2019.12.20 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
サービス業の生産性を上げる本で、すごく良い本です。
その本を読んで、考えをまとめてみました。
一般に生産性は、少ない労働量で粗利を高めること、と解釈されると思いますが、その生産性を高める中で、多くの経営者が間違った時間短縮をしていると感じます。
まず根本的に、サービス業と製造業の生産性の上げ方は大きく違います。
これが分かっていないと、そもそも厳しいと思います。
作った製品をストックできるような製造業では、時短=生産性アップにつながります。
なぜなら早く作れば作るほど製品をストックできるからです。
一方、サービス業ではそうはなりません。
例えば、ラーメン屋を例にあげると、外に行列もできていないのに、ラーメンを高速で作ってもどんどん廃棄が増えるだけです。
製品がストックできる製造業とストックできないサービス業では、生産性の上げ方が全く違うのです。
労働時間は、労働時間=作業時間+手待ち時間で表現されますが、製造業の場合、作業時間を濃いものにすれば、たくさんの製品が出来上がりますが、サービス業の場合、作業時間を濃いものにすると単に手待ち時間が増えるのです。
これを専門用語でいうと「サービスの生産と消費の同時性」と言います。
2時間後のお客のために、今、ラーメンを作ることができないように、消費が起こるタイミングしか時短の効果が出ないのです。
病院で例えるなら、明日来る患者さんを今、診察することはできません。
つまりサービス業では、消費するタイミングしか生産性を上げられないのです。
これだけの話を聞くだけで感の良い経営者なら気づくと思います。
サービス業でもっとも大事なのは適正な時間に適正な労働量が提供できるかです。
生産性=少ない労働量(作業時間+手待ち時間)で粗利を高めることと、と考えるならば、サービス業がやるべきは手待ち時間を最小にして、売り上げにつながる作業時間を最大化することです。
サービス業は、要は「売れたかどうか」なのです。
何が言いたいかというと、社員が増えれば増えるほどいろいろ仕事が増えますが、要は売り上げに直結してる仕事にどれだけ労働時間が投入できているかが大切なのです。
カレー屋でカレーの盛り付けのスピードをストップウォッチで測っても意味がないのです。
「時短をして早く帰れるようにしよう」と唱える経営者がいますが、こんなことを言っていたらいつか会社は潰れます。
「時短をして、もっと稼ぐ時間を増やそう」、これが正しい考えだと思います。
まず盛り付けを早くする⇒空いている時間に集客の方法を考える⇒カレー屋に行列を作る。⇒そして適正スピードでサービス提供するのです。
これができれば会社は従来以上の利益を出せます。
結果として、社員は早く帰り今よりも高い報酬を得ることができます。
時短をして、サービスの質を下げて客単価を下げたり、作業時間を減らして手待ち時間が増えたりしている会社は、間違った時短をしています。
なんでもかんでもストップウォッチで作業スピードを計りたがる経営者がいますが、儲けるために時短をしているのに、誰も目的を理解していないのでただ社員が早く帰宅するだけです。
時短の意味が分かっていない経営者による間違った時短、これほど恐ろしいことはないのです。
2019.12.13 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
ある会社を訪問したら、医療機関でもないのに6割くらいの人がマスクをしていました。
自分の会社にこれだけの人がマスクをしていたらどうだろうか?
わたしならぞっとしてしまう。
働き方改革でどんどん労働時間は短くなり、将来的には週休3日、1日5時間労働のような時代が来ます。
ただ、それと同時に能力や給与の格差も大きくなると思います。
能力の高い人は、1時間で他の社員の1年分の給与を稼ぐなんてことも出てくると思います。
何が言いたいかというと、仕事のプロ化が進むということです。
プロ野球選手のように、3打席(少ない労働時間)しか与えられない中で、結果が出せるかどうかという世界がやってくるのです。
プロの世界は甘くはなく、(自宅などで)スイングスピードをあげるために筋トレ(勉強)をしたり、空き時間に相手のピッチャーを研究(仕事のシミュレーション)をしたり、最高のパフォーマンスが出せるように体調を整える必要が出てきます。
働き方改革の先は、数少ない打席(短い時間)でプロとして成果を上げるということなのです。
話を戻しますが、毎日マスクをして会社に来る人はどんな状態かといえば、調子が悪いままバッターボックスに入ってるのと一緒です。
サラリーマンは仕事のプロのはずです。
そのプロチームの6割が体調不良?
あなたがプロ野球選手で3打席しかチャンスがなくて、果たしてバッターボックスでわたし調子が悪いんですと言うだろうか?
マスクが悪いということではありません。
ただ、なんとなく体調がすぐれないという理由でマスクをしてきてしまうのだとしたら、それはプロではない。
働き方改革で間違いなくプロ化が進みます。
世の中は間違いなく変わります。
あなたは仕事のプロになる準備はできているだろうか?
