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【2026年法改正】障害者雇用率2.7%へ段階的引き上げ。企業の義務と対策を解説

障害者雇用促進法の改正により、民間企業の障害者雇用率が段階的に引き上げられ、2026年7月には2.7%となります。

この見直しは、これまで障害者雇用の義務がなかった中小企業にも影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、法定雇用率の変更スケジュール、企業が果たすべき義務、未達成の場合のリスク、そして今から取り組むべき具体的な対策について、企業の経営者や人事担当者向けに分かりやすく解説します。

目次
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


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https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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障害者雇用促進法とは?企業に求められる基本的な義務

2026年の法改正の内容、把握していますか?

障害者雇用促進法は、障害のある方の職業の安定を図ることを目的とした法律です。この法律に基づき、企業には「障害者雇用率制度」が設けられており、事業主は常時雇用する労働者数に法定雇用率を乗じて得た人数以上の障害者を雇用する義務を負います。

 

この義務は、常用雇用労働者数が一定数以上の事業主に課せられるものであり、企業の規模に関わらず全ての事業主に課せられるものではありません。2025年1月現在、民間企業では従業員40人以上を雇用している事業主に対して適用されます。2026年7月からは従業員37.5人以上を雇用するすべての企業が雇用義務の対象となる見込みです。

【2024年〜2026年】法定雇用率の段階的引き上げスケジュール

改正のポイントを押さえて、早めの対応を。

障害者雇用促進法に基づく法定雇用率の引き上げは、企業への急激な負担増を避けるために段階的に実施されます。民間企業の法定雇用率は、2021年3月以降2.3%でしたが、2024年4月には2.5%に引き上げられました。そして、2026年7月には最終的な目標値である2.7%に変更される計画です。企業は、このスケジュールを正確に把握し、各段階で求められる雇用率を達成するための準備を計画的に進める必要があります。

2024年4月からの変更点:法定雇用率2.5%へ

2024年4月1日から、民間企業に適用される法定雇用率は従来の2.3%から2.5%へと引き上げられました。

この変更に伴い、障害者を1人以上雇用する義務が発生する企業の範囲も、これまでの従業員43.5人以上から40.0人以上の事業主へと拡大されています。

したがって、これまで対象外だった企業も新たに雇用義務を負う可能性が生じました。

各企業は、この2.5%という新しい基準に基づき、自社が雇用すべき障害者の人数を再計算し、採用計画や社内体制の見直しが求められることになりました。

2026年7月からの変更点:法定雇用率2.7%へ

さらに、2026年7月1日からは法定雇用率が2.7%へと再引き上げされる予定です。
この引き上げにより、雇用義務の対象となる事業主の範囲は、従業員37.5人以上へとさらに広がります。

多くの企業にとって、採用すべき障害者の人数が増加することになり、より一層計画的な採用活動が不可欠となります。
現時点で法定雇用率を達成している企業であっても、この2.7%という基準では未達成となる可能性があります。

そのため、対象となるすべての企業は、この変更を見据えて早期から人材の確保や受け入れ体制の整備といった具体的な準備に着手することが重要です。

法定雇用率の対象となる事業主の条件とは?

法定雇用率の達成義務は、企業の「常時雇用する労働者」の数に基づいて決定されます。

法改正によって法定雇用率が引き上げられると、義務の対象となる事業主の範囲も拡大します。

そのため、自社の従業員数を正確に把握し、対象事業主に該当するかどうかを定期的に確認することが不可欠です。

また、企業には雇用義務だけでなく、障害のある労働者が能力を有効に発揮できるよう、募集・採用・入社後の各段階で支障となる事柄を改善するための合理的配慮を提供することも法律で義務付けられています。

従業員数の正しいカウント方法と注意すべきポイント

法定雇用率の算定基礎となる「常時雇用する労働者」は、雇用形態にかかわらず、1年を超えて雇用される(またはその見込みがある)労働者を指します。

カウント方法は、週の所定労働時間によって異なり、30時間以上のフルタイム労働者は1人、20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人として計算します。

企業の総労働者数を算出する際は、この基準に従って正確に集計する必要があります。
以前は特定の業種で労働者数から一定割合を控除する「除外率制度」がありましたが、この制度は段階的に縮小・廃止されており、算定対象となる従業員数が増加する点にも注意が必要です。

