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第2波に備える。ウィズコロナ期における労務管理のポイントは?

いまだ新型コロナウイルスの感染が止まりません。東京都内では、連日100人、200人といった感染者が確認されており、さらなる警戒を強めています。新たな感染者が発生し、感染の第2波、第3波が心配される状況です。このような危機的状況の中、景気のさらなる悪化や、賃金カット、解雇・雇止めなどの労務問題が、これから顕在化することが予想されます。

今回は、新型コロナウイルス感染症の第2波に備え、ウィズコロナとして対応しておきたい労務管理のポイントついて、解説していきます。

この記事の監修

社会保険労務士法人とうかい
社会保険労務士 小栗多喜子

これまで給与計算の部門でマネージャー職を担当。チームメンバーとともに常時顧問先350社以上の業務支援を行ってきた。加えて、chatworkやzoomを介し、労務のお悩み解決を迅速・きめ細やかにフォローアップ。

現在はその経験をいかして、社会保険労務士法人とうかいグループの採用・人材教育など、組織の成長に向けた人づくりを専任で担当。そのほかメディア、外部・内部のセミナー等で、スポットワーカーや社会保険の適用拡大など変わる人事労務の情報について広く発信している。

主な出演メディア
NHK「あさイチ」

中日新聞
船井総研のYouTubeチャンネル「Funai online」


社会保険労務士 小栗多喜子のプロフィール紹介はこちら
https://www.tokai-sr.jp/staff/oguri

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新型コロナウイルス感染症拡大。
今起きている労務問題とは?

新型コロナウイルス感染第2波に備え、労働環境整備や労務管理についての正しい情報を提供します

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、半ば強制的に変化を求められ、職場にテレワークや在宅勤務を導入したという会社も多いのではないでしょうか。いまやウィズコロナともいわれ、新型コロナウイルス感染防止への対応は長期化が予想されています。

「新しいライフスタイル、新しい働き方」が求められるなか、企業もさまざまな課題が山積みです。新型コロナウイルス感染症の拡大以前より、働き方改革に関連して、さまざまな法改正も進行しています。そうした背景によって、企業における新たに発生が問題となっている労務問題を確認します。

1)ハラスメントの増加

外出の自粛や新しい生活様式への変換、テレワーク をはじめとした新たな働き方に、多くの人が多かれ少なかれストレスを感じているのではないでしょうか。会社においても、業績悪化や先行きの不透明な状況の中、経営者や従業員それぞれが相当なプレッシャーやストレスを抱えているかもしれません。こうした環境が新たなハラスメントを生んでしまっています。

また、テレワーク導入が進む中、テレワーク中に行われるハラスメントも問題となっています。

・テレビ会議などでプライベート(自宅環境や服装、同居人など)に干渉する

・必要以上にWEB会議や通話を強要する

・WEB会議などでカメラをONにして顔見せを強要する

・オンライン飲み会などの強制参加

・過度の監視等

2)新型コロナウイルス感染対策の従業員への強要

会社は安全配慮義務といって、従業員の生命、身体の安全に配慮する義務を負っています。会社が従業員の感染を予測できたのに注意を怠り、その結果従業員が感染してしまった場合は、会社が損害賠償責任を負う可能性があります。そうしたことから、職場での消毒必須やマスク着用義務付けを行なっている場合もあるでしょう。

しかしながら、マスク着用などを強制する場合は注意が必要です。マスクの着用を命じることについての可否については、会社が費用を負担してマスクを用意し、従業員に支給するのであれば、マスク着用を命じることは可能ですが、会社がマスクを支給しないのであれば、着用を命じることは難しく、協力を求めることができる程度にとどまると考えるべきでしょう。

マスクも供給されてきています。マスクを支給することも検討しましょう。

3)新型コロナウイルスの感染リスクを理由に出社を嫌がる従業員

新型コロナウィルスの感染リスクを理由に、出社を拒否する従業員が発生するケースも見られています。企業のなかには、従業員から「在宅勤務でも仕事ができるのに、出社する必要があるのか」といった理由から、出社を避けるケースも増えています。

