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番外編:働き方改革メルマガ

代表の久野が、依頼を受け、働き方改革についてのメルマガを配信することとなりました。
社会保険労務士や税理士向けを対象としたメルマガですが、働き方改革について全12回で久野の思いを綴ります。
働き方改革は、何をすべきなのか?世の中のトレンドは新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、時間を短くすることからデジタルツールを使うことに変わってきたように思います。

しかし、本当にそれが働き方改革でしょうか?

全12回で、本当の働き方改革を中心に労務について久野の意見をお伝えします。

2021.9.22 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第10 回「3 年で一人前と言っているのは日本だけ」

多くの日本人の中にある「一人前になるのに3 年かかる」と言った変な常識。

ただ世界を見ると、こんなこと言っているのは日本だけです。

海外では、大学を卒業した人間がすぐにバリバリ働いています。
仕事の知識は会社に入る前にインプットしています。

会社に入ってまずやるべきは、最初にすべての仕事を把握することです。
そして、その際のキーワードは「一気に、なるべく早く」です。

 

仕事ができるようになるには、まず森を見るように仕事の全体を俯瞰的に見て、そこから葉っぱ一枚を見るように、一つ一つの仕事を深く理解することが大切です。

だからこそ、まずは入った会社の全体像を一気にとらえることです。

そして、それを中国のような社会スピードが速いところで働いているイメージを持ちながら働く。

それを日本でやるのです。

もちろん、事務だから、営業だからとか職種は関係ないし、社員だからパートだからもありません。
何年も給与が増えない社員は、入った瞬間から自分はずっと会社から指示された仕事をやるのだという感じで目の前のことだけに一生懸命です。

会社の全体像が見えない社員には高いレベルの仕事を望むのは難しいと思うのが社長の本音です。

入社してすぐなので当然分からないことも多いですが、それでも全体を把握しているのと、しないのとでは圧倒的な差が生まれます。

 

とにかく一気に知識を得るために学ぶことです。

当然分からないことも多いですが、一度学んで、全体を把握してから仕事をはじめれば1年間ほぼ復習にあてられます。

そしてそれを倍速でやるのです。

皆さんは入社してから会社全体を見る努力はしましたか?

2021.4.5 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第 9 回「移動は休憩時間」

弊社はコロナをきっかけにお客様の対応を原則リモートに切り替えました。全く会わないわけではないですが、95%はリモートでお客さんと面談しています。

リモートで弊社の何が変わったかというと移動時間が無くなったことです。

お客さんのところ1 件行くのに、資料を印刷して車に乗って、打ち合わせしてまた帰ってくる。間にコンビニによったり、食事をしたり・・

そんなことをしているとたった1 時間の打ち合わせのために合計で4時間くらいの時間が必要になります。

 

それがリモートなら瞬時につながり、さっと終わります。

「なんだ、お前の事務所が楽になっただけじゃん」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。 空いた時間、スタッフはお客さんのために働くし、品質を上げるために改善したり、新商品の開発をしたりします。

最終的には事務所のレベルが上がり、スタッフのレベルが上がりお客さんに還元できます。

移動時間が無くなって改めて思ったのは、移動時間は休憩時間だったということです。

車に乗って移動している、電車に乗って揺られている時間は休憩していただけで何もお客さんのために生み出していなかったなと確信しました。

1日中外出していた社員に対してコロナの前は「大変だったね。」と思っていましたが、今は「休憩時間が多いな」と思ってしまいます。

コロナの前は移動時間に給料を払うのは当たり前だと思っていましたが、今は移動時間に給料を払いたくないし、自分も移動した分、役員報酬は返さないといけないと思っています。

リモートで顧客対応できない業種もあります。

しかし、リモートで対応できる業種の経営者は、リモートに切り替える意思決定をしないといけないと思います。

リモートに切り替える最後のチャンス。

コロナが落ち着いたら、二度と再びリモートに変えるチャンスを失います。

社員の休憩時間を減らすタイミングは今しかないのです。

2021.4.5 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第 8 回「時間を計測すると生産性が上がる!」

