お気軽にお問合せ・ご相談ください

052-433-7280
営業時間
9:00〜17:00 (土日祝は除く)

IT企業の外国人雇用! 
企業でよくあるトラブルと対策のポイントを社労士が解説します。

  • ホーム
  • 労務相談
  • その他
  • IT企業の外国人雇用! 企業でよくあるトラブルと対策のポイントを社労士が解説します。

IT業界の外国人雇用について
トラブルと対策のポイントを
解説します。

少子高齢化の影響により、どの業界においても人材不足が問題となっています。IT企業においても例外ではありません。とくにIT技術の進展は目覚ましく、スピードの早いIT業界においては、その技術を担う人材獲得は常に頭を悩ます問題ではないでしょうか。そこで、人材獲得の間口を広げ、外国人雇用も行っている、視野に入れているという企業が増えています。そして、人材を活用する上では、日本人・外国人の国籍は関係ないと言えど、外国人雇用ならではの労務トラブルがあるのも事実です。

今回は、IT企業が外国人を雇用するときに、注意しておきたい労務上のトラブルやその対策に注目し、外国人人材に活躍していただくためのヒントを探りましょう。ITと外国人雇用に詳しい社会保険労務士が丁寧に解説していきます。

目次
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

取材・寄稿のご相談はこちらから

外国人雇用が増加中のIT企業

IT業界では人手不足により
外国人雇用に注目が
集まっています。

IT企業においては、常にエンジニアの不足に頭を悩ませています。世の中のDX推進の流れも相まって、エンジニア人材の確保は経営課題の1つでもあるでしょう。IT人材の需要と供給が追いついていない状況なのです。これは今後もますます加速していきます。企業側も給与水準の見直しなど、好待遇を条件に人材確保を狙うようになってきました。国内のエンジニア側も、専門性の高い分野や新技術を持っている場合などには、とくに企業選びにはシビアな目線を向けています。国内企業以外にもグローバルに自分の活躍ステージを求める人も多くなっています。そこで、企業はIT人材獲得のために、国内エンジニアのみならず、外国人雇用も積極的に行っています。ITエンジニア職は、言語のハードルが低い職種でもあるので、比較的日本企業においても受け入れやすく、外国人エンジニアのニーズは非常に高いと言えるでしょう。IT企業向けの主たる求人サイト上では、多くのITエンジニアの求人募集がされています。とくに最近では、海外からのエンジニアの積極採用のために、数多くのサービスが展開されています。グローバル市場で優れたエンジニアの取り合いとなっているのがわかります。グローバルにエンジニア採用を広げることで、採用母集団形成にもメリットがあり、多くのエンジニア採用に役立っているというわけです。

外国人雇用で発生しやすいトラブルと対策のポイント

外国人雇用の際に配慮すべき
ポイントについて解説します。

日本のIT企業のエンジニア人材不足は、今後もしばらく続きそうです。とはいえ、このまま手をこまねいてもいられません。外国人雇用も積極的に受け入れていかなければ、企業存続も難しい会社も出てくるでしょう。

 

日本のIT企業各社が積極的に外国人採用を行う理由は、もちろん優秀なエンジニアの確保です。ITの最新技術やトレンドの変化は大きく、国内だけに目を向けていては、あっという間に取り残されてしまいます。グローバル人材を通じ、新たな技術、情報をキャッチアップしていく複利効果もあります。加えて、国内エンジニアへの刺激、社内の活性化にとって、非常に大きな役割も果たすことでしょう。

 

一方で、まだまだ慣れない外国人雇用に、苦戦している企業が多いのも事実です。一口に“外国人エンジニア”と言っても、その母国はそれぞれですし、文化や価値観、仕事への考え方も大きく異なります。また、言語の問題、行政手続き、会社の受け入れ体制など、国内人材を雇用する場合と違い、配慮すべき事項が多くあります。このポイントを理解していないと、せっかく外国人エンジニアを雇用しても、トラブルに発展してしまうことも多いのです。