4)「賞与(ボーナス)なし」で従業員が退職

新型コロナウイルス感染拡大により経済的打撃があったうえに、いつ収束するのかわからないため、事業収益どころか企業そのものの存続さえ危ぶまれる事態に陥る企業にとっては、賞与カットや支給額引き下げを行うことでしょう。とはいえ、最近の報道では、財政悪化により賃金の引き下げ、賞与支給なしとした医療機関のスタッフが大量退職をしたという事態も発生しています。

5)「コロナ離職」未払い残業などの退職時のトラブル

新型コロナウイルスの感染拡大で企業の経営が厳しくなり、解雇や雇い止め、退職が増えていますが、同時にサービス残業の未払いなどの労使トラブルも増えています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人手不足や業務量が増大している職場においては、長時間残業も発生しています。

未払い残業の問題は新型コロナウイルスと関係ありませんが、世の中がストレスを抱えており、問題自体は増えているように感じています。

6)新型コロナウイルス感染拡大による外国人労働者への影響

外国人労働者を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて大きく変化しています。製造業や飲食・宿泊業などで働く人が多く、これらの職場が生産縮小や休業を余儀なくされたため、外国人が職を失うケースが相次いでいます。外国人労働者が仕事を失うと、日本での在留資格に影響します。職を失った外国人労働者が就職活動できるように、一定期間の在留を許可することになっていますが、これらの施策が、外国人労働者にきちんと伝わっていないなどのケースもあります。

コンサルタント中村の経営視点のアドバイス

雇用調整助成金がでるからと、むやみに休業を行い、休業手当を支払っている会社もありますが、やめたほうがいいでしょう。ウィズコロナ期は長期化が予想されます。経営は売上がなければ絶対に成り立ちません。売上再開の目途がたっていないのであれば、希望退職を募るなど、休業以外の選択肢を考えたほうがいいと思います。今後、事態が深刻化していくことを考えれば、今決断することが必要だと考えます。

新型コロナウイルス感染症。
第2波が与える今後の企業への影響

第2波への打開策を一緒に探りましょう

新型コロナウイルス感染症が追い風になっている企業、影響のない企業もあることも事実ですが、多くの企業が、マイナスの影響を受けています。企業経営者は、人材、資金、これまでのビジネス領域で、戦っていけるのかについて不安に感じている方も多いでしょう。

東京での感染拡大は、第2波の始まりとも解され、今後再度の外出自粛となれば、企業業績はさらに落ち込むことは予想に難くありません。

政府は売上が落ち込んだ中小企業などへの資金援助として、各種の助成金を用意し対応を続けていますが、この感染拡大がさらなる長期化をもたらせば、いずれ限界もくるでしょう。これまで日本の財政赤字は深刻な問題だと言われていましたが、今回の新型コロナによってさらに拍車がかかっています。将来的には増税も視野に入ってくるかもしれません。

人事労務に関係するところでいえば、企業でテレワークによる在宅勤務へと大きく舵が切られたことで、働き方への変化がさらに進んでいくでしょう。緊急事態下では、突発的な対応だった企業も、今後、テレワークとオフィスへ出社のバランスを模索しながらの働き方になっていくはずです。そうした変化に労働時間管理や仕事の成果・評価制度の仕組みを見直す必要も生じてくるかもしれません。

社労士小栗の経営視点のアドバイス

テレワークは緊急時に認められたテレワークと今後継続していく制度としてのテレワークを分けえ考える必要があります。従業員からすれば違いはありませんので、一度仕切り直しをしないと多くのトラブルを生むことになりかねません。トラブルの原因の多くは決まっていないことや勘違いから生まれています。

新型コロナウイルス 感染症。
第2波に備えて知っておくべきこと

新型コロナウイルス感染は長期戦です。今後の人事労務への長期対応をサポートします

新型コロナウイルス感染に影響して、人事労務管理上検討すべき事項は枚挙にいとまがありません。従業員の安全配慮義務の内容、企業の財政悪化ともなれば、労働条件の見直し、解雇・雇止め等、大きく影響するため関連法律などはおさえておきたいものです。第2波に備え、知っておくべきことを確認しておきましょう。

