昨今、話題にのぼることの多い「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(いわゆる「働き方改革関連法」)が2019年4月1日から順次施行されます。
順次施行される法改正のうち「年次有給休暇の5日以上の取得が義務化」が、2019年4月1日より、全企業に適用されることとなります。
有給休暇は現状、企業によって取得率に大きな差があると言われています。今回の改正はその「差」を埋めるための施策とも言われており、有給休暇がほとんど取得できていない企業にたいする影響は非常に大きいものとなりそうです。
今回は、年次有給休暇取得義務化の内容と中小企業事業者の対応について解説していきます。
社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子
これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。
現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。
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労働基準法によれば、「使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」(39条)とあります。
つまり、正社員、アルバイト・パートなどの雇用形態にかかわらず法令上の要件を満たせば年次有給休暇は付与されるということになります。
与えられる日数は、いわゆるフルタイムで働いている人あれば、入社から6か月間継続勤務し、その期間中の全労働日の8割以上出勤していれば、10日間の年次有給休暇が付与されます。また、その後も1年間継続勤務し、その期間中の全労働日の8割以上出勤していれば、11日間の年次有給休暇が付与されることとなります。勤続年数が増えるにつれ、有給休暇が付与される日数も増えていきます。最大、年間で20日間付与されることになります。有給休暇の取得日数は以下(表1)の通りです。
(表1)
勤続年数 | 6か月 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
アルバイト・パートのような週の所定労働日数が4日以下かつ週の所定労働時間が30時間未満の労働者については、その働き方によって付与される日数(表2)が変わります。
(表2)
| 週所定労働日数 | 年所定労働日数 | 勤続年数 | ||||||
6か月 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年 以上 | |||
付与日数 | 4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
②年次有給休暇の日数を求めるための出勤率は、以下の計算によって算出します。
(計算式)
出勤率=出勤日数÷全労働日
全労働日は、算定期間の総暦日数から会社の就業規則で定められた休日を除いた日数出勤日数は、全労働日のうち、出勤した日数
ただし、以下に該当する場合は、全労働日・出勤日数に除外もしくは含めて計算をします。
―除外する場合―
・使用者の責による休業
・休日労働した日
・休職期間
・その他の政党な争議により労働がまったくできなかった日(ストライキなど)
―含める場合―
・年次有給休暇
・業務上の負傷、疾病などにより療養のための休業
・産前産後休暇
・育児休業
・介護休業
なお、以下に該当する場合は、会社ごとに就業規則などの規定によって、全労働日、出勤日数に含めるか除外するか決定することができます。
・通勤災害による休暇
・慶弔休暇
・生理休暇
・子の看護休暇、介護休暇
③ 年次有給休暇を取得させるうえで、会社がおさえておきたいポイント
年次有給休暇の取得は、一定期間働いた従業員の権利のため、基本的には、個人の好きなタイミングで取得申請することができますが、トラブルなくスムーズに制度を運用するために、会社が押さえておきたいポイントがあります。
1)管理職・管理監督者の有給休暇の取り扱い
管理職や管理監督者であっても、労働者と同様に年次有給休暇が適用されます。
2)年次有給休暇の時効
年次有給休暇は、付与日から2年間で時効により消滅します。
3)時季変更権
年次有給休暇の取得の権利は労働者にある一方で、会社には従業員の有給休暇取得時季を変更する権利「時季変更権」があります。
ただし、「事業の正常な運営を妨げる場合」にのみ、従業員の休暇日を変更することができるというものですので、取得を妨げるものではないことを認識しなくてはなりません。
4)退職時の取り扱い
退職予定の従業員から、退職日までの間に有給休暇を消化したいとの申し出はよくあること。退職者であっても、残っている有給休暇の取得を申し出た場合は取得を認める必要があります。会社側に時季変更権はありますが、あくまで変更することができる日がある場合が前提。すでに退職日が決まっており、変更できる日がない場合は、変更権は認められず、年次有給休暇の取得をさせなくてはなりません。トラブルに発展させないためにも、業務引き継ぎに必要な日数分、退職を遅らせることができないか交渉が必要となるケースもあるでしょう。