よく社長や上司が「生産性を上げろ」と言いますが、「御社の生産性はどうやって計測されていますか?」と聞くと無言になる社長や上司が多いと感じます。わたしはどの業種でも共通して使える生産性指標は人時生産性だと思っています。

人時生産性は、人時生産性=年間粗利÷従業員の年間総労働時間で計算できます。

年間粗利 200,000,000 円(2 億)の会社の従業員の年間総労働時間が 50,000 時間だとすると人時生産性は 4,000 円となります。人時生産性が 4,000 円だとすると、月平均 160時間働く会社なら従業員の月の平均生産性(月平均粗利)は 640,000 円。 5,000 円なら従業員の月の平均生産性(月平均粗利)は 800,000 円、6,000 円なら従業員の月の平均生産性(月平均粗利)は 960,000 円です。

この数字の良いところはどこの会社でも同じように計測できることです。

人時生産性が 4,000 円を切っていると従業員に高く給与を払うことが難しくなります。

月の平均生産性(月平均粗利)4,000 円の会社の社員が 1 年間で 1,920 時間(160 時間×12 か月)働いたとします。そうすると年間平均生産性(年間平均粗利)が 768 万円です。社員に思い切って半分分配しても 384 万しか払えません。 社会保険なども考えると平均年収は 350 万もいかない会社になります。

ここでわたしが伝えたいのは労働時間をしっかりと計測したほうが良いということです。

生産性を上げろという社長に限って生産性の定義ができていないし、従業員の労働時間を正確に計測していません。生産性を上げたいなら、まず従業員の労働時間をデジタルツールなどを活用して正確に把握することです。そして、粗利を最大化する。粗利を増やしながら、粗利の伸び率よりも労働時間の伸び率を抑制する。

そうやって生産性を高めていくのです。

従業員の労働時間を計測できていない会社は生産性が見えていない会社といえます。 人時生産性が見えてない会社で働く社員の給与は絶対に増えません。

生産性を上げるために労働時間を計測する。

やれていない会社は今すぐやれる仕組みを作る必要があると思います。

2021.3.2 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第6回「若手社員は、仕事とプライベートを公私混同しろ!!」 

突然ですが、皆さんは自己研鑽していますか?

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査 2020」によると、昨年1年間に、自分の意志で、仕事にかかわる知識や技術の向上のための取り組み(例えば、本を読む、詳しい人に話を聞く、自分で勉強をする、など)をした労働者の割合は、35.7%という数字になったそうです。

つまり 6 割強の人が学ぶ習慣を持っていないということです。

これからさらに働き方改革、在宅ワークが進み自由な時間は増えます。

会社側からすれば、社員を拘束する時間は減少します。

社員は、自由に使える時間が増えますが、わたしは、その時間の使い方によって、

能力格差がさらに広がると思います。

自由な時間を何に使うか?

YouTube、Netflix、昔を思えば娯楽も増え、時間を使うことは難しいことではありません。

ただ、そんな時代だからこそ、自社の若手社員、世の中の若い人には、

勉強しない7割の先輩、上司を真似ることなく勉強してほしいです。

若手社員にやってほしい2つのこと。

1つは、仕事とプライベートを公私混同することです。

休みになったら仕事のことは完全に忘れて休日を楽しむのではなく、休日も仕事のことを考えてほしい。

どうしたら、良い仕事ができるか?、稼げるか?、そのために何が足りないのか?

