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歯科医師国保とは協会けんぽ(健康保険)はどう違う?メリット・デメリットを比較!

歯科医師に特化した「歯科医師国保」と一般的な「協会けんぽ」があり、それぞれに違いが存在します。

保険選びはライフスタイルや業務内容、将来への備えに深く関わります。個人開業を目指す歯科医師は歯科医師国保のメリットを理解し、大規模病院やクリニックに属する場合は協会けんぽの安心感と利便性を慎重に評価する必要があります。

どの健康保険を選ぶかは一生の大きな決断です。将来や家族構成、収入見込みを考慮し、適切な保険を選び、歯科医師としてのキャリアを安心して歩むことができます。

目次
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


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歯科医師国保とは?保障内容や加入条件

今回の機会に歯科医師国保の保障内容と加入条件を把握し、安心して診療に専念する環境を整えましょう。

歯科医師にとって最適な保険選択は、将来の保障はもちろん、患者への医療サービス提供にも不可欠です。今回の機会に歯科医師国保の保障内容と加入条件を把握し、安心して診療に専念する環境を整えましょう。

歯科医師国保の定義

歯科医師国保は、自営業の歯科医師に万が一の病気や怪我、出産時の経済的負担を軽減し、安定した生活を支えるための公的な保険制度です。この保険は国が設けた基準で運営され、多くの場合、組合を通じて提供されます。そのため、歯科医師は国民健康保険組合に加入することで、広範囲な保障を受けながら、日々の医療活動に専念できます。この背景から、自由診療を行う歯科医師にとって、歯科医師国保は業務継続のために欠かせない重要な支援です。

歯科医師国保は何が保障される?

あなたが歯科医師として患者に最良の治療を提供するように、歯科医師国保もあなたの健康をしっかり守ります。その詳細な保障内容を見てみましょう。病気やけがの際にはもちろん、予防接種や健康診断など、あなたの健康を支える広範なサービスがあります。

1.法定給付

突発的な出来事に遭遇した時の給付金や医療費サポートは、個人のリスク管理だけでなく、診療を続ける上で不可欠な支えです。歯科医師国保を含めた健康保険組合の制度を適切に理解し、確実な保障を得ることで、安定したキャリアを築くことをお勧めします。

歯科医師国保を運営・管理する団体は、住んでいる地域によって異なり、団体ごとに受けられるメリットが異なります。中でも、1府19県に支部を持つもっとも大きな団体「全国歯科医師国保組合」の給付ケースをご紹介します。


【疾病やけがに対する医療費の補助】
健康保険が適用される治療に対して、自己負担額は一定の割合に抑えられ、負担を軽減しながら必要な治療に専念できます。さらに、歯科医師としての専門性を活かすあなたには、歯科治療に関する給付も充実しています。国保組合では予防的措置を含んだ歯科治療費もサポートしているため、患者さんに提供する高品質の治療を自ら受けることができます。

■療養の給付
組合員:7割給付
家族:7割給付
義務教育就学前まで:8割給付
___________________________________
高齢受給対象者(組合員・家族): 現役並み所得者は7割給付
一般所得者は8割給付

■高額療養費
同じ人が同じ月内(暦で1日~末日)に、同じ医療機関で支払った一部負担金が限度額を超える場合、申請により一部負担金から自己負担額を控除した額が高額療養費として支給。
■療養費
本人が立替払いした後、組合に請求すれば給付割合に従って一定基準額を支給。t
■海外療養費
海外渡航中の疾病等について、被保険者が海外の病院等において療養等を受けた場合の費用をサポート。
■移送費
療養の給付などを受けるために、病院等へ移送されたときの費用。

【出産や育児の支援】
出産育児一時金の支給や産後ケア、子どもの予防接種など、歯科医師としてのキャリアと家庭生活の両立を支える給付があります。

■出産育児一時金
被保険者が出産(妊娠4ヶ月以上の死産・流産を含む)した場合1児につき420,000円を支給。

■葬祭費
被保険者が死亡した場合、その者の葬祭を行う者に支給される。

2.任意給付

任意給付は歯科医師が質の高い医療サービスを提供しながら自身の健康を守り、経済的負担を軽減し能力を最大限発揮するための重要なサポート策です。耳に新しい制度かもしれませんが、利用する価値はあります。所属する健康保険組合の任意給付内容を確認し、メリットを活用することをお勧めします。下記は任意給付にあたり、申請により給付を受けられます。

