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給与の支給方法について、賃金支払い5原則や、税金、社会保険料などの控除についても解説

給与の支給は、労働基準法第24条に定められた「賃金支払い5原則」に基づいて給与計算が行われなければいけません。

給与計算には、時間外労働や休日労働等の勤怠情報に対する割増賃金や、各種手当も加算する必要があります。

また、給与の支給には、所得税、住民税、社会保険料等の控除も考えなければなりません。
今回は、企業が給与を支給する場合のルールや、納付すべき税金、届出するべき書類等について詳しく見ていきます。

目次
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
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給与支給のルール

給与支給の方法は、労働基準法第24条において以下の一定のルールが定められています。

  • 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない
  • 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない

 

この一定のルールのことを「賃金支払いの5原則」といい、以下の5つの原則になります。

  • 通貨払いの原則
  • 直接払いの原則
  • 全額払いの原則
  • 毎月払いの原則
  • 一定期日払いの原則

 

企業は、給与支給時に労働基準法第24条に定められた賃金支払いの5原則を守らなければなりません。

この賃金支払いの5原則に違反した場合は、30万円以下の罰金刑に処せられる可能性がありますので注意が必要です。

このページでは、賃金支払いの5原則についてひとつひとつ見ていきます。

賃金支払いの5原則

企業は、従業員に対して賃金支払いの5原則に沿って給与を支払わなければならないと労働基準法で定められています。

 この賃金支払いの5原則の記載された通りの内容で見てみると、給与の支払いは全額を現金で、直接手渡しで従業員に支払う必要があり、毎月1回以上、一定期日の間に繰り返して支払ことが確認されます。

しかし、現状とは異なっているところもあるため、それぞれに例外が適用される場合もあるのです。

賃金支払いの5原則について、詳しく見ていきます。

通貨払いの原則

通貨払いの原則とは、日本では、賃金は原則、日本円の貨幣や日本銀行券で支払わなければならないことをいいます。

即ち、外国人に対して、給与を外国通貨で支払ったり、通貨と異なる商品券や自社製品等の現物で支払うことも禁止されています。

但し、労働基準法では通貨払の原則の例外として以下の場合は、現金以外のものでの支払いが認められます。

  • 法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合
  • 厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合

 

具体的には、労働者の同意を得れば退職手当について、金融機関の自己宛小切手、金融機関の支払い保証小切手、郵便為替などで支払うことができます。

また、労働者の同意を得れば、給与などの口座振込を利用した支払いも可能です。

他にも、労使協約の締結があれば、通勤手当を定期券として現物支給することもできます。

直接払いの原則

直接払いの原則とは、賃金は、直接労働者に支払わなければならないことをいいます。

この原則の目的は、中間に人が入ることにより賃金が搾取されることを禁じることです。

但し、直接払いの原則には例外があります。

労働者が病気や入院のため自分で給与を受け取れない場合に、家族などの使者に支払うことは可能です。

この場合、家族などを意思決定ができる代理人にして受け取ることはできません。

あくまでも、一般的に自ら意思決定することができない使者として、受け取ることができるということです。

また、給与などの賃金が国税徴収法や民事執行法に基づいて差し押さえられた場合は、裁判所の判断で差し押さえた債権者に直接支払うことが可能です。

裁判所の判断がない場合には、賃金が差し押さえられていても、直接労働者に支払わなければなりません。

全額払いの原則

全額払いの原則とは、賃金は原則として全額を支払う必要があり、一部を控除して支払うことはできないことをいいます。

この原則により、会社の業務状況が厳しい場合であっても、賃金の分割払いは禁止です。

また、一方的に、会社が保有する労働者に対する債権と労働者の賃金債権とを相殺することも禁止されています。

但し、賃金から源泉徴収や社会保険料の控除すること等、法令に別段の定めがある場合は、全額払いの原則の例外として認められているため違法にはなりません。

賃金の前払いや払い過ぎた賃金に対して、後に賃金から控除する調整的相殺控除も全額払いの原則の例外です。

また、労使の自主的協定がある場合には、社宅賃料、財形貯蓄金、積立金、組合費などの天引きも全額払いの原則には反しません。

毎月払いの原則

毎月払いの原則とは、賃金は毎月1回以上支払わなくてはならないということをいいます。

毎月1回以上のため、毎月2回や3回でも問題ありませんが、1.5か月に1回や、2か月に1回などは認められていません。

但し、例外として、臨時に支払われる賃金や、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金についてはこの限りではありません。

一定期日払いの原則

一定期日払いの原則とは、賃金は周期的に到来する一定の期日を定めて支払わなければならないということをいいます。

例えば、毎月10日、毎月25日などです。

毎月末日と期日を定めた場合は月ごとに日付が変更しますが、一定期日払いになります。

一方、毎月第4月曜日や、毎月20日~30日の間などは、一定期日払いとして認められません。

また、毎月払いの原則と同様に、例外として臨時に支払われる賃金や、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金についてはこの限りではありません。

給与支給の際に企業側が行う手続き

給与支給の際には、企業は様々な労務の手続きをする必要があります。

ただ従業員ごとに決まった給与額を支給するのではなく、時間外出勤や休日出勤等の勤怠情報に対する割増賃金額の給与計算や、各種手当についても加算して給与明細を作成する必要があります。

その他にも、所得税の源泉徴収と徴収した源泉所得税の納付、住民税の特別徴収と徴収した住民税の納付、社会保険料の控除と社会保険料の納付についても、必要な手続きです。

このページでは、給与支給の際に企業側が行う手続きについて見ていきます。

  • 給与計算
    毎月の給与の支給日に向けて、従業員のひとりひとりに対して、給与計算を行います。
    給与計算では、従業員の勤怠情報に合わせて時間外出勤や休日出勤等の割増賃金の金額を計算し、各種手当を加えて総支給額を計算します。
    さらに、総支給額から所得税、住民税、社会保険料等を差し引いて、実支給額を求めます。
  • 所得税の源泉徴収と徴収した源泉所得税の納付
    給与所得に対する所得税は、従業員が自分で確定申告をするのではなく、企業等が給与支給の際に徴収して納付する「源泉徴収制度」が採用されます。
    従業員の給与等から控除した源泉所得税は、給与等を支払った月の翌月10日までに国へ納付しなければなりません。
    但し、給与支給する従業員が常時10人未満の場合は、税務署の承認を受ければ、毎月の納付ではなく6か月ごとにまとめて納付できます。
  • 住民税の特別徴収と徴収した住民税の納付
    特別徴収の手続きを行っている場合の住民税は、企業等が給与支給する際に源泉所得税と同様に控除して納付します。
    従業員の給与等から控除した住民税は、給与等を支払った月の翌月10日までに国へ納付しなければなりません。
    源泉所得税と同様に、給与支給する従業員が常時10人未満の場合は、税務署の承認を受ければ、毎月の納付ではなく6か月ごとにまとめて納付できます。
  • 社会保険料の控除と社会保険料の納付
    毎月の給与から、対象者の従業員負担分の健康保険料(介護保険料)、厚生年金保険料、雇用保険料を控除します。
    従業員の給与等から控除した健康保険料(介護保険料)、厚生年金保険料については、事業主分と合わせて納付対象月の翌月末日(末日が休日の場合は翌日以降の最初の営業日)までに日本年金機構へ納付します。

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