厚生労働省は新型コロナウイルスの感染拡大による企業の経営への影響を和らげるため、従業員に対し、一時的な休業などを行う企業のために、雇用を維持する企業に支給する「雇用調整助成金」を特例措置として拡充することになりました。新型コロナウイルスの感染拡大で、観光業では中国からのツアーがキャンセルになるといった事例が相次いだことが理由です。
この特例は令和2年1月24日から令和2年7月23日を開始日とする休業を対象とし、該当する事業者は対象期間であれば、事後申請も可能となされています。今回は、「雇用調整助成金」の「特例措置」について、ご説明していきます。また、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症についての特設ページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.htmlを設置、随時情報を更新していますので、あわせて確認しておきましょう。
※本稿は2020年3月1日での情報を元にご説明しています。随時変更されることもありますので、最新の情報を確認してください。
社会保険労務士法人とうかい
執行役員 社会保険労務士 小栗多喜子
同社、人事戦略グループマネージャーを務め、採用・教育を担当する。商工会議所、銀行、Adeco,マネーフォワードなどセミナーや研修講師も精力的に行っている。労働法のアドバイスだけではなく、どのように法律と向き合い企業を成長させるのかという経営視点でのアドバイスを得意としている。
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観光客の減少による影響を受ける産業をはじめ、稼働をストップする工場を抱える製造業など、多くの企業で事業活動の縮小を余儀なくされています。
従業員を休業させる場合、そしてやむなく解雇を余儀なくされるケースなど、対応に苦慮されている企業も多いと思いますが、様々なケースを想定し、留意すべき法律や制度、自社の就業規則を併せて確認しておく必要があるでしょう。
とくに休業させる場合の取り扱いには注意したいところです。また、即解雇につながらないようなセーフティとして雇用調整助成金などを利用して雇用維持に努めるなど、困難な状況であっても、これらの法律や制度を活用することで対処できることもあるため、困ったときには専門家や支援機関に相談しながら、対応していくことをおすすめします。
新型コロナウイルスに関連して従業員を休ませる場合については、賃金の取り扱いなどを確認しておきましょう。
・感染した従業員を休業させる場合
新型コロナウイルスに感染した従業員を休業させる場合には、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しません。ですので、会社は休業手当を支払う必要はありません。ただし、従業員は健康保険などの要件を満たせば傷病手当金の受給ができますので、申請手続きなどの対応を行う必要があります。
ただ支払いが必要ないのは感染が確定したときです。感染が疑われる場合は、下記対応になります。
・感染が疑われる従業員を休業させる場合
会社側の判断で従業員を休業させる場合には、一般的に「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当を支払う必要があります。ただ、この場合も従業員が労務の提供ができるかどうかがポイントになります。休業手当が必要なのは、使用者が休ませる場合です。感染が疑われ、労務が提供できる場合がこのケースに該当します。
・発熱などの症状により従業員が自主的に休んでいる場合
従業員が自主的に休んでいる場合は、通常の病欠と同様に取り扱いとなりますが、会社が“発熱などの症状がある場合は休むこと”といった一律に休業させる場合には、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当を支払う必要があります。
従業員の解雇や退職勧奨は事業主としても苦渋の決断となると思います。
しかし、業績悪化に伴い、決断せざるを得ないこともあるでしょう。
会社は従業員を解雇できないわけではありませんが、解雇には合理的な理由が必要です。
客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は、解雇権の濫用として無効となります。
今回の新型コロナウイルスによる業績悪化や経営難が「合理的な理由」にあたるかについては、本当に解雇が必要な状況なのか、解雇を回避するための努力を行ったかなど、一定の要件を満たすかによって判断されます。
また、事業縮小により希望退職を募ったり、退職勧奨を行う場合などについても、退職手当の取り扱いをどうするかなど、就業規則・賃金規程などとも照らしながら、慎重に進める必要があります。