■傷病手当金
1種組合員 入院一日につき 4,000円
2種組合員 入院一日につき 1,500円
3種組合員 入院一日につき 1,500円

■出産手当金
産前6週間、産後8週間において業務に服さなかった組合員
一日につき 1,500円

歯科医師国保の加入条件とは

基本となる歯科医師国保の加入資格は、開業している歯科医や他の健康保険組合に属していない自由業の歯科医師に限られます。つまり、自らのクリニックを開設して独立している歯科医師が対象です。また、組合では被保険者資格を持つ従業員を雇用している場合、その従業員、そしてのその家族も健康保険の保護を受けられます。

次に、居住地条件ですが、国民健康保険は居住地に基づいて運営されています。これは、居住している地域の国保組合に加入することを意味し、地域によって違いがあります。歯科医師が地域の国保組合に加入すると、国保税を納める義務が生じますが、これは医療サービスの費用を賄うために重要です。

また、従業員要件もあります。常時4名以下の医院しか加入できません。5名以上の歯科医院では、健康保険に強制適用となり、手続きが生じます。

歯科医師国保と協会けんぽ(健康保険)との違い

各自のライフステージやキャリアプランに応じた選択が、将来の安定や家計に影響を与えます。保険料の見直しや選択を追求することで、より充実した生活を実現できます。

保険料比較

歯科医師は、自分や家族の健康を守るために保険選びが重要です。「歯科医師国保」と「協会けんぽ」は歯科医師にとって身近な選択肢です。

「歯科医師国保」の保険料は、組合員資格と地域、世帯構成によって保険料に差が生じます。一方「協会けんぽ」の保険料は給料の多寡によって異なりますが、歯科医師保険の場合は、同じ組合員資格の間では同じ保険料を負担することになります。

これらの違いを理解し、自身の年収や家族構成を考慮して、どの健康保険制度が自分のライフスタイルや経済状況に合っているかを見極めることが重要です。各自のライフステージやキャリアプランに応じた選択が、将来の安定や家計に影響を与えます。保険料の見直しや選択を追求することで、より充実した生活を実現できます。

「扶養」の取り扱いが異なる

協会けんぽでは、所得に関わらず同居する家族や生計を共にする家族を扶養家族として加えることができます。これにより、単純計算する場合よりも保険料負担を抑えることが可能になります。一方で、歯科医師国保では「扶養」という考えがないため、加入者の数だけ保険料を支払う必要があります。

歯科医師国保に入るメリット

歯科医師として、安心・安全な医療サービスを提供することは重要です。国民健康保険に加入することは、開業歯科医やフリーランス歯科医師にとって、リスクをカバーし、安定した経営をサポートします。

保険料が一律となる

歯科医師にとって自身の健康保険は実務上重要です。医師国保では、前述したとおり働く環境や収入の変動にかかわらず安定した保険料が設定されることが大きな利点です。

歯科医師国保は組合を通じて運用され、加入する組合によって異なるものの歯科医師の収入や資産とは無関係に統一された基準で保険料が算定されます。そのため、収入が減少しても保険料が急に上がる心配がなく、歯科医師が安心して仕事に専念できる要素です。

さらに、健康保険制度において、組合への加入により同職の同僚と協力し、安定したサービスが受けられる体制が整います。

結局、医師国保の一律の保険料設定は経済的な不安を解消し、優れた医療サービスの提供に集中させる助けになります。

2つの手当

歯科医師のための国民健康保険の保障:傷病手当と出産手当の基礎知識

歯科医師は日々患者の健康を守る立場ですが、自身の健康面で万一の事態に備えることも重要です。重要なのは国民健康保険における休業補償制度、具体的に傷病手当金と出産手当金です。ただし、加入組合によっては、制度として整備されていないことや協会けんぽ(健康保険)よりも金額が少ないこともあるため注意が必要です。

