マネーフォワードクラウドは、会計・給与・経費精算・請求・契約など企業の基幹業務に関するシステムが展開されています。個人事業主や法人を問わず、幅広いユーザーに利用されています。数多くのクラウドサービスがある中で、利用ユーザーの多いマネーフォワードクラウド。バックオフィス業務を行うための必要十分な機能を備えていることが前提なのはもちろんですが、使いやすいUIや導入までのステップが簡単でわかりやすいといったメリットもあるでしょう。今後のクラウド利用を検討している経営者・担当者の方にとっては、選択肢の1つとして、マネーフォワードクラウドを候補とされているかもしれません。
そこで今回は、マネーフォワードクラウドの機能部分ではなく、大切な会社や従業員情報を扱うクラウドサービスだからこそ注目しておきたい、安全性やセキュリティを取り上げ、実際にマネーフォワードクラウドを利用して業務を行っている社労士が解説していきます。
社会保険労務士法人とうかい
執行役員 社会保険労務士 小栗多喜子
同社、人事戦略グループマネージャーを務め、採用・教育を担当する。商工会議所、銀行、Adeco,マネーフォワードなどセミナーや研修講師も精力的に行っている。労働法のアドバイスだけではなく、どのように法律と向き合い企業を成長させるのかという経営視点でのアドバイスを得意としている。
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マネーフォワードクラウドとは、会計・給与計算・勤怠管理・経費精算をはじめ、請求書発行、契約書管理まで、バックオフィスに関するさまざまな業務を、SaaSによって効率化するためのサービスです。個人事業主から大企業まで会社規模を問わず、ユーザーのニーズに合わせて利用できることから、大変人気のあるSaaSサービスです。
○財務経理業務
数多いラインアップの中から、自社の会社規模や従業員規模に合わせてプランを選択することができます。企業のバックオフィス業務のほとんどはカバーできているラインアップは大きな魅力です。SaaSであるメリットを活かして、簡単な導入とそれぞれのデータ連携も可能で、導入企業が多い所以です。
その名のとおり、バックオフィス業務に関するさまざまなサービスを、クラウドの仕組みを使って提供しているのがマネーフォワードクラウドです。ありとあらゆるものが、クラウド上でサービス展開されている昨今、今さら「クラウド」について詳しく理解する機会もないかもしれません。当たり前すぎて、そもそもどんな仕組みなのかよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。その仕組みをおさらいしておきましょう。
そもそも「クラウド」とは、インターネット上にあるサーバーを利用して、データやアプリケーション、ストレージなどの機能を利用するサービスのことです。利用する側がサーバーやストレージなどハードウェアを持ち、パソコンにソフトウェアをインストールすることなく利用できます。
○拡張性が高い
クラウドは拡張性が高く、利用ユーザーの増減など必要に応じてサーバーやストレージの容量を増やすことができます。急激なアクセス増加やデータの増加にも柔軟に対応することができます。利用ユーザー側は、サーバーやストレージなどの容量を気にすることなく、利用できます。
○従来のオンプレミスより低コスト
クラウドでは、自社でサーバーやストレージを用意したり、サーバー構築やアップデートの作業などの必要がなく、クラウドサービス利用のコストのみ負担することになります。自社で資産を保有することがないので、固定資産税の削減や、運用コストを抑えることができます。
○セキュリティ対策がしっかりしているサービスが多い
マネーフォワードクラウドをはじめ、多くのクラウドサービスプロバイダーは、大規模なデータセンターを保有していたり、多層的なセキュリティ対策を実施しています。サービスレベル契約(SLA)を維持するため、一定の稼働時間やパフォーマンフを保証するので信頼性の高いものも多いでしょう。
