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新型コロナウイルス感染症の企業対応!
社員が新型コロナウイルス感染症に感染したときの企業対応について
社労士が解説します。(テンプレートあり)

新型コロナウイルスの感染拡大で、感染者の増大や医療現場のひっ迫が深刻化しつつあります。

とはいえ、毎日の通勤者数を見ていると、緊急事態宣言当時とは違い、非常に人の動きが活発に行われています。

このような状況では誰が感染してもおかしくありません。企業は、自社で感染者を発生させないようにするとともに、感染者が発生した場合の対応を考えておかなければなりません。

しかし、実際には従業員が新型コロナウイルスに感染した場合、どのような対応をすべきかわからないといった担当者も多いの今回は、自社で新型コロナウイルスの感染者が発生した場合の企業の対応を解説していきます。

※2020年11月30日の情報をもとに作成しています。医学的に正確なエビデンスに基づいた記事ではありません。
正確な情報をお求めの方は厚生労働省などのホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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新型コロナウイルス感染症の感染とは?

いつ自社の社員から感染者が発生しても対応できるよう、対応を押さえておきましょう

企業において、日頃から新型コロナウイルス感染対策を徹底していたとしても、100%感染を防げるというものではありません。

万が一、自社の従業員が感染してしまった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。まずは、新型コロナウイルスの感染はどのように診断されるのか確認しておきます。

発熱や咳など新型コロナウイルスが疑われる症状が見られるとき、医師が診断上必要と認める場合にPCR検査を実施し、感染の有無が診断されます。その他にも抗原検査や抗体検査といった検査もありますが、現時点での感染有無を確認には、PCR検査が行われます。自社の社員に新型コロナウイルスが疑われる症状が見られる場合には、医師の判断に基づきPCR検査を受けてもらうことになるでしょう。感染が確認された場合には、感染症法に基づき、積極的疫学調査を実施し、濃厚接触者の把握がされます。

■積極的疫学調査とは?

積極的疫学調査とは、発生した集団感染の全体像や病気の特徴などを調べることで、今後の感染拡大防止対策に用いられる調査です。保健所や国立感染症研究所などの公的機関によって行われます。

濃厚接触者とは?

自社の社員が新型コロナウイルスの感染者として診断されることのほかに、濃厚接触者とされる場合もあるでしょう。濃厚接触者と指定される定義を確認しておきます。

厚生労働省では以下のように定義しています。

濃厚接触者とは、新型コロナウイルスに感染していることが確認された方と近距離で接触、あるいは長時間接触し、感染の可能性が相対的に高くなっている方を指します。必要な感染予防策をしないまま手で触れたり、また対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度)で15分以上接触があった場合に濃厚接触者と考えられています。

社員に新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合

労務支援チームの島です。
感染者が発生してから慌てて対応するまえに、しっかりと事前に対応方法をきめておきましょう

新型コロナウイルスの感染が疑われるような場合に、社員にどのような対応を行うべきか、会社として周知しておく必要があります。

社員に周知しておくべきこと

■37.5度前後の発熱や、倦怠感、咳や息苦しさ、味覚異常などがある場合

  • 上司への報告
  • 出勤を見合わせる(休暇の取得や状況に応じてテレワークなどの指示を行う)
  • 症状が回復するまでは、人との接触を避ける
  • 症状が発生する前後の行動を記録しておく
  • 業種や職種など、日頃から人とどの程度接触する仕事であるかによっても対応が変わってくるので、行動を確認しておきます
  • 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いていたり、基礎疾患などがある場合など症状に応じて、医療機関・保健所などへ連絡を行い、指示に従う

社員が新型コロナウイルス感染症に感染した場合

感染者・濃厚接触者の行動履歴を把握できるようにチェックリストなどを用意しておくとよいでしょう

社員が医療機関で新型コロナウイルス陽性者と診断された場合、陽性と診断した医療機関が管轄の保健所に届出が行われます。社員の住所地を管轄する保健所から、社員本人へ連絡が行われ、病状の確認、今後の指示を受けることになります。あわせて、感染源の特定のため、行動履歴や濃厚接触者の有無についてのヒアリングが行われます。

濃厚接触者がいる場合には、保健所が連絡、健康状態の確認や場合によってPCR検査を受けることになります。

社員には、必ず、会社へ現在の状況および保健所の指示内容、濃厚接触者についての報告を行うよう指示しておく必要があります。

 

新型コロナウイルス感染者がでた場合の社内対応

PCR検査の結果、陽性の場合、医師や保健所の判断に従い、感染リスクがなくなるまで感染者である社員に出勤停止や休業の指示を出します。あわせて感染した社員の状態を確認します。陽性であっても無症状で普段どおりに仕事ができる場合は、テレワークなどを行ってもらうのか、もらわないかについても、決めておくとよいでしょう。

いつまで出勤停止もしくは休業させればよい? 復帰のタイミングは?

