お気軽にお問合せ・ご相談ください

052-433-7280
営業時間
9:00〜17:00 (土日祝は除く)

【テンプレート付き】従業員代表選出内規の定め方を解説!

従業員代表の役割や選出方法なども紹介

  • ホーム
  • 社会保険手続き
  • 【テンプレート付き】従業員代表選出内規の定め方を解説!従業員代表の役割や選出方法なども紹介

従業員代表とは、企業と従業員の橋渡しをする存在です。労働基準法により、労働組合がない場合は従業員代表が必要とされ、労使協定の締結や就業規則作成・改定などに関与します。

安心して働ける環境を作るために、従業員代表は重要な役割を果たしているといえるでしょう。従業員代表を決める際には、従業員代表選出内規を定めて、ルールに基づいて選出する必要があります。

立候補制や選挙制などさまざまな方法があるため、自社の実情に合わせて内規を作成しましょう。今回は、従業員代表選出内規の作成方法や、従業員代表者に求められる役割などを解説します。

目次
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

取材・寄稿のご相談はこちらから

従業員代表とは

従業員代表はすべての労働者の代表として、意見や要望を企業側に伝える役割を担っています。また、労使協定の締結や就業規則の制定のような労使間で調整が必要な議題を話し合うとき、従業員の意志を集約します。

まずは、従業員代表者が果たす役割や労働基準法との兼ね合いなどを確認しましょう。

従業員代表の基本的な理解と労働基準法の要件

労働組合が存在しない事業場においては、労働組合の代わりに従業員代表が労働者全体の代表として、事業主との折衝を行います。中小企業では労働組合が存在しない場合が多く、従業員代表が労働組合の役割を代行するケースが少なくありません。

従業員代表は、労働基準法施行規則により「適切な手続きにより選出された者」でなければなりません。具体的には、立候補制や投票・挙手制などの民主的な方法により、代表者を選出します。

従業員代表に選ばれる条件と範囲

従業員代表に選ばれる条件として、雇用形態に関する定めはありません。そのため、正社員だけでなく、契約社員・アルバイト・パートタイマーを含むすべての従業員が、従業員代表になれます。

また、従業員代表は事業所ごとに1名選出するのが原則です。ただし、出張所や支所などのように規模が著しく事業所に関しては、複数の場所を一括して1つの事業場と取り扱うことがあります。

従業員代表への不利益な取り扱いの禁止

労働基準法において、事業主が従業員代表へ不利益な取り扱いをすることは禁止しています。具体的には、正当な理由なく解雇・降格・出勤停止・減給・賞与の減額などの処分をするのは許されません。

また、実際に従業員代表になった従業員だけでなく、なろうとした従業員に対しても不利益な取り扱いは禁止されています。

 

従業員代表としての事務を円滑に遂行できるように配慮する

事業主には、従業員代表が代表者としての事務を円滑に遂行するための配慮が求められています。具体的には、従業員の意見を集約するために必要な機器を提供したり、事務スペースを提供しなければなりません。

従業員代表選出内規

-従業員代表の選出方法や手順などを定めた規則もの

従業員代表の役割一覧

従業員代表の役割一覧定を確認しましょう。

従業員代表は、従業員の利益を守るためにさまざまな活動を行います。具体的に、従業員代表者が果たす役割を見ていきましょう。

意見書の作成:就業規則に関連する場面

従業員代表の役割の一つが、就業規則に関する意見書の作成です。企業が新たな就業規則を策定する際、常時10名以上の従業員を雇用している企業は、その内容を労働基準監督署に届け出る必要があります。

その際に、従業員代表は企業側から求められた意見を文書化し、署名・押印して提出する義務があります。特に意見がない場合でも、「特に意見はありません」と記載することが求められ、これにより企業は従業員の意見を尊重した形で就業規則を届け出ることができるのです。

関連記事:社労士が解説!就業規則の作成義務と就業規則を作成するメリット

 

36協定の締結:時間外労働や休日労働に対応するために

36協定は、従業員が法定労働時間を超えて働く場合に必要な法的手続きです。従業員に時間外労働または休日労働をさせる場合、36協定の締結と届出が欠かせません。

36協定を締結する際に、事業主と従業員代表が勤務時間や休日出勤などについて協議を行います。最終的に、従業員代表はすべての労働者の意見をまとめて署名・押印する責任を持っています。

 

その他の役割

就業規則の作成・改訂や36協定の締結以外にも、従業員代表は以下のようにさまざまな場面において、締結の当事者となります。

  • 賃金控除に関する協定の締結
  • フレックスタイム制に関する協定の締結
  • 変形労働時間制に関する協定の締結
  • 事業場外労働に関するみなし労働時間制に関する協定の締結
  • 専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制に関する協定の締結
  • 年次有給休暇の計画的付与に関する協定の締結
  • 年次有給休暇の時間単位付与に関する協定の締結
  • 育児・介護休業に関する協定の締結
  • 社内預金制度に関する協定の締結
 