会計や勤怠管理、給与計算といったバックオフィスに関わる業務システムは、過去にはオンプレミス型のソフトウェアを利用するケースが一般的でした。オンプレミス型は、ソフトウェアをサーバーやパソコンにインストールして業務システムを利用するものです。自社内でサーバー構築・管理したり、パソコンのシステム管理も必要となります。一方、クラウドはインターネット上にあるサーバーで必要な機能やサービスを利用することができます。利便性や安全性を比較し、昨今ではクラウドを利用する方向へ舵が切られています。とくに安全性においては、自社で安全管理を行う負担を考えると、クラウドに軍配が上がりそうです。具体的な違いは、そのサーバーの管理方法によるところが大きいでしょう。
クラウドは、クラウドサービスプロバイダーが膨大な数のサーバーやストレージを保有しており、それらを仮想化技術で分割・共有して提供しています。利用ユーザーは、ネットを介しWebブラウザからクラウドサービスプロバイダーの提供するサービスサーバーにアクセスすることになります。情報やデータ量は膨大のため、多くのクラウドサービスプロバイダーは大規模なデータセンターを保有・利用していたり、多層的なセキュリティ対策を実施しています。オンプレミス型の場合には、自社でサーバーやネットワークを管理し、セキュリティ対策も行う必要があるため、専門的な知識や技術が必要となります。クラウドの場合には、そうした心配が必要ないので、セキュリティリスクを低減することができると言えるでしょう。
今まで主流だったオンプレミス型の業務システムの一方で、小規模企業などではExcelを利用してバックオフィス業務を行っているというケースも多いのではないでしょうか。また業務システムを利用してはいるものの、会社独自の資料や帳票は、Excelで作成しているというケースも多いでしょう。
Excelの安全管理においては、よりデータの取り扱いに対するリスク管理が重要になってきます。とくに個人情報が記載されている人事情報などをExcelデータで管理されているような場合には、パスワード保護はもちろん、アクセス制限やバックアップの頻度など対策が必要になってきます。メールでExcelファイルを添付送信するといったことも安全管理の観点からは避けるべきでしょう。セキュリティ対策を行われているGoogleDriveやOneDriveなどファイル共有サービスを利用するケースが一般的になってきています。ファイルの暗号化、セキュリティアップデートの自動適用、アクセス制限、セキュリティログの監視などのセキュリティ対策もされていますので、より安全にデータを管理することができます。
普及が広がるクラウドサービスですが、もしものデータの漏洩に不安を覚える人もいるかもしれません。ただ、クラウドサービスプロバイダーはデータセキュリティに非常に高いレベルで取り組んでいる企業も多く、クラウドを正しく利用することで、安全にデータを管理することができます。一般的なクラウドサービスプロバイダーが行っているセキュリティ対策を理解しておきましょう。
○物理的なセキュリティ対策
クラウドサービスプロバイダは、大規模なデータセンターを保有していたり利用し、物理的なセキュリティ対策を行っているケースが多いものです。
○マルウェア対策
マルウェアとは、マルウェアとは、「悪意がある」という意味の造語で、悪意のあるソフトウェアの総称です。ランサムウェア、スパイウェア、トロイの木馬など、様々な攻撃があるため、このマルウェア対策は欠かせません。
○アクセス制御
データを閲覧できるユーザーの認証を行ったり、アクセス権限の管理を行い、不正アクセスを防止します。
○セキュリティログの監視・監視体制
クラウドサービスへのアクセスログや操作ログを監視し、不正アクセスがないかやデータ漏洩リスクはないかなど、対策を行っています。定期的にログレビューなども行われます。
○レッドチーム活用とペネトレーションテスト
サイバー攻撃を防ぐために、企業が保有するデータを不正に入手することを目的としてシステムを攻撃するレッドチームによる演習や、セキュリティの脆弱性を調査するペネトレーションテストを行うことで、自社のセキュリティ強化を実施します。