2019.09.27 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
先日、「DCプランナー2級」を受験しました。
2019.09.06 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
「利益が出ていること」と「生産性が高い」とは全然違います。
「利益を出す」これは、経営者としては当たり前のことです。
ただ利益が出ている会社の生産性が高いかと言われれば必ずしもそうとは限りません。
経費を削減し、やるべきではありませんが、賞与を削れば利益は増えます。
それはごくごく当たり前の話で、ざっくりいえば売上から経費を引いたものが利益だからです。
では、生産性の高い会社とはどんな会社でしょうか?
わたしは次のようなイメージだと思います。
社員に業界平均1.5倍以上の給与を払ってもなお、会社に多くの利益が残ることだと思います。
つまり、生産性が高い会社は高収益だと言えます。
そしてさらに、その高収益が社員に還元されている状態と言えます。
わたしが経営者とサラリーマンの両方を経験し分かったことは、経営的な観点から見れば、会社にお金を残すためには、経費や特に人件費をコントロールし社員の給料を上げすぎてはいけないと感じる一方、社員からしたら会社にお金を残すくらいなら、もっと自分たちに払ってほしいと思うのが本音です。
当たり前ですが、会社は継続するために利益がいるし、社員は生活のために給料がいります。
ではどうするか?生産性をあげるのです。
業界平均の1.5倍以上生産性アップを実現させて、会社にも必要なお金が残るようにし、社員にも給与が残るようにする。
それが社員、経営者、会社が幸せになる唯一の策なのです。
では、どうやってやるのか?
まずは計画です。
高生産性を実現するために、経営計画の中に生産性の具体的な数字目標を入れることです。5年後の生産性がどうなるか?その時、社員の給与がどうなっているか?
社員がワクワクするような目標にして、それを社員と共有して実行していくのです。
それが生産性を上げる第一歩なのです。
2019.08.23 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
「働き方改革」という風潮の多くの経営者がノー残業デーで早く帰らしたり、年間休日を増やしたりしています。 それはそれで良いことなのですが、「なんちゃって働き方改革」になっているケースが多いと感じます。
「ノー残業」で、社員が早く帰っていくのをみて、「あー、うちの会社も働き方改革ができてきたな~」と感じた経営者は要注意です。
なぜなら、働き方改革は早く帰らせるといったことを要求している改革ではなく、会社の根本的な生産性を上げろという改革だからです。
例えば、有給休暇の強制取得一つとっても、今は5日間の強制ですが、そのうち完全取得(年間20日)するのが義務になっていくと思います。
仮に、一般企業の平均出勤日数が245日(年間休日120日)くらいだとすると、今現在、有給が5日しか取れていない会社が、社員に有給休暇を完全取得させるために20日間有給休暇を取得させようと思うと、残り15日の有給を取らせるために6%(15日÷245日)ほど生産性をあげないといけません。
有給休暇だけで6%、毎年上がる「最低賃金」、「同一労働同一賃金」などいろいろな法律に対応していこうと思うと、最低20%くらいの生産性アップが必要になってくるとわたしは考えています。
「ノー残業」や「去年より休みを増えしました」といった働き方改革、それ自体、確かに大切ですが、根本的な問題は何も解決できていません。
繰り返しになりますが、働き方改革は、政府が主導する、企業に生産性の向上を求める改革で、それができなければ市場から退場しろというものなのです。
働き方改革を実行するということは、生産性が上がって、給与が増えて休みが増えたということなのです。
それ以外は「なんちゃって働き方改革」です。
経営者が今の時期やるべきは、どうしたら自社の商品の値段を上げれるか?どうしたら付加価値の高いサービスができるか?を考えることです。
収益構造の変革をせずに、単に「ノー残業」などを導入して早く帰らせるのでは、今は良くても将来的に経営が厳しくなります。
そして、今の時期やるべきことは、まず問題分析だと思います。
どの商品、サービス、業務が儲かっているのか?、儲かっていないのか?それを分析することです。
収益構造を変えるために、まず今の収益構造を整理するのです。
そして、そのために時間を計ることだと思います。
社員1人1人がどの商品、サービス、業務にどのくらい時間を使っているのか?そして、それが儲かっているのか?儲かっていないのか?
そのうえで、5年先を見据えてどの業務に時間を注いでいくかを決定するのです。
時間を計測して実際の業務の生産性を計ると、細かなことを改善したくなりますが、目の前ではなく未来を大きく構想することが大切になります。
何が言いたいかというと、あくまでも将来の生産性をあげるのが経営者の仕事です。現状の生産性を最大化しながら、未来の生産性アップの種を育てるのです。
その準備がしっかりとできている会社は問題ありませんが、そういったことのできていない企業が「ノー残業」と言って働き方改革ができていると言っていたら、その会社は将来間違いなくなくなります。
「なんちゃって働き方改革」の末路は倒産なのです。
2019.8.9 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
働き方改革という時流の中で、多くの経営者が「生産性」を上げなくてはいけないと言っていますが、多くの現場では「生産性」と「効率性」がごちゃ混ぜになっています。
生産性は下記の公式で表されます。
生産性の公式は、アウトプット÷インプットですので、1日2個作れたものが1日4つ作れるようになれば生産性は2倍になります。
では、効率性とは何でしょうか?
