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従業員が結婚・離婚したら?会社で必要な手続きについて解説します。

従業員から結婚や離婚の報告があった場合、それぞれに対応した手続きが必要となります。結婚後は氏名の変更、家族の代表である世帯主の変更などが生じますが、各家庭によって状況が異なり、手続きの方法や必要な書類などが変わってくるため注意が必要です。また、離婚後は元配偶者の連絡先がわからなくなるなどのトラブルも起こりやすく、迅速に手続きを行う必要があります。

手続きは社会保険や雇用保険、所得税に関するものなど多岐にわたります。結婚・離婚に伴う手続きは従業員の暮らしを守ったり、従業員とのトラブルを防いだりするためにも、迅速かつ正確な対応が大切です。手続きについて事前に確認し、従業員に向けてしっかりと説明できるよう準備しましょう。

目次
この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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従業員が結婚した際に会社が行う手続きは?

従業員が結婚した場合、氏名や家族構成の変更に伴い、社会保険や雇用保険、所得税などに関する手続きを速やかに行わなくてはなりません。しかし、結婚に伴う変更事項は各家庭により事情が異なります。自己判断はせずに必ず従業員と相談し、必要な手続きを取るようにしましょう。

スムーズな手続きのためにも、結婚の報告を受けた際は少なくとも以下の情報について確認しておきましょう。

  • 婚姻届を提出した日
  • 姓の変更があるか
  • 住所の変更があるか
  • 配偶者が被扶養者になるか
  • 給与の変更があるか

社会保険の手続き

従業員が結婚した場合、社会保険に関する手続きが生じます。社会保険には厚生年金と健康保険に関するものがあり、以下の手続きについて確認が必要です。

氏名・住所の変更

厚生年金の場合、これまでは事業主が日本年金機構に届出を行う必要がありました。しかし、マイナンバー制度の導入により、現在はマイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者は届出の提出が不要となっています。

 

健康保険の場合は会社が加入している健康保険の運営主体によって異なります。全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合はマイナンバーを活用して変更情報が提供されるため、氏名や住所の変更届の提出の必要はなく、新しい保険証が事業主のもとへ送られます。

一方、健康保険組合の場合は各組合の窓口に氏名変更届を提出し、新しい保険証を発行する必要があります。その際、氏名変更後の名前が確認できる戸籍謄本や住民票の写しが必要な場合がありますので、事前に確認し従業員に向けて周知しておきましょう。

いずれの場合も旧姓の保険証は使用できなくなります。新しい保険証を発行する際に従業員から旧保険証を回収するのを忘れないようにしましょう。

 

なお、以下に該当する従業員の氏名や住所の変更については、マイナンバーによる届出の省略は行われない場合もあるため確認が必要です。

  • マイナンバーを有していない従業員(短期在留外国人、海外赴任者など)
  • マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない従業員
  • 70歳以上の従業員(健康保険)
    ※厚生年金保険は70歳で資格喪失となるため手続きは不要
  • 従業員の被扶養者の氏名変更

 

上記の従業員や被扶養者の氏名・住所の変更を行う場合は、事業主が「被保険者氏名変更届」「被保険者住所変更届」「被扶養者(異動)届」などを速やかに提出する必要があります。

各従業員のマイナンバーと基礎年金が紐づいているかどうかは、日本年金機構から事業所に送付される「マイナンバー未収録者一覧」で確認することができますので、事前にチェックしておくことが大切です。

また、届出には被保険者や被扶養者の旧健康保険証も必要となるため、詳しくは近くの年金事務所の窓口などに確認しましょう。

配偶者が被扶養者になる場合

結婚後新たに扶養する家族が増える場合は、事業主が「健康保険被扶養者(異動)届」「国民年金第3号関係者届」を、健康保険と厚生年金それぞれの機関に提出する必要があります。

被扶養者として認定されるには、収入要件や同居要件などが定められているため、従業員の家庭状況も確認しておきましょう。また、原則としてマイナンバーがあれば手続きはすすみますが、何等かの理由によりマイナンバーを利用できない場合の届出には被扶養者の戸籍謄本(被保険者の続柄がわかるもの)や住民票の写し、収入要件確認のための証明書など、被扶養者の状況に応じて書類の提出が必要となることがあります。

 

なお、別居中の配偶者を被扶養者として認定するには、被扶養者届以外に「被扶養者現況申立書」や身分関係、収入証明などの確認書類が必要となります。また、国際結婚などにより外国籍の被扶養者の氏名が変更となった場合は「国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届」により、氏名変更を行う必要がありますので注意が必要です。

給与の変更がある場合

従業員が結婚をすると、手当の支給額が変更になる場合があります。例えば、転居によって通勤経路が変わった場合は通勤手当額を見直さなくてはなりません。また、配偶者が扶養に入り、扶養手当や家族手当が追加になることもあります。結婚により手当の支給額に変更が生じる場合は、支給が遅れないよう速やかに手続きを行いましょう。