医師や保健所の判断に従うことが前提となります。会社によっては、医師や保健所の判断による休業期間に加え、独自の休業期間を設定している場合もあります。また、感染者であっても、無症状の場合は、出勤停止の間はテレワークを活用し、休業という形を取らないケースも多いでしょう。

職場復帰のタイミングについては、症状が完全になくなった時点で、本人の体調や社内の状況を総合的に考慮して決定するとよいでしょう。陰性証明を提出させる企業もありますが、国内感染者が増加する中、医療機関や保健所への各種証明の請求は控えるようアナウンスされています。したがって、発症から14日経過後、症状がまったくないなど、目安を決めておくことになるでしょう。

休業させた場合の給与はどうすればよい?

新型コロナウイルス感染による休業の場合は、都道府県知事が行う就業制限に該当します。会社都合による休業には該当しないので、社員に対して休業手当を支払う必要はない、とされています。なお、新型コロナウイルスへの感染が、業務や通勤に起因するものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となることも考えられます。医療従事者の院内感染など、感染ルートが明確に判明する場合は、業務上災害と判断される可能性もあります。

社員が濃厚接触者となった場合

労務支援チームの高谷です。
どのような改善計画を立てていいかわからない、お悩みの企業様はご相談ください

社員から新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生した場合には、社内に濃厚接触者の疑いがある者がいないか確認していく必要があります。

いつまで出勤停止もしくは休業させればよい? 復帰のタイミングは?

濃厚接触者として特定された社員については、症状の有無にかかわらず、おおよそ14日間の出勤停止、自宅待機を指示することを検討しましょう。テレワークなどで就労可能かどうかなども検討する必要があります。

休業させた場合の給与はどうすればよい?

テレワークなどにより就労可能であれば、通常勤務として給与を支給ることになるので問題ありません。しかしながら、テレワークなどが行えない業務を担う社員に自宅待機を命じた場合に、給与をどうするかという問題があります。濃厚接触者の自宅待機中の給与は、以下のように取り扱いが異なってきます。

  • 行政からの要請や指示による休業の場合、給与の支払い義務はない
  • 休業要請や指示はないが、会社が自宅待機を指示した場合は、休業手当(平均賃金6割以上)を支払う義務がある
 

新型コロナウイルスの感染者・濃厚接触者が
発生した場合のその他の対応

濃厚接触者をいかに把握し、早急に対応できるかで、感染拡大防止につながります

新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者が発生した場合には、そのほかの社員も無症状のまま感染を拡大させてしまうケースもないとは言い切れません。企業の集団感染を防止するためには、少しでも体調が優れない社員には検査を受けさせるなどの対応が必要かもしれません。

オフィスの消毒は必要か?

社内に新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者が発生した場合には、社員の行動履歴を確認し、接触場所の洗い出しを行っていきます。目安としては、感染者や濃厚接触者の最終出社日前2日間に使用があったと思われるドアノブやデスク、共有スペース(食堂、更衣室、トイレ、休憩スペース)、備品など消毒すべき場所を特定し、消毒を行います。

その他の社員を出勤停止にするときは?

社内で新型コロナウイルス感染者が発生した場合、感染者と濃厚接触者への対応とともに、その他の社員についての対応もしなければなりません。とくに営業や接客を伴うような多くの人と接触機会のある業種や職種の場合は、営業継続するかどうか判断しなくはならないでしょう。店舗運営などを行う場合には、一斉休業も検討する必要があるでしょう。その場合には、会社からの自宅待機・休業指示となります。

また、会社で営業休業を行わない場合であっても、社員が新型コロナウイルス感染への不安から、出社を避けるケースが発生する場合もあるでしょう。そうした場合に、どういう対応をするのかは、予め会社の方針として決めておくことをおすすめします。

給与をどうするのか?