何をすべきか?この思考の継続で経験値やスキルを身に着ける速度が上がります。

そして、もう1つは投資すること。

投資といっても株ではなく、自分に投資するのです。

年収の最低 8%を自己の勉強のために使うのです。

仕事に必要な書籍があれば買って勉強する。

仕事に必要なスキルを身に着けるために、セミナーに参加する。必要なツールがあれば自腹で買う。

自分自身の成長のために、自分自身の仕事の成功のためにお金を使うのです。

イマイチぴんと来ないかもしれませんが、20 代は自分に投資すること、

仕事のために身銭を切ることで、将来、何十倍、何百倍のリターンが返ってきます。

将来、起業したり、自分でメディアを持ったり、フリーランスになったり、

働き方も多様化していくと思いますが、何をするにしても経験とスキルです。

その経験とスキルを若いうちに身に着けることが大切だと感じます。

そのために、敢えて仕事と私生活を公私混同するのです。

決して、公私混同は会社の利益のためではありません。

自分の利益のためなのです。

2021.2.24 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第5回「あなたの給与はどうして増えないのか?~時間を売るのか?スキルを売るのか?~」  

皆さんは時間を売って仕事をしていますか?スキルを売って仕事をしていますか?

ん?何を言っているのと思われたかもしれません。

会社に出社して、昨日と同じような仕事を同じようにやる。

法律が守ってくれているのでもちろん給与は払われます。

しかし、こういう人の給与は絶対に増えません。

こういう人の給与を増やし続けたら会社は潰れてしまいます。

むしろ会社としてはこういう人の給与は減らしたいのです。

一昔前は決められた仕事をこなしているだけで、どんどん給料が増えていきました。

しかし今は、決められた仕事をしていると、どんどん給料が減っていく時代です。

なぜなら世の中がすごい勢いで変化し、目の前の仕事の価値はどんどん下がっていくからです。

しかし、多くの人はそのことに全然気づいていません。

コロナが終われば、景気が良くなれば、この我慢を続ければいつか雲の間から光が射し 、わたしの給料は増えると思っていないだろうか?

しかし、そんなことはないのです。

遠慮なくいってしまうと、真面目に出社して、会社の言われた通りの仕事をしていても、給与は増えないのです。

今の時代に、同じ仕事をやり続けている人の給料を増やしたら、会社が潰れてしまいます。

今どの企業も、同じ仕事をしている人の給料を上げないことによって、なんとか会社を維持しいています。

ではどうするか?

わたしは、今のスキルのままで給料がもらえる仕事 と 今のスキルでは給料がもらえない仕事 。

仕事にはこの2つがあると思っています。

今のスキルのままで給与がもらえる仕事は 、慣れた仕事ですしストレスもありません。

今のスキルのままではできない仕事は、努力も必要だし、スキルアップが必要です。

ただスキルアップ次第では、報酬が増えます。

「働き方改革」と言われる中で、働くとは何なのか?

日本人はそれを真剣に考える時が来たのです。

今のスキルのままで給与がもらえる仕事を繰り返し、時間を売るのか、 今のスキルのままではできない仕事 にチャレンジしてスキルを身につけ、スキルを売るのか。

それを決めないといけません。

2021.2.16 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第4回「年次有給休暇の強制取得は、
「仕事への意識を変えろ!」
というメッセージ」  

前回のメルマガはいかがでしたか?

今日は年次有給休暇(有給休暇)についてお話をします。

皆さん有給休暇は取れていますか?経営者であれば社員に有給休暇を取らせることができていますか?

2019年4月1日から、年10日の有給を得ている従業員に対して会社は、5日は有給休暇を取得させることが労働基準法上の義務となっています。

守れない会社は「30万円以下の罰金」が科されます。

罰金は従業員 1 人につき 1 罪となるため、従業員が100人の企業で全員が年に5日を取得できなかった場合は、最大で3千万円の罰金です。

法律が厳しくなるから有給を取らせないといけないという風潮にわたしは疑問を感じています。

どうして有給が取れないのか?それは会社が悪いのか?従業員が悪いのか?

