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【社労士監修】エクセルで進める給与計算の注意点やテンプレートの活用性

給与計算のExcelテンプレートの気をつけなくてはならない重要なポイントを解説します。

給与計算は従業員の給与額を計算するための業務であり、企業運営に不可欠です。タイムカードや勤怠管理システムで打刻された出退勤時間をもとに残業手当を算出したり、社会保険料や所得税などの計算も行うといった正確かつ迅速な処理が求められます。

給与計算業務を行うには、昨今は給与計算ソフトの利用が一般的です。しかしながら従業員数が少ないため、コストのかかる給与計算ソフトの導入を躊躇していたり、巷には無料で利用できる給与計算のExcelテンプレートも多いので、エクセルを活用しているケースもあるのではないでしょうか。

給与計算のExcelテンプレートは、勤務時間と時給の計算だけではありません。例えば「=IF(ROUND(YOUR_CELL*24,2)*60,0)」といったExcelの関数を使うことで、労働時間を正確に四捨五入するなど、計算を自動化することが可能です。給与計算の精度が格段に向上します。

また、社会保険料計算の管理にもExcelテンプレートが利用できます。必要事項を入力するだけで複雑な計算を可能とし、簡単に給与計算が完結します。

ただ、給与計算のExcelテンプレートは便利ですが、社会保険の計算をはじめ、気をつけなくてはならない重要なポイントがあります。まずは、最新の法改正に対応しているか確認し、不具合がないように保つ必要があります。利用をしながら効率性や精度を高めていかなくてはなりません。正確な給与計算を行うために、Excelテンプレートの情報の更新と確認が必要です。

給与管理における簡易かつ正確な計算を実現する無料のExcelテンプレートは、人事や経理担当者にとって有用です。これを駆使して時間を節約し、より戦略的な業務に集中できる環境を整備してください。

目次
  1. エクセルでの給与計算は「テンプレート」がポイント
  2. エクセルで給与計算を行うメリット・デメリット
    1. エクセルで給与計算するメリット
      1. 基本無料で利用できる
      2. 関数を活用すれば自動計算でスムーズにできる
      3. 使い慣れているため、最低限のことを行う限りは操作に困らない
      4. 独自にカスタマイズして使いやすくできる
    2. エクセルで給与計算をするデメリット
      1. セキュリティに注意が必要
      2. 簡単に誰でもデータを書き換えられる
      3. サポート体制が不十分
      4. 法改正や保険料率の変更は手動で対応する必要がある
      5. 他システムと連携できない
  3. さらに使いやすく!エクセルの便利な設定
    1. 1.セルのロック機能で特定のセルを編集できないようにする方法
    2. 2.着色して表を見えやすくする方法
    3. 3.行や列を固定して項目の行列を表示させておく方法
    4. 4.データ形式や文字の大きさ・配置を揃える方法
    5. 5.時間×時給を正しく表示させる方法を知っておく
  4. 給与計算で今すぐ使える!覚えておきたいエクセル関数
    1. WEEKDAY関数(指定した日付の曜日を記載)
    2. IF関数(様々な条件の判別)
    3. CEILING関数(分単位切り上げの計算方法)
    4. FLOOR関数(分以下切り捨ての計算方法)
    5. MROUND関数(15分単位四捨五入の計算方法)
  5. Excelで使える無料の給与計算ソフトもある!主なものをご紹介
    1. ①無料給与計算ソフト「楽しいかもしれない給与計算」の機能と向いている企業
    2. ②10人まで完全無料「給与計算Free for EXCEL」の機能と向いている企業
    3. ③「EXCELで給料」の機能と向いている企業
    4. ④「給与・賞与自動計算エクセル」の機能と向いている企業
    5. ⑤「イージー給料計算」の機能と向いている企業
    6. ⑥「給与計算Q太郎F」の機能と向いている企業
    7. ⑦小さな会社のための給与明細・台帳forExcelの機能と向いている企業
  6. エクセルで給与計算する時に気を付けること
    1. 共有フォルダには保管しない
    2. ブックにパスワードをかけて担当者以外はアクセスを制限
    3. 定期的にバックアップを取り保管する
    4. 法改正や社会保険料率の変更には忘れず対応する
  7. まとめ
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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エクセルでの給与計算は「テンプレート」がポイント

給与計算を簡単かつ迅速に行ううえで、無料のExcelテンプレートの利用は非常に効果的です。パートやアルバイトの時給管理から正社員の給与計算まで、幅広い状況で使えるExcelテンプレートは、煩雑な作業を効果的に補助し、人事や経理の担当者の負担を大きく軽減します。

 

この記事では、具体的なエクセルで給与計算を行う際の数式や使い勝手が良い関数の例や、カスタマイズ方法、正確で迅速な給与計算を目指します。また、無料で提供されるExcelの給与計算テンプレートを選択する際のポイントや、各機能をフルに活用するためのテクニックと注意点について、役立つ情報を詳しく説明します。

コンサルタント中村の経営視点のアドバイス

給与計算を行う上で必要なツールで一般的なものとして、「エクセル」「給与ソフト」「勤怠管理ソフト」などが挙げられます。従業員が1〜2名といった少人数の企業や個人事業主の中には、エクセルのテンプレートを利用して給与計算を行っているケースもあるでしょう。無料で簡単に利用できるがエクセルのテンプレートの魅力です。ただ、エクセルで給与計算を行うには、エクセルの数式・関数を使いこなせなくてはなりませんし、ましてや給与計算業務にある程度専門知識がないと、かえって非常に時間や労力がかかることも否定できません。せっかくエクセルテンプレートを使ったものの、算出した給与額に誤りがあったとしたら、大問題です。利用のハードルは低いエクセルテンプレートですが、利用する際には、給与計算を行う担当者の専門知識レベルなども加味しながら、慎重に進めたいものです。