 

1 言語・コミュニケーションの問題トラブル

一般的に、日本企業においては日本語を話す場面が多いでしょう。外国人エンジニアの日本語能力が低く、コミュニケーションに支障が生じてしまうケースが非常に多くあります。社内公用語が英語で、外国人エンジニアも英語が話せるということであれば、影響も少ないかもしれません。ただ、社内公用語が英語という会社も少ないですし、会社のクライアントは日本企業が多いでしょう。ある程度の日本語を話せることが必要という場合がほとんどではないでしょうか。
 
ITに関わる職種は、一般的な事務や営業などの仕事に比べ、高度な日本語能力を要求される仕事は少ないものの、やはり現状においては日本語が必要ということになるのです。言語レベルの程度・コミュニケーションの支障から、仕事が円滑に進まない、正しく伝わらないためにトラブルが発生することもあります。場合によっては、人間関係の悪化も招きかねません。
 

・相手に伝わるコミュニケーションを心がける

外国人エンジニアを受け入れる際には、言語・コミュニケーションの問題トラブルを発生させないための配慮が非常に重要です。日常ビジネスを行ううえで、必要な日本語レベルを明確にしておく必要があります。英語や母国語が頻繁に使用される職場では、高度なレベルは必要ない場合もありますが、日本語を使用する場合には、相応のレベルが必要になってきます。日常の会話ができるからといって、必ずしもビジネスでの会話が可能とは限りません。ビジネスで利用できる日本語を習得していくための、サポート体制、日頃の教育支援が重要です。外国人エンジニア任せにして、“日本語が上達しないからダメだ”“コミュニケーションギャップが大きい”“やっぱり外国人エンジニアには無理”といったことにならないようにしましょう。日本人であろうと、外国人であろうと、相手に伝わるコミュニケーションを行うことは、ビジネスの基本です。コミュニケーションが円滑に行えるよう、会社全体で考えていくことが必要になってくるでしょう。例えば、「短いセンテンスでの会話を心がける」「難しい日本語からわかりやすい・聞き取りやすい日本語に置き換える」「長い説明が必要な場合は、要点を記載した資料も用意する」「焦らない」など、工夫できることは結構あるものです。そのための旗振り役として人事労務の役割は大きいでしょう。

 

【外国人の日本語レベルの指標】

外国人の日本語能力を測る指標として利用されるのが、「日本語能力試験(JLPT)」です。日本で働く外国人の多くが、この試験を受験しています。レベルは5段階あり、在留資格の取得要件にも利用されています。

日本語能力試験(JLPT):https://www.jlpt.jp/

(レベル)

N1:幅広い場面で使われる日本語を理解することができる

N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる。

N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる

N4:基本的な日本語を理解することができる

N5:基本的な日本語をある程度理解することができる

 

外国人留学生から会社に入社するレベルとしては、N2程度、日本人と問題なく会話できるレベルとするとN1が相当します。とはいえ、外国人がN1レベルの日本語を扱うには、相応の努力と期間も必要になってきますし、誰もが欲しい外国人人材となってきます。N3、N2レベルであっても、会社に入社してからも継続して日本語能力アップをサポートしていくというかたちを取っている会社も多くあります。

 

2 文化的価値観・宗教観によるトラブル

日本においても、多様な宗教はあるものの、諸外国に比べ、無宗教の人が多い国です。諸外国においては、宗教は生きていくための根幹であり、逆に日本人が異例に映るものです。例えば、ムスリムの方には、食についても豚肉がNGであったり、ラマダンの期間があったりと、日本人にとっては馴染みが薄い宗教的慣習があります。食事会の際に豚肉料理が提供され、無理に勧めてトラブルになった人もいます。せっかく親睦を図ろうと食事会を開催したにもかかわらず、かえって関係が悪化してしまったという例もあります。あらかじめ、宗教観などを理解していれば無用なトラブルにもならなかったはずです。

 