「効率性」とは「生産性」よりも広い概念です。
1円の売上を生まない商品を2時間かけて作っていたものが1時間で作れるようになった。
これは効率が上がっています。
しかし、確かに効率は上がっていますが、何も生み出していないので付加価値の上昇率はゼロです。
よくIT企業が「このツールを入れると経営者の時間が削減されて、生産性が上がる」と言って紹介してくれますが、それは言葉が間違っています。
正確には、「ITツールの導入で業務が効率化して、結果として経営者の時間が増える」ということです。
この空いた時間に新たに付加価値を生み出せれば、生産性が上がったことになります。
あなたがカレー屋で働いていて、盛り付けが早くなったとしたら、これは効率性が上がっただけです。
素早く盛り付けて、空いた時間何もしなければ生産性は変わりません。
この空いた時間にお店の外に出てお客さんを勧誘したり、お客さんと話をして追加注文させることで付加価値が上がり生産性が上がります。
このことを理解して、会社が生産性アップに取り組んでいないと本当に怖いと思います。既存の仕事を効率化して2時間かかっていたものが1時間でできるようになった。そこで終わったら、社員の給与は絶対に増えません。なぜなら会社と言うのは全体の付加価値額が増えないと社員に還元することができないからです。
経営者から社員まで多くの人が、案外「生産性」と「効率性」の違いを意識できていないと感じます。
あなたの職場のメンバーはどうでしょうか?
効率化のみを追求する「なんちゃって生産性アップ」の職場になっていないでしょうか?
2019.8.2 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
マクドナルドがモバイルオーダーを開始しました。
席に座ってスマホでオーダーをすると席に商品を持ってきてくれます。
これによりマクドナルドはレジスタッフを減らすことができます。
本題に移ります。
東京都と神奈川県で最低賃金が1,000円を超える見込みです。(下記2019年8月2日時点での予定額)
東京 1,013円
神奈川 1,011円
愛知 926円
岐阜 851円
京都、千葉、埼玉でも900円を超えて全国加重平均で901円です。
このままの賃上げが続くとすると、2023年度には全国平均で1,000円を超えると予想されています。
いよいよ最低賃金1,000円時代が到来します。
ここから中小企業は明確に2つに分かれていきます。
「人を雇える会社」と「人を雇えない会社」
マクドナルドのように思い切ってシステムに投資ができる生産性が高い会社でであれば、時給も上げられるので、人を雇えますが、システム投資できない生産性が低い会社は、時給が上げられず人が雇えなくなります。(当然と言えば当然ですが・・)
つまり最低賃金1,000円時代で問われているのは、会社に人件費をコスト吸収するだけの力があるかです。
そして、「人を雇える会社」と「人を雇えない会社」になるかを決めるキーワードの一つはシステムの投資と言えます。
中小企業の小売業を例にあげれば、マクドナルドのような投資は無理にしても、セルフレジ、自動釣銭機の導入、タッチパネルによる注文システム、タイムカード管理やシフト組みなどの労務管理システム等に投資をして省人化することは必須だと言えます。
時給1,000円になってしまったら、今までと同じやり方で、今までと同じようにやっていたら絶対にコスト吸収できません。
飲食以外の業種で言えば、多くの中小企業は、来客時にお茶出しをします。
こういった業務も発想を変えて飲料マシンを置いておくのが良いと思います。 お客さんとしても自由に飲みたいものを選べた方が良いと感じますし、社員に、お茶出しをさせると採算が合いません。
会社側はこうした視点でいまやっている業務を見直すべきです。そして思い切ってシステムに投資することが大切です。
人を雇用しているだけで、年々最低賃金が上がりコストが上がり続ける時代、思い切ってシステム投資ができるかが、会社として残れるかの一つの鍵になります。
現時点でその資金がない会社は非常に厳しいですが、もっと厳しいのは経営者に投資発想がないことです。
その投資発想がない経営者が、最低賃金1,000円時代を乗り切れることはないと思います。
2019.06.28 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
政府の方針もあり、企業の「副業解禁」の動きは、大きく広がっています。 (副業については、以前のブログでも書いたので良かったら読んでください。)
【働き方改革ブログ】 みんなが副業する時代に
副業の解禁の発端は、2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめ、「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除したところからです。
最近では、みずほフィナンシャルグループが、2019年度の後半に、社員に副業を認めると発表しました。
既にソフトバンク、ヤフー、ユニ・チャーム、新生銀行、コニカミノルタ、サイボウズ、リクルート、メルカリ、サイバーエージェントなど多くの企業が副業・兼業を認めています。
日本が国家全体で副業に舵を切ったのは次のような理由だと考えています。
1、空前の人不足
フルタイムの正社員を雇用するより、パートタイムの副業・兼業者の力を借りるという発想が必要。
2、事業環境の変化
企業の事業環境の変化が激しく、企業や業種の壁を超えた発想が必要となっている。昨日まで売れていたものが全く売れなくなり、トヨタですら、全く新しい発想をしていかないといけない時代。企業としても、他の業界で働く人の知恵を借りる必要がある。
3、スキルの賞味期限の短期化
一昔前は一旦仕事を覚えれば、定年まで働くことができた。しかし、現在は、ネットやテクノロジーの進化により、知識の陳腐化、コモディティ化が加速している。そのため、時代に応じて、大きなアップデートが必要になっているが、副業は新しいスキルをつけるのにうってつけである。
4、人生100年
スキルの寿命は短くなったのに、人間の寿命は100年以上。時代に適応し変化することが必要になった。副業は変わるための絶好の機会。
5、働き方改革による余暇時間の増加
労働時間は減り、人の余暇時間は増える。減った時間を使ってスキルを身に着ける必要があるが、副業が一つの選択肢になる。
上記のように、日本の将来や人の幸せを考えると副業が必要なことは明らかです。
また、企業側として本音を言えば、変化の激しい時代に終身雇用で最後まで面倒をみるのは無理なので、自分でスキルを身に着けて強く生きていってほしいという思いもあります。
「副業解禁」の波はもう止めることができません。会社としても「副業規程」などを作成し副業を認めていく準備が必要です。
そして、社員も準備が必要になります。
ある日、会社から「どこかで副業をしてこい!」と言われたらどうしますか?あなたは、何ができますか?