傷病手当金の支給は、歯科医師が病気や怪我で職務を休む必要が生じた際、収入喪失を補填する役割を果たします。傷病手当金は病気や怪我により仕事を一定期間行えない場合に日額で給付され、治療に専念するための時間を確保しつつ、経済的な安全網を提供します。

出産手当金もあります。歯科医師が出産で仕事から離れる必要がある際に適用され、休業期間中の生活をサポートします。出産は人生の大きなイベントであり、多くのエネルギーを必要とします。この手当により、心身ともに準備及び回復期間をしっかり取り、経済的な不安なく出産期間を迎えることができます。

国民健康保険のもと提供される傷病手当金及び出産手当金は、個々の歯科医師が直面するリスクを社会全体で支える、日本の社会保障システムの根幹です。健康を維持したくても、予期せぬ健康問題や家族の増加は誰にでも起こり得るので、これらの支給を心強いバックアップと捉え、安心して診療に専念できる環境を整えることは、歯科医師にとって非常に重要です

福利厚生の充実

歯科医師が国民健康保険(国保)に加入すると、医療費の補助だけでなく、経済的リスクからも自らを守ることができます。疾病や怪我で療養が必要になった場合、費用支援や高額療養費制度によって医療費の自己負担上限額が設定されるので、治療費に関する不安を軽減できます。

また歯科医師国保は予防接種や健康診断など予防医学に基づくサービスも提供しています。予防手段により病気の発症リスクを減らし、長期的に健康を守るサポートがあります。これにより、診療活動に専念しながらも自分の健康管理を考慮できます。

これらの福利厚生は、安定した経済活動の支えとなり、安心して持続可能な医療サービスを提供する基盤を強化しています。国保に加入する歯科医師たちは、治療中の患者だけでなく、将来の健康管理も行えるのです。

歯科医師国保に入るデメリット

歯科医師国保に入るメリット・デメリットをしっかり解説します。

歯科医師の皆さんにとって、自分や家族の健康保険選択は重要な決断です。多くの先生が個人事業主として開業しており、国民健康保険へ加入するケースも少なくありません。しかし、デメリットもあり、それらを考慮し総合的に判断する必要があります。

加入は4人まで

前述したとおり、従業員4名までの歯科医院である、という要件があります。今後地域に根差した歯科医療サービスを提供し続けるため等、医院の規模を将来的には大きくしていく考えの医院は、協会けんぽへの加入・切り替えを検討することも選択肢の一つでしょう。

ルールを適切に理解し、最適な保険加入を目指しましょう。

「扶養」の概念がない

健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)では家族を扶養として登録し、必要な際に保険の恩恵を受けることが可能です。

しかし、歯科医師の加入している歯科医師国保には、扶養の概念が存在しません。配偶者や一定年齢以上の子供はそれぞれ保険料負担が発生し、納めなければいけません。

特に独立している歯科医師や、開業医として自営している場合は、国保の仕組みを理解し、財政的負担を軽減する策を講じることが望ましいです。患者の健康を守ると同時に、自分と家族の健康保険で適切な選択をすることも重要な職務です。

歯科医師として国保の利点とリスクを把握し、歯科診療において最適な保険選択ができるよう知識を深めてほしいと思います。また、安定した歯科診療を将来にわたって行うためには、個人の健康管理と共に国保の適用範囲と制度設計を定期的に見直すことが重要です。

自身の勤務先では歯科医師国保の利用不可

ご自身が治療を受ける際には、経営する診療所や勤務する歯科医院で国保を使った保険請求ができないというルールがあります。

協会けんぽの「出産手当金」にあたる制度がないことも

協会けんぽ加入者向けの出産手当金は、出産を控える者にとって大きな支援となります。この制度は、出産による収入の減少を補うもので、安心して育児に専念できる支えです。

しかし、国民健康保険に加入している医療従事者は、このような給付を受けられません。これは出産時の経済的保障に大きな差が生じることを意味しています。出産による収入減は避けられず、これがないことは将来の出産を計画している歯科医師にとって看過できないデメリットです。国保と協会けんぽでは保険内容に大きな違いがあり、出産手当金の有無は出産を考える際に重要な検討ポイントです。