業務の引き継ぎに影響したり、金銭面でも会社に負担が発生しないよう、あらかじめ有給休暇を計画的に付与させるなど、日頃から有給休暇を取得させる工夫が必要です。
5)不利益な扱いの禁止
労働基準法136条では年次有給休暇取得を理由として不利益取扱い(精皆勤手当や賞与の減額、欠勤扱いとすることによる不利な人事考課など)を禁止しています。
また、休暇取得理由、取得目的についても、使用者が干渉することはNG、労働者の自由であるとされています。
2019年4月から、すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、付与した日から1年以内に5日、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。義務化への対応を怠ると、従業員とのトラブルに発生したり、また、罰金の対象にもなりますので、注意が必要です。
①対象となる従業員
対象となるのは、年10日以上年次有給休暇の権利がある従業員です。アルバイト、パートなど週所定労働時間が30 時間未満であっても、以下(表3)に該当すれば、対象となります。
・週所定労働日数が4日→継続勤務3.5年以上の者は、全員対象
・週所定労働日数が3日→継続勤務5.5年以上の者は、全員対象
・週所定労働日数が2日以下→最大付与数が7日のため、対象外
(表3)
| 週所定労働日数 | 年所定労働日数 | 勤続年数 | ||||||
6か月 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年 以上 | |||
付与日数 | 4日 | 169〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
②取得の方法
従来の従業員が申し出て有給休暇を取得する形に加え、使用者の時季指定による取得という新たな形が取れるようになります。その際には、まず会社が従業員に取得時季の意見を聴いたうえで、従業員の意見を尊重し、会社が取得時季を指定します。
③年次有給休暇管理簿の作成・保存の義務化
従業員の有休消化を進めるためには、会社が各人の有休取得状況を把握・管理する必要があります。改正法施行に伴い、年休の時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした「年次有給休暇管理簿」の作成・保存が義務化されました。
当該年次有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければならないことになっています。
また、年次有給休暇管理簿については、労働者名簿又は賃金台帳とあわせて調製することができることになっています。
④取得させなかった場合の罰則
最低年5日の年休を取得させなかった場合、従業員1人当たり最大30万円の罰金に処せられます。会社が時季を指定しなかった場合はもちろん、時季を指定したにもかかわらず従業員が出勤した場合であっても、処罰される可能性もあります。
具体的な対応方法として、「個別付与方式」と「計画付与制度の導入」という2つの方法があげられます。また、年次有給休暇の管理の方法についても、法制化されました。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①個別付与方式
従業員ごとに有給取得日数をチェックし、消化日数が5日未満の労働者に対して、会社側が有給休暇取得日を指定する方法です。従業員との話し合いで指定日が決められるので、従業員の希望の日に取得しやすくなり、柔軟な運営が可能となります。
一方で、個別管理が必要となることから、会社がすべての従業員の年次有給休暇発生の基準日から消化状況を把握し、取得日数が5日未満の従業員に取得を促さなくてはいけないため、管理の手間が増えることになります。
②計画年付与制度の導入
会社が従業員代表との労使協定により、各従業員の有給休暇のうち5日を超える部分についてあらかじめ日にちを決めることができる「計画付与制度」を導入するというもの。
これは法改正の前から存在する制度で、労働基準法39条6項に定められています。
この計画付与制度を導入し、年5日以上の有給休暇を付与すれば、対象になる従業員について5日以上年次有給休暇を取得させることになるので、今回の法改正による指定義務の対象外となります。
計画付与制度は様々なパターンが可能です。
・全社一斉に特定の日を有給休暇とする
・部署ごとに有給休暇をとる日を分ける
・有給休暇を取る日を1人ずつ決める
個別付与方式と異なり、労使協定により定めるため、個別の従業員ごとに有給取得日数の把握や取得促進を行わなくてもよくなります。
会社の夏季休暇や年末年始休暇時季に、有給休暇の5日を加えて休暇期間を延長し、できるだけ業務に支障が少ない時期に有給を取得するといった運用が可能です。
一方で、従業員代表または労働組合との話し合いによって労使協定を締結するので、会社側の都合で有給取得の日程を変更できないという点では、日程を変更する可能性のある会社の場合は、導入が難しいかもしれません。
会社の特性に合わせてどちらの方法が適しているかを判断するとよいでしょう。
年次有給休暇を年5日取得できなかった場合、「年次有給休暇を5日取得できなかった労働者一人あたり30万以下の罰金」が科される恐れがあります。年次有給休暇を取得できなかった労働者の人数が4人以上発生すると、その時点で100万以上の罰金が科される可能性があります。