自社で必要な障害者雇用数は何人?具体的な計算式でシミュレーション

自社で雇用すべき障害者の人数は、法律で定められた計算式を用いて算出できます。

この計算により、企業が達成すべき具体的な目標人数が明確になり、採用計画を立てる上での基礎となります。

計算式自体は「常時雇用する労働者数×法定雇用率」とシンプルですが、実際には障害種別や労働時間によって障害者のカウント方法が異なるため、その点を考慮に入れる必要があります。

自社の現状を正確に把握し、今後の法定雇用率の変動に合わせてシミュレーションを行うことが重要です。

障害種別や労働時間で変わる障害者数の算定方法

雇用する障害者の人数を計算する際、障害の種別や程度、週の所定労働時間によってカウント方法が異なります。

例えば、重度の身体障害者や知的障害者を雇用した場合、1人の雇用を2人分として計算する「ダブルカウント」が適用されます。

また、精神障害者については、当分の間の特例として、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者を1人としてカウントすることが可能です。

さらに2024年4月からは、週10時間以上20時間未満で働く重度の身体・知的障害者および精神障害者も、0.5人として算定対象に加えられるようになり、より多様な働き方に対応した制度となっています。

法定雇用率が未達成の場合に企業が負う2つのリスク

法定雇用率を達成できない場合、企業は法的なペナルティを受ける可能性があります。

そのリスクは大きく分けて2つ存在します。

一つは、不足人数に応じて金銭的な負担が発生する「障害者雇用納付金」制度です。

もう一つは、度重なる行政指導にもかかわらず改善が見られない場合に、社会的な信用を損なう「企業名の公表」という措置です。

これらのリスクは、企業の財務状況やブランドイメージに直接的な打撃を与えるため、法定雇用率の達成はコンプライアンス上の重要な経営課題となります。

不足1人あたり月額5万円が課される障害者雇用納付金

障害者雇用納付金制度は、常時雇用する労働者数が100人を超える企業が法定雇用率を未達成の場合に適用されます。

この制度では、不足している障害者1人につき月額50,000円が徴収されます。

これは罰金とは性質が異なり、障害者雇用に伴う企業間の経済的負担を調整するためのものですが、企業にとっては直接的なコスト増につながることに変わりはありません。

法定雇用率の引き上げにより、これまで納付義務のなかった企業が新たに対象となったり、既存の対象企業では納付額が増加したりする可能性があるため、注意が必要です。

行政指導を経て最終的に企業名が公表されるケースも

法定雇用率が著しく低い企業に対しては、まずハローワークから障害者の雇入れに関する計画書の作成が命じられます。

この計画を適正に実施していないと判断された場合、特別指導が入り、具体的な改善策を求められます。

それでもなお改善が見られない悪質なケースでは、最終的な措置として、厚生労働省のウェブサイトなどを通じて企業名が一般に公表されます。

企業名が公表されると、企業の社会的評価やブランドイメージが大きく傷つくだけでなく、採用活動や取引関係にも悪影響が及ぶ可能性があります。

2026年の雇用率2.7%達成に向けて企業が今から準備すべきこと

2026年7月に法定雇用率が2.7%へ引き上げられることを見据え、企業は早期から計画的な準備を進める必要があります。

単に不足している人数を採用するだけでなく、採用した障害のある社員が能力を発揮し、長く定着できる環境を整えることが重要です。

そのためには、社内業務の洗い出しによる新たな仕事の創出、多様な採用チャネルの活用、そして全社的な受け入れ体制の整備という3つの観点から、具体的な対策を講じていくことが求められます。

社内の業務を洗い出して障害のある方が担える仕事を見つける

障害者雇用を成功させる第一歩は、社内に存在する業務を詳細に分析し、障害のある方が担える仕事を切り出すことです。

各部署の業務フローを見直し、データ入力、書類のファイリング、郵便物の仕分け、備品管理といった定型的な業務や、特定のスキルを要する専門的な補助業務などを洗い出します。