大矢の経営視点のアドバイス

昨今は労働組合の組織率が低下しており、従業員代表が事業主と適切にコミュニケーションを取る重要性が増しています。適切な従業員代表の選出は、労働条件の適正化や職場環境の改善につながるでしょう。

従業員代表の選出方法を解説

適切に従業員代表を選出することで、労働者の意見を企業側へ正しく伝える役割が果たされ、職場環境の改善や労使間の信頼関係の構築にも寄与します。

以下で、従業員代表選出内規にて定める選出方法の例を解説します。

選出の基本要件:適切な選出方法の重要性

従業員代表の選出方法を解説します。

従業員代表の選出にあたっては、労働基準法で定められた基本要件に基づく適切な選出方法を採用することが不可欠です。

従業員代表者は労働者の過半数を代表する者として、事業主と交渉を行う立場にあります。その性質上、以下に該当する人は事業主との対等な交渉が期待できないため、従業員代表になれません。

監督または管理の地位にある者(管理監督者)

使用者の意向に基づき選出された者

従業員代表として不適切な場合や、選出手続きが適正でない場合、締結した労使協定や就業規則が無効となる可能性があります。

 

立候補や推薦による選出

従業員代表の選出方法として、実務上は立候補や推薦という手段を用いるのが一般的です。立候補の場合は、各従業員が自ら代表として選ばれる意思を表明するため、普段から意見を持った従業員の参加が促されます。

一方、推薦では勤続年数や信頼性などを総合的に鑑みて、信頼できる従業員を選出する方法です。各部門や部署の代表者が集まり、互選で従業員代表を選出する方法もあります。

選挙による投票の実施方法

選挙による投票は、候補者の中から選挙を通じて従業員が直接投票し、代表者を選ぶ方法です。全員が参加し、無記名かつ秘密裏に投票を行う方法が、最も民主的で公正な選出方法といえるでしょう。

メールを活用した効率的な選出方法

リモートワークやテレワークを採用しており、従業員がオフィスに常駐しない場合は、メールを活用して代表者を選出する方法があります。具体的には、立候補者や推薦を受けた者に関して「信任」「不信任」の意思表示を求めるメールを送信する方法が挙げられます。

メールを活用して立候補や投票の意思表示を行えば、各従業員が時間や場所を問わず選出プロセスに参加できるでしょう。メールの代わりに、社内ネットワークを活用することも可能です。

選出後の対応:案内や規程の設定が重要

従業員代表が選出された後は、代表者に対して具体的な役割や責任について明確に説明し、果たすべき役割を認識してもらう必要があります。

代表者としての活動を支えるため、代表者が集まる場を設けるだけでなく、公式な規程を整備することも不可欠です。

また、適切な方法で選出されたことを証明するためにも、選出過程における記録を残しておくとよいでしょう。従業員代表を決めるときの議事録を保存したり、選出当時の労働条件を証明する書類を残しておけば、トラブルを未然に防げます。

従業員代表の任期とその後の選出について

従業員代表の任期とその後の選出について解説します。

従業員代表の任期は、一般的に1年です。任期が満了となったら、あらためて代表者を選出することになります。

一般的な任期:1年が多い理由

従業員代表の任期が1年とされる理由には、36協定の有効期間が最長1年と定められていることが挙げられます。

また、企業環境の変化に対応するために1年という区切りを設けて、毎年労働条件の見直しを行う目的もあります。従業員の意見を的確に反映できる体制を維持することで、従業員間のコミュニケーションが活発になるメリットも期待できるでしょう。

 

任期満了後の再選出プロセス

任期満了後の再選出方法に際しては、従業員代表選出内規を変更しない限り、同様の方法で選出します。立候補や推薦、選挙など民主的な方法で選出すれば問題ありません。

なお、再選出の際には前任者の活動を振り返り、良かった点や改善点を把握することも重要です。これにより、新たな従業員代表が行うべきことが明確になり、継続的な改善が職場環境に反映される可能性が高まります。

 

大矢の経営視点のアドバイス

つまり、変形労働時間制を導入したからといって、残業代の支払いが完全になくなるわけではありません。当然ですが、労働時間の管理をきちんと行う必要があります。

従業員代表に関する疑問と注意点

従業員代表に関する疑問と注意点を確認しましょう。

従業員代表を選出するにあたって、よくある疑問を紹介します。

従業員代表の選任拒否は可能か?