専門家と相談しながら進めることで事後のトラブル回避につながります。
雇用調整助成金の支給対象となるには、事業主に対する申請・支給要件があります。今回の新型コロナウイルスの影響により、休業等の雇用調整を行う場合で、休業等の初日が、令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に、要件が緩和されました。
① 雇用保険の適用事業主であること
緩和特例措置
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主
※これにより、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となります。
② 売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること
緩和特例措置
○生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮
最近1か月の生産指標が、前年同期に比べ 10%以上減少した場合には、生産指標の支給要件を満たしたものとして取り扱います。
○事業所設置後、1年未満の事業主も対象
通常は、生産指標を前年同期と比較できる事業主が対象ですが、 今回の特例措置では、令和2年1月 24 日時点で、事業所設置後1年未満の事業主についても支給対象です。その際、生産指標は、初回の休業等計画届を提出する月の前月と、令和元年 12 月との1か月の指標で比較します。また、中国(人)関係売上高等の総売上高に占める割合については、事業所設置から初回の休業等計画届を提出する月の前月までの実績により確認します。
③雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと
緩和措置
○雇用指標(最近3か月の平均値)が対前年比で増加している場合も対象
今回の特例では、その要件を撤廃し、最近3か月の雇用量が対前年比で増加している事業主も対象となります。
④実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。
・休業の場合
労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること。
・教育訓練の場合
教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであり、当該受講日において業務(本助成金の対象となる教育訓練を除く)に就かないものであること
・出向の場合
対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること
⑤過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること
○支給のための審査に協力すること
○審査に必要な書類等を整備・保管していること
○審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
○管轄労働局等の実地調査を受け入れること
○労使間の協定により休業等を行うこと
○同一事業主に引き続き雇用保険被保険者として雇用された期間が6か月以上の者の休業等であること
○休業手当の支払いが労働基準法第26条の規定に違反していないものであること
○判定基礎期間における対象労働者に係る休業等の実施日の延日数が、対象労働者に係る所定労働延日数の1/20(大企業の場合は1/15)以上となるものであること。
※参考:厚生労働省ホームページ
雇用調整助成金の助成金額で勘違いしやすいのが、休業手当の金額の3分の2が助成されるので貼りません。前年度の賃金総額を使って算出します。
全社員の平均賃金を使用し計算式を用いますので注意が必要です。
雇用調整助成金を受給するまでの大まかな流れは次のとおりです。添付しなくてはならない書類とともに、確認していきましょう。
雇用調整を実施にあたり、まずどのような雇用調整を行うか具体的な計画が必要です。
休業する従業員の選定方法、休業する従業員の範囲(部門)、休業の期間、休業する従業員数などについて検討します。
教育訓練の場合は、訓練内容や期間、講師や訓練場所などを計画します。訓練の実施後のレポートも必要です。
さらに、出向を検討する際には、労働条件や出向期間、勤務地等についての出向契約をはじめ、従業員への同意も重要です。
計画届を都道府県労働局またはハローワークへ提出します。原則、計画届は事前提出となっていますが、今回の新型コロナウイルスによる助成金の申請の場合は、特例として、2020年1月24日以降に初回の休業を行う事業所においては、休業等実施計画書の提出を2020年5月31日までに提出すればよいこととなっています。
【計画届に必要な書類】
・休業等実施計画書
・雇用調整実施事業所の事業活動、雇用指針の状況に関する申し出書