世の中の企業が求めている副業は、仕事が終わった後に、肉体労働するようなものではなく、高いモチベーションとスキルを求めるものになっていきます。
今の仕事を活かして、他社で副業をするならば、自分のできることを他企業にアピールする必要があります。
つまり、副業は、今いるスキルを活かしつつ、学び直しだという発想をもって果敢にチャレンジしていく必要があるのです。
企業側にとって副業者に仕事を依頼する点は、会社に変革を起こすためです。
したがって副業と言っても、その責任が軽いわけではありません。重要なプロジェクトを副業と言う形で任せられたりもします。
「副業解禁」。
聞こえは良いですが、「副業解禁」に向けて個の力をつけておく必要があります。
その覚悟をもっていない人にとって、副業は不幸の始まりになるかもしれないのです。
【セミナーのご案内】
2019.06.07 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
2020年4月に民法が改正されますが、消滅時効が定められていたものが原則「5年」に統一されます。
現行の法律では、権利を行使することができる時から10年と原則的に定めており、例外的に飲み屋のツケが1年、工事の請負代金が3年、商取引によって生じた債権は5年などと職業や取引内容によって個別に時効の期間が定められていました。
これに対しては、原則的に10年とするのは期間として長いこと、現代においては、このように取引別に異なった時効期間をもうけることの合理性はないということから原則「5年」に統一しようという流れになりました。
それに伴い、厚生労働省は、賃金等請求権の消滅時効を現行2年から5年に延長すべきとする検討を始め、
その方向で見解がまとまりつつあります。
同時に課題となっていた、年次有給休暇の消滅時効については、5年に延長すると年休取得が阻害される可能性が高まるため、現行の2年を維持する見通しです。
賃金の請求権が5年になると、経営はさらに厳しい管理が求められるようになります。
特に注意が必要なのが、「未払残業代」です。
もちろん未払残業はあってはいけないのですが、仮に未払残業の請求があった場合、現状過去2年分であったものが5年分遡って請求できるようになるのです。
例えば、30人の従業員がいて1か月20,000円の未払い残業があった場合、時効が2年なら1,440万円(20,000円×24か月×30人)が請求金額になります。
それが5年になると、一気に3,600万円(20,000円×60か月×30人)になります。
この数字を見てどうでしょうか?
「うちの会社は、未払い残業が1円もない!」と言い切れる会社はほとんどないのではないでしょうか。
今後、賃金請求権の時効が5年になれば、今以上に労働法を厳格に守る流れになってくると思います。
そして、労働法をきっちり守って経営するほど管理コストも人件費もあがります。
この増加する管理コスト・人件費を自社の商品・サービスに価格転嫁できなければ、利益が減ってしまうので最終的に社員の昇給ができなくなってしまいます。
時効が2年から5年に変わることは単に数字が2から5に変わるものではありません。
この変化はあまりに大きく、すべての企業が経営のやり方、ビジネスモデルを見直すこととなり、結果、稼げる会社しか生き残れない時代がやって来るのです。
すべての企業が、未払い残業がないかの確認はもちろん、本当に大切なのは自社の商品・サービスを見直し、稼げる仕組をつくることです。
気概があっても収益性がなければ労務管理コストの増大には対応できません。
時効が2年から5年になれば、すべての企業がビジネスモデルの見直さざるえを得ません。
それくらい今回の議論は重要です。まだ本決定ではないので新しい情報が分かればお伝えします。
2019.04.12 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
ブログで書き続けていますが、働き方改革の本質は、真に儲かる会社だけを残すための日本の経済改革です。
これまで、このブログで繰り返し経営者が変わらないといけないと言いました。
ただ、はっきり言って社員も変わらないといけないと思います。これから毎年、給与が3%以上増えて、休みも増え続けます。
会社はビジネスモデル磨いて、生産性向上という能力アップをどんどんしていきます。
ただその一方で、社員の能力はどうでしょうか?
