社員の入社・退社、結婚、出産、引っ越し… 社員に何か変化があるたびに社会保険の手続きが必要となります。
社員の国籍、性別、正社員であるかパート・アルバイトであるかに関わらず、法律に従って正しい手続きが重要です。担当者にとっては、この社会保険手続きが大きな負担だったりもします。
忙しい業務の中、社会保険の手続きをしっかりと漏れなく、遅れなく、差し戻しなど発生することなく処理するのは、案外労力のいるものです。
社員数が多ければなおさらです。
そこで、整備しておきたいのが社会保険手続きに関するマニュアル。「マニュアルなんて結局見ないから必要ない」「担当者1人だから不要」「マニュアルなんて作っている時間がない」といったマニュアル不要論も世の中にはあります。とはいえ、複数のメンバーで同じレベルの業務をこなすため、また担当者が1人だからこそ、マニュアルを作成すべきではないでしょうか。
今回は、社会保険手続きについてマニュアルを作成するためのポイントを社会保険労務士が解説します。
社会保険労務士法人とうかい
執行役員 社会保険労務士 小栗多喜子
同社、人事戦略グループマネージャーを務め、採用・教育を担当する。商工会議所、銀行、Adeco,マネーフォワードなどセミナーや研修講師も精力的に行っている。労働法のアドバイスだけではなく、どのように法律と向き合い企業を成長させるのかという経営視点でのアドバイスを得意としている。
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社会保険の適用範囲が段階的に拡大され、社会保険加入が義務化される人が増加することになります。
パート・アルバイトなどを多く抱える企業においては、社会保険手続きの負担が、一気に増加することになります。
将来的に2024年からは従業員数51人以上の企業は要件に該当すれば、多くのパート・アルバイトについても社会保険へ加入させることになります。
社会保険の資格取得の手続きをはじめ、扶養、各給付申請など、手続きの頻度やボリュームが増えていくことが予想されます。
このような手続きをいかに業務効率化し、負担を削減できるか、今のうちから検討していく必要があるでしょう。
今、現在こんなケース・お悩みがある場合には、ぜひ社会保険手続きのマニュアルの整備を進めておくことをおすすめします。
「マニュアルなどなくても業務はできる」「マニュアルなど作っても見ない」と言う人がいます。
確かにマニュアルはなくとも、仕事の完結は可能ですし、マニュアルを見なくとも仕事は進められるでしょう。
しかしながら、業務を標準化し手間や負担を最小限にするには?との視点で考えてみると、やはりマニュアルは有効な手立てなのです。
忙しい業務のなか、新任の担当者に手続きの内容を説明するとき、最短・最小限で作業するための手順を共有したいとき、口頭の説明だけで可能でしょうか?
とくに社会保険の手続きについては、社会保険・労働保険に関する知識が必要になる業務です。
誰もが同じレベルで知識を保有しているわけではありません。
やはり口頭の説明を行いつつも、明文化された資料、つまりマニュアルが必要ではないでしょうか。
社会保険手続きのマニュアルはぜひ作成してほしいところです。
担当者が複数の場合も、1人である場合であっても、手続きの品質レベルを保ち、差し戻しや処理間違いなどを発生させないためにも、重要です。
ただし、個人事業主の場合には、社会保険手続きといっても、気を付けるべきポイントがあります。
マニュアル作成の際には注意しましょう。
個人事業主であっても、当然、健康保険に加入しますし、年金にも加入します。
ただし、一般の会社員と異なり、国民健康保険などに加入することに加え、会社と保険料を折半するわけではありませんので、全額個人負担となります。
また一定の業種に該当し、従業員を5人以上雇用した場合には、もちろん従業員の社会保険加入も必要になってきます。
従業員5人未満であっても、任意に申請することで社会保険に加入することが可能です。
【従業員5人以上の業種】
製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、媒介斡旋業、医療保険業、通信報道業など
個人事業主であり、従業員を雇用する場合には、社会保険の適用事業所となるのか、そうでないかによって大きく異なります。
労災保険などの手続きも必要となりますので、マニュアル作成の際には、しっかりと明文化しておくことをおすすめします。
いざ社会保険手続きのマニュアルを作成するとなったとき、どのような準備、プロセスを行えばよいのでしょうか。
まずは、マニュアルの作成目的を明確にしておきます。「業務の標準化や効率化」「マニュアルを読めば、一通りの手続きが行える」など、自社のマニュアル作成の目的を関係者で共有しておきましょう。
そのうえで、マニュアル作成にあたって明文化しておきたい項目や手続きを整理しておきます。
まずは、現状の手続きの棚卸しを行います。そのうえで、どのような内容を盛り込むか、どのようにカテゴリ分けをするかなども検討していくとよいでしょう。
マニュアル作成にあたって、一から作成するのが大変ということで、ネットのテンプレートをそのまま利用しているケースがあります。
もちろん、ネットのテンプレートを活用するのはOKです。
ですが、ぜひ、自社ならではの情報、利用しているシステムなどにも合わせて、ブラッシュアップすることをおすすめします。
また、マニュアルの作成にあたっては、最近ではマニュアル作成用のさまざまなツールも出回っています。
マニュアルの作成後、関係者が日々利用していけるような媒体やツールで運用していけるようにしましょう。
WordやExcelなどで作成することもあるでしょうし、社内情報共有ツールや社内Wikiなどで共有する場合もあるでしょう。
また、手順を動画で作成しておくというケースもあるかもしれません。
いずれにしても自社で活用しやすく、更新しやすいツールなどを選択し、共有するのがおすすめです。
社会保険や労働保険の手続きに関するマニュアルは、一度作成しても、法改正が発生するたびごとに見直しが必要ですし、業務環境が異なれば、やはり見直しが必要になってきます。
常にブラッシュアップしながら運営していくものになります。
ただ、その習慣が根付けば、担当者のスキルレベルの均一化や、業務効率化していくことに間違いはありません。
とはいえ、マニュアル作成自体が大きな負担で、着手できないという現実もあるでしょう。
そこで一つ考えるのは「アウトソーシング」です。
社会保険労務士法人とうかいの社会保険手続きアウトソーシングでは、入社などは従業員が必要なデータを入力するだけで、クラウドシステムを使い、データの連携がされますので、スマートに手続きを完了させます。
アウトソーシングでよくある、「進捗が分からず不安」「担当者と連絡がつかない」「想定より当社の作業負担が大きい」などのご不満を抱かせません。
また、各企業の事情にあわせてアウトソーシング範囲を見直し、バックオフィス業務の効率化をいたします。
クラウドサービスなどの使い方も、チャットワーク・zoomを活用してきめ細やかに伴走支援いたしますのでご安心ください。
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