・休業(教育訓練・出向)協定書
・事業所の状況に関する書類
・(出向の場合)出向計画に関する書類
計画に基づき、休業や教育訓練などの雇用調整を実施します。
雇用調整を実施したら、都道府県の労働局またはハローワークに支給申請を行います。
【申請に必要な書類】
・支給申請書
・助成額算定書
・休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書
・支給要件確認申立書
・労働保険料に関する書類
・労働・休日及び休業・教育訓練の実績に関する書類など
・(出向の場合)出向先事業所調書
・(出向の場合)出向に関する確認書
・(出向の場合)出向元事業所賃金補填額・負担額調書
・(出向の場合)出向の実績に関する書類
労働局による審査後、問題がなければ支給決定、振込となります。
雇用調整助成金は必要書類が揃っている、かつ、内容が要件を満たしていれば原則として受給できるものですが、必ずしもそうでないケースもあります。
・労働保険料を滞納している
・不正受給歴がある
・労働法令に違反がある
などです。また当たり前のことですが虚偽の申請は許されるものではありません。休業の申請をしておきながら、ボランティアと称して労働をさせるなどはもってのほかです。雇用調整助成金に限らず、助成金の虚偽の申請は厳に慎みましょう。
計画から申請、実施まで、取り組む課題は多く、企業担当者の負担も大きいものです。そういった場合には、助成金の申請に長けた社労士事務所へ相談することをお勧めします。社会保険労務士法人とうかいでも雇用調整助成金の相談は承っておりますので、ご相談ください。
厚生労働省では、2020年3月末、新型コロナウイルス感染症の経済的影響の拡大を受けて、雇用調整助成金の特例措置の拡大を決定しました。
方針として発表していますが、まず間違いないと思われます。
雇用調整助成金は事業主が休業手当の支払いを行った場合の事業主に対する補填となる助成金です。解雇を行わない場合は9/10が支給されます。先が見えないとされる新型コロナウイルス感染症の経済的影響ですが、一つの選択肢と考えるべき拡充となっています。
新型コロナウイルスの影響が深刻化を受け、2020年4月1日から6月30日までの期間が緊急対応機関と定められ、雇用調整助成金の更なる特例措置が実施されることになりました。
(1)対象となる事業主の拡大
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)
(2)生産指標要件の緩和
1か月5%以上低下
(3)対象者の拡大
雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含める
(4)助成率の引き上げ
4/5(中小)、2/3(大企業)
※解雇等を行わない場合は9/10(中小)、3/4(大企業)
(5)計画届
計画届の事後提出を認める(1月24日~6月30日まで)
(6)支給限度日数
1年100日、3年150日+上記対象期間
(7)その他
上記の拡充にあわせて、短時間一斉休業の要件緩和、残業相殺の停止、支給迅速化のため事務処理体制の強化、手続きの簡素化も行われる。
かねてより、要件緩和の案として発表のあった雇用調整助成金の追加の要件緩和が決定しました。
案からの大きな変更ポイントは
①教育訓練が自宅でのインターネット受講可
②教育訓練の助成額引き上げ
(1200円→中小企業2400円、大企業1800円)
③半日単位の教育訓練が可能
の3点です。
書類簡素化としては
④個別の委任状が不要
⑤計画一覧表が不要
となりました。 詳細は下記ご確認ください。
申請方法の詳細などはこれからですが、これにより多くの企業が助成金を申請できるようになると思います。弊社でも自社が申請できるように解説キットを作成しています。よろしければご予約ください。
1.雇用調整助成金の特例措置の追加実施について
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動が急激に縮小する事業所が生じ、地域経済への影響が見込まれることから、厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主に対して、令和2年2月14日、同月28日及び3月10日に雇用調整助成金に係る特例措置を講じています。
今般、これを拡充し、令和2年4月1日から同年6月30日までの間は、緊急対応期間として、上乗せの特例措置を講じます。
⑴緊急対応期間(令和2年4月1日~同年6月30日)の休業等の上乗せ特例
○休業又は教育訓練を実施した場合の助成率を大幅に引き上げます。
上記期間内において、休業又は教育訓練を実施した場合の助成率を、中小企業については2/3から4/5へ、大企業については1/2から2/3へ引き上げます。