会社だけに働き方改革を押し付けて、そこで働く社員の能力が上がらないのなら、能力以上の給与を会社は払い続けることになるので、いつか会社は潰れてしまいます。
むしろ、社員こそ働き方改革を通じて能力を向上させないといけないのです。
社員自身も”会社が働き方改革を通じて自分の待遇を良くしてくれる”などと考えていてはダメです。自分の待遇は自分で上げるしかないのです。
わたしは大学時代、テニスがうまくなりたくて、テニスをプロテニスプレイヤーに教えてもらっていました。
田中さんというのですが、その田中さんに就職する際に言われた言葉を思い出しました。
『プロのテニスプレーヤーは、コートの上でのみお金を稼ぐ、試合がない時にも練習したり、走ったり、トレーニングしている。常にコートの外でも自分を高めている。 練習をしないと、絶対に本番で力は発揮出来ないし、絶対に勝てない。つまりお金を稼ぐことはできない。でも俺は、サラリーマンで、仕事のプロをあまり見たことがない。仕事の練習をしている人をほとんど見たことがない。おまえは、仕事が試合だと思って、仕事以外でもその努力を怠るな!!』
多くの社員が、仕事で能力があがると信じています。でもそれはド新人のころだけです。テニスが試合中にうまくならないように、仕事も仕事の中だけで能力を上げるのは無理です。
仕事以外の時間で、仕事以外の場所で、自分の能力を上げる努力ができるか?
この働き方改革を通じて、個人もまた試されていると思います。
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働き方改革セミナーのおしらせ
日程:4月22日(月)17:00~19:30
料金:無料
40社限定
■ 既に始まっている“有給付与義務化”
「働き方改革関連法」への対応はできていますか?
2019年4月1日より施行された「働き方改革関連法」。
守らなければ罰則もある働き方改革への対応は十分にできていますか?
わずか120分で、働き方改革へ対応するために今やるべきことを徹底解説いたします!
■ 特にこのような経営者におすすめです!!
□「働き方改革関連法」について、聞いたことはあるけど、具体的対応策についてはわからない方
□ 有給は、取得の義務化ではなく”付与”の義務化であることを現段階で把握できていない方
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このセミナーにご参加いただくと、
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■ 本セミナーで学べるポイント!!
第一部:これだけ押さえる!「働き方改革」に対応するために今すぐ導入すべきこと
講師:社会保険労務士法人とうかい 代表社員/社労士 久野勝也
◎ なぜ今働き方改革なのか?
◎ 働き方改革に対応するために、今すぐやるべき3つのこと
◎ できていないと危険!今すぐ進めるべき労働時間管理
◎ 人不足対応(採用強化)の方法とは
◎ 「働き方改革」に対応するために今すぐすべき業務効率化
第二部:中小企業のバックオフィスを効率化!成功事例大公開!
講師:税理士法人葵パートナーズ 代表社員/税理士 花田一也
◎ 今、多くの中小企業はバックオフィス業務に課題あり!
◎ 解決手段はクラウドシステム!
◎ クラウドシステムで可能になることとは?
◎ バックオフィス改善事例大公開!~これで会社の経理が楽になった~
◎ 業務効率化のために今すぐすべきこと
そして、今回セミナーを聞いて頂いたらすぐに実践に移していただける様に、参加特典をご用意しております!
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税金や、助成金、労働法など。法律や規制は、いつの間にか変わっていきます。でもそれは社会的要請などではないのです。そこには明確な意図があります。誰が、どのような意図を持って、ルールを書き換えようとしているのか。意図を読み解けば、未来が見えてきます。
「物語の力を学び、経営に活かす」創業時の物語、危機的状況を乗り越えた逆境の物語、商品やサービスが誕生したときのはじまりの物語、大切な社員たちとの出会いの物語。それらを学ぶことは業績アップの第一歩です。なぜなら、経営とは物語の集まりなのです。
2019.04.05 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
4月1日から5日間の年次有給休暇の強制取得、そして大企業は時間外の上限規制が始まりました。
こんな改革をしたら会社が潰れてしまうと嘆いている経営者がいますが、そのような会社をなくして、真に儲かる会社だけを残すのが働き方改革の本質です。
私は、労働時間は減らしながらも、給料は最低でも年3%は上げていかなければならないと思います。なぜならば最低賃金がそれくらいのペースで上がっているからです。
労働時間が短く、休みが多い、そして給料を払える会社にしなければ、長期的に人が採用できなくなります。
働き方改革に対応していかないと、結果、人手不足が原因で競争に負けることになり、どのみち会社がなくなってしまうことが予想されます。
「働き方改革に罰則はあるのか」とよく聞かれます。
仮に働き方改革を実行できなかった場合の罰則(影響)について経営、マーケット、法律の面から考えてみます。
【経営的な罰則】
働き方改革は生産性が高く、給料が高く、休みが多い会社にしないと実行できません。つまり働き方改革を実行できない会社は、長期的に人が集まらない、そして儲からないので会社が潰れます。経営者にとっては最も思い罰則だと思います。