従業員の出社拒否への対応

今後再び感染者が増加するような場合、新型コロナウイルスの感染リスクを理由に、出社を拒否する従業員が発生する事例が増加すると予想されます。世界各国では、労働者たちが、不要不急の労働を拒否したり安全対策を求め、その要求を実現するためにストライキを行うケースも発生しています。安全配慮義務を踏まえたうえで従業員に出社をさせるのが前提ですが、従業員に「怖い」「気になって集中できない」と言われてからでは対処が難しいものです。事前に欠勤しないような対応策の検討を進めておきましょう。

・「特別手当」「出勤手当」などを導入し、就業規則に規定する

・時差出勤などを活用し、感染リスクを下げる

・(テレワーク などが難しい職種)現場の慰労などの目的で一時金を支給する

従業員の解雇に関する法律

新型コロナウイルス関連の解雇や雇止めが増加し、それに伴ってのトラブルも増えつつあります。解雇の事案でなく希望退職や退職勧奨であっても、従業員への説明が曖昧なため、「騙された」「強要された」といったトラブルになるケースもあります。日本の労働法では労働者は手厚く保護されており、新型コロナウイルスが影響して経営が悪化したとしても、すべての解雇が法的に有効ではありません。整理解雇を行うにも、必要な4要件のハードルは高いものです。一方で、解雇予告手当を支払えば解雇ができると思っている経営者が多いのも事実ですが、こちらも誤り。判断や手順を誤れば、火に油で大きな労使紛争に発展しかねません。

【整理解雇の4要件】

①人員削減の必要性

②解雇回避の努力

③人員選定の合理性

④手続きの妥当性

業績低迷→経営悪化→従業員解雇と簡単にはいきません。まずは、解雇を避ける手段がないか、希望退職の募集や退職勧奨を経た合意退職のプロセスが必要でしょう。

希望退職募集をするときのポイント
  • 希望退職制度を書面で交付する
  • 従業員への丁寧な説明を行う(数字など具体的に)
  • 従業員にじっくり検討する時間を与える
  • 選択肢を提示する。(退職または在籍はするが職種転換、転勤等)
  • 割増退職金などの提示
  • 辞めてほしくない従業員には事前に伝えておく
退職勧奨を行うときのポイント

会社が従業員に対して、自主的な退職を求めるのが「退職勧奨」です。したがって、実際に退職するかどうかの決定権は、会社ではなく従業員側にあります。違法な退職強要とならないよう、退職勧奨は慎重に行わなければなりません。

  • 従業員への丁寧な説明を行う(数字など具体的に)
  • 従業員にじっくり検討する時間を与え、即断即決を求めない
  • 退職加算金など金銭を支払う
  • 従業員が退職勧奨に応じないと回答した後も退職勧奨を続ける
  • 退職勧奨を断った場合に、解雇や給料の大幅カットするなどはNG
  • 合意退職書面を取り交わす

新型コロナウイルス に関連する労務対応Q&A

こちらで紹介しているQ&Aはあくまでも一般論です。従業員に対して不利益となる場合、個別に判断が必要なケースがほとんどですので、専門家に相談されることをお勧めします。

疑問・質問にはオンラインでお答えします。

新型コロナウイルス感染症に関連した労務に関するよくある質問をQ&A形式にまとめて、ご紹介いたします。

会社の業績悪化を理由に、契約社員に辞めてもらおうと思っているが問題ない?

慎重に判断する必要があります。

契約期間途中での契約打ち切りは、期間満了時に契約更新をしない“雇い止め”とは異なり、「解雇」です。正社員を解雇する場合よりも厳格に判断されます。契約期間満了での雇止めを待たずに、契約期間途中で行う解雇は、労働契約法で「やむを得ない事情」が必要とされ、契約期間中に雇用を終了せざるをえない“重大な理由”が必要です。(労働契約法17条1項)

例えば、契約期間中に会社が倒産したり、従業員に著しい能力不足が認められたりするなどのケースです。“新型コロナウイルスで売上が減少した”といった理由は、企業にとっては重大な局面ではありますが、契約社員の契約満了を待たずに解雇するほどの、急激な経営悪化と判断されない限り、重大な理由とは認められません。仮に重大な理由があっても、会社側が証明しなければ解雇は無効です。

とはいえ、契約期間が満了した後の雇い止めが簡単にできるというわけではありません。契約の更新が3回以上されている場合や、1年を超えて継続勤務している場合は、契約が反復更新される期待感が強いため、雇用を打ち切るには「正当な理由」が必要です。安易に認められるものではありません。

賞与(ボーナス)の不支給や引き下げは問題ない?