わたしは与えられた年次有給休暇くらい取得すれば良いと思います。

しかし、多くの従業員が取りづらいと言います。仕事で結果を出していれば会社は何も言いません。

働き方改革で、従業員も仕事への意識を変えないといけません。

これからの時代、必要なことは自分が担当する仕事を“自分自身の課題”と主体的に捉え、強い情熱と責任感を持って取り組む姿勢だと思います。

つまり”自分がこの仕事の“オーナー”だと思うことです。

この仕事は”自分がオーナー”だと考えている人が休んでも会社は特に心配になりませんし何も言いません。

反対にこの仕事は”自分がオーナー”だと思っていない人は、雇われ根性が抜けていないのでどこか中途半端で、会社は休まれると心配で仕方ありません。

働き方改革で年次有給休暇のルールは変わりました。

これは単に休みが増える権利が増えることではありません。従業員が仕事を“自分自身の課題”と主体的に捉え、強い情熱と責任感を持って取り組む姿勢を持つ改革なのです。

つまり年次有給休暇の強制取得は、従業員が「この仕事は自分がオーナーである」という仕事への意識改革なのです。

「この仕事は自分がオーナーである」という意識で仕事に取り組めているでしょうか?

年次有給休暇の強制取得は、国家から国民への「仕事への意識を変えろ!」というメッセージなのです。

 

2020.12.15 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第 3 回「働き方改革は働かせ方改革」 

前回のメルマガはいかがでしたか?

今日は働き方改革についての経営者がやるべきことをお話します。
 

コロナで世の中が変わろうと経営者がやらないといけないことは働き方改革です。

そして働き方改革の本質は何かと言えば、稼ぎ方改革です。

働き方改革は労働時間を減らすこと、有給を増やすこと、同一労働同一賃金でパートの給与を上げる

ことですが、そんなこと会社の稼ぎ方も変えずにやれば会社が潰れてしまうわけで、

詰まるところ働き方改革は稼ぎ方改革、生産性を上げるとことに尽きるのです。

この生産性を上げることの一番のボトルネックは何かと言えば経営者です。

そもそも会社の生産性が低いのは経営者の怠慢と言えます。

経営者が安い仕事、儲からない仕事を取ってきて、それを社員にやらせて「あいつは生産性が低い」

と嘆いているのをよく見ますが、この場合、ビジネスモデルが悪い、社長の営業力がないのであって

社員が悪いわけではありません。

 

働き方改革において大事なのは「働かせ方改革」です。

社員は会社から依頼された生産性が高い仕事も生産性が低い仕事もなんでもかんでもやらされている

わけで社員は生産性をコントロールできません。 会社の生産性をコントロールしているのは経営者です。

経営者が社員に稼げる仕事をさせるか、させないかで会社の生産性が決まっているのです。

 

ここでのポイントはその社員が得意なこと、最も生産性を上げられることをやらせることです。

そしてもう一つは稼げない仕事は断ってしまい社員にやらせないことです。

コロナで世の中が変わりました。

今は「働かせ方改革」の絶好の機会だと思います。

あれこれ理由をつけて、儲からない仕事を断るには絶好の機会です。

世の名が混乱している今、企業は大きく変わるチャンスだと思います。

「働かせ方改革」、この視点で社内の儲かっていない仕事を洗い出す。

そして断る。

社員に生産性の高い仕事へ注力させる。

そんなことしたら社員が時間を持てあますだろうと思うかもしれませんがそれこそチャンスです。

経営者は社員に生産性の高い仕事を準備する、つまり秀逸なビジネスモデルを考える。

もしくは会社を小さくする、生産性が低い仕事で膨張している組織を再編する。

やれることはいくらでもあるはずです。

 

「働き方改革」は「働かせ方改革」。

社員に生産性の高い仕事を準備する「働かせ方改革」。

これこそが経営者の働き方改革での役目なのです。

 

2020.11.09 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第 2 回「働き方改革で社員も年 3%以上の能力アップが求められている。」  

社会保険労務士法人とうかいの久野勝也と申します。

前回のメルマガはいかがだったでしょうか?

