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e-Gov電子申請システムとは?
人事労務手続きの電子申請化について、社会保険労務士が解説します。

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  • e-Gov電子申請システムとは? 人事労務手続きの電子申請化について、社会保険労務士が解説します。

2020年から特定の法人を対象に、社会保険など人事労務に関する手続きの一部が電子申請義務化されました。行政手続きのデジタル化が加速し、ここ数年で多くの企業が手続きの電子申請に切り替えているようです。電子申請は行政機関に出向いたり、紙書類の作成や保管といった事務負担が簡素化できるといった多くのメリットがあります。今後も電子申請できる手続きが増えていくことが見込まれているものの、まだ電子申請化に踏み切れていない企業にとっては、どこから着手すればいいのかといったお悩みもあるでしょう。
そこで、人事労務に関連する手続きを電子申請に切り替えるにあたって、気になるのが「e-Gov」ではないでしょうか。まずは「e-Gov」を使って電子申請にチャレンジしてみよう、といった企業もあるかもしれません。
今回は、人事労務手続きの電子申請化に向けて、「e-Gov」の基本的な知識について、電子申請に詳しい社労士が解説していきます。

 
目次
この記事の監修

社労士 小栗多喜子

社会保険労務士法人とうかい
執行役員 社会保険労務士 小栗多喜子

同社、人事戦略グループマネージャーを務め、採用・教育を担当する。商工会議所、銀行、Adeco,マネーフォワードなどセミナーや研修講師も精力的に行っている。労働法のアドバイスだけではなく、どのように法律と向き合い企業を成長させるのかという経営視点でのアドバイスを得意としている。

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「e-Gov」とは?

e-Govではどんなことができるのでしょうか。

「e-Gov」とは、総務省により運営されているポータルサイトで、「電子政府の総合窓口」とも言われています。国の各府省の手続きや届出を、行政機関に出向くことなく、インターネットを介して、電子申請・届出ができるというものです。徐々に利用できる手続きや届出が増え、今後も拡大していく予定です。
現在、厚生労働省、経済産業省、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁、国土交通省、警察庁、気象庁、環境省といった府省で利用可能であり、4,000以上の手続き・届出に対応しています。
PCとネット環境さえあれば、職場や自宅どこからでも利用が可能です。これまで、手続きや届出にあたっては、役所の窓口に足を運んだり、書類を郵送するといった手間や負担がかかるものでした。これらを大幅に省き、ネット上で手続きや届出が完結できることになります。

【e-Govでできること】
○電子申請
行政機関への申請・届出といった手続きが可能です。

○法令検索
現在施行されている法令の検索が可能です。

○パブリック・コメント
意見の提出や募集状況などの確認が可能です。

○文書管理/個人情報保護
行政文書ファイル管理簿、個人情報ファイル簿の検索が可能であり、リンク集にもアクセスできます。

「e-Gov」公式サイト
https://shinsei.e-gov.go.jp/

「e-Gov」の電子申請。
電子申請の義務化の対象となる企業は?

どんな法人が電子申請の義務化になるのでしょうか。

2020年4月より、資本金の額または出資金の額が1億円を超える特定の法人などは、社会保険などの手続きに関して電子申請することが義務化されました。

【義務化対象の法人とは?】
・資本金または出資額が1億円を超える法人
・保険業法に基づく相互会社
・投資信託および投資法人に関する法律に基づく投資法人
・資産の流動化に関する法律に基づく特定目的会社
義務化対象でない企業であっても、もちろん電子申請することは可能です。

「e-Gov」で電子申請が義務化されている手続きとは?

e-Govで義務化されている電子申請を確認してみましょう。

電子申請の義務化の対象となる企業であっても、すべての手続きを電子申請しなければならない、ということではありません。特定の社会保険などの手続きにおいて、電子申請しなければならないとされています。

【電子申請が義務化された手続き】
・健康保険・厚生年金保険被保険者 報酬月額算定基礎届
・健康保険・厚生年金被保険者 報酬月額変更届
・健康保険・厚生年金被保険者 賞与支払届
・雇用保険 被保険者資格取得届
・雇用保険 被保険者資格喪失届
・雇用保険 被保険者転勤届
・雇用保険 高年齢雇用継続給付支給申請
・育児休業給付金支給申請
・労働保険 年度更新に関する申告書
(概算保険料・確定保険料・一般拠出金)
・増加概算保険料申告書

