アウトソーシングは、社外へ業務の一部を委託したり、場合によっては部門自体を他社へ任せるといったもので、ビジネスにおいては大小さまざまなサービスが展開されています。委託する内容も、人事労務、財務経理をはじめとしたバックオフィス全般から、ITシステム、営業、コースセンターまで、幅広く対応されています。何より、業務の効率化、人材不足への対応や社員のコア業務集中を目的として、アウトソーシングが導入されています。
従来は、自社の業務は社員で対応、内製化するといった方針であった企業も、方針転換が進み積極的にアウトソーシングを活用するケースも目立ってきました。
今回は、人事労務業務をはじめ、アウトソーシングを検討している経営者や担当者のみなさまに、失敗しないアウトソーシング活用のコツを、アウトソーシングに詳しい社労士が解説していきます。
社会保険労務士法人とうかい
執行役員 社会保険労務士 小栗多喜子
同社、人事戦略グループマネージャーを務め、採用・教育を担当する。商工会議所、銀行、Adeco,マネーフォワードなどセミナーや研修講師も精力的に行っている。労働法のアドバイスだけではなく、どのように法律と向き合い企業を成長させるのかという経営視点でのアドバイスを得意としている。
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そもそもアウトソーシングとは、業務効率化とリソース不足を補完するものとして利用されることが多いものです。社内の業務を、外部の会社や事業者に委託し実行してもらうことで、社員はコア業務に集中することができるのです。近年ますます業務のスピード化、グローバル化が進展するにつれ、アウトソーシングの需要も高まってきています。社内の限られた人材のみで成果を上げていくより、効果的に外部のアウトソーサーを利用し、社内人材を活用していく動きとなっています。
今後、慢性的に人材不足が問題となっている日本において、DX化推進とあわせて、アウトソーシングの活用も視野に、経営をハンドリングしていく必要が生じてきています。
アウトソーシングは、業務の委託方法や依頼先によっても名称が異なる場合もあります。一般的に、アウトソーシングは業務を最適な外部アウトソーサーに委託・発注することになります。その他、グループ企業間で特定の業務を1社に集約させるといったシェアードサービスと呼ばれるものもあります。また、アウトソーシングを大きな視点で考えたときには、フリーランス人材などに業務を委託するクラウドソーシングといった手法もあります。
効果的で魅力あるアウトソーシング。しかしながら、一方で「失敗した!」というケースも少なくありません。「あのアウトソーシングサービスはダメだ」「うちのアウトソーサーの動きが悪い」といったネガティブな意見が聞かれることもあります。アウトソーシングの導入を考えている時に、そのようなネガティブ意見に触れると、不安になってしまうでしょう。
しかしながら、アウトソーシングの失敗の場合、多くは理由があります。その理由を予め理解したうえで、準備・導入を行うことで、多くのアウトソーシングの失敗と呼ばれるものは、解決・対応できるでしょう。
<よくある失敗例>
アウトソーシングする業務のうち、導入が多いのが、給与計算業務や社会保険手続き業務です。さまざまな法律が関連し、改正も多い中、給与計算業務や社会保険手続きが大きな負担であるとは、よく聞く話です。また、担当者が退職すれば、新たに人材を採用しなければならず、即戦力を求めて採用したものの実際のスキルと乖離があったというケースもあります。そこで、思い切って、アウトソーシングを活用し、業務負担を削減しよう、というわけです。給与計算や社会保険手続きをアウトソーシングする場合、多くは社会保険労務士事務所などのアウトソーシングサービスの利用を検討されるでしょう。
とはいえ、どこにお願いしたらよいのか、日頃社労士とお付き合いのない会社の場合には、とくに悩んでしまうのではないでしょうか。社会保険労務士にアウトソーシングを委託する場合には、いくつかの選ぶポイントがありますので、参考にしてみてください。
アウトソーシングしたものの、トラブルに発展してしまったということのないよう、導入前によく話を詰めておく必要があります。専門家だからといって、アウトソーシングを依頼して、翌日からスタートというわけにはいきません。給与計算業務などは、最短3か月くらいはみておきたいところです。また、給与計算・社会保険手続きのみを委託するのか、就業規則の見直しも委託したかによっても、必要期間は異なります。
まずは、何をアウトソーシングしたいのか、アウトソーシングするにあたって問題になりそうなものはないかといった整理をすることから始めます。
社会保険労務士事務所は、非常に数が多く、どこに依頼したらよいかわからないという場合も多いでしょう。昔は、会社の所在地付近の社労士に依頼するといったケースも多かったようです。しかし、ネット環境が整備されている今、全国から自社に合った社労士事務所を選択できるでしょう。ぜひ複数比較してみることをおすすめします。
人事労務担当者にとっては、ミスの許されない毎月の給与計算業務、社会保険手続きに加え、年に1度とはいえ負担の大きな年末調整業務です。アウトソーシングすることで、複雑な作業が手離れすれば、人事評価制度などの組織づくりや従業員満足度向上など、他の業務に注力できるのにと考えている経営者や担当者も多いでしょう。
アウトソーシングの導入は、スタートをしっかり切れれば、運用はうまく回っていくはずです。まずは、オンラインでの相談などを通して、自社の問題・課題を相談してみてはいかがでしょうか?
また、なかには「アウトソーシング自体初めて」という方もいらっしゃるでしょう。初めての方で多いのが、課題を整理しきれていないことです。弊社では、御社のご状況をお伺いすることでお悩み事を明確にします。
そのうえで、アウトソーシングするほうがよいのか、アウトソーシングする場合はどのような業務フローが御社にあっているのかという点から、ご相談に対応させていただきます。ぜひお気軽にお問合せください。