しかし、現実的には「いきなり罰金」ということは少ないと予想されます。
厚生労働省のパンフレット「働き方改革 ~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~」でも、「~中小企業の事情に配慮しながら助言指導を行います~」としています。
これは指導を行う際に配慮するということなので、有給休暇を「取得させなくてもいい」というわけではありません。
ですが、有給休暇を取得させない、させることができなかった場合、「採用できない」「人が定着しない」という人材の部分にも悪影響の方が大きいと思います。20代を中心に、今の労働者の多くは年次有給休暇は取得できて当たり前だと思っています。年次有給休暇は取得できて当たり前だと思っているので、罰せられた企業に応募しようとは思いません。既存の従業員についても年次有給休暇を5日取得できていないと罰せられた企業にそのまま残ろうとは思わないでしょう。
年次有給休暇による影響は、罰金はもちろんですが、人材の採用・定着に関してダメージが一番大きいのではないでしょうか。
時給者が有給休暇を取得した場合の有給休暇の支払いの計算方法は大きく分けて2つあります。
(1)雇用契約書に1日の労働時間数が明記している場合
雇用契約書に1日の労働時間数が明記している場合は、雇用契約書に記載されている1日の労働時間数が年次有給休暇を取得した場合に時給が発生する時間数になります。例えば、雇用契約書に1日6時間の労働時間数が記載されている場合は、6時間分の時給を支払います。
(2)雇用契約書に「1日の勤務時間は別に定めるシフト表による」等と定めている場合
雇用契約書にシフトによって労働時間数を決定するという内容が明記されている場合は、予め定められているシフト表に記載されている労働時間数が年次有給休暇を取得した場合に時給が発生する時間数になります。例えば、シフト表で9時00分~13時00分の4時間とされている日に年次有給休暇を取得する場合は、4時間分の時給を支払います。
年次有給休暇の5日取得の義務化は、平成31年4月1日です。中小企業の場合も猶予の制度はありません。中小企業も平成31年4月1日以降に10日以上の年次有給休暇が付与された労働者に対して、付与日から1年間の間に5日以上の年次有給休暇を与える義務が発生します。付与日から1年間とは、具体的には以下の期間となります。
例)2019年4月1日に入社した正社員の場合
・2019年10月1日~2020年9月30日(2019年10月1日に10日付与)
・2020年10月1日~2021年9月30日(2020年10月1日に11日付与)
・2021年10月1日~2022年9月30日(2021年10月1日に12日付与)
・2022年10月1日~2023年9月30日(2022年10月1日に14日付与)
・2023年10月1日~2024年9月30日(2023年10月1日に16日付与)
・2024年10月1日~2025年9月30日(2024年10月1日に18日付与)
・2025年10月1日~2026年9月30日(2025年10月1日に20日付与)
・…以降同様となります。
使用者が時季を指定した有給休暇は、労働者は時期を変更する権利はありません。つまり、使労働者は、使用者が指定した日に必ず有給休暇を取らなければいけません。
ただし、使用者が時季を指定するためには、予め労働者の意見を聞いていることが前提の条件になるので注意が必要です。
もしも時季を指定した日に労働者が出勤をしてきた場合は、強制的に帰らせるようにしましょう。
半日単位の有給休暇の取得についても年5日の取得義務の日数に含まれます。
年次有給休暇は日単位で取得することが原則ですが、労働者が希望し、使用者が同意した場合であれば、半日単位で与えても問題ないとされています。
時間単位の有給休暇の取得については年5日の取得義務の日数には含まれません。
さらに、時間単位の有給休暇を取得させる場合は、労使協定を締結しなければいけないことも注意が必要です。
休んだ後の有給休暇の申請を認めるかどうかは会社が自由に判断できます。ただし、急病等で後から有給休暇の申請があった場合も有給休暇を認めている企業は多いです。
従業員の採用・定着の面から考えると、急病などやむを得ない事情の場合は、後からの有給休暇の申請も認める取り扱いの方がいいと思います。
有給休暇の申請方法までは労働基準法は定めていません。
労働基準法で定められていないので、連絡方法を理由に有給休暇を拒否することはできません。
ただし、有給休暇を取得する際には申請書を提出することを義務付けている企業の場合で、従業員が勝手にLINEで申請をしてきて、LINEでの申請に気が付けなかったという場合は、対応しなくてもいいでしょう。
週末に従業員が集中して有給休暇を申請してきた場合、有給休暇の申請を断ることができる場合があります。
有給休暇の申請を断ることを「時季変更権」と言います。
時季変更権は、事業の正常な運営を妨げる場合にのみ申請してきた日と別の日に有給休暇を取らせることができる権利です。事業の正常な運営を妨げる場合とは、年末の業務繁忙期に請求があった場合や同時期に年次有給休暇の請求が集中したような場合に限ります。