【義務ではないが電子申請が可能な手続き】
・健康保険 被扶養者(異動)届
・健康保険 厚生年金保険 新規適用届
・任意適用(取消)申請書
・一括適用承認申請書
・産前産後休業取得者申出書・変更(終了)届
・産前産後休業終了時報酬月額変更届
・育児休業等取得者申出書(新規・延長)・終了届
・育児休業等終了時報酬月額変更届
・介護保険適用除外等該当・非該当届

「e-Gov」での電子申請の方法とは?

e-Govでの2通りの電子申請方法を見ていきましょう。

「e-Gov」で電子申請を行うといっても、その方法は2通りの方法があります。1つめは、「e-Gov」のサイトから直接申請する方法、2つめは市販の労務管理システムやクラウドサービスから「e-Gov」への外部連携(API)サービスを利用して申請する方法です。利用のしやすさ、現在利用している人事労務関連のシステムが「e-Gov」に対応しているか、コスト面など、自社の環境・事情によって、利用する方法を選択することになるでしょう。

まずは「e-Gov」のサイトから直接申請する方法を確認していきます。

 

 

「e-Gov」の電子申請の準備‥電子証明書を取得する

「e-Gov」で電子申請を行うためには、電子証明書の取得準備から始めましょう。電子証明書は、いわゆる法人の印鑑証明書のようなものです。電子申請を通じて手続きを行う場合に、本人確認手段やデータの改ざん防止のために利用します。すべての電子申請に電子証明書が必要なわけではありませんが、電子証明書が必要な手続きも多いので、事前に取得しておきましょう。電子証明書は、公的個人認証制度におけるICカード形式、ファイル形式の2つのタイプがあります。認証局と呼ばれる発行機関から取得することになります。電子証明書の有効期間は、それぞれの認証局で定められています。また取得費用についても認証局によって異なります。有効期間が長いほどお得にはなりますが、有効期間の長い証明書を取得した場合に、代表者の変更が発生したりすると、再度取得する必要が生じます。有効期間は会社の状況などに合わせて選択するとよいでしょう。さらにICカード形式を利用する場合には、カードリーダなどの用意も必要です。

○商業登記認証局
法務省が運営する商業登記認証局です。ファイル形式。
費用と有効期間:4,300円(12か月)、8,300円(24か月)、9,300円(27か月)
(公式サイト)https://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/

○帝国データバンク
帝国データバンクが運営する認証局のTDB電子認証サービスです。ICカード形式。
費用と有効期間:28,000円(2年版)、33,300円(3年版)、42,000円(4年版)、48,000円(5年版)※1枚目発行の価格。商工会議所会員の場合には割引あり。
(公式サイト)https://www.tdb.co.jp/typeA/

○トインクス
TOiNX電子入札対応認証サービスによる認証局です。ICカード形式。
費用と有効期間:16,500円(1年1か月)、26,180円(2年1か月)、36,300円(3年1か月)、46,200円(4年1か月)、63,800円(5年)※1枚目発行の価格。
(公式サイト)https://www.toinx.net/ebs/info.html

○NTTビジネスソリューションズ
e-Probatio PS2サービスに係る認証局。ICカード形式。
費用と有効期間:28,000円(2年版)、33,300円(3年版)、42,000円(4年版)、48,000円(5年版)※1枚目発行の価格。商工会議所会員の場合には割引あり。
(公式サイト)https://www.e-probatio.com/

○セコムトラストシステムズ
セコムパスポート for G-IDに係る認証局。ファイル形式。
費用と有効期間:14,000円(2年版)、21,000円(3年版)※ダウンロードタイプの価格。
(公式サイト)https://www.secomtrust.net/service/ninsyo/forgid.html

社会保険等手続きは、電子証明書が「必要な場合」と「不必要な場合」がある
社会保険等の手続きについては、電子証明書が必要な場合と不必要な場合があります。手続きや届出を選択すると、「電子署名必要」「行政手数料有」「GビズID電子署名省略可」などが表示されていますので、確認可能です。

社会保険労務士により提出代行する場合の注意点

企業の中には、社会保険などの手続きは、社会保険労務士に提出代行を委託しているケースもあるでしょう。電子申請であっても、社会保険労務士が提出代行することが可能です。ただし、事業主に代わって提出代行することになりますので、提出代行に関する証明書を電子申請する際に添付します。会社の電子証明書が必要な手続きであっても、この提出代行に関する証明書を送信することで、会社の電子署名が省略することが可能となります。

