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通勤手当とは?交通費との違いや賃金計算の方法などについて解説します。

事業所などで勤務する従業員に対して支給される手当の中に「通勤手当」があります。
通勤手当を支給することを定めている法律はなく、企業の義務ではありません。
すべての企業が通勤手当を導入しているわけではなく、あくまで福利厚生の一環として支給されるものです。しかし、令和元年11月分の諸手当で「通勤手当など」を支給した企業は92.3%にも上るという調査結果が発表されています。
この結果からも、通勤手当は一般的なものとして普及していることが分かります。
ここでは、通勤手当についての基本的な情報や、交通費との違いなどについて解説しています。

目次

通勤手当とは?

従業員が事業所などへ通勤する際にかかる交通費を、企業が手当として支給するものを「通勤手当」と呼びます。
電車などの公共交通機関やマイカー、自転車など、通勤方法ごとに異なった金額が企業のルールに則り支給されます。
全額を負担する場合や一部の金額のみ負担の場合があり、支給の形式も現金や通勤定期券などの現物支給などさまざまです。

通勤手当の支給義務はない

労働基準法において、通勤手当に関する規定はありません。

義務ではないため、すべての会社が通勤手当を支給してるとは限らず、通勤にかかる費用を従業員が負担しなければならない場合も違法ではありません。

通勤に関して手当がもらえるのは、「就業規則」や「賃金規程」で支給することを定めている企業だけであり、あくまで法定外の福利厚生の一環となります。


しかし、厚生労働省の労働条件総合調査によると、令和元年11月分の諸手当で「通勤手当など」を支給した企業は92.3%にも登ります。

平成26年11月時点の調査では91.7%でした。

若干増加していることからも、通勤手当がより一般的なものとして普及していることが分かります。

交通費とは?

通勤手当と同じような言葉として「交通費」という項目があります。
どちらも移動する際にかかる費用を指す言葉ですが、両者には明確な違いがあります。
交通費とは、従業員が「業務のため」に移動した際に発生する費用を指すものです。
具体的には、電車やバス、飛行機など、公共交通機関の利用料金や、自動車を使った移動で発生するガソリン代や高速代が対象となります。
この「業務のため」の移動とは、以下の場合などが想定されています。

  • 営業を目的としたもの
  • 出張のための移動
  • 物品の運搬のための移動

勘定科目上は「旅費交通費」

企業の事業活動時に発生する資金や費用の流れを会計上分類するためのものが【勘定科目(かんじょうかもく)】です。

この勘定科目上、交通費は「交通費」または「旅費交通費」に分類することができます。

交通費とは、主に勤務地の近辺で業務上の移動で発生する電車やバス等の運賃のことです。

旅費交通費とは、勤務地以外の場所で業務を行うための移動にかかる費用であり、電車代やバス代だけではなく、宿泊代などの旅費も含むものです。

通勤手当については「給与の一部」として扱われますが、交通費や旅費交通費は社員が立て替えた金額を経費精算として支払うという流れが一般的です。

しかし、同じような項目である「交通費」については、経費精算となりますので金額に関係なく非課税となることから、この2つには勘定科目上明確な区別がされています。

雇用保険料・社会保険料の計算

通勤手当は所得税法により一定の金額までは所得税を非課税として扱うことができます。
しかし、すべての税制において非課税となるわけではありません。
「消費税」や「雇用保険料」・「社会保険料」を算出する際には、所得税の非課税限度額に関係なく、通勤手当の全額が対象となります。
もちろん、通勤定期券などの現物支給の場合も同様に全額対象です。

社会保険の標準報酬月額

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料は、被保険者の収入を基に算出します。

この収入は、基本給のほか、残業手当、通勤手当など、労働者が受け取る報酬の合計額から求められます。

これらを合算した金額が「報酬月額」であり、報酬月額の金額によって区分されたものが「標準報酬月額」です。

標準報酬月額の区分に応じて保険料が決まり、報酬が安ければ保険料も安く済みます。

通勤手当は課税・非課税の金額に関係なく全額が報酬月額の対象となり、出張旅費は報酬ではないとみなされるため報酬月額の対象外となります。

報酬月額の具体例

次のような給与の支払いを受けている従業員の、報酬月額を算出する方法について見てみましょう。

  • 基本給226,000円
  • 通勤手当8,100円(課税分1,000円、非課税分7,100円)
  • 住宅手当17,000円
  • 出張旅費5,000円

この場合、基本給と住宅手当に加え、通勤手当の課税分と非課税分が合算されます。
ただし、出張旅費は、報酬の対象外となるため合算しないように注意しましょう。

基本給226,000円+通勤手当8,100円+住宅手当17,000円=251,100円

となり、この従業員の報酬月額は251,100円となります。

通勤手当は割増賃金の基礎には含めない

割増賃金とは、時間外労働や深夜労働、休日労働などの残業を行った従業員に対して、企業が支払う賃金のことです。
割増率は残業を行った時間帯や日によって異なり、割増賃金の計算方法は以下となります。

割増賃金=1時間当たりの賃金×割増賃金率×法定外労働時間

「1時間当たりの賃金」とは、割増賃金を計算する上で基礎となる金額ですが、この計算基礎となる金額の中に通勤手当は含まれません。
通勤手当は実際の労働との関わりが薄いとみなされ、除外されているのです。

役員に通勤手当を支給しても定期同額給与になる

従業員給与と異なり、役員に対する役員報酬にはさまざまな取り決めがあります。

従業員給与は基本的に全額が損金として認められますが、役員給与では一定の条件を満たさなければなりません。

損金として算入できる役員報酬の形態には、「定期同額給与」、「事前確定届出給与」、「業績連動給与」の3種類があります。

定期同額給与とは役員の月給に当たり、1年間毎月定額を支給することで損金の対象にすることが可能です。

事前確定届出給与とは役員の賞与等、業績連動給与とは役員の臨時賞与等を対象とするためのものです。

従って、役員報酬の支払い方は原則定期同額給与となるようにする必要があります。

役員に通勤手当を支給したい場合、役員給与とは別に経理することで、定期同額給与の対象とすることが可能です。

ただし、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 最も経済的かつ合理的な経路
  • 支給額はほかの従業員と同水準

「旅費交通費」として仕訳する

役員への通勤手当は、「交通費」または「旅費交通費」として経理することで、損金の対象になります。

高額となりがちな役員給与を損金として算入できないと、法人所得を減らすことができないため注意が必要です。

会社における通勤手当の不正受給について

通勤手当として認められるのは、「最も経済的かつ合理的な経路および方法」で通勤した場合の費用であるとお伝えしました。

しかし、この定義は曖昧でもあるため、「申請していないルートで通勤」や「最短でないルートを申請」するなどして、割増した通勤手当を受給できてしまう可能性があります。

そうした不正受給を防ぐためにも、使用者は就業規則などで制度を整え、従業員の管理を行うとともに、不正が発覚した場合の対応についても定めておく必要があります。

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