エクセルで給与計算を行うメリット・デメリット

エクセルを利用した給与計算にはメリットがありますが、デメリットも見逃せません。

人事や経理の業務にとって、給与計算のための最適なツール選びは、非常に重要です。多くの企業で採用されているエクセルを利用した給与計算にはメリットがありますが、デメリットも見逃せません。エクセルのテンプレートを利用した給与計算は、エクセルの数式や関数を活用して必要な項目を計算すると、労働時間や残業代などの複雑な計算結果も迅速かつ正確に処理できます。しかし、入力ミスによる計算エラーの可能性があるのも事実です。

 

給与計算に役立つエクセルの関数として主なものは3種類あります。

「SUM」を使った合計計算

「IF」を使った条件付き計算

「VLOOKUP」を使ったデータ抽出

 

これら3種類の関数を使いこなせば給与計算の自動化と効率化が進みます。給与計算テンプレートを作成する際には、これらの関数を利用して、正確さと効率性を追求しましょう。

ただしエクセルによる給与計算を行う場合には、数式や関数を利用すればいいというものではありません。エクセルは、複雑な計算式を高度なマクロやVBAなどで自動化することも可能です。とはいえ、マクロやVBAのスキルが必要になることはもちろんですが、テンプレートをカスタマイズしたい時や、法対応のために改修が必要なった際に、かえって複雑になってしまい対応が難しくなってしまう場合があります。

 

さらに、セキュリティ面においても、エクセルファイルの共有時のアクセス管理や情報漏洩のリスクも考慮が必要です。従業員の給与情報の取り扱いには細心の注意が必要で、これらのリスクを管理するシステムの整備が重要です。

この章では、給与計算をエクセルで行うことのメリットとデメリットを詳しく解説し、最適な給与計算方法を選択できるヒントを解説します。

エクセルで給与計算するメリット

無料のExcelテンプレートは、給与計算を行うには手頃で便利です。Excelには数式や関数など機能が豊富に備わっており、適切なテンプレートを使うことで、人事や経理の担当者でも簡単に正確な給与計算が可能です。

基本無料で利用できる

基本無料で利用できる給与計算の強力なサポートをします。

多くのオフィス環境では、すでにExcelが導入されています。追加コストなしで給与計算を行うことができるのが大きなメリットです。特に、経理や人事の担当者にとっては、給与計算ソフトを導入するかどうかコスト面で検討中といった場合には、Excelの利用はうってつけでしょう。自社の就業規則・給与規程をもとにした給与計算式が間違いなく反映されたExcelのテンプレートであれば、コストを抑えつつ計算の正確性を保ちながら、必要な給与管理業務を効率的に進めることが可能です。

関数を活用すれば自動計算でスムーズにできる

エクセルを活用した給与計算テンプレートは、従業員の基本給や時間外手当はもちろんのこと、アルバイトやパート従業員の時給計算など、簡単で効率の良い給与計算が実現できます。「SUM」関数を使った合計計算、「IF」関数を使った条件付き計算、「VLOOKUP」関数を使ったデータ抽出計算を利用すれば、一度の設定で給与計算を自動化し、多くの時間を節約できます。

ただし、テンプレートの利用には、計算式や関数の理解が必須です。正確にテンプレートに組み込むことが重要です。

使い慣れているため、最低限のことを行う限りは操作に困らない

多くの企業の経理や人事部門では、エクセルが日常的に使用されています。使い慣れたツールであるエクセルであれば、給与担当者は効率的に給与計算を行うことができるでしょう。簡単なテンプレートに情報を入力するだけで、給与明細を作成することも可能で、特別なスキルは必要ありません。

独自にカスタマイズして使いやすくできる

多くの企業では、企業ごとに特有の給与体系が存在します。無料で配布されているエクセルのテンプレートが、すべてのケースに対応していることはありません。給与計算を簡単かつ効率的に行うには、テンプレートを自社用にカスタマイズすることが必要です。自社の就業規則・給与規程に基づいた給与計算のルールを反映したオリジナルの給与計算用のエクセルテンプレートを用意することができます。ただし、多様な雇用形態や労働時間制を導入している場合には、複雑性が増すかもしれません。テンプレートをカスタマイズするには、計算ロジックの確認とエラー防止に注意が必要です。さらに、定期的に計算式などを確認・更新することで、常に最適化された給与計算を行います。

エクセルで給与計算をするデメリット

エクセルによる給与計算は広く行われていますが、実務でのデメリットも存在します。そのデメリットは、煩雑な作業が必要な点です。例えば、従業員の勤怠時間を集計し、時間外労働の割増手当を算出したり、税金の算出、社会保険料の計算など、複雑で精密な作業が必要です。保険料率の変更などがあれば、都度、新保険料率を反映させたり、税制の変更や就業規則・給与規程の改定があると、テンプレートのメンテナンスが必要ですし、ミスがあれば修正に時間がかかります。

 

便利なテンプレートであっても自社に合わせたカスタマイズが必要で、その調整には専門知識が要求されます。関数の活用にはスキルが必要で、人事や経理の担当者はエクセルの高度な関数を学び、使いこなすことが前提です。関数の使い方の習得、エラーチェック機能の活用、定期的なアップデートなどの対策が必要な点は、かえって給与計算業務の作業の効率を低下させることにもつながりかねません。