さらに、事業主が解雇等を行わず、雇用を維持した場合、当該助成率を、中小企業については4/5から9/10へ、大企業については2/3から3/4へ引き上げます。
○教育訓練の加算額を大幅に引き上げます。
上記期間内において、教育訓練が必要な被保険者の方に対して教育訓練を実施した場合の加算額(対象被保険者1人1日当たり)を、中小企業については1,200円から2,400円へ、大企業については1,200円から1,800円に引き上げます。
○教育訓練の範囲を大幅に拡大します。
上記期間内において、自宅でのインターネット等を用いた教育訓練もできるようするなど教育訓練の範囲の拡大を行うとともに、教育訓練の受講日に教育訓練を受けた労働者を業務に就かせても良いこととします。 生産指標の確認は計画届の提出があった月の前月と対前年同月比で10%の減少が必要でしたが、上記期間内においては、これを5%の減少とします。
○支給限度日数にかかわらず活用できます。
上記期間内に実施した休業は、1年間に100日の支給限度日数とは別枠で利用できることとします。
○雇用保険の被保険者でない労働者も対象とします。
上記期間内において、雇用保険の被保険者ではない労働者も休業の対象に含めます。具体的には、週20時間未満の労働者(パート・アルバイト(学生も含む)等)などが対象となります。
⑵雇用調整助成金を活用しやすくするための運用面の特例
○事後提出が可能な期間を延長します。
既に休業を実施し、休業手当を支給している場合でも、令和2年5月31日までは、事後に計画届を提出することが可能となっていましたが、この期間を同年6月30日までに延長します。
○短時間休業を大幅に活用しやすくします。
短時間休業については、従来、事業所等の労働者が一斉に休業する必要がありましたが、事業所内の部門、店舗等施設ごとの休業も対象とするなど、活用しやすくします。
○休業規模の要件の緩和
対象労働者の所定労働日数に対する休業等の延日数の割合(休業規模要件)について、中小企業は1/20以上、大企業は1/15以上としていましたが、これを中小企業は1/40以上、大企業は1/30以上に緩和します。
○残業相殺制度を当面停止します。
支給対象となる休業等から時間外労働等の時間を相殺して支給すること(残業相殺)を当面停止します。
2.申請書類の大幅な簡素化について
新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置に関する申請書類等については、大幅に簡素化し、事業主の申請手続きの負担を軽減するとともに、支給事務の迅速化を図ります。
具体的には、
・記載事項の半減(自動計算機能付き様式の導入や残業相殺の停止等)
・記載事項の簡略化(休業等の実績を日ごとではなく合計日数のみで可とする)・添付書類の削減などを行います。
また、出勤簿や給与台帳でなくても、手書きのシフト表や、給与明細のコピー等でも良いとするなど、事業所にある既存の書類を活用して、添付書類を提出することができるようにします。
私たち専門家である社会保険労務士ですら、度重なる制度改正によって混乱しているのが現状ですが、4月24日に支給要領などが更新されました。
今回の拡充内容は以下の通りです。
原則は、昨年よりも売上が5%低下していることが条件です。
ただ、昨年よりも売上が5%以上低下していない場合は、前々年と比較してもいいことになりました。これにより生産指標はほとんどすべての企業が当てはまることになります。実質的に影響を受けている場合であれば、各ハローワークも相談対応を行うとの情報もあります。
生産指標で雇用調整助成金が使えないとお悩みの方は管轄のハローワークに相談してみてはいかがでしょう。
従業員を休ませる場合は、休業の計画を届け出る必要があります。
本来は、申請をする度に計画届を提出する必要がありましたが、計画届については、初回だけ提出をすればいいことになりました。※解釈の問題で取り扱いが変わる可能性があります。
通常の申請を知っている私たち専門家からしても疑問の多い改正です。いったいどのような場合で2回目以降の申請が簡略化されるのか詳しいことが発表されていませんので、大丈夫だと思っていたら支給できなくなっていたということにならないように注意する必要があります。
助成金全般に言えることですが、労働法違反送検や労働保険料滞納事業主は、助成金を受給することができません。
今回の拡充により、労働法違反送検や労働保険料滞納事業主でも、助成金の受給の対象になりました。
厚生労働省は雇用調整助成金のガイドブック(簡易版)を公開しました。
正直、これだけを読んで申請できると思えませんが、以前雇用調整助成金を申請したことがある方や今回の拡充について詳しく知りたい方にとってはわかりやすくまとまっています。
はじめて雇用調整助成金を申請する方や詳しく雇用調整助成金について知りたい方は、厚生労働省の詳細版の雇用調整助成金ガイドブックや支給要領を確認して申請することをおススメします。
雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の問合せで労働局やハローワークがパンクしているという話を聞きます。要領が変更されても、どのように変更されたかは明示されず、新しい要領が発表いなるだけです。
今回もまだ確定ではないとのことですが、ここまで変更が繰り返され、予定も含めて発表されると政府は雇用調整助成金を支給したいのか支給したくないのかそれすらもわからなくなってきます。
多くの情報が出ていますので、このサイトもそうですが、インターネット上の情報を鵜呑みにするのではなく、専門家に相談することをおススメします。変更に関してはまだ確定ではありません。5月上旬に確定予定です。
今回の変更は下記の通りです。
中小企業が解雇等を行わず、雇用を維持し、賃金60%を超えて休業手当を支給する場合、60%を超える部分を特例的に10/10とする。
休業等要請を受けた中小企業が解雇等を行わず雇用を維持している場合は特例的に10/10となります。
今回の変更の詳細は下記厚生労働省画像を確認ください。
今回の変更で行政からの要請で休業を行った中小企業に対しての支援が行われているかのようにみえますが、上限額は1日1人当たり8,330円と変わりません。ほとんどの企業で休業手当に対して、助成率は10/10となりません。
休業手当の支給率は大切な経営判断です。助成金ありきで決断せず、専門家と相談することをおススメします。
雇用調整助成金に関して、誰がこれほどまでに変更に次ぐ変更があると予想したでしょうか?!またおそらくですが、8,330円という上限に対しては何も触れられていないため、今後更なる変更があることが予測されます。私たち専門家でも正直、何がどう変更されたのか、あの問合せはいつ確認したのか?すら思い出せないほどの変更の連続です。
まずはよくわかっている専門家に相談するのが一番だと思います。
今日は5月6日の雇用調整助成金の申請手続きの更なる簡素化についてお伝えします。ただし、こちらも前広に発表されているものですので確定ではないので注意が必要です。
1.小規模の事業主(概ね従業員20人以下)については、「実際の休業手当額」を用いて、助成額を算定できるようにします。
※ 「実際に支払った休業手当額」×「助成率」=「助成額」とします。
2.小規模の事業主以外の事業主についても、助成額を算定する際に用いる「平均賃金額」の算定方法を大幅に簡素化します。
(1) 「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて1人当たり平均賃金を算定できることとします。
※ 源泉所得税の納付書における俸給、給料等の「支給額」及び「人員」の数を活用し、1人当たり平均賃金(「支給額」÷「人員」)を算出します。
(2) 「所定労働日数」を休業実施前の任意の1か月をもとに算定できることとします。
5月末に第2次補正予算が閣議決定されました。
まだ閣議決定されただけですので、厚生労働省からの正式な発表というわけではありませんが、今後の変更の大きな指針となることは間違いないでしょう。変更は大きく2つです。
・上限を15,000円まで引き上げること(4月1日以降休業)
・緊急対応期間を9月末までとすること
また問題となるのは既に申請した分に関してさかのぼって適用となるのかどうか?という点です。
2020年6月1日時点での予想となりますので、ご理解の上、ご確認ください。
先日、所得税の納付書を用いての計算方法が発表されましたが、上限が15,000円までとなると、所得税の納付書を活用した計算方法が重要になってきます。今までは、上限の8,330円に到達すれば同じ金額でしたが、上限が15,000円となると、計算方法によって支給する金額が変わる企業が大半になります。※よく15,000円が支給されるのかと問いああせがありますが、最高額が15,000円です。おそらくですが、ほとんどの企業が15,000円となることはないと思います。
考えられる計算方法は小規模事業者を除けば、労働保険料によって算定する方法と、所得税の納付書が2019年4月から判定基礎期間の初日を含む期間ですので、通常で考えれば、約13か月くらいあります。(13か月の場合は労働保険料方式と合わせて、14通りの支給額が計算できます。)
なので、支給申請を行うときに、それぞれ計算し、最も支給額が高くなる計算方法で申請を行うのがいいでしょう。
手続きの話となりますが、今まで、6月1日以降を開始とする休業に関しての手続きがどうしたらいいのか不明点ばかりでした。緊急対応期間を9月末まで延長されれば、余裕をもって、手続きを行うことができます。製造業などはこれから休業がはじまる企業がほとんどだと思います。
緊急対応期間の延長は手続き上、非常に助かりますし、助成額も大きくなるので、企業にとって非常にいい話だと思います。