・文化的背景の理解に努める

会社には色々なバックグラウンドを持つ人が働いています。日本人のみの会社であっても、それは同様です。さまざまな人がいてこそ、企業だとも言えます。色々な考え、意見があり、時に衝突したり、和解したり、話し合ったりを通じて、同じ目標に向かって仕事をしていくことになります。ただ、外国人を雇用する際には、さらに慎重に文化的背景の違いや習慣なども理解に努めなければなりません。たとえ相手の外国人が、日本語能力が高く、意思疎通に無理を感じていない場合であってもです。

 

・宗教的価値観に配慮する

自分と異なる価値観・宗教観への理解に努めることは重要です。配慮も必要な場面も多いでしょう。とはいえ、特別視する必要はありません。多様な価値観を持った人材が、それぞれに気持ちよく働いてもらえるような気遣いが大切です。会社によっては、ムスリムの社員のために礼拝のスペースや時間を設けているケースも見られるようになってきました。また、社員食堂がある会社では、ムスリムの方向けのハラール食を提供していたり、食品や食材の表示をしているケースもあります。外国人社員も働きやすい環境づくりを行う会社が、採用においても重視されるようになってくるでしょう。

 
総務省:「宗教的配慮を要する外国人の受け入れ環境整備等に関する調査」
 

3 コンプラ違反や理解不足によるトラブル

外国人雇用をするうえで、起こりがちなのが日本独自の法律やルールに違反してしまい、トラブルになるケースです。労基法をはじめ、会社で働く従業員にはさまざまな法律や会社のルールがありますが、理解不足によるトラブルや、そもそも法律を知らなかったことによる違反といった事態が生じることがあります。

 

・法律や会社ルールは、より丁寧に説明・資料を用意する

“言わなくても当たり前のことだろう”“きっとわかっているはず”が最も危険です。法律や会社のルールは、日本人の従業員であっても、正しく理解していない場合もあります。ましてや外国人従業員であれば、尚更です。丁寧に説明し、後から読み返せるような資料の提供なども必要でしょう。1回説明して終わりではなく、何度か機会を設けながら、理解を深めてもらう配慮が必要になってきます。日本人特有の言わなくても何となく雰囲気でわかる、阿吽の呼吸のようなものは存在しません。外国人従業員をマネジメントするうえでは、“何となく”はNGです。的確な指示と、合理的な説明が必要です。

 

・在留資格の手続きをしっかりと行う

何よりも大事なのが、日本で働くための就労資格です。外国人を雇用するうえでは、この法律の知識と手続きは避けて通れません。手続きを誤れば、不法就労となり、外国人従業員自身にも会社自体にも大きな影響を及ぼします。定期的な在留資格の更新手続きなどもありますので、外国人従業員自身、会社も共通の認識を持って、手続きを怠りなく進める必要があります。

 

4 音信不通になってしまうトラブル

“昨日まではニコニコ働いていたと思ったら、翌日から仕事に来なくなってしまった”というケースもあります。日本の会社のように、1か月前に退職願を提出し、有給休暇を消化し、退職する、といった日本人であればイメージできるような退職手続きも、重要視していないことも、よくあることです。

 

・出入国在留管理長への連絡を

突然、音信不通になってしまい、出社しなくなったから退職、というわけにはいきません。犯罪に巻き込まれたケースもゼロではありません。外国人従業員が音信不通になってしまった場合には、出入国在留管理庁へ報告を行いましょう。併せて警察への相談も必要かもしれません。

 

出入国在留管理庁

https://www.moj.go.jp/isa/

 

5 外国人従業員同士のトラブル

言語やコミュニケーションのトラブルにも共通することですが、さまざまな国籍の従業員がいる場合、ちょっとしたことでけんかに発展したり、諍いが起こることがあります。政治や宗教の話題をきっかけに、大きなトラブルとなった例もあります。

 