【マーケット的な罰則】
法令に違反した会社は厚生労働省に企業名を公表される。これは相当厳しいことです。
厚生労働省は、2017年5月10日から、労働基準法等の労働基準関係法令に違反した会社は書類送検を行い、労働基準関係法令違反に係る公表事案として企業名と違反事案などをホームページに掲載しており、定期的に更新しています。この社名公表されたものを最近ではIT企業が全国地図で可視化し「ブラック企業マップ」というものが話題になりました。このようなサイトに掲載されると、求職者からの応募に不利になるのはもちろんのこと、取引先からも敬遠されるようになり、採用、売上などに多大な影響がでます。
WEBに一度掲載されると簡単には消せません。社名公表というマーケットでの罰則は相当厳しいと思います。
【法律的な罰則】
年次有給休暇の5日間強制取得の違反は、30万円以下の罰金。長時間労働の上限規制違反は罰則として「6カ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が科される恐れがあります。(通常いきなり刑事責任が追及されるケースは少ないと思われます。)
このように働き方改革の罰則を見ていくと、働き方改革をしたら会社が潰れてしまうのではなく、働き方改革をしないと会社が潰れてしまうということが顕著に予測できます。
経営者として給料が高くて、休みが多い会社を創ることは並大抵のことではありません。
ただ、この改革をやり遂げた時、社員が短い時間で働くだけで、しっかりと給料がもらえて、余暇を楽しめる人生を送れるようになるのは本当に素晴らしいことです。
私はそんな未来を楽しみにしながら、お客様の働き方改革のお手伝いと自社の働き方改革を実行していきたいと思います。
【参考】
年次有給休暇の確実な取得について(年次有給休暇の強制取得)
労働時間状況把握の実効性確保(時間外労働の上限規制)
201903.29 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
働き方改革と言う名のもとに、国は企業の労働条件をガラス張りにしようとしています。
3月6日の日経新聞の記事に、『働きやすさ企業は開示を 育休取得など厚労省が義務化へ』とありました。
【参考リンク】https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42058400V00C19A3MM8000/
『厚生労働省は2020年度にも、従業員の働きやすさを測る指標の開示を企業に義務付ける方針だ。従業員301人以上の大企業を対象に、育児休業や有給休暇の取得率、平均残業時間など複数の項目から1つ以上を公開するよう求める。応じなければ企業名の公表も検討する。外部で比較できるようにして企業に働き方改革を促し、育児や介護と両立できる職場環境づくりにつなげる。』(日経新聞抜粋)
この記事を見た時に300人以下の企業で良かったと思ったならそれは間違いです。
大企業が労働条件を開示してくることは、中小企業にはとてつもない脅威です。今は世の中に情報が溢れていて、人々はその情報に簡単にアクセスできる時代です。
人の心理からすると情報が見れない=きっと労働条件が悪いのだろうと考えるからです。
つまり開示義務のない企業のほうがマーケットでは不利に働く可能性が高いのです。
301人以上の企業でも、まだまだ育児休業や年次有給休暇などの取得率が低く、平均残業時間が多い会社もありますが、この法律が施行されれば、採用や社員の定着のためにどんどん数字をあげる努力をしてくると思います。301人以上の企業では数字競争が置き、どんどん労働条件が良くなっていくことが考えられます。
そうなってくるとマーケット全体の労働条件があがり、生産性があがらない企業はこの時流についていけず人が離れていってしまいます。
最近、経済産業省が法人インフォというサイトを作りました。まだ中身は充実していると言えませんが、法人が政府より受けた補助金や表彰、許認可等の法人活動情報を掲載する思惑です。これも企業の労働条件をガラス張りにしていく一部といえます。
わたしは、このサイトかは分かりませんが、将来的には国が作るプラットフォームで労働法関係の書類、例えば36協定、就業規則の一部といったものまで開示する時代が来ると感じています。
働き方改革の施行時期で中小企業は1年間猶予されているものが多くあります。一見するとすごくありがたいことに見えますが、大企業が先にやるということは大企業がマーケットを変えてくるということです。
気づいたときには中小企業は取り残されてしまいます。だから中小企業の働き方改革も、まだ大企業と違って1年あるから大丈夫ではなく、大企業と同じタイミングでやれるように計画を立てていくことが大切になります。
働き方改革の名のもとにこれから企業は情報をどんどん開示させられていきます。
開示しても大企業に引けをとらないものであれば、反対に中小企業でも人が集まるようになると思います。
大切なことは、来るべきガラス張り経営の時代に対して、今から生産性をあげて儲かる会社にしていくことです。
2019.02.11 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
【公式ホームページからスクリーンショット】
ラーメンチェーン大手幸楽苑の「2億円事件」。
2億円事件とは12月31日と1月1日の2億円の売上を捨ててでも従業員のために休みを取らせる幸楽苑の働き方改革です。サービス業があたりまえのように年末年始を働く現状が変わるような事件になってほしいという社長の思いは多くの支持を集めました。
