働保険の継続一括届を提出しています。その場合ならば就業規則の届出は本社のみで大丈夫でしょうか?

ダメです。就業規則の届出と労働保険の処理は別です。

労働保険の継続一括処理は、あくまでも労働保険事務手続きのための手続きです。労働保険の継続一括処理を行ったからといって、就業規則が一括で届出られるようになるわけではありません。各営業所での届出が必要です。

就業規則の変更届は、変更箇所が一部の場合、変更箇所だけの届出を行えばいいですか?

変更箇所、変更内容が明らかになるのであれば、変更箇所だけ届出でかまいません。

就業規則の変更が一部である場合、就業規則の全体を届出直すのではなく、就業規則の一部を届け出てもかまいません。しかし、新旧の条文対照表や就業規則における該当のページの写し等、変更箇所、変更内容が明らかになるようなかたちでの届出をする必要があります。

退職金規定や育児介護規程の届出も必要でしょうか?

必要です。

就業規則本体とは別に、退職金規定や育児介護規程など作成している場合でも就業規則の一部であれば、別冊の届出も必要です。ただし賃金控除協定、年次有給休暇の計画付与に関する協定等、届出が義務とされていない労使協定については就業規則の一部として届出る必要はありません。

就業規則の変更は、数年に1度、変更内容をまとめて届け出てもいいでしょうか?

いけません。変更の都度届出が必要です。

就業規則の変更は、変更の都度、遅滞なく所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。一定期間分をまとめて届け出ることはできません。
都度届け出る手間を考えると電子での届出を考えてもいいかもしれません。電子での就業規則の届出については専門家もしくは所轄の労働基準監督署までお問合せください。

まとめ

労使間のルールにはグレーゾーンが多いです。1人でも雇用した時点で規定を整備した方が安全です。

いかがでしたでしょうか?
就業規則は雇用をするのであれば、作成をした方がいいです。
私は今まで、さまざまな労使トラブルの相談をうけてきましたが、事前に就業規則が整備されていれば防げたトラブルは多いと感じています。

そもそもなぜトラブルが起きるのか?
それは、経営者と従業員の間で、ルールが不明確だからです。ルールを明確にし、周知することで防げるトラブルは非常に多いと感じています。しかし就業規則はただあればいいというものではありません。
会社それぞれのルールを定めるのが就業規則ですので、自社に合ったものでなければなりません。テンプレートで作成した就業規則を否定するわけではありませんが、「ただつくっただけ」の就業規則では会社のルールと言えるのでしょうか?

私が尊敬する中小企業の経営者の方が「誰と働くかを決められるのが中小企業のいいところ」とおっしゃっていて、本当にそうだなぁと共感しました。
だからこそ、その誰かに「どのように働いてもらうか?」を定めた就業規則は重要なのではないかと考えています。

社会保険労務士法人とうかいでは就業規則の相談を初回無料で承っています。
もしこれから就業規則を作りたい、現行の就業規則に不安をあるとお考えでしたら、お気軽にご相談ください。
ご連絡お待ちしております。

また、労働問題を解決する情報は、こちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:労働問題に関する記事一覧|法律相談ナビ

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労務相談の顧問や就業規則の整備をお願いしています。そもそも私自身の考えになりますが、社員の成長と私自身の成長が、会社自体の伸びにつながると考えています。そして、そのためには働くための当たり前の体制が整備された「まともな会社」であることが前提となるでしょう。そこの組織づくり・成長する基盤づくりを進めるにあたっての不安点をよく相談しています。

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