既存の従業員へのヒアリングを通じて、コア業務に集中するために手放せる周辺業務や、細分化できるタスクを発見することも有効な手段です。

このように業務を再設計することで、障害のある方の特性や能力を活かせるポジションを意図的に創出し、組織全体の生産性向上にもつなげられます。

ハローワークや民間の支援機関を積極的に活用する

自社だけで採用活動を進めるのではなく、外部の専門機関と連携することが採用成功の鍵となります。

まず、各地域にあるハローワークには障害者雇用を専門に扱う窓口が設置されており、求人票の作成支援や適切な候補者の紹介といったサービスを無料で利用可能です。

加えて、障害者専門の人材紹介サービスや就労移行支援事業所といった民間の支援機関も有力なパートナーとなり得ます。

これらの機関は、障害特性に関する専門知識を持ち、企業の具体的なニーズと求職者のスキルや希望をきめ細かくマッチングしてくれます。

採用後の定着支援まで一貫してサポートしてくれる場合も多く、積極的に活用すべきです。

障害のある社員が安心して働ける受け入れ体制を整える

障害のある社員が能力を最大限に発揮し、長期的に就労を続けるためには、安心して働ける環境の整備が不可欠です。

スロープの設置や通路の確保といった物理的なバリアフリー化に加え、個々の障害特性に応じたPCソフトの導入や作業補助具の用意なども検討します。

また、心理的な環境づくりも同様に重要です。

配属先の管理職や同僚が障害について正しく理解するための社内研修を実施したり、定期的な面談を通じて業務上の悩みや不安を相談できる体制を構築したりすることが求められます。

全社的に多様な人材を受け入れる風土を醸成することが、採用後の定着率向上に直結します。

企業の負担を軽減する障害者雇用関連の助成金制度

障害者雇用を進めるにあたり、作業施設や設備の整備、職場環境の改善などが必要になる場合があります。

こうした企業の経済的な負担を軽減し、雇用の促進を後押しするために、国は様々な助成金制度を設けています。
例えば、障害者のために施設や設備を整備した場合に費用の一部を助成する「障害者作業施設設置等助成金」や、障害者の雇用管理に関する課題を専門家が支援する際の費用を補助する制度などがあります。

これらの制度を活用することで、受け入れ体制の整備をより円滑に進めることが可能です。

まとめ

2024年から2026年にかけて段階的に実施される法定雇用率の引き上げは、対象となるすべての企業にとって避けては通れない経営課題です。

特に2026年7月には2.7%となり、対象事業主の範囲も拡大するため、これまで以上に対応が求められます。

この法改正は、単に雇用義務を果たすという側面だけでなく、多様な人材がその能力を発揮できる、より強い組織を構築する機会でもあります。

本記事で解説したスケジュールや企業の義務、具体的な準備策を参考に、計画的な取り組みを進めてください。

よくあるご質問

ここではよくあるご質問をご紹介します。

障害者雇用率制度とはなんですか?

障害者雇用率制度とは、障害者雇用促進法に基づき、企業などの事業主が常時雇用する労働者数に対し、法定雇用率(法律で定められた割合)に相当する人数以上の障害者を雇用することを義務付ける制度です。

この制度の目的は、障害のある方の職業の安定を図ることです。

障害者雇用率の段階的な引き上げスケジュールはどのようになっていますか?

障害者雇用率の見直しは段階的に実施されます。

2023年時点では2.3%でしたが、今後の推移は以下の通りです。

- 2024年4月1日:2.3%から2.5%へ引き上げ。
- 2026年7月1日:2.5%から2.7%へ再引き上げ。

2026年7月以降、障害者雇用義務の対象となる企業の基準は変わりますか?

い、2026年7月1日に法定雇用率が2.7%へ引き上げられることに伴い、障害者雇用義務の対象となる企業の範囲も拡大します。

具体的には、常時雇用する労働者数が37.5人以上の企業が義務の対象となります。2024年4月の時点では40.0人以上が対象でした。

法定雇用率の対象となる「常時雇用する労働者」はどのようにカウントしますか?

法定雇用率の算定基礎となる「常時雇用する労働者」は、雇用形態にかかわらず、1年を超えて雇用される(またはその見込みがある)労働者を指します。

カウント方法は、週の所定労働時間30時間以上のフルタイム労働者は1人、20時間以上30時間未満の短時間労働者は0.5人として計算します。

法定雇用率が未達成の場合、企業はどのようなリスクを負いますか?

法定雇用率が未達成の場合、企業は主に2つのリスクを負います。一つは、障害者雇用納付金の徴収です。常時雇用労働者100人超の企業は、不足する障害者1人あたり月額50,000円を納付しなければなりません。もう一つは、度重なる行政指導にも改善が見られない場合の企業名の公表リスクであり、企業の社会的信用を大きく損なう可能性があります。

企業が障害者を雇用する際に「合理的配慮」とは何ですか?

合理的配慮とは、障害のある労働者が、募集・採用から入社後の業務遂行に至るまでの各段階で、その他の労働者と平等に能力を有効に発揮できるようにするために、事業主が過重な負担にならない範囲で個別の事情に合わせて行う必要な調整や変更のことを指します。

例えば、作業補助具の提供、勤務時間の調整、休憩時間の配慮などが該当します。

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