そして、最近は回転寿司チェーン「スシロー」が2月5日と6日に一斉休業をしました。ちなみスシロー全体の年間売上高は、1,748億円。1日当たりの売上は約5億弱あり、2日間休むと単純計算で、10億円近い売上ダウンとなります。そうしたリスクを負ってでも、一斉休業をする理由について、経営陣は「従業員からの声もあり、働きやすい環境づくりにつなげるため、利用客への影響も考慮したうえで、この時期に一斉休業の形をとることにした」としています。
そして大きな時代の変化を感じたのはメディアや消費者(利用客)がこれを支持してることです。お客からすると利便性を損なうことですが、両社の企業も結果として従業員を大切にする企業だとSNS上で良い評価を得ています。
明らかに潮目が変わってきています。
売上のために営業時間、営業日数を増やすという考え方はこれから受け入れられなくなっていくと思います。それは社員だけでなく、消費者からも受け入れられないのです。
人不足を背景に働く人の感情が大切にされる世の中が来ています。一昔前は会社が「従業員を雇ってあげている」という感覚が強かったですが、最近は会社が「従業員に来てもらう」という感覚に変わってきました。
そして、これからこの流れはどんどん強くなってくると思います。どちらが良いとか悪いとかではなくこの流れは止められないと思います。
休みが極端に少ない会社は、社員の満足度だけでなく、お客様の満足度まで下げる時代が来ています。そして、いずれ休みが少ないことが、その家族、恋人、友人の満足度も下げる時代がきそうです。
この流れを中小企業は理解して、世の中についていかなければなりません。
わたしは以前、百貨店で勤めていました。12月31日の夕方まで仕事をして、1月1日に1日休みをもらい、1月2日の早朝から仕事をしていました。なんだか、みんなが休んでいる時に自分だけがんばっているという優越感がありましたが、そんな考えをする人はいなくなると思います。
社員やその家族の感情を考えて休みを設定する時代の到来。
わたしにとって幸楽苑の2億円事件は、中小企業が休みをしっかりとっても、稼げる会社にしないと生き残れないということを再認識する事件でした。
2019.02.04 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
働き方改革元年、これから経営環境はがらりと変わります。
4月から年次有給休暇の年5日間の強制取得が始まりますが、マーケットベースで言えば年間休日の120日以上ないと若い子は就職先として選んでくれません。数年後には、年間120日休んで、有給も平均10日くらい取得するのが当たり前の時代が来ると、経営者は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
経営者が、働き方改革で社内の「生産性をあげろ」と社内に号令をかけ、現場レベルで生産性をあげて、今よりも短い時間で今よりも高い給与を払える会社にしていくのは非常に大切です。現場の対応はこれで良いと思いますが、経営者の仕事はこれだけでは足りません。
現場の生産性をあげることで、会社の延命にはなりますが、働き方改革で国が考えていることは儲からない会社を世の中からなくしていくことです。国は日本の全体的な給与を上げるには、儲からない会社をなくすほかないと、本気で考えているのです。
そう考えると、経営者が働き方改革を現場の生産性を上げるくらいに考えていると10年後に会社はないでしょう。
働き方改革の時代に経営者がやることはもう一度自社のビジネスモデルの設計図を作り直すことです。
その際に考えないといけないことは、働き方改革で労働日数、労働時間が短くなるなかで、より厳しくなるのは、社員の能力アップだと思います。時間短縮とともに会社は社員を育成する時間も今よりも短くせざるを得ないと思います。つまり働き方改革で社員も育ちづらくなるということです。
現在の労働時間のなかで、社員が1年間にあがる能力が100だとすると、中小企業が休みを120日以上、有給を10日も取らせれば人材育成に割く時間は当然減って、1年間に80くらいにしか能力を最大化できないでしょう。
社員10人の会社だったら、100×10人で1,000だった力が80×10人で800となり2割くらい戦力がダウンすることになります。
何が言いたいかというと、働き方改革で経営者がやらないといけないことは、今の延長線上で生産性をあげることではなく、そもそものビジネスモデルを見直すことです。
つまり人の能力で業績が響かないようなビジネスモデルに変えていくことです。この働き方改革で経営者は、今の延長線上に未来がないということを再認識しないといけません。
それに気づいている経営者はIoTやIT化、自動化にどんどんお金を投資しています。
働き方改革が中小企業の経営者に迫っているのは「生産性のアップ」ではありません。「ビジネスモデルのチェンジ」であることを肝に銘じることです。
時代の変革期、今、投資できない経営者は厳しいと思います。
2018.12.31 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
2019年4月1日から、年10日の有給を得ている従業員に対して会社は、5日は有給休暇を取得させることが労働基準法上の義務となります。
一昔前は、休みを取らず長時間働く人が評価される時代でした。ただ最近は休みを取ってもしっかりと成果を出せる人のほうが評価されるようになってきました。
わたしは与えられた年次有給休暇くらい取得すれば良いと思います。しかし、多くの従業員が取りづらいと言います。仕事で結果を出していれば会社は何も言わないと思います。