 

働き方改革の本質は、人口減少社会において、真に儲かる会社だけを残し GDP を維持するといった経済改革です。

働き方改革関連法(改正労働基準法)は、労働時間を短くし、休日、有給取得は増やしながら今まで以上の給与を払えといった企業にとっては大変な法律といえます。

今年はコロナで最低賃金はほとんど上がりませんでしたが、また来年からは最低賃金は 3%以上増え、有給取得率を上げ、休日数を増やすことを求められます。

会社は変わらざるを得ません。

デジタル化し、ビジネスモデルを変革し、生産性を向上させる生き残りをかけた戦いに挑んでいます。

 

ただその一方で、社員はどうでしょうか?

会社だけに働き方改革を押し付けて、そこで働く社員の能力が上がらないのなら、能力以上の給与を会社は払い続けることになるので、いつか会社は潰れてしまいます。

むしろ、社員こそ”働き方改革”を通じて能力向上しないといけないのです。

社員自身も「会社が働き方改革を通じて自分の待遇を良くしてくれる」などと甘いことを考えていてはダメです。自分の待遇は自分で上げるしかないのです。

 

わたしは大学時代、テニスがうまくなりたくて、プロテニスプレイヤーにテニスを教えてもらっていました。

田中さんというのですが、その田中さんに就職する際に言われた言葉を思い出しました。

『プロのテニスプレーヤーは、コートの上でのみお金を稼ぐ。しかし、試合がない時にも練習したり、走ったり、トレーニングしている。常にコートの外でも自分を高めている。

練習をしないと、絶対に本番で力は発揮出来ないし、絶対に勝てない。つまりお金を稼ぐことはできない。

でも俺は、サラリーマンで、仕事のプロをあまり見たことがない。

仕事の練習をしている人をほとんど見たことがない。

おまえは、仕事が試合だと思って、仕事以外でもその努力を怠るな!!』

多くの社員が、仕事で能力があがると信じています。でもそれはド新人のころだけです。

テニスが試合中にうまくならないように、仕事も仕事の中だけで能力を上げるのは無理です。

 

仕事以外の時間で、仕事以外の場所で、自分の能力を上げる努力ができるか?

この働き方改革を通じて、個人もまた試されているのです。

 

2020.10.19 番外編:働き方改革メルマガ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也

第1回「生産性と効率性の違いを理解できていない人によるなんちゃって働き方改革」 

社会保険労務士法人とうかいの久野勝也と申します。

これから全 12 回に渡って 社会保険労務士として多くの会社を見てきて感じたことを発信していきたいと思います。よろしくお願いします。今、会社 が最もやらなければならないのが「働き方改革」です。

「働き方改革 」の本質は 何かというと 「 稼ぎ方改革 」 です。 稼ぐ力の指標である日本の 労働生産性は、最新の世界データ 2019 年) によると、世界第 34 位でした。

日本の労働生産性は韓国(1991 年時点では世界 51 位)や、トルコ(同 47 位)、チェコ(同 35 位)、スロベニア(同 33 位)といった国にまで抜かれてしまいました。

労働生産性の低さは、日本経済の最大の問題です。
GDP は下記の算式で表されます。

GDP=労働生産性×労働量 ですが、 人口が減り続けている 日本においては将来労働量が 激減 していくことが予想されます。

労働量を減らさないために女性活躍、高齢者活躍をかかげ労働量を維持する施策は打っていますが 、 人口が増えない 、移民政策に後ろ向きな日本では労働量を 増やすことに は限界があります。そう考えてくると今の GDP を維持するためには労働生産性を上げるしかないのです。

「 おいおいちょっと待って、 GDP なんて上げなくても良いのでは ?」 と 思うかもしれませんが GDP が減れば何が起こるか? 国民が不幸になります。超高齢化社会の日本において国家財政の多く は 社会保障費に使われています。