協会けんぽとは異なり、傷病手当金の活用が限定的なことも

健康保険制度は歯科医師にとって非常に重要です。特に、病気やけがで労働できなくなった際、経済的な支援は生計を立てる上で不可欠です。傷病手当金は療養中の収入の一部を補償する心強い制度です。

しかし、国民健康保険加入者は傷病手当金に相当する給付が限定的です。経済的なリスクが大きくなります。

そのため、歯科医師国保の場合には診療や業務の際だけでなく、健康管理にも注意し、リスクマネジメントを心掛ける必要があります。また、国保以外の補償制度や民間保険の適切な知識を備え、総合的な保険プランを検討することが賢明です。

歯科医師には患者の健康を支える大切な役割がありますが、自身の生活基盤が不安定では責務を果たすことは難しいです。傷病手当金制度における各健康保険の違いを理解し、適した保険加入を検討することが最良の選択です。

産前産後休業期間及び育児休業期間中、保険料取り扱い

産前産後休業および育児休業を取得する際、歯科医師として協会けんぽに加入していれば、保険料の支払いから免除されることがあります。この措置は、家計への負担を軽減し、家族を持つ医師の福利厚生の向上に寄与します。ただし、国民健康保険に加入している場合は、産前産後の休業期間中も保険料を完全に免除されず、一定額の保険料がかかります。

職業上の収入減少を抱える期間の保険料の負担は、歯科医師の皆様が考慮しなければならない経済的なデメリットの一つです。休暇を取る予定がある方は、保険料控除の条件や手続きの流れを事前に調査し、無駄な支出を防ぎつつ、臨床業務の合間に家族との貴重な時間を有意義に過ごせるよう計画的に準備することが重要です。

歯科医師国保に加入する手続き

歯科医師が国民健康保険に加入する手続き方法と留意点についてご案内します。

日々、患者の健康を支える歯科医師にとって、自身の健康管理も重要です。そのため、適切な保険加入が必要です。ここで、歯科医師が国民健康保険に加入する手続き方法と留意点についてご案内します。

健康保険被保険者適用除外申請と厚生年金加入手続き

歯科医師が開業またはクリニック勤務をする際には、従来の健康保険制度からの適用除外が必要です。これにより、独立開業医または歯科医療機関で働くことになり、個人の健康保険の適用外とされます。この適用除外と新たな健康保険申請のためのプロセスは、厚生労働省指定の「健康保険被保険者適用除外申請書」の提出が必要です。申請書には要点を確認しながら必要事項を記入し提出する必要があります。

また、国民健康保険への加入が新たに必要になるため、手続きはお住いの市区町村役場で実施します。この加入は、住民の基本的な健康を支える重要なステップです。独立開業時には、厚生年金保険の加入要件も該当する場合は加入も検討することが望ましいです。開業届の提出と同時に行うと、より充実した健康保障を得る準備ができます。

歯科医師は、自身だけでなく患者の健康を支える重要な役割を担っています。専門職としての社会的責任を果たすためにも、健康保険及び年金制度への理解と対応が必須です。適切な手続きを行うことで、医療提供の質を高め、自身の健康と安定した将来を守る準備を整えてください。

まとめ

当社では、健康保険制度の基本から適用範囲、利用方法までのサポートを行っています。

健康保険の概要と歯科医師のための活用法

本記事は、専門的な診療に日々奮闘される歯科医師の皆さまに向けて、健康保険に関する情報を体系的に提供します。健康保険制度の基本から適用範囲、利用方法まで、歯科医師としての視点から見逃せないポイントをまとめています。忙しい日々を送る中で健康保険に関する深い理解は難しいかもしれませんが、自分自身だけでなく家族の未来を守るためにも知識は必要です。このまとめが、皆さまの健康保険に関する疑問や不安を解消し、適正な保険利用に役立つことを願っています。

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