働き方改革で、従業員も仕事への意識を変えないといけません。
これからの時代、必要なことは自分が担当する仕事を“自分自身の課題”と主体的に捉え、強い情熱と責任感を持って取り組む姿勢だと思います。つまり”自分がこの仕事のオーナー”だと思うことです。
この仕事は”自分がオーナー”だと考えている人が休んでも会社は特に心配になりませんし何も言いません。
反対にこの仕事は”自分がオーナー”だと思っていない人は、雇われ根性が抜けていないのでどこか中途半端で、会社は休まれると心配で仕方ありません。
働き方改革で年次有給休暇のルールは変わりますが、これは単に休みが増える権利が増えることではありません。従業員が仕事を“自分自身の課題”と主体的に捉え、強い情熱と責任感を持って取り組む姿勢を持つ改革なのです。
つまり年次有給休暇の強制取得は、従業員が「この仕事は自分がオーナーである」という仕事への意識改革なのです。
1年間お付き合いありがとうございます。来年もよろしくお願いします。来年も勝負の1年です。
【関連ブログ】 2018.11.12働き方改革ブログ 有給休暇の強制取得(働き方改革関連法)
2018.12.03 働き方改革ブログ 名古屋の社会保険労務士 久野勝也
働き方改革によって中小企業はこれから「労働時間を減らしながら、売上と利益を向上させる」という課題を課せられています。できなければ、会社が継続できないという厳しい現実があります。この課題を解決するために経営者が注目すべきは「人時生産性(にんじせいさんせい)」です。
「人時生産性」を考える前に、まずは「人時売上高」についての理解が必要です。「人時売上高」とは、従業員一人の時間当たりの売上高で、人時売上高=売上高÷総労働時間という計算式になります。つまり、1人の従業員が1時間にいくら売り上げたかを表す指標です。
では、「人時生産性」は何かというと、「人時生産性」とは、従業員一人の時間当たりの生産性を意味していて、人時生産性=粗利高÷総労働時間という計算式になります。つまり、1人の従業員が1時間にどれだけの粗利益を稼いだかを表す指標です。
この「人時生産性」をあげることがこれからの経営にとって非常に重要です。「人時生産性」をあげるために重要なことは、まずこの総労働時間を次の3つ分けることです。
① 直接的な生産時間・・売上が発生する時間。(顧客との商談時間等)
② 生産時間に付随する業務時間・・売上発生のための準備の時間(見積作成等)
③ 非生産時間・・売上が全く上がらない時間(移動時間等)
そして、大切なことは①を最大化し、②、③を減らすことです。
会社の中で①と②と③の時間がどのくらいあるのか、きちんと把握している社員はどれだけいるでしょうか?ほとんどの社員は、なんとなくしか把握していないのではないでしょうか?今の時間数が分からない以上、減らしようがないと思います。
そこでわたしはタイムクラウドという、仕事ごとの時間を計測するシステムの使用をお勧めします。
スマートフォンのアプリを使えばさらに便利です。スマートフォンをでアプリを起動して、ワンクリックで仕事の時間の計測がスタートします。
自分がどの仕事にどのくらいの時間を使っているか計測することができ、レポートもでます。ビジネス版を使うと、社内でチームの生産性なども可視化できる優れものです。
わたしはまず自分の時間を可視化することにしました。1週間計ってみてほとんど移動しかしていませんでした。ほとんどが③の非生産時間だったのです。移動時間は仕事をした気分になっていますが、まさに非生産的な時間です。肝心の経営の時間はほとんど取れていません。経営者として問題があることが明確になりました。
これからの時代、社内でこういった時間の可視化をすることが重要になってきます。「労働時間を減らしながら、売上と利益を向上させる」ことを求められている時代、社員一人一人がいくら稼げているかを知る必要があると思います。
「人時生産性」を計ることは社員を評価するためにやるのではありません。社員一人一人が自分の仕事が収益につながっているかを意識して、稼げる会社に変えていくためにやるのです。
毎日、同じ業務を同じようにやっても給与は上がりません。だからこそ、自分の仕事を見直して劇的に変えていくことが大切なのです。
そして、まずは最低でも「人時生産性」を給与の3倍にすることだと思います。
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★セミナー情報★
1、働き方改革関連法対応実務徹底解説セミナー
【日程】12月7日(金)14:00~16:30 ウインクあいち 会議室1801
【詳細・申込】https://www.tokai-sr.jp/181206seminar
2、デジタルガバメントで激変する社労士業界で生き残る!!(社労士向け)
【日程】12月11日(火)14:00~16:00 ウインクあいち 会議室1304
【詳細・申込】https://oslp.officestation.jp/sem-181211.html
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■社会保険労務士法人とうかい 代表
■株式会社ダイレクトHR 代表
多岐にわたる社会保険労務士の業務のなかでも、採用に関する業務を得意とする。
希望の人材像の設定の仕方や場面別での応募媒体の設定方法、企業を成長させる人材の見分け方など、実践的な採用戦略を指導している。
2018年には採用支援専門会社を立ち上げ、中小企業の成長を人事労務の面から支えている。