日本の収益の源泉である GDP が減れば 社会保障費 にまわせるお金が減り、医療費 、介護負担 が増えたり、年金が減ったり 、社会保険料が上がったり といった 問題が起きます。

ただでさえ社会保障費が上がり続け会保障費が上がり続けているている日本において国民が今の生活を維持するために日本において国民が今の生活を維持するためにGDPを上げないといけないというわけです。

だから政府は近年「生産性を上げろ」「生産性を上げろ」と言うようになったのです。

どうやって上げようか?そこで政府が目を付けたのが労働基準法です。

すべての企業の労働時間の上限を決め、労働時間を一律にしたら各社の本当の生産性が分かるのではないか?そしてそのうえで生産性の低い企業を潰し生産性が高い企業に投資をする。

さらに生産性の低い企業をふるいにかける。それを繰り返して日本の労働生産性を上げよう。

労働基準法を使った経済改革。それが働き方改革の本質なのです。

前置きが長くなりましたが、第1回の「生産性」と「効率性」の話をしたいと思います。

皆さんの会社には「生産性を上げろ!」「効率を上げろ!」と号令をかけている人はいないでしょうか?

わたしが見てきた現場では、「生産性」と「効率性」の区別がついていない人が多いなと感じます。この「生産性」と「効率性」の区別がついていない人が上司だったりすると最悪です。どれだけ現場ががんばっても「生産性」は上がりません。

生産性は下記の公式で表されます。

生産性の公式は、アウトプット÷インプットですので、1日2個作れたものが1日4個作れるようになれば生産性は2倍になります。

では、効率性とは何でしょうか?

「効率性」とは「生産性」よりも広い概念です。

1円の売上を生まない商品を2時間かけて作っていたものが1時間で作れるようになった。

これは効率が上がっています。しかし、確かに効率は上がっていますが、何も生み出していないので付加価値の上昇率はゼロです。

よくIT企業が「このツールを入れると経営者の時間が削減されて、生産性が上がる」と言って紹介してくれますが、それは言葉が間違っています。

正確には、「ITツールの導入で業務が効率化して、結果として経営者の時間が増える」ということです。この空いた時間に新たに付加価値を生み出せれば、生産性が上がったことになります。あなたがカレー屋で働いていて、盛り付けが早くなったとしたら、これは効率性が上がっただけです。素早く盛り付けて、空いた時間何もしなければ生産性は変わりません。

この空いた時間にお店の外に出てお客さんを勧誘したり、お客さんと話をして追加注文させたりすることで付加価値が上がり生産性が上がります。

このことを理解して、会社が生産性アップに取り組んでいないと本当に怖いと思います。

既存の仕事を効率化して2時間かかっていたものが1時間でできるようになった。

そこで終わったら、生産性が上がっていないので社員の給与は絶対に増えません。

なぜなら会社と言うのは全体の付加価値額が増えないと社員に還元することができないからです。

経営者から社員まで多くの人が、案外「生産性」と「効率性」の違いを意識できていないと感じます。

あなたの職場のメンバーはどうでしょうか?効率化のみを追求する「なんちゃって生産性アップ、なんちゃって働き方改革」の職場になっていないでしょうか?

第一回のコラムどうだったでしょうか?これから1年間働き方改革を中心とした労務の話をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

著者 久野 勝也 (くの まさや)

■社会保険労務士法人とうかい 代表
■株式会社ダイレクトHR 代表

多岐にわたる社会保険労務士の業務のなかでも、採用に関する業務を得意とする。

希望の人材像の設定の仕方や場面別での応募媒体の設定方法、企業を成長させる人材の見分け方など、実践的な採用戦略を指導している。

2018年には採用支援専門会社を立ち上げ、中小企業の成長を人事労務の面から支えている。

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