セキュリティに注意が必要

従業員の大切な給与データを取り扱うには、セキュリティに最大限の注意を払う必要があります。給与に関するデータは個人のプライバシーに直結する重要な情報です。したがって、その扱いには細心の注意が必要です。Excelテンプレートでの給与計算は、手軽で簡単ですが、ファイルがパスワードで保護されていない、暗号化されていなければ、データ漏洩により大きな問題を引き起こす可能性があります。Excelテンプレートでの給与計算を行う際には、これらのセキュリティ対策を徹底することが不可欠です。パスワード保護はもちろん、アクセス権限の管理、定期的なパスワード変更、不正アクセスやウイルスからの保護のための常時監視体制など、多層的なセキュリティ対策を実施して給与情報を守りましょう。

簡単に誰でもデータを書き換えられる

給与計算の正確さは従業員信頼度に直結します。人事や経理の担当者にとってミスなく作業を完遂することは、従業員の信頼につながりますし、特に、法令を遵守する上で給与計算の正確さは非常に重要な責務です。しかし、Excelファイルは保護機能を適切に設定していないと誰でも内容を編集でき、意図しない変更や不正な編集のリスクが伴います。このようなリスクを排除するためにファイルの保護機能の設定し、厳格なアクセス管理をしましょう。セルのロックやパスワード設定、ユーザーの権限設定などExcelが提供するセキュリティ機能を活用することでデータの信頼性を担保できます。

常に最新の情報を得ながら確かな給与計算プロセスを構築することが従業員はもちろん企業全体の信頼を支えることにつながります。

サポート体制が不十分

エクセルはコストをかけずに給与計算を行える多機能ツールですが、給与計算に専門特化したサポート体制が整っているわけではありません。複雑な問題が発生した際、担当者が独力で対処法を見つけ出す必要があるでしょう。エクセルで給与計算を行う場合には、関数などを活用することで効率が上がりますが、その使い方や給与計算の注意点に関する情報は、担当者自ら情報収集しなければなりません。エクセルの普及で情報共有が進んでおり、オンラインのQ&Aフォーラムやコミュニティに参加することで、具体的な疑問や困まり事の答えを見つけることも可能となっていますが、容易に的確な回答を得られない場合があります。

これにより、人事や経理の専任担当者であっても、労力と時間を大きく要する可能性があります。

法改正や保険料率の変更は手動で対応する必要がある

経理や人事の担当者にとって給与計算は重要な業務です。エクセルを使った給与計算では、法改正や保険料率の変更など適切に更新する必要があります。特に税法改正は予告なく発生することもあり、その都度エクセルで計算式やテンプレートを手動で修正する必要があります。この際、計算の正確性を確保するために細心の注意と確認作業が求められます。また法改正以外にも、会社独自の給与体系の見直しなどがあれば、その都度、修正が求められます。エクセルでの計算では、小さなミスが全体に大きな影響を与えかねないため、細部のチェックが欠かせません。

他システムと連携できない

エクセルは、人事や経理担当者にとって便利なツールですが、給与計算には盲点があります。特に、他システムとの連携性の不足は重要な問題です。多くの企業で利用されている勤怠管理システムや人事労務管理システム、会計ソフトなどとは、エクセルとのデータ連携は基本的にサポートされていません。もちろん、各システムにインポートするためのcsvファイルを作成するマクロやVBAを組むことは可能でしょうが、その労力、改修の手間を考えると現実的ではありません。その過程で生じるミスは給与計算の正確性を損なうリスクもあります。他システムへのデータ移行には、エクセルのファイル形式や列の配置を確認し、エラーチェック機能を最大限に活用しなければ実現できません。

従業員数の多い会社や、雇用形態が多様な従業員がいる会社などは、おのずとエクセルでの給与計算の選択肢はなくなるでしょう。

高谷の経営視点のアドバイス

Excelのテンプレートを利用して給与計算を行う場合には、メリット・デメリットを理解しなくてはなりません。表面的なコストを考えればExcelのテンプレートは魅力です。日頃から利用しているExcelであれば、利用するにもハードルが低いでしょう。ただし、給与計算を行うには専門知識が必要な場面も多く、加えてExcelの数式や関数を駆使する必要も生じますので、コストだけで選択するのは危険でしょう。従業員が1〜2名程度であれば、大きな負担ではないかもしれませんが、従業員数が多い会社の場合には、信頼性の高い給与計算ソフトやアウトソーシングするなどの選択が賢明でしょう。もし、給与計算についての課題をお持ちの場合には、まずは顧問社労士や税理士に相談してみることをお勧めします。

さらに使いやすく!エクセルの便利な設定

エクセルで使うと便利な設定をピックアップしてご紹介します、

エクセルを活用した効率的な給与計算

 

人事や経理担当者は毎月給与計算に直面します。給与の支給日は決まっていますから、時間との勝負です。簡単な給与計算であれば、「労働時間×時給」の方式で、エクセルが力を発揮します。ただし、複雑な計算が必要な場合には、エクセルの利用だけでは不十分で、テンプレートと設定に工夫を行いましょう。まずは、既製のテンプレートをカスタマイズすることが望ましいです。計算式を埋め込み、毎月変動するデータのみ入力する状態に整えます。加えてエクセルの多様な関数を活用することが効率化のカギです。例えば、SUM関数で合計を瞬時に出したり、IF関数で条件に応じた計算を自動化したりすることで、作業時間を大幅に短縮できます。ただし、数式を誤って変更したり、誤ったセルを参照すると計算結果に大きな影響が及ぶことがあります。そのため、テンプレートは定期的にバックアップを取り、計算式やセルの変更は慎重に行う必要があります。

