少子化に伴い労働力人口が減少する中、若者の雇用促進やキャリア形成の支援が、日本社会全体の生産性の向上であるとして、平成27年に若年層雇用促進法が施行されました。それを背景として、さまざまな政策が売り出されていますが、その中の一つに「ユースエール認定」制度があります。
今回はユースエール認定制度について解説していきます。
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
主な出演メディア
・NHK「あさイチ」
・中日新聞
・船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」
社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri
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ユースエール認定企業となることは、若者の雇用に積極的で、育成にも力を入れている企業だとお墨付きをもらったということ。メリットも多くあるでしょう。
① ハローワークなどでユースエール認定企業として自社をアピールできる
② 若者雇用促進総合サイトに認定企業として掲載される
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/top.action
③ 認定企業向けの就職面接会などへの優先的に参加が可能
④ 自社製品や広告に認定マークを使用できる
⑤ 若者の採用や育成を支援するための助成金に加算される
・キャリアアップ助成金
・人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)
・トライアル雇用助成金
・特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)
・三年以内既卒者等採用定着奨励金
⑥ 日本政策金融公庫による低利融資を受けることができる
中小の「地域活性化・雇用促進資金(企業活力強化貸付)」を利用する際に、基準利率から−0.65%での金利で融資を受けることができる
【日本政策金融公庫による低金利融資リーフレット】
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000327514.pdf
⑦ 公共調達で加点評価される
入札価格以外の要素を評価する調達(総合評価落札方式・企画競争方式)の場合は、ユースエール認定企業として加点を受けることができる。
【公共調達における加点評価リーフレット】
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000327516.pdf
企業がユースエール認定を取得するメリットの一つでもあるのが、ハローワークで自社のPRができるというもの。「わかものハローワーク」や「新卒応援ハローワーク」などの支援拠点で積極的にPRすることが可能になります。
さらに、厚生労働省が運営する「若者雇用促進総合サイト」で、企業情報が掲載されます。
【若者雇用促進総合サイト】
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/top.action
また、ハローワークの求人検索端末でも、ユースエール認定企業を検索することが可能です。
ユースエール認定の基準は細かい部分もあります。よく確認しましょう。
ユースエール認定企業となるためには、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業である証明がされなければなりません。一定の認定基準をクリアする必要があります。
ユースエール認定制度を利用できる企業は、常時雇用する労働者が300人以下の企業に限定されています。
ユースエール認定制度は、若者の雇用促進のため、新卒や少なくとも学校卒業から3年以内の求職者が応募可能でなければなりません。
前事業年度の正社員の残業時間が以下の条件を満たしていなくはなりません。
・月平均所定時間外の労働時間が20時間以下であること
・月平均法定時間外の労働時間が60時間以上の正社員が1人もいないこと
現在、順次施行が進んでいる「働き方改革」を背景に、長時間労働が常態化しているような企業では、認定されない可能性もあります。
直近3事業年度内の新卒者などの離職率が20%以下である必要があります。
(直近3事業年度の採用人数が3~4人の場合には、離職者が1人以下であれば可能)
年次有休休暇の取得率が付与日数の70%以上、または取得日数が年間10日以上である必要があります。
直近3事業年度内の従業員の育児休業について、男性の取得者が1人以上、または女性の育児取得率が75%以上である必要があります。
以下の情報を公開する必要があります。
・直近3事業年度の新卒者などの採用者数・離職者数(男女別、35歳未満)
・平均継続勤務年数
・研修内容
・従業員を支援する制度の有無と内容(メンター制度、自己啓発支援、キャリアコンサルティング、社内検定など)
・前事業年度の労働時間や有休取得(所定外労働時間、有給休暇平均取得日数、育児休業の取得対象者数等、役員・管理職の女性割合)
過去3年間に新卒者の採用内定取り消しや過去1年間に解雇・退職勧奨を行なっていないことも確認されます。
・雇用関係助成金の不支給措置
・重大な労働関係法令違反
・暴力団関係事業主
・風俗営業など関係事業主
過去にユースエール認定を取り消された場合や、認定辞退をしている場合には、取り消しの日から3年以上経過していれば再度認定申請を行えます。
上記の認定基準にあるように、ユールエール認定企業となるには、さまざまな基準・要件をクリアする必要があります。働き方改革を背景に、長時間労働や過労死などの問題を取り上げられることも多くなり、こうした基準は、年々厳しくなる傾向にあります。とくに、労働時間や離職率、有給休暇の取得率については、厳しい目が向けられていますので、認定を目指す企業は、労務管理の徹底も必要になってくるでしょう。
【ユースエール認定到達度診断】
自社がユースエール認定基準を満たしているかチェックできます。取得を検討している企業は、一度チェックをおすすめします。
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/jigyonushishindaninfo.action
上記の認定基準にあるように、ユールエール認定企業となるには、さまざまな基準・要件をクリアする必要があります。働き方改革を背景に、長時間労働や過労死などの問題を取り上げられることも多くなり、こうした基準は、年々厳しくなる傾向にあります。とくに、労働時間や離職率、有給休暇の取得率については、厳しい目が向けられていますので、認定を目指す企業は、労務管理の徹底も必要になってくるでしょう。
【ユースエール認定到達度診断】
自社がユースエール認定基準を満たしているかチェックできます。取得を検討している企業は、一度チェックをおすすめします。
https://wakamono-koyou-sokushin.mhlw.go.jp/search/service/jigyonushishindaninfo.action
ユースエール認定の申請には各種書類が必要です。あらかじめ準備できるものはしておきましょう。
ユースエール認定の申請手続きは、各種書類を用意し、所轄の都道府県労働局・ハローワークに提出します。
提出後、認定の審査が行われ、認定される場合には認定通知書が交付されます。審査の処理は、原則として申請日から30日以内とされています。
・基準適合事業主認定申請書
・新規学卒者等採用実績及び定着状況報告書
・人材育成方針・教育訓練計画報告書
・所定外労働時間等実績報告書
・有給休暇取得実績報告書
・育児休業等取得実績報告書
・関係法令遵守状況報告書
・誓約書
・企業情報報告書
いかがでしたでしょうか。
ユースエール認定の取得は実態も含めて整備しなければならない項目も多いため、簡単に認定が受けられるものではありません。
しかし、それゆえに、認定を取得することは大きな意味を持ちます。
優秀な人材の採用は企業を活性化させます。
時代に合った人材であればなおのことです。ユースエール認定を受けることで、他社との差別化になるでしょう。
また、日々、労働者の労働環境や労働条件への期待は増しています。今後もこの傾向は続いていくでしょう。
ユースエール認定は、ユースエール認定を受けることも大切ですが、取得までの過程で、会社の労働環境や労働条件を1段階も2段階もレベルアップさせてくれます。
若者の採用だけでなく、今いる既存の従業員やほかの採用にも効果がでてくるでしょう。
社会保険労務士法人とうかいでは、オンライン無料相談をお受けしております(初回)ぜひご利用ください。