電子証明書を取得せず、「GビズID」を取得する
電子証明書の取得をせずに、「GビズID」のアカウントを取得することも可能です。「GビズID」とは、法人・個人事業主向け共通認証システムです。「GビズID」のサイトから、申請書を作成し印鑑証明書とともに申請し、アカウントを取得することになります。アカウントを取得すれば、有効期限、年度更新の必要はありません。コスト面を考えると、電子証明書を取得するよりメリットがあるかもしれません。ただし、電子証明書は、汎用性も高いため、どちらがよいかは一概に言えないところです。

○「GビズID」(公式サイト)
https://gbiz-id.go.jp/top/

「e-Gov」の電子申請の準備‥アプリケーションをインストールする
「e-Gov」のアカウントを作成し、アプリケーションをインストールします。インストール後、ログインしマイページを確認してみましょう。

「e-Gov」の電子申請の方法①‥申請・届出情報を直接入力する
「e-Gov」の利用準備が整ったら、実際に電子申請を行います。申請する手続きを選択したら、申請情報を1件ずつ入力し申請する方法です。1件ずつ入力しなければならないので、申請・届出情報が複数あったりと多い場合には、非効率とも言えます。

「e-Gov」の電子申請の方法②‥CSVファイルを利用して申請・届出をする
「e-Gov」で申請・届出をする場合、1件のみの申請とは限りません。社会保険の算定基礎届などは、複数の社員分の申請・届出が必要となってきますので、1件ずつ入力していると非効率です。そこで、CSVファイルを利用して連記式の申請・届出が可能となっています。CSVファイルを利用するためには、自社でご利用の労務管理ソフトから届書データをCSVファイルとして作成するか、日本年金機構の配布する「届書作成プログラム」を利用することになります。

届書作成プログラム(公式サイト)
https://www.nenkin.go.jp/denshibenri/program/program.html

「e-Gov」の電子申請の方法③‥処理状況等を確認する
「e-Gov」で申請・届出を行ったら、マイページより事務処理の状況が確認できます。申請・届出内容に不備などがあると、提出先の機関から通知等がされます。

「e-Gov」の電子申請の方法④‥手数料等を納付する
「e-Gov」で申請・届出を行い、手数料等の納付が必要な場合には、ネットバンキングやペイジーなどを利用して納付が可能です。

「e-Gov」の電子申請の方法⑤‥公文書を取得する
「e-Gov」で申請・届出を行い、提出先機関の審査が完了し、受理されると、公文書が発出されます。マイページから公文書が確認でき、ダウンロードが可能です。

「e-Gov」電子申請のマニュアルはある?

「e-Gov」による電子申請は、徐々に改善されつつあるものの、まだまだ複雑でわかりにくい点や申請画面のUIが使いにくい点があるなど、使いづらいという評価も多いのが実情です。現時点で言えば、「e-Gov」で直接申請・届出を利用するより、「e-Gov」に対応した市販の労務管理ソフトやクラウドサービスを利用し、API連携で電子申請をするほうが、利用しやすく、管理もしやすいといった点でポイントが高いかもしれません。とはいえ、現状、労務管理ソフトやクラウドサービスの利用予定がない、コスト面が折り合わないなど、さまざまな事情もあるでしょう。その場合には、やはり「e-Gov」サイトを活用していく選択肢となります。「e-Gov」電子申請のマニュアルも用意はされています。行政機関のマニュアルとあって、UIに長けたマニュアルではありませんが、頻度の高い手続き関連のマニュアルは用意されていますので、確認してみることをおすすめします。まだまだ利用しにくい「e-Gov」とはいっても、何度か利用していくうちに、慣れてしまうといった面もあるでしょう。

電子申請マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/sinsei/tetuzuki/e-gov/

まとめ

e-Govでの電子申請についてのご相談なら、とうかいにお任せください。

ますます広がる電子申請の流れ。義務化対象の企業以外であっても、電子申請の活用が進みつつあります。電子申請の活用は、書類管理の手間や、行政窓口への訪問などの時間ロスなど、大きく改善されることでしょう。ただ、「e-Gov」の電子申請は、手続きが複雑だったり、システム操作がわかりずらいなどのマイナス面もあります。導入までにあれこれ調べているうちに面倒になってしまったという声もよく聞きます。

電子申請を楽にする方法は、e-govとの間に連携システムを挟むことです。オフィスステーションやSmartHRなどが挙げられます。これにより、申請準備から完了までほぼオンラインで完結することができるでしょう。

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