エクセルで正確な給与計算を実行するには、細部のチェックと正確なデータ入力、正しい計算が不可欠です。計算結果の検証方法や体制も整える必要があるでしょう。

1.セルのロック機能で特定のセルを編集できないようにする方法

給与計算を正確に行うため、「シートの保護」機能をはじめとしたセルのロック機能を適切に活用することが不可欠です。特に、重要な計算式やデータを含むセルをロックすることで、誤って内容を変更するリスクを減らせます。特定のセルの編集を禁止し、時給や給与の計算を保護することで、誤操作による時給の入力ミスや給与計算式の書き換えを防ぎます。計算に関するセルだけでなく、変更すべきでない人事情報などの基本データもロックし、誤った情報の入力や変更を防ぎましょう。

ロックしたいセルを選択し、「セルの書式設定」機能から「保護」タブにアクセスし、ロックを有効にします。さらに、シート保護機能と組み合わせると強固な保護が実現します。

2.着色して表を見えやすくする方法

給与計算表の視認性を高めるための色の使用

人事・経理担当の皆さんにとって、給与計算業務はミスが許されない仕事であり、非常にプレッシャーがかかるのではないでしょうか。ミスがなく、正確であることが前提ですので、ミスを発生しないようさまざまな工夫を凝らしていることでしょう。とくにエクセルでの給与計算では、多量のデータを見やすく表示するなど直感的に理解できるようにするための工夫が必要です。条件付き書式機能を活用し、特定の条件を満たすセルを自動的に目立つ色にすることもその一つです。

例えば、所定の残業時間を超えた従業員の給与情報を赤色で強調し、一目で識別できるようにできます。これは視覚的なサインとして効果的で、残業管理を徹底する上で役立ちます。また、特定のセルが一定の数値以下や以上で色を変えることで、給与の誤りの発見や給与状況の確認作業を迅速かつ効率的に行うことができます。給与計算の作業負担を減らしつつ、効率と正確性を向上させられます。

ただし、色の使い方には注意が必要です。適切でない色使いは表の見やすさを損ねることがありますので、目的や優先順位に合わせて色の選定をすることが賢明です。

3.行や列を固定して項目の行列を表示させておく方法

給与計算の効率化を実現するエクセルの固定機能です。

給与計算をエクセルで行う場合、多くの行・列データを扱うために、スクロール作業が多いことが難点です。スクロールしているうちに、見出し項目が埋もれてしまうこともあるでしょう。そこでお勧めするのがエクセルの「ウィンドウ枠の固定」機能を利用した行や列の固定です。

この機能を利用すると、給与計算の見出し行や列を固定し、スクロールしても選択した部分が画面に表示され続けるため、どの従業員のどの項目を見ているかをすぐに把握できます。このため、人数が多い場合も煩わしいナビゲーションなしで迅速かつ正確な入力や確認を行え、効率が大幅に上がります。

行列固定の設定は簡単です。エクセルの「表示」タブから「ウィンドウ枠を固定」を選び、固定したい行と列が交差するセルを選んで適用すれば、スクロール中もそれらを表示させ続けられます。ただし、一度に固定できるのは水平か垂直方向のみなので、表示させる情報の選択は慎重に行う必要があります。

効果的な固定機能の使用で、「基本給」・「残業手当」・「交通費」といった給与項目や、「社員番号」・「氏名」などの従業員情報を一覧で把握しながらデータの照合や更新がスムーズにできるでしょう。給与計算の担当者はぜひこの機能を活用したいところです。

4.データ形式や文字の大きさ・配置を揃える方法

給与計算をエクセルで行う場合、書式設定機能を利用しデータ形式や文字の大きさ、配置を統一して視覚的に整理することが重要です。とくに金額表示には、通貨形式を設定することで数値の誤読を防ぎます。Excelにはさまざまな書式設定が用意されており、これらを組み合わせて、より高度で質の高い給与計算用のエクセルシートの作成を行います。

5.時間×時給を正しく表示させる方法を知っておく

人事や経理の担当者は、時間と時給に基づく給与計算式を理解しておくことが重要です。

Excelでは時間を[h]:mm形式で入力し、たとえば8時間30分は「8:30」と入力すると、Excelはこれを8.5時間として認識します。その後、「労働時間のセル」と「時給のセル」を用いた掛け算を行います。重要なのは、労働時間のセルが正しい形式で設定されているかの確認です。これにより、時間外労働や休憩時間を含む複雑な労働時間も正確に計算できます。

時間給を計算する際、休憩時間の扱いに注意が必要です。休憩時間を引くためには、終業時間と開始時間の差から休憩時間を差し引きます。この計算をExcel関数を用いて自動化すれば、単調な作業を省き、計算ミスも防ぐことができます。

労働時間と時給を基に給与を正確に算出するテンプレートを利用することで、効率的な給与計算プロセスを構築できます。このテンプレートは、詳細かつ具体的なデータを入力し、定期的なメンテナンスと更新が必要です。

これらのポイントを考慮し給与計算テンプレートや関数を使用すれば、時間と時給に基づく給与計算がより正確で迅速になります。これによって企業のリソースを最適化し、従業員の満足度向上にも寄与します。

大矢の経営視点のアドバイス

Excelで時間と時給をもとにした給与計算を行うには、まずExcelでの時刻表示のしくみや時間計算の基本をマスターしておくべきです。 なぜなら、エクセルでは単に=時給×時間としても、正しい給与額は算出できません。エクセルは、シリアル値という数値を利用して計算を行なっています。例えば、10時間勤務した人の時給が1200円だった場合、給与計算結果は12,000円となるはずですが、エクセルで単純に10:00×1200との計算式をいれても、結果は500円になってしまうのです。

時刻 シリアル値

01:00

0.0417

10:00 0.4167
20:00 0.8333
00:00 1
01:00 1.04

24時間がシリアル「1」となります。時間を24で割るとシリアル値となります。

 

