社員が保険証をなくしてしまった場合、どのような対応が必要になるのかご存知ですか?手続きの方法がわからず困っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、社員が保険証をなくした際の手続き方法を紹介します。保険証は悪用される可能性があり、紛失した際は速やかな手続きが必要です。悪用されないための対策も解説しているため、社員が保険証を紛失した際の手続きについて知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
社会保険労務士法人とうかい
執行役員 社会保険労務士 小栗多喜子
同社、人事戦略グループマネージャーを務め、採用・教育を担当する。商工会議所、銀行、Adeco,マネーフォワードなどセミナーや研修講師も精力的に行っている。労働法のアドバイスだけではなく、どのように法律と向き合い企業を成長させるのかという経営視点でのアドバイスを得意としている。
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保険証が再発行できるケースは、以下の通りです。
保険証が紛失してしまった場合は、会社が加入している保険者(協会けんぽもしくは健康保険組合)に再発行の依頼をすることができます。どちらの保険者かにより様式も異なりますが、社員から紛失の申し出を受けた場合はまず速やかに加入している協会けんぽや健康保険組合に連絡し、必要な手続きを行うことが大切です。
また、再発行には保険証の番号や個人情報の確認が必要な場合があります。紛失した保険証の番号や詳細な情報がわからない場合もあるでしょう。その場合は、協会けんぽの再交付申請書においてはマイナンバーを記載することで被保険者の記号・番号を省略できます。番号確認書類としてマイナンバーカードのコピー(ない場合はマイナンバーの記載のある住民票または個人番号通知カードのコピー)および本人確認書類の添付が必要です。健康保険組合加入の場合は当組合に確認しましょう。
再発行手続きが完了すると、新しい保険証が発行されますので、確認して大切に保管しましょう。
棄損してしまった場合も、会社が加入している協会けんぽもしくは健康保険組合に再発行の依頼をすることができます。会社で加入している保険先に連絡し、再発行手続きに必要な情報を提供することが大切です。棄損した保険証を一緒に提出する必要があるため、社員には捨てずに提出するように伝えましょう。
保険証の番号や個人情報など、必要な情報が確認できれば、再発行手続きが進められます。ただし、健康保険組合によっては再発行に関する手数料を請求する場合があるため、確認しておくことが重要です。
協会けんぽ加入の場合は、紛失時と同じ再交付申請様式を使用します。再交付の原因で「棄損」をチェックし、理由欄に詳細を記載します。健康保険組合加入の場合は当組合の案内に従って手続きを進め、再発行が完了したら、新しい保険証を受け取って大切に保管してください。
保険証の印字が見にくくなってしまった場合も、会社が加入している協会けんぽもしくは健康保険組合への再発行依頼が可能です。
印字が見えにくい原因は、紙の劣化や汚損、印刷不良などが考えられます。再発行する際は、保険証番号や個人情報、印字が見にくくなった保険証が必要です。加入している保険先に連絡し、再発行手続きを進めてください。
健康保険組合によっては、手数料を請求されるため、事前に確認しておきましょう。また、再発行には時間がかかる場合があり、余裕を持って手続きを行うことが大切です。
再発行が完了すると、新しい保険証が発行され、保険の利用ができるようになります。
保険証の再発行には、書類や個人情報を提供する必要があります。再発行に必要な書類は加入している保険者やなくした理由によって異なるため、注意しましょう。
協会けんぽに加入している場合は、「健康保険被保険者証再交付申請書」を協会けんぽに提出します。再発行された保険証は会社に送られてくるため、社員に渡しましょう。
「健康保険被保険者証再交付申請書」には、被保険者番号や名前・住所・失くした理由を記載する必要があります。事業主の情報も忘れずに記入しましょう。また、被保険者番号がわからない場合は、マイナンバーを記入し身分証明書や個人番号カードのコピーを添付してください。
再発行を依頼した後に紛失した保険証が見つかった場合は、協会けんぽに見つかった保険証を返却しましょう。
健康保険組合に加入している場合、必要な書類は組合によって異なるため、各ホームページなどをしっかり確認したうえで必要書類を揃えることが大切です。必要な書類を用意したら、再発行手続きを開始しましょう。
協会けんぽの場合と同様、申請書には再発行の理由や必要事項の記載が求められます。また、書類の添付が必要なケースもあるため、しっかり確認するのがおすすめです。
再発行に必要な書類は、再交付申請書・保険証・盗難届受理番号・罹災証明の写し・本人確認書類などがあります。再発行の理由によって必要な書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
再発行手続きが完了すると、新しい保険証が発行されます。ただし、再発行には時間がかかる場合があるため、余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。また、健康保険組合によっては再発行に関する手数料が発生する場合があるため、手数料の支払いにも注意が必要です。
保険証は健康管理や医療費の支払いなどに必要な重要な書類です。紛失や盗難、印字不良などで再発行が必要になった場合は、すみやかに加入している保険先の案内に従って手続きを進め、新しい保険証を受け取るようにしましょう。
先述の通り、社員が保険証を紛失した場合、すみやかに再発行手続きを行いましょう。保険証は万が一の医療や怪我、病気などの際に必要不可欠なものであるため、早急な対応が必要です。
また、保険証は身分証として利用できる公的な書類のひとつです。保険証が第三者に盗まれた場合や紛失した場合、その情報が悪用される可能性もあります。そのため、保険証の紛失が判明した際は、社員に警察にも届けるようにすすめることが大切です。
警察に届けると、遺失届証明書を発行してくれます。届けを出せば、警察のシステムで拾得物として登録されていないか確認し、探し出せる可能性もあるでしょう。また、届出を出しておけば、保険証が見つかった場合に連絡が来ます。