・政治や宗教に関する議論に注意を

さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まる会社は、政治・信条もそれぞれです。不用意な話題は議論を呼び、結果、大きなトラブルに発展しかねません。外国人従業員、日本人従業員一様に、政治・宗教に関する話題については、議論を行わないようにするなど、人事労務側からの周知なども必要になってきます。

 

6 IT業界特有のトラブル

IT業界は、常に人材不足状況が続いており、納期がタイトであったり、長時間労働が問題となっています。とくに長時間労働は、健康・メンタル面への影響も大きく、環境改善は必須です。とくに外国人において、ワークライフバランスを重視する傾向が強く、仕事と私生活の切り替えがうまくいかない働き方には難色を示す傾向が見られます。人材不足の打開策として、外国人エンジニアの活用を行っているにもかかわらず、長時間労働の現場が原因で、早期離職してしまうケースもあります。

 

・長時間労働防止のための環境整備を

IT業界は、長時間労働が発生しやすい職場です。長時間労働は月80時間以上ともなると、脳・心疾患、精神障害などに影響が出るとも言われています。とくに、外国人従業員の場合には、言葉や文化の違いによるストレス、環境に慣れるまでの期間など、日頃の業務に加え、負担が大きい状態にあります。日頃から、労働時間のチェックなどを行いながら、長時間労働にならないよう、マネジメント含め、環境整備をおこなっていきましょう。

 

就業規則は他の社員とは別に準備が必要か?

外国人従業員にも
就業規則をしっかりと
説明することが大切です。

会社は、従業員を雇用している場合には、就業規則を用意しているでしょう。従業員の労働時間や給与といった労働条件に関すること、守らなければいけない職場の規律やルールを定めたもので、会社のルールブックです。トラブル防止や実際にトラブルが起きてしまったときのためにも、しっかりと用意しておくことが重要です。外国人従業員を雇用している場合に、よく質問が挙がるのが、“外国人従業員専用の就業規則が必要か?”ということです。結論から言えば、外国人従業員専用の就業規則は認められていません。それは、外国人であることを理由に、労働条件などに差を設けてはならないといった理由からです。ただし、就業規則を英語やその他言語に翻訳するのは問題ではありません。あくまでもすべての従業員に関連する就業規則の理解を深めるために、翻訳したのに過ぎず、労働条件などに差を設けたことにはならないからです。

 

注意したいのは、翻訳した就業規則があるからといって、外国人従業員に就業規則をしっかりと説明することを省いてはならないということです。いくら翻訳したといっても、読んですべて把握できる、理解できるとは限りません。日本人であっても、就業規則を読み解くのが難しい場合があるのと変わりません。それぞれの従業員にわかりやすい言葉、難しい表現は噛み砕いて説明を行いましょう。初めの説明をしっかり行うだけでも、トラブルを未然に防げることが多いものです。また、就業規則同様に労働条件通知書や雇用契約書についても同様に、わかりやすく丁寧な説明が重要です。可能であれば、日本語の書類以外にも、英語や母国語での書類を作成し、理解を深める配慮をしましょう。

まとめ

IT業界の人材不足や外国人雇用に関してのご相談は
とうかいにお任せください。

IT業界は、変化が激しく、新たなIT技術も進化のスピードが速いものです。そのビジネス環境の中、会社が成長・存続していくには、ITエンジニアの存在なくしては成り立ちません。しかしながら、その変化のスピードに併せて、人材確保は至難の業。国内エンジニアだけで対応するには、無理な時代となっています。外国人エンジニアを活用しながら、事業展開を考えていくことは当たり前となってきました。すでに外国人人材を雇用している会社も、これから雇用を予定している会社も、外国人の採用・雇用については、特有のトラブルに留意し、いかに労務リスクを低下させるかを常に考えておかなければなりません。そのためには、IT業界や外国人採用・雇用に詳しい社労士に相談してみることをおすすめします。

当社では、IT・外国人雇用に詳しい社労士が揃っております。ぜひお気軽にご質問・ご相談ください。

最新セミナー一覧

サイドメニュー