そこで、エクセル上で時給計算を行うには、表示形式をhh:mm、[h]:mmの形で表示し計算することできます。

・=合計時間×24×時給

・(HOUR(合計時間)+(MINUTE(合計時間)/60))*時給

 
      時給 1,200 
出勤 退勤 休憩 合計時間 給与
9:00 17:30 1:00 7:30 9,000 
10:00 15:00 0:30 4:30 5,400 
9:00 17:30 1:00 7:30 9,000 
      19:30 23,400 

 

 

 

給与計算で今すぐ使える!覚えておきたいエクセル関数

給与計算で今すぐ使える覚えておきたいエクセル関数をピックアップしてご紹介します。

給与計算において、時間計算の四捨五入についても理解しておく必要があります。

 

例えば、分単位の時間を時給に換算し、15分単位に四捨五入する計算があります。エクセルでは、四捨五入する「ROUND関数」や時間を単位に合わせる「TIME関数」などが便利です。また、複数の時間データの合計を出す「SUM関数」を用いると、全体の給与額を迅速に導くことができます。

 

エクセルの関数を使うと、タイムカードのデータから迅速かつ正確に給与を算出できます。

 

エクセルを使って給与計算を行う際には、これらのポイントを念頭に置き、効率的かつ精度高く作業を進めることをお勧めします。常に正確な給与計算を実現するために、エクセルの関数を活用していきましょう。

 

WEEKDAY関数(指定した日付の曜日を記載)

WEEKDAY関数は、任意の日付が週の何曜日かを判断できる関数です。勤怠管理において日付から曜日を自動的に抽出する場合などにも役立ちます。

WEEKDAY関数は次のように入力します。

=WEEKDAY(シリアル値,種類)

例えば、2023年の1月1日にWEEKDAY関数を「=WEEKDAY("2023/01/01", 2)」として使用すると、エクセルはその日付が週の何日目かを数値で示します。これによって給与計算から週末を除外するのが容易になりますが、WEEKDAY関数の返す数値が何を意味するのかを正確に理解することが不可欠です。

さらに土日のみならず祝日も給与計算から外す場合、WEEKDAY関数が大いに役立ちます。その他にもエクセルには数多くの便利な関数があり、これらを使いこなすことで、より効率的で精密な給与計算が可能になります。2023年の給与計算のプロセスを検討中の方は、このWEEKDAY関数をマスターしてみると良いでしょう。きっと給与計算作業の質が向上するはずです。

【種類の例】
1(省略)1:日曜日 2:月曜日 3:火曜日 4:水曜日 5:木曜日 6:金曜日 7:土曜日
2の場合 1:月曜日 2:火曜日 3:水曜日 4:木曜日 5:金曜日 6:土曜日 7:日曜日
3の場合 0:月曜日 1:火曜日 2:水曜日 3:木曜日 4:金曜日 5:土曜日 6:日曜日

IF関数(様々な条件の判別)

IF関数を活用した給与計算のメリットとテクニック

時間外労働の有無や時間外手当、休日出勤手当など、割増手当の計算は、複雑になることがあります。これらの計算を迅速かつ正確に実施するための重要なツールがIF関数です。

IF関数は、特定条件が真または偽かを判定し、それに応じて処理を行うExcelの便利な機能の一つです。給与計算でIF関数を用いると、自動で「時間外」とラベル付けやそれに伴う時給計算が可能です。

例えば、A列に労働時間を入力しB列で時間外労働を自動判別する場合、「=IF(A1>8,"時間外","所定内")」と入力します。これにより8時間を超えた労働時間に自動的に「時間外」と表示され、給与計算が容易になります。

さらに計算式を組み合わせると、時給計算も自動化できます。たとえば「=IF(A1>8,(A1-8)*時間外時給,0)」と関数を設定すれば、所定労働時間を超えた時間のみの時給計算を行い、その結果を出力できます。

しかし、IF関数を使う際には条件を正確に設定することが重要です。例えば、時間外労働の条件が会社によって異なる場合、各会社の規定に合わせた正確な条件式を入力する必要があります。法律による規制変更などで時間外労働の計算方法が変わることもあるので、関数の見直しや更新が必要になることを念頭に置いておくべきです。

CEILING関数(分単位切り上げの計算方法)

給与計算を効率的に行うためには、タイムカードに記録された勤務時間を正確に計算することが必要です。従業員が実際に働いた時間を基に、時給を乗じて給与を算出しますが、多くの企業では勤務時間を特定の単位で区切り管理している場合もあります。指定した単位で切り上げたいときには、ExcelのCEILING関数は非常に効果的です。

CEILING関数は、数値を指定された基数(この場合は15分)に向けて切り上げる関数で、その結果を使って時給と合わせて給与計算を行います。例えば勤務時間が8時間18分の場合、15分単位に切り上げると8時間30分になります。この切り上げをExcelで手軽に行うため、`=CEILING(勤務時間, “0:15“)`という式を入力します。これにより勤務時間が最も近い15分単位に切り上げられた数値が得られ、その結果を時給に乗じて給与計算が完了します。

しかし、CEILING関数を使用する際には注意点もあります。たとえば、勤務時間を小数点形式ではなく時間と分で入力している場合、正しい切り上げがされないことがあります。時間と分を正しく小数形式に変換すること、切り上げられた時間を時給に乗じる前に確認することが大切です。

FLOOR関数(分以下切り捨ての計算方法)

指定した単位で切り捨て計算する場合には、ExcelのFLOOR関数が非常に有効です。

FLOOR関数は、時間を基数の倍数に丸めるのに適した関数です。具体的には、「=FLOOR(勤務時間, “0:15”)」をセルに入力すると、勤務時間が15分単位に整えられます。