不支給や引き下げはできるが、慎重に。

シンクタンクの見通しで多くの企業が、賞与支給額を減らすといわれています。事業へのマイナス要因が大きい旅行業や飲食サービスなどの業種の企業では、賞与カットもあり得るでしょう。一般にボーナスと呼ばれる賞与は、会社の業績に応じて支給される意味合いから、就業規則等に「業績により支給しない事もある」と定めてある場合には、不支給や支給額を減らすことは可能です。

「企業の営業実績や労働者の能率等諸般の事情により支給の有無及びその額が変動する性質のものである」とされています(東京地方裁判所平成6年11月15日判決)

ただし、毎回定期的に支給される額が固定されている場合などは、賞与とはみなされず支払義務が生じる場合もあります。次のような場合は、注意してください。

・年俸制で年俸額の1/14を各支給月に支払う旨を就業規則などに定めている

・就業規則や労働契約書に賞与も〇か月分と規定している

また、就業規則に“原則支給するものとするが、業績によっては支給しない場合もある”などと定めていないにもかかわらず、賞与を支給しない場合には、従業員とのトラブルにもなりかねません。今一度、自社の就業規則を確認しておきましょう。

昇給をしなくても大丈夫でしょうか?

原則、昇給しなくても問題ありません。

昇給は必ず行わなければならないという法律の規定はありません。しかし、就業規則に賃金の「昇給に関する事項」を必ず記載しなければならないことになっていますので、“昇給は毎年1回行う”“ただし、会社の業績によっては昇給を行わない”といった、ただし書きがされている必要があります。

とはいえ、就業規則に規定されている場合であっても、従業員に丁寧に説明し、理解を得るよう努力することが必要です。

次のような場合は、昇給が必要になります。昇給を行わない場合には、従業員への説明や個別同意が必要になってきますので、確認しましょう。就業規則には昇給の停止の規定や降給の規定も入れておくとよいでしょう。

・就業規則、労働契約書に毎年〇%昇給するなどと記載がある

・人事制度に経験給、勤続給、年齢給を取り入れている場合

賃金(給与)を減額しても大丈夫でしょうか?

不利益変更となるため、基本的にはできません。

《労働契約法第9条》

使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

賃金は、労働条件であり、会社が労働者の合意なく一方的に減額できません。ただし、労働者の受ける不利益の程度や労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況等の事情に照らして合理的なものであるときは有効となります。

いずれにしても、従業員には丁寧に説明することが大切です。また、賃金の減額は、経費削減や役員報酬の減額を行なってもなお、行わざるを得ない場合でないと、従業員の理解は得にくいでしょう。

休業手当を支給しなくても問題ないでしょうか?

問題です。従業員を休業させたら、休業手当を支給しなければなりません。

パート従業員であっても同様です。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために自宅待機を命じられた場合でも、会社は、最低でも平均賃金の60%以上に相当する休業手当を支払わなければなりません(労働基準法第26条)。就業規則や労働契約で60%よりも低い金額が定められていても、60%以上の休業手当を支払う義務があります。

休業手当を支払わなかった場合に、労働基準監督署や弁護士を経由して従業員から請求されれば、ほぼ間違いなく支払いが必要になるでしょう。

その場合には、付加金(同一額を上乗せして支払い)に加え、遅延利息(14.6%)、遅延損害金なども発生します。

新型コロナウイルス感染症の影響で休業させられたものの、会社から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」が創設されました。しかしながら、それをもって休業手当が免除されたわけではありませんので、注意してください。

 

参考)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html

従業員が「新型コロナウイルス 感染が怖いので出勤したくない」と言われましたが、どのように対応すればよいですか?強制的に出勤させることができますか?