また、手当の加算などが一定の要件を満たした場合、社会保険料が変更になる可能性もあります。年に一度社会保険料の改定が行われる「定時決定」の時期以外に結婚した従業員がいる場合は、「月額変更届(随時改定)」によって社会保険料の改定が必要になる可能性もあるので注意が必要です。

雇用保険の手続き

雇用保険に関しては、従業員の氏名が変更になった場合のみ手続きが必要となります。従来は「雇用保険被保険者氏名変更届」を所管のハローワークに提出する必要がありましたが、2020年6月以降は届出が廃止されました。そのため、以下の手続きを行う際に同時に氏名変更の届出も行うことが可能です。氏名変更記載欄はそれぞれの申請書にあります。

  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 雇用被保険者転勤届
  • 個人番号登録・変更届
  • 育児休業給付金の支給申請
  • 介護休業給付金の支給申請
  • 高年齢雇用継続基本給付金の支給申請
  • 高年齢再就職給付金の支給申請

 

なお、雇用保険には住所の登録はないため、住所変更の手続きは生じません。

従業員に提出してもらうもの

従業員の結婚に伴う氏名変更などの手続きを行う際、以下のような書類を提出してもらう場合があります。

  • 氏名変更があった場合…旧姓の保険証(新姓の保険証と交換)
  • 配偶者が被扶養者となる場合
    • 戸籍謄本や住民票などの続柄が確認できる書類
    • 配偶者の直近1年分の給与明細の写しや源泉徴収票の写しなど収入の確認書類
    • 配偶者が退職し被扶養者になる場合は雇用保険被保険者離職票の写しや退職証明書の写し など

 

なお、必要書類は従業員の状況により異なります。事前に日本年金機構や健康保険組合、ハローワークなど管轄の窓口に問い合わせをし、必要書類について確認しておくことが大切です。速やかに手続きを行うためにも、提出書類については早めに従業員に説明しておきましょう。

従業員が離婚した際に会社が行う手続きは?

従業員が離婚した場合も、事業主は速やかに社会保険や所得税などの手続きを行わなくてはなりません。従業員から離婚の申し出があった場合は以下の情報を確認しましょう。

  • 離婚届を提出した日
  • 姓の変更があるか
  • 住所の変更があるか
  • 配偶者が被扶養者から外れるか
  • 給与の変更があるか

 

離婚後は元配偶者の連絡先がわからなくなるなどのトラブルにより、手続きが上手く進まなくなる可能性もあります。トラブルを避けるためにも、必要な手続きについて早めに従業員に説明しておきましょう。

社会保険の手続き

氏名や住所の変更

離婚に伴い被扶養者の氏名が変更された場合は、別途「被扶養者異動届」により届出が必要になります。この異動届には被扶養者の健康保険証を添付します。一方、住所の変更は結婚した時と同様、マイナンバーの有無や健康保険組合により手続きの有無や必要な書類が異なります。該当の窓口に速やかに確認しましょう。

配偶者が被扶養者から外れる場合

従業員の配偶者や子供が被扶養者になっている場合は特に注意が必要です。

離婚に伴い、配偶者や子供が被扶養者でなくなった場合は、被扶養者削除の手続きを取らなくてはなりません。離婚日(削除日)から5日以内に「被扶養者(異動)届」を日本年金機構や各健康保険組合の担当窓口まで提出しましょう。その際、被扶養者の健康保険証は使えなくなるため、回収が必要です。

被扶養者を削除する手続きを進めると同時に会社は、「健康保険資格喪失証明書」を発行します。。被扶養者が離婚後に新たな健康保険や国民健康保険に加入する場合にこの証明書が必要となりますので、忘れずに渡しましょう。

給与の変更がある場合

離婚に伴う住所の変更や扶養家族の変更がある場合は、通勤手当や扶養手当の変更が生じます。支給額の変更によって社会保険料も変更となる場合は「月額変更届(随時改定)」の手続きが必要です。従業員の支給額を社会保険料に速やかに反映できるよう、手続きを進めましょう。

雇用保険の手続き

雇用保険に住所の登録はなく、氏名変更のみ手続きが必要となります。

ただし、結婚時と同様「雇用保険被保険者氏名変更届」は廃止されているため、「雇用保険被保険者資格喪失届」などの届出や「育児休業給付金」などの支給申請の時に同時に氏名変更を届け出ることになります。

従業員に提出してもらうもの

従業員の離婚に伴う手続きは従業員の状況や加入している健康保険組合などによって必要な書類が異なります。事前に各担当者に必要な手続きについて確認し、速やかに手続きを行えるよう従業員に周知しておきましょう。

  • 氏名変更があった場合…旧姓の保険証(新姓の保険証と交換)
  • 配偶者が被扶養者から外れる場合
    • 戸籍謄本や住民票などの続柄が確認できる書類
    • 配偶者や扶養者が使っていた保険証 など

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