FLOOR関数を適用することで、15分以下の端数を自動的に切り捨て、時給計算の端数問題を解消できます。Excelで労働時間の計算を素早く行いたい人事や経理の担当者には、この方法が便利です。

しかし、この関数を使う際には勤務時間のデータが正確に入力されていることが前提です。データの入力ミスやタイムカードのエラーがないように、十分なチェック体制を確保する必要があります。この点に注意しながらFLOOR関数を使えば、給与処理の精度と効率を大きく向上させることができます。

MROUND関数(15分単位四捨五入の計算方法)

MROUND関数による15分単位の時給計算と効果的な使い方です。

時給ベースの報酬体系を採用している企業には、効率的な給与計算が重要です。勤務時間を正確に捉え、それに基づく適正な給与の算出は、人事・経理部門の大きな課題です。Excelでの給与計算では、MROUND関数を使用することで、勤務時間を分単位で精密に取り扱うことが可能です。

MROUND関数は、数値を指定された基数の最も近い倍数に四捨五入するExcelの関数です。勤務時間を15分単位で処理する際、"=MROUND(勤務時間, "0:15")"と設定することで、時間をクォーターごとに区切り、15分未満は切り捨て、15分以上は切り上げて時給に変換し、給与計算の精度を高めることができます。

この関数を使用するメリットは、手作業での四捨五入を省き、計算の手間と時間を削減する点です。また、分単位で細かく捉えた勤務時間を四捨五入することで、フェアな給与計算を実現できます。しかし、勤務時間が短い場合や、社内ルールで四捨五入の基準が異なる場合は、MROUND関数の使用時に注意が必要です。

MROUND関数をCEILING関数やFLOOR関数と併用することで、柔軟な給与計算が可能です。FLOOR関数を使用すれば切り捨て、CEILING関数を使えば切り上げを明示的に行え、社内の規定に合わせた設定ができますので、MROUND関数と組み合わせることで、給与計算を精緻かつ柔軟に行うことができます。

関数を駆使した給与計算は、複雑な計算式を要する人事・経理業務をシンプルかつ効率的に行うための鍵です。MROUND関数をはじめとした関数を理解し、活用することで給与計算プロセスを最適化しましょう。

コンサルタント中村の経営視点のアドバイス

給与計算をエクセルで行うには、エクセルの基本的なしくみと関数の理解は不可欠です。関数を活用することで、スムーズな給与計算が可能になりますが、多用しすぎていざ改修しようとした時に時間がかかったり、作業が属人化してしまったりする可能性も否定できません。少人数の会社や雇用形態のバリエーションが少ないなど、会社の規模感や環境によっては、エクセルでの給与計算が不向きの場合もあります。まずは、自社の置かれている環境、事情などに応じて、どのようなツールを選択するのか、社労士などに相談してみることもひとつでしょう。

Excelで使える無料の給与計算ソフトもある!主なものをご紹介

エクセルでの利用に適した無料給与計算ソフトを選び、その特徴や活用法についてご紹介します。

エクセルで使える給与計算ソフトは数多くあります。ただし、それぞれに機能性や操作性の違いがあるため、選定時には慎重な検討が必要です。今回は、特にエクセルでの利用に適した無料給与計算ソフトを選び、その特徴や活用法についてご紹介します。これらのソフトを導入することで、煩雑な給与計算を効率化できるかもしれません。

①無料給与計算ソフト「楽しいかもしれない給与計算」の機能と向いている企業

給与計算業務を効率化するためのツール「楽しいかもしれない給与計算」があります。完全無料の給与計算ソフトで、人事や経理の担当者にとって非常に興味深いでしょう。この無料給与計算ソフトは、従業員10人以下の会社向けに提供されており、使い勝手や機能性に高い評価を得ています。特に小規模企業やスタートアップ企業の人事経理担当者は、給与計算にかかる時間と労力を大きく削減できます。

「楽しいかもしれない給与計算」の最大の特徴は、ユーザーにとって直感的で分かりやすいインターフェースです。初心者も簡単に操作でき、基本的な給与計算から時間外労働、休日労働の計算まで幅広いニーズに対応しています。これにより人員が限られている企業でもスムーズに給与計算を行えます。

さらに、このソフトウェアにはエラーチェック機能や各種給与関連項目を自動計算する機能が内蔵されており、計算ミスを防ぎながら迅速な給与処理を実現します。法定の給与計算規則に基づく更新も定期的に行われるため、変更があっても簡単に対応できます。

エクセルを使用した給与計算に慣れている担当者にも、このソフトの利用はメリットが大きいです。便利な関数や複雑な式を覚える必要がなく、直感的な操作で迅速かつ正確に給与計算ができます。

②10人まで完全無料「給与計算Free for EXCEL」の機能と向いている企業

「給与計算Free for Excel」は、10人以下の少数精鋭のチームを持つ中小企業やベンチャー企業にとって最適な選択です。従業員数が10人以下なら、コストを気にせずこのソフトを無料で利用できます。

このソフトには、所得税計算、労働保険料、社会保険料機能が搭載されています。Excelに詳しくなくても担当者が容易に扱え、作業もスムーズに行えます。また、個々の従業員の給与明細も簡単に作成でき、毎月の給与計算時間を大幅に短縮できます。

さらに、Excelの各種関数を活用して、詳細で具体的な給与データの分析が可能です。ただし、注意が必要なのは、このソフトは10人までの給与計算には最適化されていますが、それを超える人数では機能的な限界を感じる可能性がある点です。そのため、将来的に人員が増えることを見据えている企業は、より多くの従業員に対応できるソフトへの移行も検討する必要があります。