警察に届出を出す際は、落とした日や場所を伝えられるように準備しておきましょう。保険証に記載されている名前や番号を伝えられればスムーズです。
また、拾得物が保管されるのは3か月間のため、保険証が紛失したと気づいた際は速やかに届け出るようにしてもらいましょう。
以上のように、保険証の紛失に関しては、加入している保険先に再発行手続きを行うこととともに、警察にも届けることを社員にすすめることが望ましいといえます。これによって、保険証の不正利用によるトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
協会けんぽや健康保険組合の社会保険に加入している場合、手続きを行ってから手元に保険証が届くまで1週間ほどかかります。ただし、協会けんぽや健康保険組合の支部の場所と会社までの距離によって期間は異なり、1週間以上かかることもあるでしょう。
保険証が手元に届く前に、社員が受診を希望する場合は、病院にその旨を伝えるように指示してください。
この場合、一時的に10割負担で医療費を支払わなければならない可能性があります。ただし、手続きを踏めば返金してもらえるため安心してください。返金の方法は、
● 受診した病院で社員自身が手続きする
● 協会けんぽや健康保険組合へ会社が手続きする
のふたつです。
病院から返金してもらう場合は、再発行された保険証が手元に届いた後に、保険証と領収書、療養費支給申請書を持って受診した病院に行きましょう。返金の際は領収書や明細書が必要なため、無くさないように気をつけてください。
もし、10割負担では払いきれないほど医療費が高額になってしまった場合は、病院との交渉も可能です。3割ほどを仮払いとして支払ったり、少額支払いをお願いしたりしてみてください。
保険証再発行中にどうしても受診しなければならないときは、診察前に窓口へ相談するのがおすすめです。診察後にトラブルにならないよう、事前に何割負担になるか確認するようにすると良いでしょう。また、医療費の返金は病院によって期限が決まっている場合もあるため、いつまで返金可能か確認しておくのがおすすめです。
もし、返金期限が切れてしまったり、返金対応を行っていない病院を受診したりした場合は、協会けんぽや健康保険組合で払い戻しの手続きを行いましょう。この手続きは会社側が行う必要があります。
協会けんぽへ返金申請をする際は、健康保険療養費支給申請書を提出します。その際は、診療明細書や領収書を添付しましょう。場合によってはそのほかの添付書類が必要になることもあります。ただし、申請期限は医療費を医療機関に支払った翌日までなので、すみやかな申請が大切です。
また、保険証が届くまでの間、保険証代わりとして使用できる「健康保険被保険者資格証明書」を発行するのもひとつの方法です。即日発行したい場合は、社員が直接年金事務所に行き、手続きを行います。その際、健康保険被保険者資格証明書交付申請書と本人確認書類を持参してもらいましょう。郵送でも可能ですが、その場合は発行までに時間がかかるため注意が必要です。また、健康保険被保険者資格証明書の有効期限は20日以内と定められているため、いずれにせよ保険証の再発行手続きはすみやかに行ってください。
健康保険組合へ返金申請をする場合は、組合によって必要な書類や申請期限が異なるため、各ホームページなどをしっかり確認しましょう。基本的に必要な書類は療養費支給申請書や領収書・診察報酬明細書などです。診察報酬明細書は通常の受診では発行されないため、病院窓口で発行してもらってください。
また、マイナンバーカードの保険証利用手続きが済んでいる場合は、マイナンバーカードを提示すれば保険適用となります。
保険証を落としたり盗まれたりして紛失した場合、悪用される可能性も考えられます。保険証のみで本人確認が済む手続きもありますし、場合によっては借金の契約をされてしまうこともあるでしょう。
保険証を悪用されないために、盗難にあった場合や紛失の原因が不明な場合は、警察に届けを出しましょう。警察に届け出ることで、悪用された場合の犯罪捜査に役立ちます。また、警察に届け出た際に発行される受理番号を保管しておけば、万が一身に覚えのない請求が来た場合に、被害を証明してくれるでしょう。
すみやかに加入している協会けんぽ健康保険組合に連絡し、再発行することも大切です。ただし、保険会社に連絡しても保険証を無効にしたり番号を変更したりすることはできません。
また、個人信用情報機関の本人申告制度を利用するのもおすすめです。この制度は、保険証を含む本人確認書類の紛失を申告することができます。消費者金融やクレジットカード・借り入れを申請する際は、審査が行われます。その際、個人信用情報機関の情報を参照しているため、本人申告制度を利用し紛失したことを届けていれば、本人ではなく他の人が申請していると判明するでしょう。
個人信用情報機関は、日本信用情報機構(JICC)・CIC・全国銀行個人信用情報センター3つです。それぞれ独立した機関のため、全ての機関で申告するようにしましょう。
もし、保険証を悪用されてしまい、身に覚えのない請求書が届いた場合は警察に相談しましょう。詐欺の可能性があるため、請求に応じる必要はありません。請求元に問い合わせをすると、トラブルに巻き込まれる可能性もあるため、気をつけてください。
身に覚えのない請求が届いた際は動揺してしまうかもしれませんが、落ちついて警察に相談してください。
社員が保険証を紛失した際は、すみやかに保険会社に連絡し再発行してもらう必要があります。無くした理由や保険会社によって必要な書類は異なるため、確認の上手続きを行いましょう。
また、保険証は人の手に渡ると悪用される可能性があります。そのため、社員には警察へ届け出ることをおすすめしてください。
保険証は医療機関を受診するときだけではなく、身分証としても利用できる大切な書類です。社員から紛失の報告を受けたら早めに対応しましょう。
とうかいでは、完全オンラインの社会保険手続きのアウトソーシングを提供しています。とうかいのアウトソーシングを利用すれば、迅速な対応が必要な保険証の再発行手続きもスピーディーに進められるでしょう。
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