従業員代表に選任されたものの、本人に希望がなければ代表者になることを拒否できます。拒否する理由は特に求められておらず、「業務多忙による負担」「代表者を務められる自信がない」などでも問題ありません。

もし選出された代表者が拒否した場合は、再度選出し直す必要があります。

 

従業員代表の給与や手当の扱い

従業員代表に選ばれた際、従業員代表には特別な報酬が支給されないことが一般的です。代表者が果たすべき役割は労働契約に基づくものではないため、経済的な報酬は発生しません。

業務中の従業員代表活動の捉え方

業務中に従業員代表が行う活動については、労働時間には含まれません。

労使協定の締結や就業規則の意見陳述などの本来的な活動も、指揮命令下で行われるものではないため、労働時間に該当しません。

 

代表者の途中退職や休職時の対応策

従業員代表が途中で退職または休職した場合、予め定められた規則に基づいて、代替の代表を選出しましょう。この場合、任期は前任者の残任期間とするのが一般的です。

また、前任者の引き継ぎや情報共有を円滑に行い、代表業務の継続性が保てるようにすることも大切です。

 

鶴見の経営視点のアドバイス

誤解や労使間のトラブルを未然に防ぐためにも、正確かつ具体的に記載することが大切です。また、一度作成したら終わりではなく、企業の現状や最新の法改正に合わせて定期的に見直しを行い、時代や事業環境に即した内容にしましょう。

従業員代表選出のメリットとデメリット

従業員代表を選出することで、組織にとって以下のようなメリットとデメリットが存在します。

メリット

・労使関係の円滑化し、コミュニケーションが向上する

・労働者の意見をしっかりと企業に伝えられる仕組みが築ける

・労働条件の改善や福利厚生の向上に寄与する

・企業の信頼性向上につながる

デメリット

・従業員代表に選ばれた者の業務負担が増える可能性がある

・選出過程で従業員間の意見の相違や対立が生じる可能性がある

従業員代表は、職場内の課題や改善の要望を企業側に届ける役割を担います。事業主との交渉や折衝をするため、適切に従業員代表を選出すれば、労使関係の円滑化を図れるでしょう。

労働条件の改善や福利厚生の向上、企業の信頼性向上につながれば、人材採用や人材定着においても有利になる可能性があります。事業主が従業員の声を尊重し、意見を反映させて職場環境を整えれば、エンゲージメントも向上します。

ただし、代表者の業務負担が重くなり、選出の過程で従業員間の不満や対立を引き起こすリスクを考慮しなければなりません。場合によっては、代表者が企業と従業員の間で板挟みとなり、意見を伝えられない状況が発生することも考えられます。

 

高谷の経営視点のアドバイス

従業員代表制度は、適切に運用すれば労使間の円滑なコミュニケーション促進や労働条件改善に有効です。特に人材採用・定着率向上につながる点は、企業経営の観点からも注目すべきメリットです。

しかし、選出プロセスの透明性確保や代表者の業務負担軽減策が不可欠です。選出後も定期的な従業員全体との情報共有機会を設けて、代表者の孤立や一部意見の偏重を防ぐ工夫が必要です。

 

 

従業員代表選出内規作成のサポートは社会保険労務士法人とうかいへ

労務相談なら社会保険労務士法人とうかいへ

社会保険労務士法人とうかいでは、就業規則や各規程の作成・改訂を承っています。企業の規模や業種、実情にあわせてオーダーメイドの規則を作成しており、従業員が安心して働ける環境整備をサポートしています。

とうかいはオンラインファーストで対応しており、疑問や不安をすぐに解決いたします。また、オンライン労務管理の導入を支援しており、ITに強い社労士がシステム導入をはじめとした業務効率化をサポート。

弊社はコミュニケーションや手続きの早さ、経営視点でアドバイスをしている点が好評を得ています。無料相談も行っておりますので、社労士を探している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

従業員代表選出内規

-従業員代表の選出方法や手順などを定めた規則もの

まとめ:適切な従業員代表選出内規を作成して職場環境の改善を進めよう

従業員代表の選出は、労働組合がない企業において、労使関係を円滑にして労働環境を改善するために欠かせません。従業員代表が存在することで、すべての労働者が抱える意見や要望が反映され、業務の円滑な進行にプラスの影響を与えるでしょう。

労働条件や福利厚生の改善を目指す上で、従業員代表が果たす役割は大きいといえます。従業員代表選出内規に、選出時の具体的なルールや代表者が果たすべき役割などを明記し、適切に運用しましょう。

「就業規則や規程の作成方法がわからない」という事業主の方は、社会保険労務士法人とうかいへご相談ください。とうかいは「成長に伴走する社労士事務所」として、チャットワークを用いたスムーズなレスポンスを行っています。

社会保険労務士の中には、レスポンスが遅く疑問や不安の解消までに時間がかかったり、個人情報や機密情報の管理に不安があることも少なくありません。弊社ではクイックレスポンスを実現し、個人情報保護の体制も万全です。ぜひ、お気軽に無料相談をご利用ください。

 

最新セミナー

サイドメニュー