③「EXCELで給料」の機能と向いている企業

給与計算を効率的に行うためには、Excelのような強力なツールが欠かせません。このソフトウェアはシンプルな操作性を保ちながら、給料計算に必要な多様な機能を提供しています。特に細かな設定が可能な給与明細の印刷機能は目を引きます。これにより、従業員一人ひとりの状況に応じた給与明細を作成できます。

Excelの利用は、特に変動が見込まれる企業に適しています。例えば、急成長しているスタートアップや、季節によって従業員数が変わる企業が該当します。Excelでは従業員数の増減に柔軟に対応でき、給与計算のプロセスをスムーズかつ正確に進められます。

さらにExcelは、VLOOKUPやSUMIFなど給与計算に便利な関数を多数提供しており、これらを活用することで給与計算の時間を大幅に短縮できます。しかし、誤ったデータ入力や関数の設定ミスは間違った給与計算に繋がるため、注意深く操作する必要があります。

④「給与・賞与自動計算エクセル」の機能と向いている企業

小規模な会社向けの給与・賞与自動計算エクセルのソフトです。

給与計算業務を効率化する給与・賞与自動計算エクセルは、月次の給与計算のみならず、年数回の賞与計算も一元管理できます。全社員の給与データを迅速に処理し、正確な計算結果を提供します。

特に小規模の企業に適しています。このソフトを使用すれば、計算業務の迅速化とエラー率の低減、業務の正確性の向上が期待できます。

賞与計算の複雑さから生じるミスを防ぐために、給与・賞与自動計算エクセルでは各種手当や控除項目を考慮し、賞与計算も精密に行います。記入漏れや計算ミスのリスクを最小限に抑え、給与計算担当者の精神的余裕と業務効率を向上させます。

給与計算が混雑する時期には、このツールの真価を発揮し、業務の質をさらに向上させることができます。厳格なスケジュール管理が求められる給与計算業務において、このソフトは必須ツールと言えます。

⑤「イージー給料計算」の機能と向いている企業

イージー給料計算は、直感的な操作性を備え、時間削減しつつ確実な給与処理を実現するこのソフトウェアであり、効率化の強い味方です。

イージー給料計算では税金計算や社会保険料計算など給与計算に欠かせない要素が、シンプルな手順で実行できます。小規模から中規模企業で、給与計算専任担当者がおらず困っている場合であっても、迅速かつ正確に対応できる大きなメリットです。

煩雑な給与計算プロセスを簡素化し、本来の人事業務に集中できるよう自動計算機能が活用できるでしょう。エラー発生リスクを減らし、給与関連法規制もソフトウェアが自動で対応しますので、常に最新状態を維持できます。

豊富な関数を使いこなすことで、個々の社員に対する細かい手当の管理も容易になり、複雑な条件でも柔軟に対応可能です。ただし、導入に際しては給与データの入力方法やデータのセキュリティ対策など品質の十分な注意が必要です。

⑥「給与計算Q太郎F」の機能と向いている企業

給与計算Q太郎Fは、給与計算初心者にも扱いやすいソフトウェアです。ただし、従業員5名未満とかなり少人数の会社向けとなります。定型的な月給計算だけでなく、時間外労働や休日手当、家族手当といった多様な手当の設定が可能です。これらの手当は企業ごとに異なるため、カスタマイズにより各企業の給与体系に柔軟に対応します。

さらに、給与計算Q太郎Fは法改正に迅速に対応するシステムです。労働関連の法律は広範にわたり、変更が頻繁に行われるため、法改正があるたびに計算ルールを見直し、アップデートする必要がありますが、このソフトウェアは自動で行うため、常に正確かつ最新の基準に沿った給与計算が実現できます。

⑦小さな会社のための給与明細・台帳forExcelの機能と向いている企業

規模が小さい企業をメインとした、小さな会社のための給与明細・台帳forExcelです。このソフトは、Excelを使用して給与明細の作成、台帳管理といった機能に特化しています。使いなれたエクセルで操作できるので、スムーズに進行できます。テンプレートの使い方も簡単で、既にExcelの操作に慣れている担当者はすぐに活用できます。

高谷の経営視点のアドバイス

昨今、様々な無料で利用できる給与計算ソフトが公開されています。日頃から使い慣れたエクセルであれば、コストをかけずに給与計算ができるとあって、スタートアップや小規模企業、個人事業主に利用されているケースも多いようです。エクセル関数に抵抗がなければ、少人数の給与計算で困ることはないかもしれません。ただし、給与計算においては、税法や社会保険の料率変更、労基法関連への法改正対応が発生することも多く、その都度、対応が必要になってきます。無料のエクセル給与計算ソフトが改正対応していればよいですが、場合によっては対応していないこともあるでしょう。改正対応するためにエクセルの改修に時間がかかってしまうことにもなりかねません。自社にとって無料の給与計算ソフトで足りるのか、もしくは有料であっても自動バージョンアップされる給与計算を選んだり、給与計算自体をアウトソーシングしてしまうのかなど、将来の活用方法も含めて検討することをお勧めします。

エクセルで給与計算する時に気を付けること

エクセルで給与計算する際の注意点を詳しく説明します。

給与計算の正確性を確保するエクセルの活用法です。

給与計算は、従業員にとっては会社への信頼・信用に関わる重要な業務です。複雑な計算などもありますが、正確な計算結果は当たり前ですし、給与支給日という期日までにこなさなければなりません。給与計算担当者がプレッシャーを感じることも多いでしょう。しかも小さなミスであっても、誤った給与計算結果となれば、従業員の信用を低下させますし、モチベーションにも影響します。毎月、ミスなく完了させなくてはならない重要な業務なのです。エクセルはこの複雑な作業を簡易化し効率化する強力なツールですが、ミスやセキュリティ問題を未然に防ぐための配慮が必要です。