マネーフォワードクラウドは、会計・勤怠管理・給与をはじめ、請求書・契約・マイナンバーなどバックオフィス業務を網羅するクラウドサービスです。このようなクラウドサービスにとって、安全性やセキュリティ対策は、非常に重要な問題です。クラウドサービス導入を検討する企業においても、万全なセキュリティ対策がされていなければ、いくら低コストのサービスであっても、導入する決断はされないはずです。マネーフォワードクラウドでは、ユーザーのデータを保護するための様々な対策が実施されており、安全性・セキュリティ対策はしっかりしていると言えます。
○セキュリティ対策
マネーフォワードクラウドでは、金融機関と同水準のデータ保護を行い、厳重な管理・運用が行われています。データの暗号化やセキュリティ強化のための定期的なパッチ適用、脆弱性診断なども実施し、情報漏洩を防止するためのセキュリティ対策が取られています。外部基幹によるシステム攻撃テストなども定期的に実施されています。
○プライバシーマークの取得
マネーフォワードクラウドではマイナンバーなどを取り扱うケースもあります。個人情報の漏洩防止のために、アクセス権限、フィッシング・スパイウェア対策などさまざまなセキュリティ対策を行っています。プライバシーマークは、個人情報やプライバシーの取り扱いにおいて、体制を整備し、適切に運用されている証でもあります。
クラウドサービスを利用するにあたって非常に重要である安全性とセキュリティ対策。この部分がしっかりしているのであれば、あとは自社に適したサービスの利用が可能であるかが第2ステップとなります。マネーフォワードクラウドでは、面倒な作業の自動化や、多岐にわたる業務範囲をカバーし、データ連携が叶う最大のメリットがあります。マネーフォワードクラウドを利用し、業務効率化を最大限に実現するための導入ヒントをおさえておきましょう。
1 自社のバックオフィス業務全体とそのプロセスを棚卸しする
一番労力が必要なのがこの部分かもしれません。まずはバックオフィス業務全体のプロセスを棚卸しすることが重要になります。この部分を蔑ろにすると、せっかくの業務効率化が片手落ちになりかねません。プロセスを把握し、データの流れや重複しているもの、手間となっているものなども洗い出します。この点が明らかになれば、マネーフォワードクラウドでの全体像、実現したい業務効率化が描けるはずです。
2 充実したデータ連携を大いに利用する
マネーフォワードクラウドの強みとして、充実したデータ連携機能です。連携サービスの多さで言えば、ダントツの多さでしょう。システムの互換性など気にすることなく、スムーズに連携可能なので、システム毎に二重に入力しているデータや転記などの作業が集約できるのはうれしいところです。
3 自動化機能が活用できる
請求書や領収書などのスキャンや保存機能をはじめ、給与振込の自動化など、業務の手間を大幅に削減することができます。
4 役割権限の割り当てや進捗管理がわかりやすい
担当者や管理者の役割権限の割り当てが簡単に行え、業務の進捗管理も円滑です。
5 データ分析機能が使える
企業によっては、さまざまな管理帳票や資料をExcelで作成しているケースも多いでしょう。マネーフォワードクラウドでは、データ分析機能も豊富なので、わざわざExcel資料を作成し直す必要はありません。その分の負担は他の業務に振り向けられます。
企業のバックオフィス業務などのデジタル化を狙い、マネーフォワードクラウドの導入を検討されている企業は多いかもしれません。また、従来のオンプレミス型のシステムから、クラウドに切り替えたいといった企業もあるでしょう。今回のマネーフォワードクラウドは、セキュリティ対策に力を入れていることもあり、これから導入を検討されている企業には、ぜひおすすめしたいクラウドサービスの一つです。業務効率化、コスト削減、セキュリティ対策の向上を目指し、検討してみてはいかがでしょうか。もちろん導入すべきかどうかは、それぞれの企業の状況やニーズによっても異なります。当社ではITに詳しく実際にマネーフォワードクラウドを利用している社労士もおります。サービス導入はもちろん、マネーフォワードクラウドについてご不明な点があれば、ご相談を受けさせていただきますので、ぜひお気軽にお問合せください。