過去の雇用調整助成金に対する疑義照会を確認すると、おそらく遡及されないのではないかと思われます。
基本的に助成金は労働局と事業主の契約行為と解されますので、契約を取り消しし、再度申請の手続きとなるはずですが、契約を取り消しできるかどうかは労働局の判断となるためわかりません。
キャッシュがすぐに必要でなければ、待ってから申請するのがいいでしょう。
第2次補正予算が成立し、雇用調整助成金に関しても再度適用の拡大が行われました。おそらくこれで最後になると思われます。
変更を確認しておきましょう。
助成率は企業の規模や事業主が解雇等を行ったかどうかによって異なります。また今回の改正では、助成金額の算定方法により、助成金額変わる事にも注目です。いたずらに助成金額を引き上げるものは認められませんが、計算方法や申請様式によって結果が異なることに注意が必要です。
雇用調整助成金は1日当たり最大で8,330円の支給でした。
しかしこの金額は時間に直せば、1000円少しであり、東京都の最低賃金と近しいものがあります。そのため、事業主が休業手当の支払い率を下げる傾向にありました。
そうした批判を受け、新型コロナウイルス感染症感染拡大特例においては1日15,000円まで上限が引きあがっています。有効に活用しましょう。
新型コロナウイルス感染症感染拡大の経済への影響はこれからが本番とみるのが一般的でしょう。
それに伴い、緊急対応期間の延長も決まっています。緊急対応期間以降は休業制限が発生したり、計画申請が必要になったりと制約が非常に多くなります。緊急対応期間かどうではないかは本助成金の新型コロナウイルス感染症感染拡大特例においては本当に重要な意味があります。緊急対応期間は9月30日まで延長になりました。
支給申請は「支給対象期間」ごとに申請を行います。申請期限は支給対象期間の末日の翌日から2か月以内ですが、支給対象期間の初日が5月31日以前の休業の場合、申請期限は令和2年8月31日なります。
すでに休業が開始している場合は、8月31日を目指して申請しましょう。
本特例措置に伴い、助成金をすでに申請していた場合に、助成金額が減ってしまうことがないように、さかのぼって特例が適用されることになりました。
すでに支給決定がされている事業主に対して追加で支給が行われます。
1.支給申請はお済みで、まだ支給決定されていない事業主の方
→追加支給の手続きは「不要」です 。
・差額(追加支給分)も含めて支給します 。 ※審査の状況によっては、差額(追加支給分)を令和2年7月以降順次お支払いする場合があります。
2.すでに支給決定された事業主の方
→追加支給の手続きは「不要」です 。
・すでに支給した額との差額(追加支給分)は後日支給します 。 差額(追加支給分)は令和2年7月以降に順次お支払します 。
3.支給申請がお済みの事業主の方で、過去の休業手当を見直し(増額し)、従業員に対し、追加で休業手当の増額分を支給した事業主の方
→追加支給の手続きが「必要」です 。
・令和2年9月30日までに次の書類をご提出ください 。 「再申請書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、 「支給決定通知書の写し」、「増額した休業手当・ 賃金の額がわかる書類」 、 「休業させた日や時間がわかる書類(対象労働者を増やした場合)」
今回の特例に伴って、さかのぼって休業手当の支給を行った場合も助成金の対象となります。
過去に支払った休業手当の支払い率を引き上げることも対象となるのです。再申請を行えば対象となりますので検討してもよいでしょう。その場合、給与計算などのやり直しが必要となります。
また、以下の条件にも当てはまる必要があります。
・判定基礎期間中に令和2年4月1日以降の日を含む支給申請について既に支給決定を受けていること
・当該判定基礎期間中に対象労働者に支払う休業手当等について、遡って適用した休業等協定に基づき増額して労働者に支払っていること
・令和2年9月30日までに支給申請を行うこと
雇用調整助成金の受給金額は、支払った休業手当に対して支払われるものではありません。まず雇用保険被保険者の給与総額÷雇用保険被保険者数÷年間労働日数=会社の平均日額を算出します。この平均日額に休業手当の支払い率と助成率をかけることで算出されます。
また、この金額は1社に固有の金額となります。給与の高い方、低い方に関わらず同じ金額となりますので、注意が必要です。
平均賃金の算出方法は、
算定事由発生日以前3ヶ月に支払われた賃金の総額÷算定事由発生日以前の3ヶ月間の総日数
休業手当は平均賃金の60%が保障されていますので、それ以上である必要があります。しかしそれ以上であれば、いくら払ってもかまいません。
多くの企業が雇用維持のため有給休暇取得時の金額と同額を支払っているのではないでしょうか?