エクセルは給与計算を迅速かつ確実に行うための多様な関数を提供しています。たとえば、「VLOOKUP」関数により、従業員情報をデータベースから即時に検索し、給与額を自動計算できます。また、「SUM」や「AVERAGE」といった基本関数を用いて集計時間を短縮することも可能です。

しかしエクセルでの作業では、入力のミスなど人的エラーが発生しやすいため、計算式の確認を念入りに行う必要があります。セルのロック機能や条件付き書式を活用して変更や異常値を視覚的に捉え、迅速に対応できるようにすることが望ましいです。

また、情報漏洩のリスクを避けるため、パスワードによるファイル保護、アクセス権の管理、ファイル暗号化などのセキュリティ対策が必要です。特に給与情報は個人のプライバシーに関わるため慎重な取り扱いが求められます。

無料のエクセル給与計算ソフトを利用する際は、テンプレートを自社の給与体系に合わせてカスタマイズすることが大切です。勤怠データ取り込みや税金計算などの作業を自動化することも効率向上には必要です。VBAやマクロの組み込みによって、高度な自動化が可能ですが、改修時の対応やエラーチェックやトラブルが発生した際の知識も重要です。

Excelで給与計算をするメリットは、計算の自動化により人的ミスを減らせる点です。しかし、計算式や条件の設定が不正確だと、全ての結果に誤りが出やすくなります。そのため、計算式のミスや数字の誤りに注意し、確認を手抜きせず、定期的に式や結果を見直すことが大切です。

勤務時間と時給を掛けるシンプルな作業でも、給与計算の精度は従業員のモチベーションに大きく関わります。Excelを使った給与計算方法を身に付けることで、効率的な計算プロセスと信頼性の高い支払いシステムを築くことが、人事や経理担当者の責任です。

共有フォルダには保管しない

給与情報は非常にセンシティブな個人情報であり、従業員のプライバシーに関わります。そのため、計算シートをネットワーク上の共有フォルダに保存することは避けるべきです。共有フォルダは便利ですが、不正アクセスによる情報漏洩の危険があります。最悪の場合、組織全体の信頼が損なわれることもあります。

従って、給与計算を行う場合には適切なアクセス管理が行われた安全な保存場所を選ぶことが肝要です。例えば、指定された権限を持つユーザーのみがアクセスできる特別なディレクトリなど、業務を行う上で必要最低限の人だけが給与情報にアクセスできる環境を整備することが不可欠です。

ブックにパスワードをかけて担当者以外はアクセスを制限

エクセルシートにパスワードを設定することは重要なセキュリティ対策です。特定の担当者のみが給与情報にアクセスできるようになります。パスワード設定によって、社員の給与情報を含むエクセルファイルが第三者に渡るのを防ぎましょう。

定期的にバックアップを取り保管する

給与の計算データを含むExcelファイルを定期的にバックアップすることが必要です。作成した給与計算ファイルは、外部ストレージデバイスやクラウドサービスなど異なる保存メディアに保管することで、万一のハードウェア障害や人為的な操作ミスが発生した際にも、迅速に原状復旧することができます。また、バックアップ時にはファイルのバージョン管理を行い、計算過程や変更履歴を明確に保つことが重要です。

法改正や社会保険料率の変更には忘れず対応する

2023年の給与計算テンプレート活用ガイド

正確な給与計算を行うには、その年の法改正や社会保険料率を正しく設定しておく必要があります。予め最新の法律情報をチェックしておくべきでしょう。毎年変更されるような社会保険の保険料率や、税制改正の内容は要チェックです。改正時期についても押さえておかなければなりません。

これらは給与計算に影響を与えるため、テンプレートを適宜更新することが迅速性と正確性を保つために必要です。更新作業では、エクセルの関数が役立ちますが、新法の内容や反映操作を理解することが重要です。

時間を節約し給与計算の効率化を図るためにも、エクセルテンプレートは有効ですが、その利便性を活かすためには適宜メンテナンスが必要です。正確性と効率性を両立させるためにも、法改正や社会保険料率の変更に適切に対応し、テンプレートを最新に保つようにしましょう。

まとめ

何を選べばよいのかわからなければサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にお問合せください。

この記事では、エクセルのテンプレートを活用した給与計算方法について解説しています。

エクセルでは関数を使って複雑な時間計算が瞬時にできます。勤務時間の合計を求めるSUM関数や、条件に基づいた給与計算を自動化するIF関数など、給与計算を効率化するための関数が用意されています。

 

しかし、エクセル使用時には正確さを保つ注意が必要です。給与計算テンプレートの選び方や、エクセル利用のメリットとデメリットを慎重に検討しなくてはなりません。

 

大矢の経営視点のアドバイス

給与計算は、小規模企業から大企業までどのような企業であっても、従業員を雇用していれば必ず発生する業務です。そして、それぞれの企業によって、給与計算に求めるニーズは異なります。給与計算業務を行うにあたっては、今回ご紹介した無料で利用可能なエクセルの給与計算ソフトをはじめ、さまざまな選択肢があります。専任の担当者を配置するのか、しないか、給与体系に合うかどうかによって選択肢はかわるでしょう。PCにインストールして利用する給与計算ソフト、Saasの仕組みを利用した給与計算クラウドといったものまで、給与計算を行うプラットフォームは数多くあります。さらに、社内には専任の担当者は配置しないといった場合や、できるだけ社内の担当者にはコア業務に注力させたいといった意向があれば、給与計算をアウトソーシングする選択肢もあるでしょう。まずは、自社のニーズ、今後の目指すゴールなどを想定し検討してはいかがでしょうか。

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