出勤させることができます。

会社は、業務遂行全般について従業員に対して必要な指示・命令をする権限を有しており、従業員はその命令に従う義務を負うものとされています。

店舗勤務などの従業員については、必要な感染防止対策を講じたうえで出勤を命じること

は可能です。ただし、従業員の感染不安に対して適切な配慮を施すことが望まれます。管理部門などの従業員については、感染状況や外出自粛要請なども踏まえ、テレワーク実施の可否を検討しましょう。テレワークが難しい場合でも、出社日数を削減したり、時差出勤を行うなどの対応が望まれます。

また、出勤拒否する従業員に対して、休業を命ずることも可能ですが、その場合、従業員への説明や理解を得ることが必要です。ただし、人選の合理性、相当性が問題となることもありますので、安易に出勤拒否だから休業させるといった対応には注意が必要です。

出勤を拒否する従業員を懲戒処分を行うことは可能でしょうか?

おすすめしません。

会社の指示、命令に従わない場合の処分は、感染リスクの状況等の様々な事情を考慮して、その必要性、相当性について慎重に検討しましょう。

会社側からすれば、会社の業務命令に対して、従業員が応じないということは、懲戒処分にあたるとの意見もあるかもしれません。しかしながら、新型コロナウイルスは未知の部分が多く不安感を抱えている従業員も多いことでしょう。来客のある店舗での業務に従事するような従業員にとっては、大きなストレスを抱えていることでしょう。そのようななか、業務命令を強行した場合には、従業員がメンタル不調を引き起こしたり、退職を申し出たりすることも考えられます。

懲戒処分を行う前に、感染防止対策を充実させ、従業員の不安を和らげることで、出勤に協力してもらうようにするのが望ましいでしょう。

休業予定日に、有給休暇を使用したいという従業員がいます。認めるべきですか?

休業を行う場合には、有給は認められません。

休業が、休業手当が平均賃金の60%以上支給されるのに対して、有給休暇は通常給与が支払われることから、有給休暇を使用したいという従業員がいるかもしれません。しかしながら、有給休暇はもともと「労働義務があること」を前提に、それを免除するものです。会社が先に休業命令を出して休業日が確定している場合、その日は労働義務がないことになりますので、有給休暇は取得できません。

従業員の家族が感染し、その職員を休ませた場合の扱いはどうなりますか?

有給扱いとはなりません。

従業員の家族に感染者が出た場合には、その従業員は健康状態に問題がなくても、濃厚接触者として、自宅待機をするように保健所から要請されます。この自宅待機中に在宅勤務で仕事をさせた場合には、通常の給与が発生するので、有給とはなりません。一方でテレワークなどが不可能で従業員を休業させざるを得ない場合もあります。この場合の休業は、会社側の事情に起因したものではないので、会社は休業手当を支払う義務はありません。ただし、新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金についての特例措置などを活用して労働者に休業手当をすることも考えられます。

保健所から自宅待機を求められる期間が解除された後も、会社の判断で、念のため更に

数日間の自宅待機を命ずる場合には、賃金を支払う必要があります。

まとめ

オンライン社労士の小栗です。
この難局を一緒に乗り切りましょう。弊社も全力でサポートさせていただきます。

新型コロナウイルスとの戦いは、ウイルスという見えない敵との戦いです。第2波、第3波と先がなかなか見通せない問題です。そうした状況下でも、企業経営者は、経営判断をしていかなければなりません。

人事労務の領域でいえば、企業としてできることの一つは、従業員が業務遂行にあたって抱える混乱や不安を緩和させ、新しい働き方を提示していくことでしょう。

そのためには何よりも経営者からの情報発信が必要です。問題が起こる前に会社としての方針を明らかにすることで安心して働ける状態にもっていくことができます。

新型コロナウイルス感染症は緊急時の対応から働き方をどうするのか?という平常の対応に変わりつつあります。何をなすべきか、社会保険労務士がサポートしていきます。お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

オンライン無料相談も受け付けております。

動画での解説はこちら!
新型コロナウイルス感染症感染拡大の企業対応!従業員が感染してしまった、濃厚接触者になってしまった場合など対応をまとめました。

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