非常事態は経営者のスタンスが試されていると言っても過言ではありません。
事業継続が第一ですが、従業員の生活の事も考えたうえで決定しましょう。
雇用形態に関わらず休業手当の支払いが必要です。支払っていない場合は雇用調整助成金が不支給となることもあります。
上記、日給者、時給者の場合の平均賃金の支払い方法を参考にして、休業手当を支給しましょう。
正社員の休業手当の支払い率を60%、パート社員の支払い率を100%とするなど、休業手当の支払い率に差をつけることは違法ではありません。ですが、まず労使の合意がとれていることが前提となります。経営者の独断で支払う金額を決定することはお勧めできません。
また、助成金は支払い率に差がある場合、もっとも低い支払い率で計算することになっていますので、注意が必要です。
派遣社員については、派遣元であり 休業を余儀なくされ、休業手当の支払いを実施するのであれば申請可能です。
労働組合が組織されていない場合、厳密には事象ごとに労働者代表を選任する必要があり、36協定の労働者代表は36協定に同意するための権限しか委任されていないことになります。
従って、選任プロセスは新たに踏んでいただく必要がありますが、代表者を別の人で選任することまでは必要ありません。
通勤手当や歩合手当など、実際の勤務を前提して計算する手当については無視で構いません。その他に勤務と連動しない手当があれば、休業手当の対象に含めていただく方がよろしいかと存じます。詳細については、手当の性質や計算方法等にもよりますので、管轄労基署等にご相談ください。
計画は雇用保険の適用事業所ごとで提出となります。 本社一括であれば、本社を管轄するHWもしくは労働局への届出となります。
労働局では、離職理由コード(自己都合なのかそれ以外か)でしか判定できないためです。本人希望であったことを証明できる書類等があれば、遡りで手続きを修正することは可能です。 弊社顧問先でも、似たような状況で、本人の失業給付の早期支給の観点から会社都合で手続きすることの是非についてご相談いただくことがございますが、事実とことなる手続きは絶対にやめるべきと回答しています。
有効な協定書期間内であっても、労働者との合意が取れるのであればまき直し可能です。休業手当を増やす場合など、労働者にとって有利な場合は異議はないと思いますので、問題も起きないと思います。
大企業、中小企業の判定は、会社の資本金額と常時雇用する労働者数によって判断されます。出資者である親会社の情報は考慮されません。
2020年4月1日入社の新入社員に関しても雇用調整助成金の対象となります。一般的に入社後3ヶ月で支払われる予定総額を直近3ヶ月の暦日で除し、1日当たりの賃金額を算出します。
上記で決定された賃金額の60%以上の休業手当を支払っていれば、助成金の対象者に含めることはできます。
また助成金の対象であろうとなかろうと、休業手当の支払いは使用者の義務ですので、支払う必要があります。
雇用保険の対象でなくても、労災保険の対象であれば雇用調整助成金の対象とするというのが今回の拡充ですが、指揮命令の実態はどうあれ一人親方(独立した事業主)として元請け下請け関係を構築している以上、貴社の労災保険の対象者ではありませんので、助成金の対象とはなれません。
経済産業省(中小企業庁)等が支援する持続化給付金の申請を各一人親方にしていただくということになろうかと思います。
アルバイトの方の支給額は、基本は労働契約によります(週2回5時間など)ただ、多くのアルバイトの方の場合、週2や週3、時間が決まっていない場合があると思います。その場合は、過去3ヶ月くらいの勤務実績をもとに、勤務予定日数を算出するしかありません。例えば12月 18日、1月 12日、2月 6日の場合、平均して12日を採用するなどです。予定シフトなど、労使双方が納得する方法で算出することが望ましいです。
雇用保険適用関係の取扱いとして、「労働時間が労働基準法第32条第2項に規定する8時間を越えるばあいには、これを2日として計算し」という解釈が当てはまります。
なので、2日間として扱われます。
休業手当を支払っているのであれば、従業員が旅行に行っていようと助成金の対象とはなります。ですが、今回の新型コロナウイルス感染症拡大防止という観点からすれば、自宅待機を指導しましょう。
雇用保険適用関係の取扱いとして、「労働時間が労働基準法第32条第2項に規定する8時間を越えるばあいには、これを2日として計算し」という解釈が当てはまります。
なので、2日間として扱われます。
従業員が他社で働いていようと、適切な休業を行っていたのであれば、他社で労務に従事していようと、助成金の対象となります。もちろん同一の事業主であれば対象外です。
制度本来の主旨は守っていただき、雇用維持につとめてください。
休業開始日に有効な労働条件通知書の提出が必要です。
休業期間中に労働条件が変わった場合は、その労働条件通知書も提出ください。
休業手当は法律上支払いが必要ですので、助成金の有無にかかわらず、支払いが必要です。後日の支払いを行い、助成金の申請を行ってください。
※支払いの方法は給与と一緒ではなくても問題はありません。いつからいつまで分の休業手当かはわかるようにしておく必要があります。(遅すぎる場合は除く)