会社が自宅待機を指示した場合は、休業手当(平均賃金6割以上)を支払う義務が発生します。

上記のように社員が感染への不安から出社を避ける場合には、欠勤とするのか、年次有給休暇の取得を認めるかによっても、給与の取り扱いは異なります。ただ、社員の健康や待遇に関して、会社がどのように対応するか非常に影響が大きいものです。社員本人が難色を示しているにも関わらず無理やり出社させたり、テレワークを行わせないなどの扱いは、不満の蓄積にもつながりかねません。別のトラブルに発展しないよう、丁寧な対応をおすすめします。

コンサルタント大矢の経営視点のアドバイス

法律では、給与の支払いの最低限を定めているにすぎません。
新型コロナウイルス感染症に罹患した場合など、法的には支払いの義務がない場合や平均賃金の6割の支払いが求められる場合でも、企業としてどのくらい払うのか、もしくは払わないのかを決めておくことが重要でしょう。社員は常に経営者のスタンスをみていると考えたほうがいいでしょう。

社員が新型コロナウイルス感染症に感染した場合の
社外への対応は?

社外への適切な対応は、企業の信用に関わるものです。もれなく丁寧に対応しましょう

社員に新型コロナウイルスの感染者が発生したとき、社内での対応の他に社外への適切な対応も欠かせません。どのような対応が必要なのか押さえておきましょう。

営業先、訪問先への連絡

社員が感染者となった場合には、その社員が接触した可能性がある人物の特定が行われます。その中には、当然ながら営業先や取引先などの社員や、訪問先で接触した可能性のある濃厚接触者がいることも想定されます。ただちに感染者が発生した旨を営業先や取引先に伝え、消毒作業の実施など今後の対応を協議する必要があるでしょう。

ホームページでの公表は必要か?

万が一、社員に感染者が発生した場合には、感染拡大を防ぐためにも、適切に情報を公開していく必要があるでしょう。適切なタイミングと内容を発表しなければ、取引先からの信用低下、企業のイメージダウンを招きかねません。

感染状況は、今後の感染予防措置など、企業としてどのような取組みを行って拡大防止措置を行うのか公表するのが望ましいでしょう。ただし、感染者である社員の個人情報などが特定されないように配慮しなければなりません。

感染者が発生したときの公表文例

2020年◯月◯日

株式会社△△

新型コロナウイルス感染者の発生について

 

2020年◯月◯日、当社営業部社員1名が新型コロナウイルスに感染していることが判明いたしました。経過は、以下のとおりです。

【感染者】

営業部社員1名(営業所:東京都千代田区◯◯ビル3F)

【最終出勤日】

◯月○日

【経過】

・◯月◯日 倦怠感を伴う体調不良と発熱があったため、勤務を休み、自宅で安静

・◯月◯日 医療機関を受診し、PCR検査を実施

・◯月◯日 検査の結果、新型コロナウイルスの要請が判明

・現在 所轄保健所指導により、自宅にて療養中

 

【濃厚接触者】

現在、所轄保健所の指導のもと確認中

 

【対応】

当該社員の行動履歴を調査、利用箇所の消毒を実施。濃厚接触者の可能性のある社員および取引先等いついては、各所にご連絡のうえ、対応中。

 

今後については、所轄保健所をはじめ、関係機関と連携し、感染拡大防止に最大限努力をして参る所存です。皆様方には多大なるご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げるとともに、何卒ご理解ご協力賜りますようお願い申し上げます。

 

【お問い合わせ】

◯◯株式会社 総務部 △△

TELxxxxxxxxxx

まとめ

感染拡大に伴い、人事労務にも大きく影響しています。少しでも皆さまにお力添えできるようお問い合せを受け付けています

会社は新型コロナウイルス感染症の拡大防止に努める必要があります。
対応をおろそかにすることで感染を拡大させてしまうことは社会的に見ても法律的に見てもよくないでしょう。

新型コロナウイルス感染状況は変化していきます。今後の対応については、最新の状況をキャッチしつつ、必要な対応をタイムリーに行っていく必要があります。少しの対応の遅れが、感染拡大を広げたり、労務上のトラブルに発展しかねません。

企業としての対応基準を決めておき社員へ周知しておくことで、会社も社員も慌てることなく対応することが可能になります。感染しないに越したことはありませんが、もしも自社の社員が感染した場合であっても、極力影響を広げず、対応ができるよう、準備をしておきましょう。

感染者発生時は初動対応が命です

初動対応のためには、頼れる専門家と契約しておくことが有効な一手となるでしょう。
弊社は企業の成長を支援する社労士事務所です。
もしものことになるまえにぜひ一度ご相談ください。

動画での解説はこちら!
新型コロナウイルス感染症感染拡大の企業対応!従業員が感染してしまった、濃厚接触者になってしまった場合など対応をまとめました。

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