飲食店などで週末に集中して従業員に有給休暇を申請され、お店の運営ができない場合は有給休暇の申請を断ることができます。
残業時間になるので追加で賃金を支払う必要があります。
ただし、追加で支払う賃金は、残業時間に時給換算した金額をかけた金額になります。
残業代を計算する場合は、時給換算した金額に1.25倍をして計算をしていると思います。ただし、半日の有給休暇取得時の残業の場合は、原則時給換算した金額に1.25倍をする必要はありません。
ややこしいので下記で残業代の説明を行います。
まず、1日8時間を超えて労働をした場合は、割増賃金を支払う必要があります。
割増賃金の割増の率は、0.25です。
残業代の計算の際に1.25倍をしているのは、時給金額部分の1と割増賃金部分の0.25を合計するためです。
それでは、半日の有給休暇取得時の残業の場合は、どのような計算になるのでしょう。
半日の有給休暇取得時の残業の場合は、労働時間が8時間を超えているわけではないので割増部分の0.25倍は不要です。
割増部分は不要ですが、元々のシフト以上の労働を行っていることにはなるので時給分の賃金を支払う必要があります。
①入社時に前倒しで年次有給休暇を付与する方法があります。
入社時に前倒しで年次有給休暇を付与する方法を選択する場合は、2回目の年次有給休暇の付与日は、年次有給休暇を付与した1年後です。今回の例の場合の2回目の年次有給休暇の付与日は、入社後から1年が経過した2020年4月1日です。本来の付与日である10月1日にはならないので注意が必要です。
②入社時と入社後半年経過後に分割して年次有給休暇を付与する方法があります。
入社時と入社後半年経過後に分割する場合は、まず入社後6か月経過後に付与される予定の年次有給休暇の一部だけ前倒しで入社時に付与する方法です。例えば、入社時の4月1日に5日のみ年次有給休暇を付与します。残りの5日は、入社後6か月経過後に付与するという方法です。2回目の年次有給休暇の付与日は、入社後から1年が経過した2020年4月1日です。
➂特別休暇として休暇を与える方法があります。
特別休暇として休暇を与える方法が一番おすすめの方法です。年次有給休暇は、原則通り入社後6か月経過後に付与をします。年次有給休暇が付与されるまでの計画付与制度の休暇については、「特別休暇」として年次有給休暇とは別に、賃金を支給する休暇として休暇を与えます。年次有給休暇を付与する日は、原則通り入社後6か月経過後になるので①②と比べて年次有給休暇の管理がしやすい方法です。
①シフト制の場合
シフト制の場合は、シフトが休日になるので年次有給休暇を与えることができません。年次有給休暇は、「労働日として定められている日に有給として与える休暇」を指します。労働日として定められている日が年次有給休暇の対象なので、日曜が定休日の企業の場合、日曜に年次有給休暇を取得することはできません。計画付与制度で年次有給休暇の取得日とされた日は、通常事業所自体が運営をしていないのでパートタイマーのシフトも休日になります。シフトが休日になるので労働日ではなくなり、年次有給休暇を与えることはできません。
②雇用契約で所定労働日が決まっている場合
雇用契約で所定労働日が決まっている場合は、所定労働日と計画付与制度が重なると年次有給休暇を取得させる必要があります。例えば、月・水・金曜を所定労働日として雇用契約をしている場合に計画付与制度で年次有給休暇を与える日が月・水・金曜と重なった場合は、年次有給休暇を与えなければいけません。
まずは「現状把握」から始めましょう。
・年次有給休暇の取得状況を記録していますか?
・各労働者の年次有給休暇の残日数を把握していますか?
上記について把握できていない場合は、問題があると言えます。現状把握ができていないと個別付与方式と計画付与制度のどちらを採用するのかを判断することもできません。
全く年次有給休暇について管理していないという場合は、まず、残日数を確認しましょう。残日数は、入社日と勤続年数から何日年次有給休暇が付与されているのかを計算し、取得した年次有給休暇の日数を差し引けば分かります。残日数を確認した後は、年休管理簿を作成し、今後の付与日・付与日数・取得状況・残日数を随時確認していきましょう。
年次有給休暇はとにかく管理が大変です。
管理の工程を大雑把に分けると以下の通りです。
➀入社日から年次有給休暇の付与日を計算します。
②対象期間中の出勤率が8割以上を満たしているか計算をします。
③勤続年数から年次有給休暇の付与日数を計算します。
④時効により消滅した年次有給休暇の付与日数を差し引きます。
⑤新しく付与される年次有給休暇の日数を追加します。
⑥年次有給休暇の取得日を記録します。
⑦年次有給休暇の付与日数から取得日を差し引き、残日数を計算します。
一般的に年次有給休暇を含めた勤怠管理を行うのは、総務部長など役職の高い管理職が多いのではないでしょうか。高い賃金を支払っている管理職に対して、上記のような作業をさせることは、企業にとって最善の選択とは言えないと思います。経営者自身が勤怠管理をしているのならなおさら問題です。
クラウド勤怠管理を導入するメリットは、年次有給休暇の自動計算、年休管理簿の自動作成、最新の取得日や残日数の確認がリアルタイムで確認、記録漏れの防止の4つです。
有給休暇の管理を自動化することで、より生産性の高い業務を行うことができ、会社を成長させることができるでしょう。